セレンディピティ ダイアリー

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CIEL ET SOL @ときのもり

2020年02月29日 | グルメ

奈良の食の魅力を伝えるべく 2016年1月に白金にオープンした「ときのもり」。その2階にあるフランス料理レストラン CIEL ET SOL (シエル エ ソル) でランチをいただきました。

CIEL ET SOL はフランス語で ”天と地" という意味で、ここでは音羽和紀 (おとわ かずのり)さんがプロデュースする、奈良の食材を使ったお料理が楽しめます。

まずは奈良の地酒、甘口の春鹿大吟醸(奈良市)と、辛口のひむろ杉(桜井市)をワイングラスで乾杯しました。どちらも食事に合いましたが、私は特に甘口の春鹿が飲みやすくて気に入りました。

落花生の殻にのったアミューズは、甘がらめしたピーナッツのプチタルト。上にすりおろしたグリュイエールチーズがのっています。

帆立のプリンのようなものが入ったカリフラワーのポタージュ。上にチーズの泡がのっています。左上に見えるのは、自家製のフォカッチャです。

スモークした鰆です。レアな食感ですが、中まで火が通っています。サーモンではよくあるお料理ですが、鰆では初めていただいたような気がします。フロマージュ・ブランを使った白いソース。菜の花を使った緑のソース。上には豆苗があしらわれ、春らしい一品でした。

奈良の名物、三輪そうめんです。少し太めのそうめんに、サヨリと、大和野菜の紅くるり大根をおろしたものがあしらわれています。ケイパーがいいアクセントになっていました。

とろとろの白子に、大きな獅子柚子のソースと、ノワゼットバター(焦がしバター)のソースが添えてあります。

あんこうを、クレーム・ド・オマール(オマール海老を使ったソース)とともに。上に、白魚のフリットと、奈良の薬草(ハーブ)があしらわれています。

うずらと柚餅子(ゆべし)。菊芋と、大和野菜の宇陀金ごぼう、鹿ひき肉の小さなメンチカツなど。

洋梨をソルベのようにしたしゃきっとしたデザートに、マスカルポーネのムース。重なり合う白が美しい。

食後の飲み物は、私は奈良のほうじ茶をいただきました。(あとでショップでも買っていきました)

小菓子のフィナンシェと、りんごあんの入った黒胡麻のプチシュー。

ちょうどお隣のグループが帰られたところをパチリ。壁のテキスタイルは、ミナ ペルホネン(皆川明さん) のデザインで、奈良の森をイメージしているそうです。

1階には、石村由起子さんがプロデュースする食と雑貨のショップとカフェが入っています。洗練された奈良のあれこれを堪能しました。

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キャッツ

2020年02月27日 | 映画

"レ・ミゼラブル"(2012) のトム・フーパー監督による、世界的な大ヒット・ミュージカルの実写映画化です。

キャッツ (Cats)

アメリカで公開された時から酷評されていたので、一抹の不安を覚えていたものの、ミュージカルが好きなので楽しみにしていた本作。できるだけまわりの批判に惑わされないよう心に留めて見に行きましたが、冒頭の不協和音にはじまるアルペジオからもう、ゾクゾク鳥肌が立ちました。

最新のテクノロジーを駆使したファンタジーの世界は、舞台とはまた違った魅力がありました。もちろん音楽もダンスもすばらしくて、私はとっても楽しめました。

もとのミュージカルはアメリカにいた頃に、ナショナルツアーの舞台で見ました。登場するのは、それぞれに過去を背負ったわけありの野良猫たち。舞台は薄暗い路地裏だし、決してきらきらしたミュージカルではないけれど、生きる力を与えられたという記憶がありました。

ストーリーはあるような、ないようなではあるのですが、個性豊かな猫たちのオンステージが楽しい。登場人物たちがそれぞれの過去を独白していくスタイルには「コーラスライン」を思い出したりもしました。

私が今回一番気に入ったのは、レイルウェイ・キャットのパートです。タップダンスにはじまる軽快なメロディは今でも思い出しては口ずさみたくなるほどで、猫たちが線路の上を伝ってロンドンの街に飛び出すところが陽気でとっても楽しかった。

主人公のヴィクトリアが2匹の泥棒猫と大きなベッドの上で踊るパートも、キラキラしていて好きです。ぐうたら猫のレベル・ウィルソンは「ピッチ・パーフェクト」からの当て書き? 彼女のパートは美術も凝っていて「チャーリーとチョコレート工場」を思い出しました。

そしてなんといってもヴィクトリアを演じるフランチェスカ・ヘイワードのかわいいこと! 彼女はロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサーとあって、ダンスも美しくて見応えがありました。

ジェニファー・ハドソンの Memory は大迫力でしたし、テイラー・スウィフトが書き下ろした新曲 Beautiful Ghosts は美しいバラードで、音楽も大満足でした。

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BISTRO KHAMSA

2020年02月21日 | グルメ

自由が丘にある、モロッコをテーマにしたフレンチビストロ BISTRO KHAMSA (ビストロ ハムサ) でお昼をいただきました。南口から歩いて5分ほどのところにこちらのお店は、以前は中目黒の目黒川沿いにありましたが、いつの間にか自由が丘に移転していたのですね。

ロケーションがよく、店内も広くなって、居心地のよいお店になりました。「パリ5区にある、モロッコ好きのオーナーのフレンチビストロ」というコンセプトで、オーセンティックなモロッコ料理ではありませんが、エスニックで洗練されたビストロ料理が楽しめます。

(公式HPよりお借りしました)

インテリアショップの unico (ウニコ) が手掛けているレストランなので、インテリアもすてき。壁には大きなラグ、天井からはモロッコ風ランプがいくつも吊り下がり、シートにはモロッコ風のクッションがさりげなく置かれています。

週末のランチセットと、プリフィクスのランチコースをひとつずつ、シェアしていただきました。

前菜の中から私はハムのサラダをいただきました。スープはこの日はさつまいものポタージュでした。セットにはグリーンサラダがつきます。

メインのお料理の、牛肉のステーキ。ボリュームがあって、焼き加減も完璧! シンプルながらとてもおいしかったです。プチヴェールが添えられているのもすてきです。

実は私はお店の看板メニューでもある、豚ロース肉のローストをいただいたのですが、どういうわけか写真が見つからない...。間違えて消してしまったのか、それとも撮るのを忘れたのか...。こちらもシンプルながらおいしかったです。下に敷いてあるマッシュトポテトも絶品でした。

デザートは大好きなチーズケーキにしました。こちらもタルト風の濃厚なしっかりとしたお味で私好みでした。

コーヒーカップのモザイク模様がさりげなくモロッコ風。どれも大満足のお味でした。

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リチャード・ジュエル

2020年02月20日 | 映画

クリント・イーストウッド監督の最新作。無実の警備員がある日突然犯罪者に仕立てられそうになる、実話をもとにした恐ろしいドラマです。

リチャード・ジュエル (Richard Jewell)

1996年アトランタ・オリンピックの会場で時限爆弾を見つけ、被害を最小限に食い止めたのにもかかわらず、FBIやメディアに疑いを掛けられて窮地に立たされた警備員、リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)を主人公とした作品です。

当時 私はアメリカにいて、アトランタ・オリンピックも見に行っているのですが (男子体操と柔道の試合)、この爆弾テロのことはすっかり記憶から抜け落ちていて、リチャード・ジュエルのことも忘れていました。今思えばFBIの不始末ゆえに、あまり大きく報道されなかったのかもしれません。

イーストウッド監督が今回光を当てたのは、名もなき英雄リチャード・ジュエル。アメリカを愛し、国家を守るために警察官になることを夢見る白人男性です。警備員である彼は、職務に忠実であるがために時として融通が利かないところがあり、これまで周囲とトラブルを招くことがありました。

しかしこの時は、彼の愚直なまでの職務への忠誠心が、結果として多くの人々の命を救うこととなったのです。

人種差別や人権にセンシティブな現代のアメリカにおいて、このようなでっちあげが FBIによって行われたということに、まずは衝撃を受けました。リチャードを信じ、助ける弁護士(サム・ロックウェル)がいなかったらどうなっていたか。考えただけでも恐ろしい。

私にとって印象深かったのは、疑いをかけられたリチャードが、他でもないアメリカ大統領に「自分をお救いください」と祈ったことです。当時はクリントン政権でしたが、大統領が正義と民主主義の象徴のように思われていたのでしょうね。

今のトランプ政権だったら、リチャードははたして大統領に祈っただろうか?とふと考えてしまいました。(いわんや日本においてをや)

息子の無実を訴える母親(キャシー・ベイツ)の渾身のスピーチ。そしてろくに調べもせずに先入観だけで無実の罪を着せようとした FBI に対する、リチャードの誠実な訴えに、心を揺さぶられました。

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チャパグリ(ジャージャー麺) @パラサイト

2020年02月16日 | +映画のひとさら

映画「パラサイト 半地下の家族」(Parasite) で、パク家のお母さんが食べるジャージャー麺が気になっていました。

インディアン大好きの弟くんのために、家族そろってキャンプに出かけたものの、大雨のために中断して家に帰ることになったパク家。帰りの車の中から「帰ったらジャージャー麺が食べたいから用意しておいて!」とパク母に指示された家政婦のキム母は、大慌てで準備します。

パク家のジャージャー麺は、カットしたサーロインステーキがのっている豪華版です。

日本語字幕ではジャージャー麺となっていましたが、日本でよく食べる肉味噌がのったジャージャー麺とはちょっと違う... と、Parasiteとnoodleで検索して見つけたこちらのサイトを参考にして作ってみました。

After The Oscars, Everyone Wants Ram-Don From 'Parasite' - Here's How To Make It (UPROXX)

サイトではRam-Donという名前で、ラーメンとうどんの2種類の麺を使って、コチュジャンとオイスターソースで味付けし、マリネして焼いたステーキをのせていました。

私は「揚州商人 上海焼きそば」という市販の麺を使って、もやし・薄切りしいたけ・赤唐辛子といっしょに炒めて同封のオイスター風味のソースで味付けし、上にステーキをのせて作りました。

ステーキ肉は、シンプルに塩こしょうで味付けし、にんにくといっしょに焼きました。映画とは逆に、焼いてから切り分け、ミディアムに仕上げました。上にクレソンを散らしてできあがり。

市販のソースなので少々味付けは濃くなりましたが、ステーキとのバランスもよく、なかなかおいしくできました。

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後から息子に聞いたネット情報では、これはチャパグリというお料理で、新大久保界隈で試食会が開かれたりして騒ぎになっているらしい。本来はチャパゲティとノグリという2種類の麺を合わせて作るのだそうです。

と思ったら、早速Amazonでもチャパグリを作るセットが売り出されていました。^^; アカデミー賞の影響で、世界的に注目を集めているそうです。

「チャパグリ」の熱、浸透中 アカデミー賞「パラサイト」で世界注目(東京新聞)

【関連記事】パラサイト 半地下の家族 (2020-01-28)

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バレンタインのココットケーキ & バスク風チーズケーキ

2020年02月11日 | 料理

息子が帰省したので、少し早めにバレンタインのチョコレートケーキを焼きました。今年は、ココットケーキを作ってみました。

荻田尚子「魔法のケーキ」

レシピはこちらの本から。魔法のケーキというのは、ひとつの生地からフラン・カスタード・スポンジの3層に分かれるケーキで、この本に載っているケーキはどれもおいしいです。

【参考記事】ガトーマジック(2)

 

そして今回作ったのは、ココットに生地を流して焼くケーキ。15㎝のラウンド型の量で、10㎝のココット3個分がちょうどできます。焼き上げたら粗熱をとって冷蔵庫で冷やし、粉砂糖をふるって仕上げます。

表面はふわっとした仕上がりです。

写真ではわかりにくいですが^^; 中はプリンとクリームの層があって、とろりとした食感です。生地には溶かしたチョコレートとココアと両方入っているので、濃厚な味わいが楽しめました。

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それから、最近話題になっているらしい??バスク風チーズケーキを焼いてみました。スペインとフランスの国境に広がるバスク地方で生まれたチーズケーキで、高温で焼き上げるため、表面は黒く焦げていますが、湯煎で焼くので、中はしっとりふんわりした食感です。

レシピは、コチラを参照しました。オリジナルレシピでは材料をいっぺんに合わせて一気にブレンダーで混ぜていますが、私は生地がだまにならないよう、クリームチーズを柔らかくした後、材料を少しずつ加えてはその都度ブレンダーで混ぜています。そのため裏ごしせずにすみました。

オリジナルレシピにあった方法で、はじめてオーブンペーパーをくしゃくしゃにして型に敷き詰めましたが、型に簡単にぴったり敷き詰めることができて、しかも素朴な風合いに仕上がるのでとっても気に入りました。これからもこの方法を、うまく取り入れようと思います♪

表面はしっかりと焼き色がついています。小麦粉をほとんど入れないので、焼き上がりはスフレのようにふくらみますが、その後冷蔵庫で冷やすと、縁を残して中央はぐっと沈みます。

カットするとこんな感じに。香ばしい表面としっとりした内面と、色と食感のコントラストが楽しめました。

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24時間戦争

2020年02月07日 | 映画

Amazon Prime Video で「フォードvsフェラーリ」と同じく伝説のル・マンのレースを題材にしたドキュメンタリー映画を見つけたので、合わせて見てみました。2016年のアメリカ映画です。

24時間戦争 (The 24 Hour War)

「フォードvsフェラーリ」はハリウッド映画らしく、キャロル・シェルビーとケン・マイルズの友情をからませた内容となっていましたが、本作はずばり、フォードのフェラーリへの挑戦を描いたドキュメンタリーとなっています。

ハリウッド版より詳細かつマニアックに、ル・マンの歴史、両社の歴史からさかのぼって描かれていますが、既にハリウッド版を見ていたこともあり、話はすんなりとわかりやすかったです。

現在のフェラーリとフォードを支える、ピエロ・フェラーリとフォード3世のほか、当時のル・マンに関わっていたレーサー、スタッフのインタビュー、また記録映像もふんだんに使われています。

真摯に作られたドキュメンタリーですが、題材そのものがドラマティックなので、ゾクゾクとする興奮を味わいながら、楽しく見ることができました。

もともとフェラーリの創立者であるエンツォ・フェラーリが、ひと目でカーレースに魅せられて、レーシングカー作りに夢中になったことがそもそもの始まり。フェラーリの経営者といえば、さぞかし大富豪だろうと思われますが

得たお金はすべて、最高のマシンを作り上げるためにつぎ込んだために、まったくお金はなかったのだとか。走る芸術品であるフェラーリは、今でもエンジン音といい、車のフォルムといい、セクシーで、他の追随を許さない魅力がありますよね。

一方のフォードは、自動車は馬のいらない馬車という認識で、あくまで走るための道具だったというのがアメリカらしい。フォードがレースへの参加を決めたのも、車の売上を伸ばすためだったといいますから、あくまで経営者としての感覚だったのですね。

フェラーリはレースにお金をつぎ込むために、アメリカで車の販売をはじめましたが、一方のフォードは潤沢な資金をもとに、フェラーリに打ち勝つために最高のレーシングカーづくりに邁進していきます。本作を見て、シェルビーとマイルズの偉大さが改めてよくわかりました。

ヨーロッパとアメリカ。職人が作る芸術品と、大資本による工業製品。両社の違いも興味深いですが、命の危険を顧みずスピードとマシンの魅力に取りつかれた男たちのドラマに胸が熱くなりました。

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ジョジョ・ラビットに、ヒトラーがおかんむり

2020年02月01日 | +映画のよもやま

先日、息子に「ジョジョ・ラビット」を見たという話をしたら、Twitter の Jojo Rabbit 公式アカウントで見たというおもしろい動画を教えてくれました。

Reaction

ドイツ語のセリフに、勝手にウソの英語字幕をつけたもので

「ハリウッドでジョジョ・ラビットという映画が公開されるらしい。少年が想像上のヒトラーと仲良くなるというコメディだが、ヒトラーを演じるのはポリネシア系ユダヤ人のタイカ・ワイティティという俳優で、監督と脚本も務めている」

と知ったヒトラーが激怒するという内容になっています。^^

もとの映画は「ヒトラー~最期の12日間~」(Der Untergang / Downfall) というドイツ映画で、息子によると以前にもこのシーンにウソの字幕をつけるのが流行ったことがあるらしい。うまくセリフを合わせてあって、大笑いしました。^^

***

それで思い出したのが、大好きな「ライフ・イズ・ビューティフル」の中の、ウソの通訳の名シーンです。

Life is Beautiful (6/10) Movie CLIP - Creative Translation (1997) HD

収容所に入れられて不安になっている息子を守るために、父親が命がけでつく愛あるウソに、何度見ても涙してしまいます。

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