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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

ヴィレッジ

2024-05-16 05:05:25 | 邦画
日本映画を積極的に見ていこうという企画で視聴した作品
結構見てるんだよねある意味社会派映画作家と言ってもいいだろうと言える藤井道人さんの作品は
今回は現代日本が抱えてる過疎化の村の創生のために地方交付金目当てのゴミ再生処理施設を進んで受け入れたとある村に起こる様々な問題を浮き彫りにした作品
なんと二時間もある長尺の映画だが
オープニングに能楽が一指し舞われるそれはなんと『邯鄲の枕』
 
まぁある意味こう言ったことは専門知識の範疇ですからねぇ
「一炊の夢」として中国古事にもあって漢文だか古文で教えてる、そう邯鄲という人物がご飯が炊き上がる数十分の間に王となって天下を治めた人生を夢で見たものの
彼の人生 50年はほんの一瞬の間に見た夢の中での話だったっていうことで
儚いことの喩えに使われる
それを能楽の演目にしたものをオープニングに使ってこの映画を語って見せて本題に入っていく寸法になってるわけですから
 
劇中で能面のエピソードも組み入れてることからもこのプロローグは一応必要だって言うことはわかるけど劇中の能面も村伝統の薪能も劇中から削れば尺がもちょッと短くなったかもね
個人的にはこの能のシーンは無くても良かっと考える人の1人が私です。
 
村の財政の厳しさから地方創生の補助金と雇用促進のために産廃処理施設を受け入れたもののその実国が定めたルール通りにやっているだけでは経営もままならないから、なんと違法なゴミ、特に核廃棄物までをも秘密に受け入れて密かに地中に埋めていたわけで、それは村長自身の意思でもあったわけですけど・・・
 
横浜流星演じる主人公はかつてゴミ処理施設誘致の反対派の首謀者の父親がその反対運動の闘争中に賛成派を殺してしまい
村八分で村から出て行ってしまったものの都会にも馴染めずに帰ってきてゴミ処理施設の一労働者として死んだような毎日を送っており
父親の過去の事件から彼自身も他の労働者から疎外を受けている始末
そんな生ける屍のような流星さんから始まって
 
幼なじみの黒木華も都会に疲れてこっちに帰ってきて2人で身を寄せ合うように暮らすことになった中で
村のゴミ処理施設のPR事業に駆り出されることになった主人公
確実にウソで塗り固められたゴミ処理施設を夢の事業としてTVにまで取り上げられて
まさかの時の人となっていく時の流星クンの演じる主人公が生き生きとしていく変わり身の演技がすごい
 
しかし邯鄲の夢ではないですがそれが覚める時がやってくるわけで
そうですよね古田新太さんが一筋縄の村長であるわけもなく
さらにゴミ処理施設従業員でさらに村長の息子の一ノ瀬ワタルのがいじめっ子ぶりを発揮して
彼の肉体を誇示しての演技がこれまたすごい
主演の横浜流星が霞んで見える
 
前半から中盤にかけての流星くんの変わり身と
なんとそのゴミ処理施設の実体が暴かれ、さらに殺人事件が発覚してからの中盤から後半への
夢が覚めるというか壊れていく様への映画的な序破急の緩急の付け方が実に見事だったかな
 
エンドクレジットが終わってから村を出て行く1人のヒロインの弟の姿を捉えてのショットが実に印象深い
 
2023年製作、日本映画、「ヴィレッジ」製作委員会作品
藤井道人脚本・監督作品
出演:横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、淵上泰史、戸田昌宏、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、古田新太、中村獅童

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2 コメント

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こんばんは! (ヒロ之)
2024-05-16 20:22:26
コメントありがとうございました。

ホント最後まで救いの無い話ではありましたが、それがあったからこその上手く鑑賞者を引き込ませる演出の絶妙さを感じました。
それとやっぱり横浜流星の演技力の高さでしょうね。
死んだような眼をしていた人間が、途中から見違える様に生き生きとしてましたから、その辺の演じ分けを彼なりに考え、監督の期待に応えて好演していたとも言えます。
一ノ瀬ワタルもそうでしたが、脇役も光ってた作品でした。
ヒロ之さん、こんばんは (morkohsonimap)
2024-05-17 03:59:59
コメントありがとうございました。

横浜流星の演技に尽きた作品でしたねぇ
立場によって人間があれほど変われるんだって言う具現化のは素晴らしさはホント流石の実力派
古田新太狸はもう言わずもがなですが
今まで肉体のは誇示だけで生きて来てたと思っていた一ノ瀬ワタルさんがこれほどの演技を見せてくれたとはねぇ
そしてさらにヒロインの弟役の子とかも・・・

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