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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

コンクリート・ユートピア

2024-05-08 05:05:07 | 韓国映画
オープニング、理解不能な地盤隆起と建物の倒壊が波のように襲ってくる映像があるだけでほとんど何が起きたか語られずに映画が始まるもんだから
世界的な未曾有の大災害により一瞬で廃墟と化したソウルって見終わってネットで知ったんだよね
地震かなんかでごく一部というかソウル近辺がこうなっただけかって思って何故に助けが入らないのかが不思議に思いつつ見てるうちに
そこは韓国映画だから目の前のモニターに映し出される映像に魅了されて
 
っていうかイ・ビョンホンの狂気の演技に惑わされていつしか上に書いてることなぞ忘れて映画の世界観に浸ってしまってる自分がいて
さすが韓国映画は面白いネタの映画を作るよなって思うのみだったなぁ

ちゃんと映画でも”アパート“って言ってるけどあれは時代的にもどう見ても“高層マンション”だと思うんだけどマンションにしてしまうと
いわゆる韓国の格差を浮き彫りにせねばならないから
物語の対立構造上いわゆる未曾有の災害が起きて行き場のない下層の人々と住民達との相互扶助から、いわゆる排除へとの難民たちを描くのに不都合だからアパートとして
そこに住むある意味下層社会の人と難民とのさらなる格差を際だらせることになるから
あくまでアパートって呼称していたのでしょうね
 
そんなアパートの住民たちがサバイバルするために必要だった組織の長として選ばれたイ・ビョンホンがカリスマ性を発揮していくことで次第に”権力“を得てさらにその“権力”は彼を狂気の人物へと変貌させていく過程が韓国映画らしいっちゃらしいんですが
その結果最初は相互扶助だったものが排他主義に代わり難民との対立構造になってゆくのは当然ですが
 
イ・ビョンホンのほかに若い夫婦がもう一つの主役でして
旦那の方はイ・ビョンホンの狂気に呑まれてなんもできないのに比して奥さんがこれまた正義に燃えて余計なことをするから
そう彼女の正義とは人間としての失ってはならない人としての矜恃だったのかもしれませんが
 
未曾有の非常事態の中で唯一人間として描きたかったのかもしれませんが彼女・・・物語的にもクライマックスとしてはああなることは必至で防ぎ用がなかったかもしれませんが人一人そのために死なしてますからね
そこまではある意味暗い画面だったものが彼女が助けられたシーンの明るさに希望を監督さんは託したって見てとったのは穿ちすぎか・・・

極限状態に陥ったとき、人はどう生きるのかという映画だった。

2001年製作、韓国映画(日本公開作品)
オム・テファ監督作品
出演:イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、パク・ジフ、キム・ドユン、イ・ヒョジェ、クォン・ウンソン、キム・ハクソン、イ・ソファン

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2 コメント

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こんにちは! (ヒロ之)
2024-05-08 16:44:50
コメントありがとうございました。

人間てのは権力を持ち、他人からヨイショされると、性格が傲慢になってしまうのでしょうか。
最初は普通の冴えないおっさんだったのに、後半はまるで別人と化してましたからねえ。
その点でのビョンホンの演技力の高さは見事としか。
なるべくしてなった結末とも言えそうですが、若夫婦の嫁に最後焦点を当てて、僅かな希望を残す所が作品的には救いではありました。
ヒロ之さん、こんばんは (morkohsonimap)
2024-05-09 04:01:30
コメントありがとうございました。

本当にイ・ビョンホンがどんどん変わってゆく様子っていうか狂気に呑まれていく演技が人間はこんなに買われるんだっていう姿を見事に見せてくれていて
実に韓国映画でなければここまで人間の業は描けない作品でした
ってかそこがまた韓国映画の持つ面白さなんでしょうね
若奥さんは人間の未来への希望の象徴でもあったような終わらせ方で締めてくれましたね
それも色調の変化で

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