青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

西魚津臘月

2018年10月27日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(中秋の名月@西魚津駅)

寺田で日没を迎え、一泊二日の富山旅もそろそろエピローグ。時間はたっぷりあるので、バルブでもして帰ろうかと立ち寄ったのは西魚津の駅。ここも旧富山電鐵時代からの古い古い右書き名前の駅舎が残っています。空には中秋の名月に薄い雲がかかりおぼろ。臘月と言うのは春の彼岸の月を言うらしいが、これは秋の彼岸の朧月。駅前の大木が月明かりの空に枝を伸ばす感じを表現したくて露光時間を長く。ちょっと自動販売機の明かりが騒がしいけど、これでも一生懸命覆い焼きしたんやで(笑)。


魚津市街の一番西側にあるから西魚津駅は、魚津市内の観光スポットである魚津水族館とミラージュランドの最寄り駅。歩いて10分くらいかかるそうですが、コミュニティバスが駅の近くから出ていたりもする。駅自体は魚津市内の古い住宅街にあって、あまり観光地然とした仕掛けはありません。

 

夜の停車場、出入り口の部分だけが蛍光灯にともされて煌々と明るい。水族館の看板も昼に見れば普通なのだろうが、何だか夜に見ると妖しい世界への誘いのようでもあり。看板をくぐったその先に何を見るか。そう言えば魚津は蜃気楼の街でもあった。

 

列車待ちのベンチに人もなく、静まり返るホームの裏手にある築堤を、時折あいの風とやま鉄道の列車が結構なスピードでかっ飛んで行く。富山方面行きのホームのベンチに座ってぼんやりするひととき。緩く流れる夜空の雲に秋の気配は色濃く、仄かに見える立山連峰の前山が、月明かりに照らされてその稜線を見せています。


西魚津の小夜更けて、静かに静かに停車場に滑り込む14760系。昼間の太陽光線の下で眺める雷鳥カラーもいいけれども、夜の水銀灯の下で眺めるそれは昼間以上に美しいと思う。大好きな14760をバルブで愉しんだところで、そろそろ富山を離れる事にしましょうか。


闇に続く二条の線路が、西魚津駅の出発信号機に紅く輝いています。たった二日の富山物語が、ここまで長いものになってしまったのも、ひとえにこの地鉄ワールドが魅力的であったことに他ならない。また季節を変えて、違う顔を見に来たいと思う。そうなると、真冬の雪の時期が良いだろうか。瞼に浮かぶ銀嶺立山、寺田の駅あたりから眺めたら、それもひとしおの光景でしょうね。

またの再訪を胸に約して、夜の国道8号を北へ向かいます。
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2 コメント

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西魚津、、 (SDTM)
2018-10-28 16:38:39
☆ 素晴らしい画像ですね。夜に撮るなんか
  オツです。
  こう言うのも撮れるといいなぁ~

  過去に辛うじて撮っているのがありますので、
  良かったら見てやって下さい。

https://blog.goo.ne.jp/sdtm-2/e/ac9d610bd3031f9987f934c19d182328
Unknown (風旅記)
2024-04-17 03:03:37
こんばんは。
初めて訪ねた富山地鉄で、降りてみたいと決めて選んだ駅が、こちらの西魚津駅でした。
レプリカのように狙って造った訳でなく、暑さ寒さの繰り返しの中、本当に長年の時を経て今に残った「驛津魚西」の文字、思わず何度も見上げてしまいました。
数え切れない程の多くの人が、この駅舎を通ってきた、歴史を想像してしまいます。
夜の列車の光景も素晴らしいですね。
また富山を旅したくなります。
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com

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