青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

地味ながらゆえに美しく

2017年02月28日 17時48分54秒 | 関西本線

(元は信号場でした@南四日市駅全景)

四日市港から、南四日市の駅にやって来ました。元々は日永信号場として開設されているだけに、旅客用のホームはちっぽけなモノで、ただただ広い貨物用のヤードが目立ちます。ちょうど関西本線の普通列車と伊勢鉄道の車両が交換していますね。以前は付近にある鐘紡、トーア紡、日本合成ゴム(現JSR)、三菱瓦斯化学、味の素なんかの工場へ原料の納入や製品の受け渡しで活況を呈したヤードですが、現在はJSR向けに平日に1本のみ臨時扱いの貨物列車が到着するだけ。せっかくの平日訪問なので、そんな南四日市での貨物扱いを見学してみようと思います。

  

しかし四日市港から南四日市(日永)なんてクルマで走ればすぐだと思うんだが、新正から日永周辺の平日昼間のR1の混雑ぶりと言ったら…。今回の訪問で改めて四日市市内の交通事情についてはつくづくクソだと思いましたが、その話は別項で!(するんかいw)。そんなこんなで四日市港からの移動が余裕があるようでなかった11時前、定刻で臨8081レがコキ8車を引き連れて到着。牽引機はDD51891でした。四日市までは2085レとして毎日運転されるコンテナ便が、平日だけは臨時扱いで南四日市まで延長運転されるものです。塩浜では到着時にタブレットの授受がありますが、ここはさすがに閉塞は自動化されているので操車さんとのやりとりは列車無線らしきものの受け渡しでした。


(関西本線臨8081レ DD51891+コキ8B 南四日市駅)

到着した列車に操車係さんが乗り、ヘッドライトが再び点灯。着発線から入替作業の開始です。DD51は望遠で圧縮するとカマの上に排煙の陽炎が立って、それもまたいいものです。南四日市扱い貨物の最後の荷主であるJSRは、ポリスチレンや合成ゴム、ポリマーなどを製造するバケガク系の上場企業ですが、見た感じ編成に原材料輸送っぽい化成品コンテナはくっついてないですね。そういうのはトラック便なのかな。コキ8車がフルコンと言う姿は、最終期の鵜殿貨物みたいに見えない事もないですね。

  

DDはコキを河原田方の引き上げ線まで持って行き、推進運転で側線へ押し込んで行きます。南四日市の駅隣には県道の踏切があって、決して少なくない数の車が通ってるんですけど(写真もそっから撮ってます)、この入替でそこそこの時間踏切が閉まってしまいます。まあ1日1回くらいだからそんなに文句もないんだろうけど、貨物取扱の全盛時は結構開かずの踏切だったんじゃないかと思われ。既に持ち帰りの荷物をJSRの工場から引き出して来たスイッチャーの横にコキを押し込んで、着貨物の入替完了です。

   

着貨物の入替が済んだら今度は発貨物への機回し。操車さんがポイントのダルマを切り替えて転線準備を行います。テコで動いてるんでしょうが、何か所も何か所も切り替えているのを見ると結構重たそうで大変な作業に見えますね。機回しが済んだらスイッチャーが持って来た発貨物の逆サイドに連結し、お帰りの8080レの編成を組成します。まだ操車さんが乗務しているので終わりではありませんよ。


(関西本線臨8080レ DD51891+コキ8B 南四日市駅)

機回しを終えたDDが側線から発貨物を引き出し、推進で出発線に据え付けて一連の入替作業は完了。出来ればスイッチャーがJSRの工場までコキを引き入れて行くところまで見学したかったんだけど、この昼便の動きに合わせてはやらないみたいなんで見学は割愛となりました。広い構内でDDを先頭に、ひたすら基本形式であるJR貨物のサツマイモ色のコンテナがフルコンでプリミティブに並ぶ編成は、地味ですが完成度の高いルックス。平日の昼間のみの稼働といい、落ち着いた色合いのスーツをピシッと着こなすサラリーマンのような列車です。これを愛でに南四日市に来るのはアリだと思われ。

昼間のパパは、端正だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

港の裏でひっそりと行われている白い粉末の受け渡しをこっそり激写してみる

2017年02月27日 17時00分00秒 | 関西本線

(港の風景@四日市港専用線)

5271レの後は、次のお目当てとの間に少しインターバルがあるので四日市港へのセメント便を見学しに行きました。四日市港周辺の専用線では、まず全国唯一の鉄道用跳開橋である末広橋梁の名前が挙がるところなんですが、なんとこの日は末広橋梁南側の運河に浚渫用の台船が無慈悲にドカンと鎮座してしまっていてアングルもクソもない。まあ橋は前に撮った事があるからいいんだけど、この橋の風景を見たくて来たであろう旅風情の大学生のあんちゃんはガックリしとったで…それならってんで橋の撮影はヤメにして四日市港の奥部を歩いてみるのだが、何とも味わいのある古びた倉庫街になっていて、この辺り「あぶない刑事」の映画ロケとかにも使われたんだとか。そう言えば、あぶ刑事の本編でもエンドロールで在りし日の高島貨物駅が使われてますね。刑事モノと港湾部の倉庫の親和性の高さよ。

  

埋め立て地の一番先にある、太平洋セメントの四日市港の施設。三岐の東藤原からタキで持って来たセメントは、ここに集められて船便で全国に発送されております。入替用のスイッチャーが止まってるね。正式名称は「太平洋セメント藤原工場四日市出荷センター」と言うらしい。太平洋セメントと言えば秩父、岩手開発、三岐鉄道と鉄道貨物マニアは足を向けて寝られないセメント貨物の最重要荷主様でございますので、貴社の末永き発展を祈念しております(笑)。

 

港にけたたましいサイレンの音が鳴り響いたら入替開始の合図。遠くから末広橋梁を渡るセメント貨物のジョイント音が聞こえて来ます。セメント貨物受け渡しのY線に入って来たのはDD51825@5363レ、愛知機関区の中ではこのカマだけナンバーのとこまで赤で塗られているので目立ちますね。アタマまで真っ赤に塗られていてタコ坊主のような雰囲気も愛らしいカマですが、私が四日市来るとだいたいセメント担当に入るのってコイツなんだよね。相性ってあるんだね。

  

ここからの入替風景は極めてルーティーン的にサクサクと。DD到着→DD解放→機回し→DD橋側に逃げる→スイッチャー返空タキを持って登場→返空タキにDD連結→DD発車→スイッチャー機回し→スイッチャー積載タキに連結→港のサイロへという一連の流れがものの10分弱の間に行われる。まあ多い日は一日に5回もやらなきゃいけないセットなのでそう騒ぐことでもないのかもしれませんが、毎回このよどみない流れには感心してしまうのであります。


セメント専用貨車タキ1900。総勢1700両余りが製造されたセメント輸送用のスタンダードナンバーですが、もはや全国で使用しているのはここだけ。残存両数も100両を切ったらしい。今後もセメント輸送を鉄道貨物で行うのであればそろそろ後継の貨車が開発されても良さそうなもんだけど、今のところそんな話は聞こえて来ませんねえ…。言い方悪いけど、三岐のカマ(DD45)とどっちがくたばるのが先かって事なのだろうか。くたばったらそこで試合終了なので、故障もあるだろうけど大事に使って欲しいもんだ。

あ、この一連の光景にはタイトルのようなやましさは特にありません(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝の海蔵川にて

2017年02月26日 10時00分00秒 | 関西本線

(珍ドコ編成・海蔵川を往く@富田浜~四日市間)

新川ストレートで5271レを国鉄色先頭で抑えた後は、同列車を追い掛けて車を即座に東名阪道へ。名古屋西IC~四日市東IC経由で四日市駅手前の海蔵川橋梁手前の築堤を目指します。5271レは三岐鉄道との貨物の受け渡し駅である富田で50分程度の停車時間があるので、その時間を使って追い抜いてしまおうと言う訳です。んが、前回同様四日市東ICを出た後の道路の混雑が激しくヤキモキ…この日は平日だったので、朝の通勤ラッシュにガッツリハマってしまう。富田山城道路と名四国道の合流する霞ヶ浦の交差点は右折なんで時間かかるだろという読みで、北勢バイパスの先から羽津町を抜け、富士電機の裏から海蔵川のお立ち台へ抜けました。


(関西本線5271レ DD51853+DD511802+セメントタキ2B+ホキ2B+タキ12B 富田浜~四日市間)

新川ストレートでは一人だったんですが、さすがは有名お立ち台&原色先頭という事で平日でも10数人のマニアが集結していました。時刻は8時半前と言う事で「ひょっとしたらエクストリーム出社勢もいるのかな」と言う盛況ですが、お待ちかねの5271レの姿が…さっきと違う?富田で機関車次位にセメントのタキ1900(黒)と炭カル&フライアッシュのホキ1000(白)をそれぞれ2つ追加して来たようです。四日市のヤードには貨車の検修ピットもあるので、修繕に絡んでの送り込み運用でしょうか。

広角側はサブ機でもう一枚。紫煙を上げて海蔵川の築堤を登る国鉄色先頭の重連が、朝の光と青空に映えて輝きます。緑タキを中心にしたタンカートレインの編成美は確かに美しいけれど、こういった珍ドコ編成も雑多な形式を寄せ集めて組成していた昔の貨物列車を見るようでまた興味をそそるものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛の園

2017年02月25日 23時00分00秒 | 関西本線

(「愛」こそ最後の楽園@南四日市駅)

はい、と言う訳で二日間の遠征に行って参りました。色んな選択肢はあったんだけど、最終的には中京~信州地区のロジスティクスを支える愛知機関区スペシャルと言う事で初日は関西本線の四日市界隈~稲沢でDD51三昧、二日目は稲沢~南松本でEF64三昧と相成りました。3年前から撮り始めた被写体ですが行く毎にテツの数が増えているような…確かにブルトレ全廃、定期の客レ全廃、新幹線の開通で在来線の特急はどんどん減少、ヨンパーゴに続いてゴッパーサンも引退が決まったこんな世の中ですから、テツ界隈で魅力的だったものがどんどんなくなっている中で相対的に愛知機関区の「電化・非電化とも国鉄機」の価値が上がっているという事なのでしょう。運転台の下に刺さる区名札の「愛」こそ、国鉄型機関車最後の楽園の証であります。


(関西本線5271レ DD51853+DD511802+タキ12B 八田~春田間)

まだ何機かは残ってるでしょなんて思っていた国鉄色も、DD51・ロクヨンともにラスイチとなりまして、噂ではそろそろ関西本線でも北海道で余ったDF200の試運転が始まるとか何とか。そんなこんなで廃止・引退の気配が近付けばにわかに色めき立つのが鉄ヲタの悲しい性。運用を勘案すると朝の5271レがどうやらラスイチの853先頭で走る可能性が高いと言う事で午前一時に自宅を出る。真夜中の東名事故渋滞を華麗にかわし、寒風吹きすさぶ新川の堤防に立ちます。

町工場が立ち並ぶ中京地区の下町風景に、今日も朝日が昇ります。
赤味の強い斜光線を背負って、最後の国鉄色がエンジン音も高らかに通い慣れた道を急ぐその姿…!
300km走って来て良かったと思わせる、至福の光景です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ディーゼル聖地巡礼

2017年02月24日 22時32分38秒 | 関西本線

(聖地巡礼@南四日市駅)

今日は世の中を先取りしてプレミアムフライデーと決め込んで名古屋まで(笑)。つーかたまたま前から有給を取る予定だっただけなんですけどね。久々に夜中の新東名を走って、行き着く先は関西本線!毎年の恒例行事ともなって来た感じもありますが、冬の燃料需要期のうちに凸凸を見ておきたかったのでね。訪問も3回目ともなると今まで落としていたシーンも抑えられたりして、また新たな発見があったりします。今日は名古屋のトラックステーション泊まり。明日はどうしようかな。

画像は平日のみに運転される南四日市行きのコンテナ貨物8081レの折り返し8080レ。
架線のないだだっ広い構内、往時は大量の貨物取り扱いがあったと聞きますが、栄華の時代いずこ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする