青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

黄金の淵に水湛え。

2023年12月07日 17時00分00秒 | 野岩鉄道・会津鉄道

(龍王峡・黄金のせせらぎ@龍王峡~川治温泉間)

野岩鉄道は、何度もお話させていただいている通り鉄建公団が建設した高規格路線でありますが、趣味者における鉄建公団線の問題点というのは、とにかくルート上の障害物に関してはトンネルと高架橋でなんでもクリアしてしまうので、撮影する場所が極めて限られるということにあります。とにかく踏切を極端に避ける傾向と、住宅がある場合は人工掘割か地下に潜ってしまうし、山が近づけば勾配で交わそうとせずに長いトンネルを掘ってしまうし、川や谷に関しては高い高架橋で一跨ぎ。通常の鉄道路線のような「レベルの目線」で撮影出来そうな場所がほとんどないのだ。そうなると、実際に撮影できる場所というのは非常に限られていて、自由なアングルは組みにくい。取りうる手段と言えば、駅で撮影するか、高い場所から見下ろすか、下から見上げるか、それとも谷の対岸に渡って無理矢理レベルに目線を合わせるか。なのだが、この龍王峡の中にほんの一瞬現れるレベル区間があるのを知ったのは何年か前のこと。鬼怒川に流れ込む名もなき沢筋を跨ぐほんの僅かな明かり区間。この岩陰のすぐ左は龍王峡の駅で、そして右側は2,668mの小網トンネルの坑口。

新緑の時期も素晴らしいのだが、この紅葉の時期も素晴らしい、広葉樹に包まれた沢のせせらぎ。色付いた葉を透かして差し込む秋の陽射しが、水面と辺りの岩肌を黄金色に染める。沢音に包まれてなかなか列車の接近音が聞こえにくいのだが、隣が龍王峡の駅なので時計とにらめっこしていればなんとなく列車の来るタイミングは分かる。この手の撮影地は、ボケっとしていると目の前をスウーっと列車が通過してしまったりすることがあって油断がならない。都会の電車なら撮り直しも効くが、野岩線の運行本数で一本でも撮り逃してしまったら大変なことだ。

ちなみにこの日は、朝10時に鬼怒川温泉着の後は午後3時までお休みとなる野岩鉄道車両での運用を日中に回し、鬼怒川温泉→中三依温泉→新藤原→会津高原尾瀬口→上三依塩原温泉口→鬼怒川温泉という行路で変則2往復の臨時運転を行っていました。日中に6050系が撮影出来る機会などそうもないので、ありがたくこのシチュエーションを頂戴いたします。撮り逃さぬよう耳を澄ませて、シャッターを切りました。


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1 コメント

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Unknown (tysonhj57)
2023-12-08 12:02:05
これは美しいキャプチャーです

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