青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

井川線四季彩期・春。

2022年04月30日 17時00分00秒 | 大井川鐵道

(桜清かに@土本~沢間間)

花冷えた沢間の集落、冷たい空気の中で清かに咲く桜の花。時ならぬ桜のトンネルをくぐって、千頭行きの202列車。沢間の駅のホームから撮影するアングルなのですが、この桜並木はまとまっていて花付きよく、井川線の中では良いモチーフになってくれます。ほぼ撮影している人が居ないのもいいですね(笑)。大井川本線の桜は家山を中心に人気があるようですが、SLも走らない千頭より先ってのはなかなか足が向かないのですかね。まあ本線も今年はSLが整備中でELオンリーになっているようだけども・・・

白無垢に花びら、ピッカピカのさくらカンがDD204によく合ってますね。井川線って言われると、「東京から遠いなあ」というイメージが強いと思うんですが、クルマで静岡市街からR362を通って山越えルートを取るとそんなに遠くないんですよ。久能尾(きゅうのお)の集落から千頭までは、運転に不慣れな人はちょっと厄介な狭い山道なのですが、慣れてしまえば楽なもの。大井川中流域の家山や下流の金谷の街よりは、圧倒的に千頭へアクセスする方が楽で早いように思うなあ。高速なら新東名の静岡SAからETC出口を使うのが一番近いですかね。

桜は終わってしまったけど、GWから梅雨にかけての奥大井の新緑の美しさも見事なもの。
皆さま、ぜひ井川線へおいで下さいませ・・・(井川線応援利用促進本部長より)

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ヤマザクラ、アプトの谷に咲く。

2022年04月28日 22時00分00秒 | 大井川鐵道

(アプトの駅の春@アプトいちしろ駅)

井川線のアプト区間は、長島ダムの建設によってもたらされた新線区間。ダムの堤体に沿ってラックレールが敷かれており、ここアプトいちしろ駅と上部の長島ダム駅では補助機関車ED90の増結作業が行われます。ソメイヨシノとヤマザクラに囲まれた山裾のアプトの基地駅。チンダル現象で青い水を湛える大井川ダムの湖畔、アプト区間を制するために、補機がゆっくりと連結されて行きます。

この時期はED90もさくらカン付きなんですね。この列車は若葉カンでした。このアプト区間も「新線」なんて言ってますけど、平成2年の開通だから何だかんだもう30年以上経過しているんですよね・・・ダム建設の前、この駅は川根市代という名前で、ここから先は大加島・川根唐沢・犬間の三駅を経由して川根長島(現・接岨峡温泉駅)駅に続いていました。旧線区間はほぼ長島ダムに沈んでいますが、渇水期は新線の車窓からその遺構を見る事が出来ます。

ダムの周辺は植林された森林が目立ちますが、少し山に目を向ければ白き花火のようなヤマザクラが咲き誇り、そしてまだ風の冷たい奥大井にも若葉が芽吹き始めています。やじろべえの如くの急峻な桟道を降りて行くED90。アプト式らしい独特な電気ブレーキの音とホイッスルが大井川の谷に響き渡りました。

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沢間、林業栄華の頃を偲ぶ。

2022年04月25日 17時00分00秒 | 大井川鐵道

(石垣の間を抜けて@沢間~土本間)

あまり天気の良くなかった奥大井訪問、山と森の陰に入った沢間の集落へ向かいました。かつてはここから千頭森林鉄道が分岐していた場所でもあります。沢間と土本の集落は、寸又峡へ向かう道からは大井川に隔てられた場所にあって、西側の山肌に沿って茶畑が続く、いかにも大井川流域らしい風景が広がっています。そんな沢間界隈も、自分がこの地域に訪問し始めてから十数年が経過しました。日本全国、地方の過疎化はいかんともしがたいものがありますが、特に大井川流域の過疎化は激しいように思えます。ここ沢間も、気が付けばじわじわと空き家が増え、そして手入れされていない茶畑が目立つようになっています。玉石積みの石垣の下を井川行きの二番列車。今度は青葉と桜のカン付きです。

この石垣の上は、現在は沢間の駅に続く舗装された細道ですが、これがかつての千頭森林鉄道の路盤です。となると、沢間駅にはどの道が続いていたのか?となる訳ですが、まあ林鉄の線路なんて昔は道がわりみたいなものだったのだろうと思われます。沢間の駅も今では土間を打っただけのホームしかない小駅ですが、そこが島式ホームの分岐駅だったと聞いて、驚いてしまうのだけど。

運転席の窓いっぱいに、沢間の桜。
幾星霜の奥大井の歴史を見守って来たと思われる、苔生した桜の老木。
林業華やかなりし時代を遠く思いながら、この春も見事な花を咲かせました。

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フランジの 音山峡に 木霊して。

2022年04月23日 09時00分00秒 | 大井川鐵道

(ここも桜の駅@川根小山駅)

人跡乏しい奥大井の峻険を行く井川線、寸又峡へ向かう県道から、集落への道を奥へ奥へ。自動車一台がやっと通れるほどの道幅の農道が森に吸い込まれた、その先にあるのが川根小山の駅。ここも井川線の中では桜の美しい駅。ソメイヨシノ・・・じゃないんですよね。ヤマザクラの類だと思うんだけど、ホームを覆うように聳える大きな一本桜がこの駅のランドマーク。曇天が惜しい。

両国の駅で撮影した朝の一便が川根小山にやって来た。クハの前照灯に桜煌めいて。井川線の列車、大井川に沿ってカーブしながら走る線形かつ速度は20km/h程度なので、正直クルマの追っ掛けは余裕。まあ、駅のある位置がマニアックかつどこも異常に道が細いので、脱輪と側面こするのだけはお気を付けいただきたく。

ほぼ誰も乗らない、誰も降りない駅でも、律儀に井川線の列車に乗務する車掌さん。態々ホームに降りて編成全部の車両を見て回り、乗降客の有無を確認してから大きく笛を吹き、出発の確認を行います。未だに全列車が機関車牽引の客レで運行されている・・・という事がなかなか貴重な?大井川鐡道井川線。キイキイと大きなフランジ音を奏でながら、今日も奥大井の山峡を走ります。

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咲くや花 冷たい風に 鮮やかに。

2022年04月18日 17時00分00秒 | 大井川鐵道

(山賑わう頃を想う@川根両国車両区)

井川線のマスコット的な存在のDB1型。この日は、車庫の外に留置されていたので、両国吊橋の上からその姿を拝むことが出来ました。現有車両の主力であるDD20型が導入される以前は、この加藤製作所で製造された2軸のDBが奥大井の杣道を闊歩していたそうです。昭和初期に、本来はダム工事用の資材を運搬する目的で導入された機関車ですが、井川線では旅客運用もこなしました。今は保存車的な扱いとなって、古き良き時代の語り部としてその姿を留めています。

満開の桜の下に佇むDB。奥大井の大老は、花咲く春の朝に眠るように。思い出したように県道を車が通過して行く以外は、極めて静かな両国の朝。春にしてはまだまだ冷たい風に、襟元をすくめながら撮影していました。

花冷えの空気は、前日の夜半から降り続いた雨のせいだったかもしれない。霞立ち上る千頭の山々をバックに、満開の桜の下を井川行きの始発列車が静々と入線して来ました。この満開の桜を愛でるに、客車が4両はちょいと寂しい・・・確かに千頭を9時台という時間帯では、東京を始発の新幹線に乗車しても間に合わないんですよね。間に合うのは10時台の2番列車、ということになります。まあそれにしても枝も折れよとばかりに咲き誇る両国の桜は見事というほかなく、その様をゆったりと車内から見る事が出来るのも、前泊した人の特権という事でしょうか。

始発列車のヘッドマークは、ちょっとポップな花散らし。この時期の井川線の車両は、全車が「さくら」のヘッドマークを付けて運行するのですが、それぞれにデザインが違っていて興味深いですね。

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