今年はもう今日で終わりというのに、こんなことをかいていてはいかんのだが・。
年内はシーズン2を3回放映、まだ半分も行っていない。タイタニック事故の1912年から始まり、今ちょうど第1次大戦のさなか、傷病兵達が館に収容され、男の使用人達が次々と徴兵されているところだ。まだまだ時代は流転していく。
- 貴族と相続人:
当主ロバートは責任感が強く、周囲の人たちへの気配りも絶やさない立派な男だが、時代の変化に対しては常に保守的だ。妻コーラはアメリカ人、イギリスの貴族社会にうまく溶け込んではいるが、ふとしたところで微妙に開明的なところが透けて見える。
タイタニック事故で失われた継承者である甥に代わり、相続人とされた遠縁のマシューは中産階級出身、貴族の習慣には最初なじむことができず、反発を感じる。一緒に住む母イザベルの方がむしろ積極的だ。 - 娘達:
長女メアリーは貴族の娘であるという自らの運命に苦しむ。子供っぽい反発心ともとれるが、その重圧は他人には推し量れないものだろう。次女イーディスは自分の居所がつかめない。シーズン1では姉に直接反発していたが、今(シーズン2途中)はとても不安定な存在だ。三女シビルはもっと実践的、現代的であり、、看護師として自分の居場所を見いだしていく。 - 女性と男性:
当主ロバートが保守的と書いたが、執事カーソンもクローリー家に忠誠を誓う、使用人達の大黒柱的な存在だ。二人とも保守的ではあるが、決して頑なではない。状況に応じ、ことを荒立てぬように現実的に対応する柔軟性を持っている。
従者ベイツは、ロバートと男の友情(戦場での同士)で結ばれている。彼には様々な困難が訪れ、見るものの同情心を?そそる。トーマスやブランソンは策士や反体制派に属するが、影響力は小さい。
むしろ女性達の方が自由に泳ぎ回っているような気がする。先代夫人(ロバートの母)バイオレットは依然としてクローリー家に強い影響力を持っている。マシューの母イザベルは、ドラマでも息子から仕切り屋と呼ばれているが、こういう人は今でもいるよなあ。この二人に伯爵夫人コーラを交えた3人のバランスが絶妙だ。
ときに奔放な行動を示すメアリー、なぜか自動車の運転に興味を見せるイーディス、シーズン1で女性解放運動に興味を示したシビルは、新時代を象徴するものとして描かれているのだろう。シーズン1では秘書を目指すグエン、シーズン2ではもっと無邪気に玉の輿を目指すエセルが登場するが、彼女たちにとってメイドは古く、因習的な職業に見えるのだろう。
こうした男性、女性の描写は、100年前のことを描いてはいるが、実際には現代まで続く社会的潮流を描いているとも言える。現代の課題は、今始まったことではもちろんなく、この時代から変わり続けているのだ。
もちろん、今でも時代は変わり続けている。昔よりずっと速く。 - 変わりゆく時代:
ロバートとベイツが戦ったボーア戦争は、大英帝国が凋落したきっかけとなった戦争と言われる。
タイタニック号には、上流階級も船底にいた3等船客も等しく冷たい海に投げ出された。
そして第一次世界大戦では貴族達と共に、多くの使用人達が戦場にかり出される総力戦となった。
こうして19世紀の古き良きイギリスは変貌していく。
ロバート曰く「じたばたしても新しい時代はやってくるのだ。みんなで潔く迎えようじゃないか(シーズン2第2話。テレビでは原語がわからない。傷病兵を館に迎えようと言っているのかもしれないが、まあ、新しい時代を迎えようという意味もあるのだろう・・)。
シーズン1では比較的わかりやすい対立構図が描かれている。トーマスとオブライエンはベイツを追い出そうと陰謀を働く。イーディスはメアリーにかみつき、メアリーはマシューに反発したり、惹かれたりしている。バイオレットとイザベルはことあるごとに衝突する。
しかし、シーズン2になると、メインキャストと思っていたベイツが初回からいなくなってしまう。トーマスは相変わらずなところもあるが、その場をうまく納める力もつけていく。オブライエンもラングさんに情のあるところを見せたり、コーラに有用な助言を与えたりする。人物描写にいっそう深みが増して、ますます目が離せなくなった。
次は1月11日だぞ。見逃さないようにするのが大変・・。