「働き盛り」のNPO ドラッガーに学ぶ「真の豊かさ」
島田亘著 東洋経済新報社 1500円+税
世の中には、同じことを考えている人がいるんだなあ・・・と改めて自分自身に問い直す一冊でした。
著者は、1939年のお生まれの人生の先達。
クラレの事業企画部長等を経て、関西学院大学などの教授を務められます。
50歳でクラレを退社。
研修講師としての活動をしながら、大学の教員としても活動されます。
著者は、学生時代からボランティア、NPO活動に参加され、ドラッカー博士の薫陶を受けます。
同書では、昭和のビジネスパースンの歴史をたどりながら、その功罪についてもキチンと総括しています。
「わが国における経済突出社会の副作用」として、以下の5つをあげています。
1 教養教育の軽視
2 環境保全(の不備)
3 格差の拡大
4 非正規雇用の増加
5 企業不祥事
6 バブル
まさに、そのとおりだと思います。
ブータンのGNHの話や、マズローの話、フランクルの話などが出てきて、何をいまさら・・・という感じはしますが、昭和の時代のモーレツサラリーマンを駆け抜けた体験談は、それはそれで伝記として有用ではないかと思います。
サラリーマンが仕事の壁にぶつかりながら、何とか時間を捻出して学ぶ、調べる、研究する・・・その有用性を著者は語ります。
◆目次
序章 NPO活動を振り返る
第1章 われわれは何を得て何を失ったのか わが国社会の見取り図
第2章 豊かさを問い直してみる 人生のタテ軸とヨコ軸を考える
第3章 働き盛りの人生を問いかける 真の豊かさを阻むもの
第4章 これからの仕事環境とチャレンジ
第5章 ドラッカーに学んでみる 充実した人は2つ以上の世界を持つ
第6章 NPOが拓く新しい世界
終章 「真の豊かさ」への道
著者は、「人生のタテ軸」としての信念、「人生のヨコ軸」としての家族、友人などの人間界を提示します。
さらに、日本における集団優先、滅私奉公としての精神としての「天皇・イエ・ムラ」から「日本的経営における会社」にシフトしたと定義。
そして、ドラッカー・・・。
さらにドラッカー博士が取り上げた非営利組織・・・。
著者は、NPOにこだわります。
アムネスティやYMCA・・・。
「to have」より「to be」が大切であると・・・。
と思いきや、京セラの稲盛さんクロネコヤマトの小倉さん話が登場。
そして、
「人生のヨコ軸を広げよう」「NPOが大きな機会を提供する」で締めくくります。
著者の血液型は、きっとB型・・・わたしと同じだと思います(笑)。