青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

自社発注車の誉れ

2018年03月20日 22時36分27秒 | 富士急行

(去りゆく者同士の語らい@河口湖駅)

そう言えば、先日のM51編成最後のホリ快富士山、引退の決まっているM51編成と河口湖の電留線で肩を並べたのが富士急の5000型。「トーマスランド号」として長年親しまれてきた編成ですが、この編成も老朽化に伴って平成31年の春に運行を終了することが発表されてしまいました。JR205系ベースの後継のトーマスランド号が落成し、3月21日から走り始めることも理由のようです。


昭和50年製造と車歴は40年を超える車両ですが、高運転台のスマートないでたちは古さを感じさせません。富士急初の冷房搭載車両として華々しくデビューした輝ける自社発注車。富士急の現役車両は、この5000型を除くと京王の5000系にJRの205系に特急車は小田急とJR東海のあさぎり号ですから、長年に亘って唯一の生え抜き車両としての地位にあります。増備されるかと見せかけて、富士急に新造車はカネがかかりすぎるのか僅か1編成の導入のみで終わったところや、他編成と併結出来なくて使い勝手が悪いというトコが長電のOSカーっぽい。1編成しかないから、代替の部品調達も大変なのだとか。


どうしても地方私鉄はフトコロが厳しいから、新造車を導入するよりは大手私鉄やJRのお古を入れがちで、没個性になってしまうきらいがありますよね。それだけに、個人的には「地方私鉄の自社発注車」というものにかなりの価値を認めているので、「引退」の報を聞いて非常に残念な思いがします。もちろん潤沢な資金があれば自社発注車をバンバン入れるんだろうけど、乗客がそうそう増えるわけでもないローカル私鉄の設備投資というものが難しいのは百も承知。富士急なんか名車の誉れ高い京王の5000を今でも相当量現役で残してくれてるんだから、むしろありがたいお話ではあるのですがね。


そうそう、これも個人的な意見になっちゃうんだけど、富士急5000が引退するんだったら、どっかのタイミングでこのアイスブルーと群青色のデビュー当時の色に塗り戻して欲しいなあと思うわけでして。トーマスランド号の子供好みのハデハデな感じもいいんだけど…原色回帰はおっさん鉄ヲタのささやかな願いであります。やってくれたらきっと富士急通っちゃうんだろうなあ。
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三つ峠の丘の上から

2018年03月14日 08時00分00秒 | 富士急行

(がんじゃ踏切遠景@三つ峠~寿間)

富士急は大月から富士山に向かって登っていく線形ですが、御坂山地と道志山塊に阻まれ、富士山を見通す撮影地は意外と多くありません。それだけに、富士急沿線の「富士山バック」では一番有名な撮影地と言えるがんじゃ踏切は、最後の「189系ホリ快富士山」を撮影しようと撮り鉄が並びました。ラストランの風景としては、「居並ぶ鉄ちゃん」というのもいささか手垢のついた表現ではありますが、そんな光景を逆サイドの丘の上からパチリ。何人くらいいるんだろ…30~40人くらいだろうか。


40パーミルの勾配を、ゆっくりゆっくりと登っていくM51編成。「ホリデー快速富士山」という列車自体は、使用する車両を変えて今後も存続するのだけど、なんとなくJR371系と小田急20000系が担当していた「特急あさぎり」がMSEの6連になってしまったあの改正の感覚に近い。私はあれを実質的な特急あさぎりの最後だと認識していたのだけど、改正後のホリデー快速富士山の行く末も気になるところ。今のところインバウンド需要で富士山観光は盛況らしいので、マニア需要が減ったくらいではあまり関係ないのかな…?

「あさぎり」を降りたJR371系と小田急20000系が、現在富士急で活躍しているのはご存じの通りです。さすがに189系の導入はないだろうけど、下吉田で先頭車両くらい保存してくれてもええんやで。
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都留舞い踊る国鉄色

2018年03月12日 19時49分20秒 | 富士急行

(優美に登る都留市インカーブ@富士急行線赤坂~都留市)

梅香咲き誇る裏高尾で、ラストのホリ快撮影をつつがなく終えた我々親子。今から帰れば昼くらいかな…?なんて思ってたんだけど、とある189系のプロの方が「追えます」と仰るので、「追うか?」「おっかけたい!」という親子阿吽の呼吸でそそくさと三脚を畳んで裏高尾を後に(笑)。なるほど確かにダイヤを見ると、大月から富士急行に入るとガクンと表定速度が落ちるので中央道を使えば追っ掛けは可能。高尾山ICから高速に入り都留ICを出ると、ホリ快通過の約10分前。急いで親子で準備を済ませ、遠くから聞こえて来るタイフォンの音を待つ。インカーブで、きれいな光を浴びた下りホリ快M51最後の雄姿を抑える事が出来ました。


ちなみにこちらは子供の35ミリ単焦点。ズームで構図を詰めるような事はまだ出来ないし、何しろ軽いので子供でも取り回ししやすいのがイイところですが、親子で同じ構図とはちとヒネリがなかったか(笑)。ちなみにこの都留インター横のインカって、春になるとハートの形の芝桜アートを地元の方が作ってくれるというプチ観光名所だったのだけど、最近は芝桜の話もあまり話を聞かないので、ひょっとしたらやらなくなってしまったのかもしれませんね。ネットの情報で見付けて、「いいネタだなあ~」なんて思ったっきり、ついぞ撮影する機会はありませんでしたけど…
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秋色の三つ峠

2017年09月18日 22時01分06秒 | 富士急行

(線路際にはススキの穂@寿~三つ峠間)

関東地方は朝方に抜けた台風、朝起きてみればそれなりの青空。三連休に一回もカメラを触らないのも寂しいので、本日はちょっくら家族で富士山方面までドライブ。子供たちを忍野村のさかな公園で遊ばせた帰り道、ちょうど時刻はホリ快富士山が富士吉田を出る頃だったので、ちょっと時間を貰って三つ峠の浅間神社裏で構えてみる。線路際にはススキの新穂が風に揺れてすっかり秋の気配。稲刈り前の棚田を横目に、豊田のM50編成が山峡にタイフォンを響かせながらカーブを降りて来ました。今日はあずさ色なんだね。「ホリ快富士山」は国鉄色のM51が登板するイメージがあるんですが、今日は現役の189系4編成が全部出払う繁忙日らしく、運用パターンも色々のようです。


後追いでもう一撃。おお、後追いだとこの時間光線ドンピシャじゃないですか。昔はこの辺り木製の架線柱が多くて、それがまたローカル私鉄っぽい良い味を出していたんだけど、最近富士急は業績好調なせいか設備投資が進んで架線柱もほぼPC化された感じがします。まことに結構な事でございますが、それに加えてこのアングルは裏に新しい道が出来たおかげで、だいぶ電線が目立つようになりましたねえ…。


三つ峠でホリ快と交換して来たフジサン特急RSE。台風が空気中のチリを吹き飛ばしてくれたせいで、やけにヌケの良い空模様。浮かぶ雲には夏の名残を感じつつもう風は秋めいていて、西日射す三つ峠の山ひだにゆっくりゆっくり陰影が付くのを眺めながら三脚を畳みます。子供と田んぼのあぜを歩いて女性陣が待つ車に戻ろうとしたら、親子揃ってぬかるみを踏み抜いて靴泥だらけw

後続の快速山梨富士にM51の国鉄色が充当されているようですが、時間的には露出が望めないと思われるのでこれにて撤収。
家に帰って子供と自分の靴をせっせと洗ったのは言うまでもありません。
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白きうどんとフジサンと

2017年01月23日 22時15分04秒 | 富士急行

(富士急定番の撮影地@がんじゃ踏切)

日曜日は子供が「どこか温泉にでも連れて行って欲しいなあ~!」というリクエスト。どこへ行こうかと思案投げ首した結果、子供&ヨメさんに分かりやすい景色の良いところ=富士山の見える温泉が良かろうと言う事で山中湖村の「紅富士の湯」へ。山中湖へは中央道経由でアプローチしたのだが、R139を下りながら行きがけの駄賃で寿~三つ峠のがんじゃ踏切に久々に寄ってみたよ。富士山ビュー特急とフジサン特急の元あさぎり組が上下ワンセットで撮影できる時間があったものでね。先々週の雪がまだまだ溶けずに残る撮影地、昼過ぎて逆光がキツイのもあってヤマが白飛びしやすいのと、被写体としての元JR371がミトーカ先生お得意のチョコレート色に塗られちゃったもんだから露出がきついったらありゃしない(笑)。


元RSEは上暮地のお稲荷さん小俯瞰から。あさぎりコンビは富士山の裏側でも健在。この構図の左側に「たかちゃんうどん」と言う吉田うどんの店があって、富士急の沿線に出張る時にはよく使わせてもらっている。その他だと田野倉の「こみや」、禾生の「やまもとうどん」、寿の「くれちうどん」あたりが線路に近くて撮影間の腹ごしらえにいいですよね。そんな中でも「たかちゃんうどん」は大盛りの肉うどん食っても500円だからだいぶ安い。民家の前のプレハブ掘立小屋的な店構えも、農家の副業的なローカル商売であった「有名になる前の吉田うどん」のあるべきスタイルを今に残していて素敵です。

腹いっぱいうどん食って、ちょっと電車撮って温泉へ。「紅富士の湯」は質としては温泉なんだか疑わしいような塩素混じりのうっすいお湯なのだが、針葉樹の樹林の向こうに真っ白な富士の嶺を見晴るかして湯船に浸かれるロケーションの良さがウリ。それを公共の施設らしい良識あるお値段の範囲で楽しめるのだから、まあスーパー銭湯だと思えば腹も立たないのである。
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