kisetsunokazeni

ときには空を見上げて深呼吸。無駄と思える時間も必要な時がある。

ただただ感謝

2015-03-13 12:35:11 | 介護
もう何年も前に

伯父と八十八か所巡り(四国・高知)に

行きました

伯父は

もともと弱視が進み視力がほとんどなく

10年以上前から脳こうそくを患い

それが徐々に悪化して

杖歩行していましたが

階段の上り下りは

ひとの手が必要でした

また

その頃は

認知症の症状も出て

身内のことも

時々わからなくなっていました

四国巡りは

伯父の念願でしたが

人に迷惑をかけることを嫌い

それまでは

こちらが勧めても

拒否していました

それが

認知症でかたくなな決心が緩んだようで

行きたいと言いだしたのでした

私は喜んでお伴することにしましたが

バスツアーなので

タイトなスケジュールと

伯父の足の具合と体力からみて

たぶん

みなさんとは

ほぼ別行動だと覚悟していました


行ってみて思った通り

伯父の歩みはゆっくりで

駐車場から本堂までの距離を歩くのは

かなり努力が要りました

皆さんが読経している間

やっとの思いで本堂にたどりつき

すぐUターン

階段のきついところは

さすがにあきらめて

伯父を階段の下で待たせて

私だけが名前の札を納め

読経してくるようにしました

それでも時間はぎりぎりかちょっとオーバー

ガイドさんや他の方々にご迷惑がかかり

さぞいやな思いをされていると思いきや

みなさん笑顔で待ってくださっている

”たいへんね” ”がんばってるね”

早く次のお寺に行きたいでしょうに

励ましの声もかけてくださる

時には私に代わって

伯父の手をとって支えてくださる

あの4日間

伯父も私も

みなさんに支えられて

リタイアすることなく

巡りきることができました


あの後伯父は

具合が徐々に悪くなり

天国に旅立ちました

もしあのチャンスを逃したら

もう行けなかったと思います

それに

行けたとしても

もしあのような方々と一緒でなければ

いくら認知症の伯父でも

行ったことに後悔したかもしれません

伯父はずいぶん具合が悪くなってからも

このツアーのことは

ずっとうれしそうに話していました



私は最初

このツアーに

お世話係としてついていく心づもりでしたが

あとになって

お世話されたのはわたしだったことに

気付きました


神様がいるとしたら

きっと

尊い優しい気持ちを持った方々が

世の中にはこんなにいるってこと

私に教えてくれたのかもしれません


今思い返しても

ただありがたく

ただただ感謝


私もいつか

あのような方々の一人になりたいと

思っています
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