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花の山  index

2016-09-12 02:24:16 | 花の山

「花の旅」 総合目次 


花の山  index

 

奥多摩 御岳山・大岳山

  何で山登るねん (奥多摩御岳山、大岳山へ) 

  御岳山を越えて (静かな森の中の道)   

  雨の大岳山 (雨の登山路を大岳山へ向かいます) 

  雨に咲く花 (生憎の天気でしたが、山の花を楽しみました)

 

奥多摩 川苔山

  奥多摩 川苔山へ (噂に聞いていた花の百名山 川苔山)  

  川苔川を辿って (川苔川に添って山水画のような道が続きます)  

  心地よい山歩き (川沿川を外れ、静かな森の中を登りました)  

  山頂の花々 (川苔山の頂きで多くの花と出会いました)

  緑に溶け込んで (緑に溶込みそうな川苔山の下山路でした)

 

新潟 苗場山

10 苗場山で野猿と出会った (越後の花の百名山 苗場山を目指します)

11 高山植物の世界へ (苗場山への道で出会った花達)

12 ゴゼンタチバナの湯たんぽ (花の表情を楽しみながら登って行きます)

13 なめたらあかん (高い山には低山にないリスクがあります)

14 ヒヨリ虫の囁き (天気が悪いと気弱になるものです)

15 苗場山山頂にて (山頂に広がる湿原の規模は見事でした)

16 お花畑 (下山する時に、多くの高山植物に出会うことができました)

17 色男はいつも (楽しい山旅の後は、饒舌になります)

 

長野 黒斑山・高峰山

18 「鉄兵」という居酒屋(小諸の居酒屋さんの良い話)

19 さすがは花の百名山 (黒斑山は花の百名山です)

20 カラマツの枝に咲くバラ(美しいカラマツの松ぼっくり)

21 黒斑山への稜線 (南画を見ているような風景に出会いました)

22 カラマツの林にて (カラマツ天然林に一見の価値あり)

23 花の百名山 高峰山  (高峰山は花の百名山です)

 

鈴鹿山系 霊仙山

24 季節外れの花の山 (鈴鹿山系、霊仙山へ) 

25 晩秋のグラデーション(カルスト地形に晩秋のグラデーション)   

26 カルストのあかまんま (晩秋の山の彩) 

27 パステルカラーの森 (淡い紅葉も心を和ませます)


北海道 空沼岳

28 花の百名山 再びの空沼岳 (30年ぶりの空沼岳登山です)

29 空沼岳 うららかな森の道 (エゾアジサイの青い花に魅せられました)

30 空沼岳 コロポックルが踊り始める (フキやミズバショウの葉を眺めながら)

31 空沼岳 北国の山の中へと (針広混交林の中を登ってゆきました)

32 空沼岳 透かし見る空が広がる (高度が上がると、空が広がってきます)

33 空沼岳 安息の地 万計沼 (万計沼は静かな緑に包まれていました)

34 空沼岳 万計沼から真簾沼へ (対照的な二つの沼)

35 空沼岳 登山路は札幌市内 (山頂も含め、登山路は札幌の行政区域内)

36 空沼岳 山頂からの360° (山頂のパノラマが見事でした)

37 空沼岳 出会った花など (空沼岳で出会った花など)


北海道 夕張岳

38 花の百名山 念願の夕張岳 (夕張岳 40年前から登りたいと思っていました)

39 夕張岳 ポレポレ(ゆっくり)と (夕張岳 焦らず、ゆっくりと登ってゆきます)

40 夕張岳 花を見ながら山登り (夕張岳 花をみるのが主目的です)

41 夕張岳 雲海に浮かぶトムラウシ (夕張岳 北の空にトムラウシを望めました)

42 夕張岳 大河のように時は流れ (夕張岳 芦別岳を眺め、感慨深いものがあります)

43 夕張岳 シロウマアサツキの群落 (夕張岳 シロウマアサツキの群落が広がる)

44 夕張岳 山登りは晴天に限る (夕張岳 天気に恵まれた登山でした)

45 夕張岳の花と木 登山口~望岳台 (夕張岳 樹林帯の植物)

46 夕張岳の花と木 望岳台~憩沢 (夕張岳 亜高山帯の植物)

47 夕張岳の花と木  憩沢~1400m湿原 (夕張岳 湿原周囲の植物)

48 夕張岳の花と木  1400m湿原~吹き通し (夕張岳 湿原付近の植物)

49 夕張岳の花と木 吹き通し~頂上 (夕張岳 頂上付近の植物)


北海道 大千軒岳

50 花の百名山 大千軒岳 (大千軒岳 新道登山口までの悪路)

51 大千軒岳 ブナの林を抜けて (美しいブナの林の中を登って行きます)

52 大千軒岳 一等三角点のお花畑 (大千軒岳ピークの一等三角点)

53 大千軒岳の草花 (大千軒岳で出会った草花)

54 大千軒岳の樹木 (大千軒岳で出会った樹木)


北海道 目国内岳

55 花の百名山 目国内岳 (雲に包まれた山道を登って行きます)

56 目国内岳 頂きへの道 (花咲く山道を登って行きます)

57 目国内岳 同じ日に二つの名山 (一日で大千軒岳と目国内岳を制覇)


北海道 樽前山

58 花の百名山 樽前山 (樽前山は登山日和でした)

59 樽前山にタルマイソウ咲く (樽前山に咲くタルマイソウ)

60 樽前山の頂で (山頂のブロッケン)

 

 

その他の「花の旅」はこちら →   「花の旅」 総合目次

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樽前山の頂で

2016-09-07 14:47:45 | 花の山

 

 

 稜線に出ました。





 樽前山のピークを仰ぐと、シンメトリックなフォルムが青空に浮かび上がりました。

 

 山に登る醍醐味は、まさにこのような、アブストラクトな世界に巡り会えることです。


 そして、このような世界に咲く花の奇跡を、私は言葉で表すことができません。




 頂上へは、1時間も経ずに達することができました。

 



 これほどまでの贅沢な体験が、千歳市街から、僅か2時間程で得られることが不思議です。

 

 そうは言っても、標高1000mの山を侮ることはできません。

 

 

 青空が見えていたピークも、瞬時に雲に包まれ始めました。


 突然の雷雨に見舞われるようなことも、山では珍しくありません。


 ここは、神様がお治めになられる領域なのです。

 


 そして、神様のお治めになる場所でしか体験できない現象に遭遇しました。


 ブロッケンが現れたのです。





 車を降りてから、僅か1時間程度歩いた場所で、このような体験ができるとは思ってもいませんでした。

 

 


 
 しかしすぐに、山頂から雲は去り、樽前山外輪山のピークが姿を現しました。




 下山路では、より輝きをましたタルマイソウと、

 



 ウラジロタデから、元気をもらい、

 



 深緑色に広がる森の向こうに、露草色に水を湛える支笏湖を眺めながら、

 



 人住む里へと下ってゆきました。



 

 

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樽前山にタルマイソウ咲く

2016-09-07 14:25:39 | 花の山

 

 

 ミヤマホツツジが、他の山では見せないような華奢な体に薄紅色の花を飾っていました。


 火山礫が広がる、雨風を遮るものがない過酷な土地で、命を研ぎ澄ませながら咲く花の美しさは、見る者の心を打つものがあります。





 ウラジロタデが朝日を浴びて、礫の中で花の季節を謳歌していました。


 斜面を駆け昇る風が水蒸気を運び、それを命の露として花を咲かせているのでしょう。


 過酷な環境に生き、花を咲かせたタデの姿に、命極めるものの美しさを見る思いがします。




 眼下に針葉樹の森が広がっていました。


 そしてその上に、浅い緑の潅木帯が続き、

 



 更にその上に、選ばれたものだけが花を咲かせることのできる、礫累々の地が、空に向かっていました。

 



 タルマイソウはそんな場所で、プリマドンナを演じていました。

 



 赤褐色の斜面の先の、筋雲にデザインされた青空は、夏の季節の楽しさを告げています。

 



 地上で灼熱に燃える太陽は、この地では淑女のような光を降り注いでいました。

 



 そんな場所に、タルマイソウが位置を占めています。




 繰り替えしますが、私は、こんなにも活き活きと花を咲かせるタルマイソウを初めて目にしました。




 

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花の百名山 樽前山

2016-09-07 01:37:38 | 花の山

 

 千歳市内の道の駅で朝を迎え、道道16号線を西にはしり、樽前山の登山口となる樽前ヒュッテの駐車場に車を駐めました。


 見上げる樽前山の頂きは雲の中にありました。

 

 しかし、もこもこの雲の後ろに、見事なまでの青空が広がっています。





 身支度を整え、登山道へと歩を進めました。

 



 まだ朝の光が届かない森の中で、ノリウツギが花の白さを際立たせていました。

 



 山道を登りながら振り返ると、木立の間から夏雲を白く映した支笏湖の湖面が見えました。

 



 緑の森を進むうちに、朝の光が足元へと広がりました。

 



 八合目辺りで木立の森に別れを告げ、高山植物の広がる斜面へ進んで行きます。

 



 支笏湖の湖面が雲を呼んでいました。

 



 東の雲の上に、朝日が顔を覗かせ始めます。

 



 登山路は、夏雲の広がる空に登ってゆきます。

 



 そんな時、登山路脇に、朝日を浴びたイワブクロを見かけました。


 イワブクロは別名をタルマイソウと云いますが、樽前山(タルマエサン)の砂礫地に多いことからの命名です。

 

 樽前山の火山灰が堆積する勇払原野にも自生しますので、この火山との相性はそれ程までに良いのでしょう。


 それにしても、こんなに活き活きしたタルマイソウを、私は初めて目にしました。

 



 そして、その先のあちらこちらに、タルマイソウが元気な姿を見せ始めました。





 今の季節はタルマイソウの旬なのかもしれません。




 

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目国内岳 同じ日に二つの名山

2016-09-06 18:16:41 | 花の山

 

 ハイオトギリが花邑を見せています。


 エゾシオガマが、三角形の葉を重ねた先へ、慎み深く白花を掲げています。


 

ハイオトギリ  エゾシオガマ

 
 ミヤマホツツジが小象の鼻のような形に、雌しべを曲げていました。

 



 次々と現れる花にレンズを向けながら登って行くと、八合目の標識を目にしました。


 周囲には既に、ハイマツ林が広がっています。

 



 標高1000mを少し過ぎた辺りなのに、周囲は高山帯の景観を見せ始めています。


 日本アルプスであれば、重い荷を背負って、何時間も登り続けなければ出会えない光景です。

 



 雲に包まれた夏山で、ミノボロスゲが風のない一時、緑の葉を休めていました。




 エゾカンゾウの鮮やかなジョンブリアンが緑に映えます。

 


 九合目を過ぎると、登山路は再び岩の中へと進んで行きます。


 ハイマツの翠の下に、ミヤマホツツジが薄紅色の花をちりばめていました。

 

 


 
 登り始めて凡そ1時間40分後、雲に包まれた目国内岳の頂きに辿り着きました。

 



 頂上直下には、岩内岳への分岐点がありました。


 この場所から岩内岳へは3時間程で往復できるそうですが、デジカメで現在時間を確認すると、既に15時18分でした。


 この辺は熊さん達のお庭ですから、無理をせずに下山することにしました。

 



 下山路でも、様々な花に巡り会いました。


 イヌツゲかアカミノイヌツゲでしょう。


 

イヌツゲ ないし アカミノイヌツゲ

 

 今朝登った大千軒岳では、実を付けたアカミノイヌツゲを見ています。

 


 大千軒岳と目国内岳は標高が似た様なものですから、直線距離で200km程度南北に離れた場所では、植物の開花にそれ程の差がでることになります。

 

 

 オオバギボウシノリウツギも十分に花を開ききっていませんでした。

 

 

オオバギボウシ ノリウツギ


 当初は、同一日に200km程も南北に離れた山に登ることは想定していませんでしたが、同一植物の開花日の差を観察するという、得難い経験を積むことができました。


 花の百名山 目国内岳ピークまで往復し、無事に登山口へ戻って来たのは16時40分頃でした。




 


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目国内岳 頂きへの道

2016-09-06 15:21:12 | 花の山

 

 前目国内岳の頂から、以外な程の近さで、雲の隙間に人里らしき光景が見えていました。


 多分岩内か共和の町並みでしょう。


 前目国内岳は標高980mですから、六甲山から神戸市内を見下ろすような距離感です。

 


 前目国内岳のピークから、一旦、目国内岳との鞍部へと下ってゆきます。

 



 下る途中、雲の隙間の広がりから、山麓の光景がはっきりと見えてきました。


 左手の水色の広がりは、積丹半島の付け根に位置する日本海です。


 この辺りは相当な豪雪地帯かもしれません。

 



 水分を多量に含んだ風が直接山稜に当たり、夏でも雲が湧きやすい地形のようです。


 目国内岳のピークは白い雲のベールに覆われていました。

 



 鞍部の底はササ原が広がっていました。


 日本海から昇る雲が、潤沢な水を供給し続けるようです。


 登山路の周囲に、瑞々しい草葉の絨毯が広がっていました。




 鞍部からピークへ向かう途中で振り返ると、前目国内岳の頂きが、光を孕んだ雲に覆われていました。


 鞍部は、程好い光に照らされています。


 周囲に雲は多くても、大気は安定している様子です。


 これから天気が崩れる心配はないと判断しました。

 



 そして、この辺りから、周囲に草花が姿を見せ始めました。


 コガネギクが黄金色に花びらを飾り、シロバナニガナが花弁の中央を、ほんのり黄に染めていました。

 

 

コガネギク  シロバナニガナ


 六合目を過ぎて、「岩の門」を通過しました。




 岩陰のエゾアジサイのスカイブルーに目が引き寄せられます。

 



 登山道は岩が露出した場所に進み、

 



 ハイマツやナナカマドの中を登り続けました。

 



 七合目を過ぎた辺りからは視界が開け、周囲のササの背丈がかなり低くなってきました。


 そろそろ、森林限界が近づいてきたようです。





 

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花の百名山 目国内岳

2016-09-06 01:41:46 | 花の山

 

 大千軒岳新道登山口の駐車場を出発したのは朝の8時半でした。

 

 そんなふうに書くと、普通であれば山の頂へ向かうことになりますが、今回は既に登頂済みなので、次の目的地である、目国内岳へと車をはしらせました。

 

 昨晩は、思いのほか寝付きが早かったので、予定以上に早く目が覚めて、全てのスケジュールが前倒しとなりました。

 

 しかし、予定など有って無いようなものですから、旅する船の全ては帆任せ、風任せです。

 

 船頭は成り行き任せで、ナビに目国内岳の登山口を入力すると、走行距離は約250㎞、到着予定時間は17時30分と示されました。

 

 途中で温泉にでも浸かって、のんびり行こうと、この時は考えました。

 

 信号も渋滞も、コンビニなどもめったに見ない、道路本来の機能を存分に発揮する、北海道らしい国道を順調に走り続けました。

 

 そして13時40分、船頭は目国内岳登山口のパーキングで車のエンジンを停めたのです。

 

 「こりゃ、随分早いな!」って思いましたが、平均時速50㎞で5時間はしれば、到着しても不思議ではありません。

 


 

 事前の調査で、ここから目国内岳山頂への往復は4時間です。

 

 日没は19時頃のはずですから、今からでも登頂は十分に可能と考えました。

 

 判断できれば、タイミングは逃さないのがポリシーですから、13時48分には身支度を終え、躊躇なく山頂に向かって歩き始めていました。

 

 午後の山は雲が掛かり、見晴は良くありませんが、花を見るのが主目的なので、気にしないことにしました。

 


 

 登山道がササの間を登ってゆきます。

 


 一定のペースで、単調なリズムを刻み、10数分程も進みますと、樹の幹に「二合目」の札がぶら下がっていました。


 もう二合目!  

 

 これなら大丈夫と登頂を確信します。

 


 手入れの行き届いた登山道が続いていました。


 誰かが、ササを刈ってくれているようです。

 

 山に遊ぶ登山者の為に、汗を流す方々がいらっしゃると思うと、申し訳ないような、有難いような気持ちになります。

 



 そして、三合目を過ぎてからは、

 


 

 登山路の先に、ササの回廊が続いていました。

 



 見下ろせば、少しずつ標高が上がってきたことを実感します。

 



 登り続ける登山道の周囲は、鼠色に薄い青の絵具を流し込む色に染まっていました。


 静かで、何も変わらない、悠久の時は、きっとこんな色なのだろうと思います。

 



 登山口から30分程も登った頃に、前目国内岳山頂の標識に出会いました。

 

 

 

 

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大千軒岳の樹木

2016-09-05 00:08:48 | 花の山

 

 

 歳を重ねる毎に、山野を歩けば、木々が饒舌に語りかけるようになってきました。


 花のない季節に感じていた寂しさが和らぎ、木立の中へ溶け込んで行けるようになりました。


 花の百名山 大千軒岳で出会い、語りあった木々達のプロフィールをご紹介致します。

 

 

 ミヤマハンノキ

 北海道、本州の大山、白山以北の亜高山~高山に生える落葉低木です。

 葉の縁に重鋸歯があり、側脈が直線的に葉縁に達します。

 葉の裏面は淡黄緑色です。

 北海道では低地にも生え、8mを超すものもあるそうです。

 

 

 ノリウツギ

 北海道、本州、四国、九州の山地に自生する落葉低木で、樹液を、和紙を漉く際の糊に利用したことが名の由来です。

 7月から9月にかけて、枝の先に小さな白い両性花を数多く咲かせ、その中に花弁4枚の装飾花が混じります。

 稜線上に花を咲かせたノリウツギの一株を運んできたのは、どんな渡り鳥なのでしょうか。

 

  

 ミヤマホツツジ

 北海道、本州中部地方以北、大山、蒜山の亜高山帯の林縁や草地などに生える落葉低木です。

 7~8月、枝先に総状花序を出し、3~8個の花を咲かせます。

 長さ5~10㎜の苞は楕円形~倒卵形で、花冠は3裂し、先が反り返ります。

 花柱は長く突き出て上に曲がることで、曲がらないホツツジと区別できます。

 

 

 

 ミネザクラ・タカネザクラ

 北海道、本州中部地方以北の深山に生える落葉小高木です。

 葉は長さ4~9㎝の倒卵形、倒卵状楕円形で先が尾状に長く尖り、縁に重鋸歯があります。

 普通葉柄に毛はなく、上部に2個の腺点があります。

 葉柄などに毛があるものをチシマザクラと区分していますが、変異は連続的だそうです。

 

 

 

 オオカメノキ

 北海道から九州の冷温帯、亜高山帯に生育する落葉小高木です。

 対生する葉はほぼ円形で平行する側脈が目立ち、縁に鈍鋸歯があり、基部が湾入します。

 4~6月に白い小さな両性花を咲かせ、その周囲を白い5枚の花弁の装飾花が飾ります。

 長さ8㎜の球形か楕円形の核果は夏に赤く、秋には黒く熟します。

 

 

 ダケカンバ

 北海道、本州中部以北、四国の亜高山帯に分布する落葉高木で、北海道では平地にも見られます。

 シラカバに似ていますが、シラカバよりも更に高い場所にも分布します。

 シラカバとは側脈の数、樹皮の色合い、葉の基部の形、枝が落ちた後の幹に残る模様、などで見分けますが、分布が重なる場所では判断に迷う場合があります。

 

 

 ハウチワカエデ

 北海道から本州にかけての低山帯から亜高山帯の山地に生育する小高木~高木です。

 大きな葉は対生し、9~11裂、基部は心形、裂片は卵形で先が尖ります。

 縁に重鋸歯があり、葉脈は凹んでシワ状に見えます。

 

 

 アカミノイヌツゲ

 北海道、本州中部以北の深山や高山に生える常緑低木です。

 葉は互生し、長さ2~3㎝の卵形、長楕円形で、葉の先半分の縁に浅い鋸歯があります。

 雌雄異株で、6~7月頃に白い小さな花を、雄株は1~3個、雌株は1個ずつ付け、径7㎜程の実を赤く熟します。

 

 

 

 イチイ

 北海道、本州、四国、九州の山岳地帯に分布する雌雄異株の常緑高木です。

 北海道では低地にも自然分布します。

 別名はアララギ、北海道などではオンコとも呼ばれます。

 葉は長さ1.5~2.5㎝の線形で、螺旋状に付きますが、横に伸びた枝では左右に2列に並びます。

 変種のキャラボクは葉が2列に並ぶことはありません。

 写真の木も全てが螺旋状でしたが、キャラボクは北海道に分布しないとされていますので、イチイとしましたが、中間型もしばしば見られるようです。

 

 

 

 ミヤマヤナギ

 北海道、本州中部以北の亜高山帯から高山帯の尾根や原野に生える落葉低木です。

 葉は4~9㎝の楕円形、倒卵形ですが、変異も多いようです。

 葉の縁に波上の鋸歯があり、葉脈は葉表で凹み、葉裏に隆起します。

 5月~7月頃、葉と同時に、円柱状の尾状花序を立てます。

 

 

 

 ハリブキ

 北海道から近畿、四国の亜高山帯に分布する雌雄異株の落葉低木です。

 葉は長さ20~40㎝で掌状に5~9裂し、葉の両面や、葉柄、幹に鋭いトゲがあります。

 6~7月、茎の先に円錐花序を出し、緑白色5弁の小さな花を多数咲かせ、8~9月頃に、7㎜程の楕円形の赤い実を稔らせます。

 

 



 今回ご紹介した木や花は、全てが下の写真のような、ササ原が広がる尾根筋で目にしたものばかりです。


 全ての樹木はササの背丈を越えることはありませんでした。


 標高は1000mにも満たない場所ですが、冬は日本海からの激しい季節風に晒されるのでしょう。


 雪に埋もれ、烈風から守られなければ、植物は冬を越せないのだと思います。


 束の間の夏に咲く花と、稔り急ぐ木々の姿を目に焼き付けながら、花の百名山を後にしました。



 

 

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大千軒岳の草花

2016-09-04 01:37:26 | 花の山

 

 花の百名山 大千軒岳で出会った草花をご紹介します。


 


 ハイオトギリ

 7~8月にかけて、北海道の亜高山帯~高山帯に花を咲かせる多年草で、草丈は30㎝ほどになります。

 ハイオトギリは株を作りますが、エゾヤマオトギリは株を作らずに一本ずつ独立して生えます。

 

 

 エゾシオガマ

 北海道、本州の中部地方以北の亜高山帯から高山帯に分布する多年草で、7~8月に白かクリーム色の唇形の花を、茎の上部へ横向きに咲かせます。

 葉は三角状披針形で、縁に重鋸歯があります。

 

 

 イブキトラノオ

 北海道から九州の山地、高山帯に分布する多年草で、滋賀県伊吹山に多いことに因んで名付けられました。

 7月から10月にかけて、長さ3~8㎝の白から淡紅色の花を穂状に咲かせます。

 花弁はなく、萼片が5深裂し、その間から雄蕊が突き出ます。

 

 

 ハクサンシャジン

 北海道から本州中部以北の亜高山~高山の草地や砂礫地に分布するツリガネニンジンの高山型です。

 白紫色から青紫色の花を茎の上部に輪生させ、葉も3~5枚輪生します。

 

 

 

 トウゲブキ

 北海道と山形県月山以北の低山帯~亜高山帯に分布します。

 良く目立つ黄色い花を、7~8月頃、茎の先に数個咲かせます。

 葉の形がフキに似ていることから、「峠蕗」と名付けられ、エゾタカラコウ(蝦夷宝香)の別名も持ちます。

 

 

 

 シュロソウ

 北海道から本州の山地の林内や湿った草原に生えます。

 50~100㎝の高さに伸ばした茎先に、暗紫褐色の花を、6~8月にかけて咲かせます。

 枯れた葉の繊維が茎の基部に残り、それがシュロ(棕櫚)の毛に似ていることが名の由来です。

 

 

 

 ナガバキタアザミ

 北海道と北東北の高山の草原に分布する多年草で、7月の下旬頃から25~35㎝程の茎の先に淡紅紫色の花を咲かせます。

 茎葉は広卵形か長三角形で、先が尖り、縁に鋸歯があり、上部の葉は茎を抱きます。

   

 

 

 オニシモツケ

 北海道、本州の中部地方以北に分布する多年草で、葉は互生し、大きな葉は15~25㎝で、掌状に5裂します。

 6~8月に、白から淡赤紫色の小さな5弁花を咲かせ、雄蕊が花弁より長い為に、花序全体が軟らかく霞んで見えます。

 

 

 

 エゾカンゾウ

 別名でゼンテイカ(禅庭花)やニッコウキスゲとも呼ばれるユリ科の多年草です。

 花は午前中に咲いて夕方に閉じる一日花です。

 葉は柔らかく扁平で、長さ60~70㎝、幅2㎝前後で上部は下垂します。

 

 

 

 シラネニンジン

 北海道、本州中部以北の高山の日当たりの良い草地、岩礫地、砂礫地などに分布します。

 根出葉と下部の葉には長い葉柄があり、葉は2~3回羽状複葉で、小葉は不ぞろいに分裂します。

 7~9月頃に茎先に複散形花序をだし、白い小さな花を数多く付けます。

 

 

 ホタルサイコ

 北海道、本州、四国、九州の山地の日当たりの良い草地などに生える多年草です。

 草丈は50~120㎝になり、7~8月に、茎頂か小枝の先に複散形花序をだして、淡黄色の小さな花を咲かせます。

 茎葉は基部が広がり茎を抱きます。

 

 

 オオバギボウシ

 北海道、本州、四国、九州の山地の草原などに生える多年草です。

 葉は根生し、葉の長さは30~40㎝、幅10~15㎝ほどで、葉柄が付きます。

 7~8月頃、花茎の先に、淡紫色または白色の花を総状花序に咲かせます。

 

 

 

 カンチコウゾリナ

 北海道、本州中部以北の亜高山~高山の草地や砂礫地に生える2年草です。

 草丈は20~40㎝程で、葉は細い楕円形で不規則な鋸歯があります。

 7~9月頃に径2.5~3㎝の黄色い花を咲かせ、花弁の先が浅く裂けます。

 

 

 クモマニガナ

 北海道、本州中部以北の亜高山~高山に分布する、草丈20~40㎝の多年草です。

 よく似たタカネニガナより少し大きく、茎葉の基部は茎をだくことで区別できるとされます。

 7~8月頃に、径1.5㎝前後の黄色か白の花を咲かせ、花弁数は11枚前後とされます。

 

 

 

 ヤマハハコ

 北海道、本州中部地方以北の山地~高山地帯に生え、草丈は30~70㎝で、茎には灰白色の綿毛が密生します。

 8~9月頃に、茎の上部に白い総苞片に囲まれた淡黄色の頭花を散房状に付けます。

 西日本には、葉の幅の狭いホソバノヤマハハコが生育しています。

 

 

 

 

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大千軒岳 一等三角点のお花畑

2016-09-03 00:09:56 | 花の山

 

 

 ピークへ向かう尾根道の周囲はササで覆われ、

 

 


 登山路の左右に、名も知らぬ尾根が幾重にも連なる眺望が楽しめます。

 



 そんな道でナナカマドの木を目にしました。


 北海道の山地にはナナカマド、タカネナナカマド、ウラジロナナカマド、ミヤマナナカマドが生えます。


 この木はどれだろうか?と、頭をひねりながら尾根道を進んで行きます。

 



 目の前にピークが見えてきました。


 多分これが最後の登りとなるはずです。

 



 右手は、松前の方角ですが、襞の様に重なる尾根の先に、海は姿を見せてくれません。

 



 そして、この辺りから道脇に、美しい花が姿を見せ始めました。


 まずはコガネギク、そしてミヤマウツボグサ。

 

 

   コガネギク    ミヤマウツボグサ


 
 ハイオトギリが、雲の上に顔を覗かせた太陽の光を浴び始めました。

 

 


 
 イブキトラノオも、やわらかい陽の光を浴びながら、微笑むような柔らかい表情を見せています。

 



 お花畑の中に続く、散策路のような道を登ってゆきました。

 



 オオバギボウシやハクサンシャジンが穏やかな表情で出迎えてくれます。

 

 

 オオバギボウシ    ハクサンシャジン


 
 そして、ミヤマシシウドなどが咲き広がる斜面を登りきった先に、

 



 大千軒岳のピーク(1071.9m)が待っていてくれました。


 ゆっくりしたリズムで歩いても、1時間20分程の行程でした。

 



 そうそう、頂上で面白いものを目にしました。


 一等三角点測量開始百年記念碑です。


 「北海道の三角点は1896年(明治29年)7月に選定された千軒岳、古都岳、八幡岳が最古です」


 1996年(平成8年)6月、と記されていました。

 

 


 でも、千軒岳と書いてあります。


 大千軒岳との違いは何なのでしょうか? 


 大雪山というピークがないように、千軒岳とは、この辺り一帯の山域を指し、ピークは大千軒岳かな?と推測しますが、自信はありません。


 ちなみに、古部岳(ふるべだけ)は渡島半島南東の亀田半島に位置する山で、標高691.06m。


 八幡岳(はちまんだけ)は渡島半島の、上の国町と厚沢部町の境界線上に位置する山で標高664.61mです。


 一等三角点の選定は古部岳が最も古く、明治29年7月4日、千軒岳が明治29年7月18日、八幡岳が明治29年7月23日だそうです。


 最近、こんなトリビアなことが、とっても気になります。


 そして明治29年アテネで第一回の夏のオリンピックが開催されています。

 

 そんなこんなで、何だか、大千軒岳から予期せぬお土産を頂いたような気分です。


 短い距離で、楽ちんな割には、ほんと、印象深い山行となりました!


 

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大千軒岳 ブナの林を抜けて

2016-09-02 00:10:30 | 花の山

 

 「熊 出没注意」の看板を横目に見ながら、熊除けの鈴を腰に鳴らし、ブナの林を登ってゆきます。

 

 

 頂上まで2500mと記された黄色い表示板が、草葉の中に埋もれていました。

 


 

 斜面を横切る道の中、雪の重みに耐えかねたブナの木が一本、自然の摂理の中で、与えられた命を全うしようと、朝の寛ぎの時を迎えていました。

 

 周囲に、若いブナ達の育ちあがる姿が見えています。

 

 風のない静かな森の朝に、幾万年前から繰り返された、役目を終えつつあるものと、新たに育ちあがるものが発する生のエーテルが入り交じり、それらが淡い霧となって、森に流れ漂います。

 


 

 見慣れたはずのミヤマウツボグサに、青紫のグラデュエーションを見出しました。

 

 青に仄かな紅を流し込んだようなグラデュエーションは、ヒマラヤで、ホリゾントの下から陽光を受け、神々の峰を包んだ、黎明の空を思い出させます

 

 

 

 その横で、イヌトウバナが慎ましやかな表情で道行く人を見上げます。

 

 この山も、あの山も、命の華やぎに飾られているのです。

 


 

 

 なだらかな尾根道を登ってゆきました。

 


 

 登り始めて40分程で森林限界を抜けたようです。

 


 

 目の前に、ほぼ同じ高さで、大千軒岳のピークが見えてきました。

 


 

  頂上まで、あと 1200mの道標が現れました。

 


 

 タカネナナカマドがササの茂みから葉を覗かせています。

 

 標高の割に、木々の高さが抑制されているように思えます。

 

 この尾根は、夏の一時期を除き、絶え間なく風が吹き荒び、人間を寄せ付けない場所なのかもしれません。

 


 

 ミネザクラが、人の背丈ほどの慎ましやかな風情で、葉の下へ、真紅の果実を覗かせていました。

 


 

 

 

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花の百名山 大千軒岳

2016-09-01 18:12:36 | 花の山

 

 大千軒岳は北海道渡島半島の南西端に突き出た松前半島の中心部にあります。


 利尻山や知床連山と同様、北海道の山に共通したアプローチの長い、近づき難い山の一つです。


 数多くの山に登ってきた私も、定年退職後に時間の束縛から逃れたこの歳になって、初めて訪ねることができました。


 8月1日、北海道の桜100選の一つ、松前公園を背にした道の駅「北前船松前」の駐車場で朝を迎えました。




 昨晩は、隣の岐阜ナンバーの方と、日本海に沈む夕陽を見ながら酒を酌み交わしました。


 私よりご年配のようですが、数年前に奥様を脳梗塞で亡くされ、今は車に寝泊まりしながら、一人全国を訪ね歩いているそうです。


 5日前に青森の大間から函館に入り、北海道を一周し、さっき松前に辿り着いたそうです。


 殆ど車を降りずに、只々はしるだけの、景色を眺める旅だとか。


 夜明け前の駐車場はまだ、街路灯が灯っていました。


 国道を行き交う車もなく、街はまだ深い眠りの中に佇んでいました。

 



 いつものように、コンビニで買い求めたパンとジュースで朝食を済まし、静かにエンジンを起動し、国道に走り出ました。


 目的地は大千軒岳の新道登山口です。

 



 昨晩のうちに確認してあったので、松前から4㎞ほど東へ進み、道道607号線に入り、及部川(およべがわ)に沿って北へはしりました。

 



 昨夕は下見を兼ねて、国道が及部川に掛かる朝日橋まで来たのですが、期待していた「大千軒岳登山口」の標識が見当たりません。


 そこで、近くのお店屋さんに入って、「大千軒岳への登山口はこの辺りでしょうか?」と尋ねると、親切にも、店の奥から下の様なルート図を探し出してくれたのです。


 昨晩岐阜ナンバーの方と酌み交わしたお酒は、このお店で購わせて頂きました。

 

 



 松前町上川の集落を抜けるとすぐに、車の周囲から人家がなくなりました。


 暫く走ると「大千軒岳登山口」の看板が見えてきました。


 一安心です。


 登山口までは20㎞と記されていました。


 多分、林道並みの道ですから、あと小一時間はかかるだろうと予測しました。

 

 

 途中までは簡易舗装された道が続きましたが、





 それも束の間、道は砂利道に変わり、背丈よりも高く茂る雑草の中へ進んでゆきます。

 

 誰が見ても絶対、周囲はヒグマの巣に違いありません。

 



 その先も、一定の間隔で現れる標示板が無ければ、道を迷ったと思い込むだろうデコボコ道が続いていました。

 



 しかし、小さな峠を登りきった後、目の前にピークを見ながら、道は下り始めました。


 麓から登頂口へ向かう道が、下り始めるなんて、普通であれば考えられません。

 



 でも、車はナビに表示された一本道のルート上にあります。


 目的地は入力していませんが、道を間違えてはいないようです。

 



 そんなとき、ブナ保護林の標示を目にしました。


 ブナは温帯を代表する樹種ですが、北海道では渡島半島だけに分布するようです。

 



 そして、旧登山口を素通りし、

 



 道道607号線に入って50分後、車はやっと、大千軒岳 新道登山口に到着しました。





 

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