tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政治資金規正法騒動のお蔭で解った事

2024年06月08日 18時24分56秒 | 政治

政治資金規正法騒動の中で、最初からおかしいなと違和感を持っていたのは、この騒動の中で言われていた「政治にはカネがかかる」という言葉でした。

しかし自民党、公明党、それに日本維新の会の諸先生方がみんな賛成して改正法が衆院をすんなり通過し、言葉にうるさいマスコミでも「政治にはカネがかかる」という言葉に疑問を呈したのを見なかったものですから、この違和感は、私の認識や理解が間違っているのかとも思ったりしていました。

改正法成立で賛成と反対がはっきりしましたから、この際、やっぱり確かめておこうと思って、ウィキペディアを引いてみました。

ウィキペディアは役に立つのでよく使います。使うだけでは申し訳ないので、自動引き落としで少額ながら募金にも協力しています。

ウィキペディアで「政治とは」と引きますと、

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政治(せいじ)とは、国家の意思決定機関である主権をもとに、共同体の領土資源を管理し、それに属する構成員間あるいは他共同体との利害を調整して社会全体を統合する行為、もしくは作用全般を指す言葉である[1]

広辞苑では「人間集団における秩序の形成と解体をめぐって、人が他者に対して、また他者と共に行う営み。権力政策・支配・自治にかかわる現象。」とする[2]

大辞泉では「1. 主権者が、領土人民を治めること。2. ある社会の対立や利害を調整して社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用。」とした[3]

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、政治を研究する政治学を《善い社会》の実現を試みるためのマスターサイエンスであると位置づけた。

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と出て来ます。

民主主義社会では、これは、立法、司法、行政という活動をすべて含むと考えるべきでしょうか。

これはたしかにカネがかかることです。勿論それは国民も理解しています。ですから国民はきちんと税金や社会保険料を払っているのです。国民負担率は国によりますが、日本では50%弱で、昔から「五公五民」などと言われていたようです。

ところが、今、政治資金規正法騒動の中で意識されている政治資金というのは、税金以外のものです。そして、何に使うかは出来るだけ解らなくしておかねばならないというのがその性格です。

「然し隠すより現れる」で、多分、殆ど選挙資金でしょうと言われています。

少し長くなりますが、ここで社会における重要な類似の活動の例を挙げてみましょう。

医療というのは国や社会ではなくて人間の体の働きを整える仕事です。ですから勿論医療にはカネが掛ります。「医療・介護にカネが掛る」と言えば、個人的にも、国家財政でもみんな納得します。

然し医療従事者の仕事は誰でも出来るものではありません。努力して資格を取らなければなりません。

医療に金がかかると言えば理解されても、医療従事者になるのにカネが掛るといったら「カネでなったら患者がたまらん。ちゃんと勉強してなってくれ」と言われるでしょう。

政治家も同じではないでしょうか。それなのに、「政治にカネがかかる」という言い方で、そのための法律まで整備して、カネをかけて政治家を作る事を正当化しようとする政治家のグループがあり、その3大グループが今回明らかになったという事なのではないでしょうか。

いま日本は、経済を含め30年来のかなり重症の病気です。それを治す医者(政治家)にはカネでなく「志や勉強」を大事にする人になってもらいたいと思います。


続いてほしい平均消費性向の上昇

2024年06月07日 13時54分20秒 | 経済

賃上げが30年ぶりの大幅になったとマスコミが書いた今春闘の中で、年度が替わり大企業中心に4月から新賃金になった年度初めの月、2024年4月の家計調査の「家計収支編」が今朝発表になりました。

ネットでは2人以上世帯の消費支出が前年4月比で実質0.5%増という見出しが多いようですが、今年に入って1~3月は前年同月で、実質-6.3%、-0.5%、-1.2%と物価上昇もあってマイナス続きでしたから、やっと少し様子が変わるかなという所です。傾向的には昨年3月から続いた物価高で落ち込んだ実質消費支出のマイナスが、今年1月の大幅低下の後、少し回復気味になり、4月から水面上に顔を出したといった感じです。

春闘の結果についても、最近は中小の賃上げは難しいという見方もあり先行きが心配されていますが、いずれにしても消費不況は、物価を下げ消費を増やさないと解決しないのですから、賃上げと物価安定と同時に平均消費性向の向上が必要です。

という事で2人以上勤労者世帯について見ますと、勤労者所帯の実質実収入は昨年12月を底に対前年同月比マイナスながら回復基調で、まだ水面下ですが、水面(0%)に近づきつつあるようです。

但し、勤労者世帯の収入の内訳を見ますと、実質実収入はマイナス0.6%(名目は2.3%増)で、世帯主収入はマイナス0.3%で16カ月連続、増えているのは配偶者収入で実質6.0%の対前年増(3か月連続増)で家計を助けているようです。

その結果かどうかは解りませんが、下の図のように4月の平均消費性向は前年同月の73.9%から76.2%に2.3ポイントの上昇です。

      平均消費性向の推移(%、総務省「家計調査」)

これは吉報で、図のように このところ3か月続いての対前年同月上昇ですから、家計の空気が少し変わって来ているのかなという感じもします。

これが傾向的なものか一時的な現象かはまだ読み切れませんが、傾向的なものとなるのには、中小の賃上げや物価の沈静傾向の継続が必要でしょう。

電力・ガス料金のための補助金の打ち切りなど、問題はいろいろありますが、ヨーロッパの金利低下といった動きも報道されています。

アメリカFRB、そして日銀の動きはまだ解りませんが、そうした動きがプラスとですかマイナスと出るかも含めて、為替レートが動けばその影響も出るでしょう。

そうした外的要因とは別に、日本の家計が、今後も貯蓄志向を維持するのか、それとも、貯蓄志向だけでは楽しくないという意識の変化も生まれるのか、長かった日本経済低迷の時代からの脱出がどんな形で実現されていくのか(いかないのか)もう少し見ていていきたいと思っています。


マイナカード利用の遅れは政府の問題

2024年06月06日 22時03分49秒 | 政治

マイナカードについては何回か書いていますが、政府が急いでいる割に、現場は進んでいないようです。

確かに政府の督励でカードリーダーは小さなクリニックでも処方箋薬局でも確り置いてあるようになりました。

私もこの所かかりつけのクリニックと眼科に行っていますが、かかりつけのクリニックは割合早く設置しましたし、来院者があまり多くないので、設置してすぐ「これを使ってみましょう」といってOKを取り使っています。顔認証の方にしましたが、性能はスマホよりいいような感じです。

眼科の方は、設置はだいぶ遅くなりましたが、ここはお客が多く受け付けは忙しく立ち働いているので、マイナカードと保険証を出して「どちらにしましょうか」と聞きまりたら保険証の方がいいという事でずっとそうしています。

15分から30分ぐらい待ちますが、次から次と客が入って来て受け付けは大変です。行くたびに見ていますが、今迄マイナカードを使った人を見たことがありません。

事務的にどう違うのか、私には解りませんが、保険証の方が処理しやすいのではないかといった感じがしています。

先日頼まれて、難病の医療費控除の申請に、代理人として行ってきました。

持っていくものを確り揃えないと、取りに帰るのは大変ですので、代理人の私の分も確り揃えて行こうと事前に市役所の担当部所に電話して揃えました。

その時に、私の本人証明はマイナカードでよいのですかと聞いて、健康保険証も入っていますといいましたら、健康保険証も持ってきてくださいとのことでした。

窓口は大変親切で、持っていった書類を順次取り出して正確に記入されているかを手早く調べ、私のマイナンバーが記入してなかったので、ここに記入してくださいと升目を指摘してくれて、そこに記入するとすぐにそれを実際のマイナカードと照合して手早く処理してくれました。

手続きの中で、本人と代理人のマイナカードと健康保証をちょっと貸してくださいと言われ2人分のカード4枚を揃えてお渡ししますと、コピーしてきますという事でA4の用紙に4枚を綺麗にコピーしてコピーして、ハイ有難う御座いましたと返してくれえました。

手際が良いなと感心してみていましたが、その4枚のコピーを見た時、ふと、マイナカードを読み取って、健康保険証も入っていればコピーする必要はないのではないかな思ってしまいました。

難病の医療費控除の手続きの具体的な中身や手順は解りませんが、コピーを取ったという事は読み取り装置にはかけていないのではないかと思われます。

窓口に読み取り装置はありませんでしたから、勿論顔認証は出来ません。マイナカードと保険証のコピーの役割はどういうことになるのかなと思いながらも、そんなことをお聞きして、忙しいお仕事の邪魔をしてはいけないと帰ってきました。

このブログでは、行政のデジタル化を進めるのであれば、中央から地方まで行政そのものをデジタル化する事が先ず必要なことではないかと指摘して来ました。

それには巨大なクラウドシステムが必要でしょう。行政機構のどこで入力しても、読み取っても、必要な範囲には総て情報が瞬時に登録されなければ、デジタル化の本来の意味は無いのではないでしょか。

今デジタル庁が考えているデジタル化とは一体何なのか、協力しなければと思いながら、何か徒労に終わっているような虚しさを感じるところです。


GDP成長目標「1%以上」とはなんと情けない!

2024年06月05日 14時00分22秒 | 経済

昨日、岸田内閣の新「6か年骨太の方針」の骨格が決まったという報道を受けて、「骨太の方針」の中での「物価と賃金の関係」につて、「物価上昇を上回る賃金上昇」とありますが、春闘でそれをやると大変なことになるかもしれませんよ、と書きました。

そして最後に、「骨太の計画には」実質経済成長の目標も、勿論掲げられるのでしょうが、(中略)成長見通しが崩れれば、総てはその分配ですから総崩れでしょうと、書きました。

ところで、政府が成長目標を立てるとすれば参考になるのは、内閣府の「財政収支試算」あたりで、これでは名目3%、実質2%の成長でないと財政収支は健全にならないとしていたようですから、これから日本経済は発展するという岸田トーンからすれば多分実質2%以上、頑張って3%ぐらいの数字が出て来るのかと思っていました。ところがその後の報道では「実質1%以上」という事になるようです。

『え! たったの1%』とびっくりでしたが「以上」が付いていました。おそらく、2%はとても自信がないけれど「以上」とついているからいいだろうという事でしょうか。

外国に行って「日本に投資を」「岸田に投資を」と呼びかけている人にしては余りに小心すぎるというか、やる気がないというか、これでは日本は救われないと感じた次第です。

というのも「デフレ脱出」とか、「需給ギャップがマイナス」などと言われ、現状の不況感から抜け出したいと願っているのが現在の国民感情でしょう。

という事で、現状の日本経済の実質成長率を見れば、一昨年度1.5%、昨年度1.6%。今年度1.3%というのが、1月発表の「政府経済見通し」の数字です。

今朝の報道では実質賃金の対前年マイナスが25カ月に伸びた様ですが、極端な円高にならない限り経済情勢はいくらか良くなることを多くの人は期待していると思います。

そういう中で、今後6年にわたって、実質経済成長率が1%を越えればいいという「骨太(骨細ですね)の方針」では、国民は落胆でしょう。

今日も、日本人は、日本経済の挽回を目指して、真面目に一生けん目に働いています。こんな勤勉な国民は、世界でもまれだと私は思っています。

いずれ選挙があると思いますが、その時は実質経済成長率2%以上と自信を持って言い切る政党、人に日本のリーダーをお願いしたいですね。


「物価上昇を上回る賃上げ」と言いますが

2024年06月04日 14時01分47秒 | 経済

昨日から今日のニュースでは、国民にとって大変なことが目白押しですが、大変な事でも、それらがあまり沢山ありますと、どれが本当に重要なのか解らなくなって、総理や担当大臣の言う事も、一つ一つの言葉の重要性があまり感じられなくなって、何気ないニュースの様に受け取ってしまいそうになります。

そんな中の一つに「物価上昇を上回る賃上げ」というのがあってちょっと気になってしまいました。

大きなニュースとしては、政治改革規制法改正法案が、今日採決という事でしたが維新から政策活動費に抜け道があるという意見が出て採決しなくなったことがありました。

岸田さんが、今国会で解散数選挙はまずいという事で解散は無いのだそうだというのも、では、いつになったら自民党にとって良い時期になるというのか大変な問題です。

また、岸田さんが2025-30年度の6年の「骨太の方針案」について基本方針を示したというニュースもあり、その中にはプライマリーバランスの2025年度の達成が掲げられていて、これも大変なニュースです。

またこの6か年計画では「物価上昇を上回る賃金上昇」の定着への具体的の支援策が柱ともありました。

みんな大変なことですが、私の関心の強い労働経済の分野の、賃金と物価の関係という事なのでこの問題が気になったわけです。

関係する財務省や総務省の発言を見ますと、輸入物価上昇や賃上げ分の価格転嫁を進めるなどのことが言われていますが、それによって中小下請け企業の賃金支払い能力を増やし、構造的な賃上げの上昇に繋げるといったことも出ていましたが、これはまず物価上昇につながるもので、それを上回る賃金はどうするのでしょう。

もともと政府には賃上げの機能は無いので「支援策」という事になっているのでしょうが、一体何をやろうというのか、思い出すのは安倍さんの「官製春闘」ですが、これは効果はありませんでした。

今は円安で、輸入物価が上がるとしても、いずれアメリカの利下げて円高の方に振れれば、状況は逆になる可能性が大きいでしょう。その時は輸出産業の円安差益は消えて、差損の世界になります。円高不況の可能性もあります。

確かに持続的賃上げは大事ですが、それが持続的な実質賃金の上昇という事を意味するとすれば、それを支えるのは実質経済成長しかありません。

物価上昇以上の賃上げ実現のために、物価上昇分を持続的に賃金上昇につなげるという労使協定や法律などを作った国もありましたが、それはインフレの激化をもたらすばかりで結局は失敗というのが結果でした。

実質賃金の上昇というのはあくまでも、その国の実質経済成長の結果として可能になるので、実質経済成長の促進という形で作り出す以外にはないのです。

「骨太の計画には」実質経済成長の目標も、勿論掲げられるのでしょうが、今の毎年の「政府経済見通し」のように、来年度の分さえも定かでないような状態では、6年先迄などとても信頼できないという事になりそうです。

成長見通しが崩れれば、総てはその分配ですから総崩れでしょう。これまでの実績が国民の判断材料ですから、選挙を何時にしても、どんな政策を出しても、問題は政府への信頼感次第という事でしょう。

今の状態では、何を掲げてくれても、本気できけないのが国民の多くではないでしょうか。