これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

9月の時候の挨拶は?

2023年09月24日 22時10分41秒 | エッセイ
 職場で使っているパソコン、東芝dynabookを開く。



 先日、近隣の小・中学校の校長先生宛に会議の開催文を送ろうと考え、文案を考えながらWordを立ち上げた。
「さて、9月の時候の挨拶は何だったかな」
 ビジネス文書は挨拶から始まるのが普通だ。検索すると、「秋涼の候」がトップに出てくる。だが、その日の都心の最高気温は33度。まったく涼しくない。
「ダメダメ。他のを探してみよう」
「秋晴の候」なるものもあったが、大気が不安定で雷雨に見舞われることもあり、これまた相応しくないようだ。「白露の候」にいたっては、熱帯夜の連続で朝露の影も形もないから、不適切極まりないと言わざるを得ない。
「そういえば、中学校の校長先生は教科が国語だったわね」
 ふと思い出して警戒する。アンポンタンであることは、バレずに済ませたい。
 季節外れの暑さは手紙にまで影響を及ぼしているようだ。職員室を出ると、廊下の熱気がムア~。ちょっと歩けば汗がジト~。
「ふうふう、7月に使う挨拶の方がピッタリじゃない?」
 たとえば、「盛夏の候」や「炎暑の候」などにしたら、校長先生たちは何度も首を上下に振って、力強く頷いてくれるかもしれない。まあ、やらないけれど。
 迷った挙句、私が選んだものは「仲秋の候」である。ちょっと風流で雅な雰囲気ではないか。
 そそくさとプリントアウトした開催状を封筒に収め、ポストに投函したら、土曜日から涼しくなってきた。29日の金曜は中秋の名月が拝めるようだし、やっと秋らしくなるのかと嬉しく思う。
 クーラーなしで寝られるとは、幸せだなぁ!

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群馬土産ひもかわうどんを食らう

2023年09月17日 21時27分52秒 | エッセイ
 その日の昼食は、天神峠に行ったときに購入したひもかわうどんにした。



「なになに、できるだけ大きな鍋にお湯をたっぷり沸かしてくださいってか」
 ネットで作り方を確認すると、幅広うどんのためか、通常よりもゆとりを持って茹でることが推奨されている。ならば、我が家で一番ビッグサイズのパスタ用鍋がよかろう。推定水量は10リットル。これなら文句なかろうと自信を持って臨んだが、結論からいえば甘かったようだ。
「沸騰したら、麺がくっつかないように1枚ずつお湯に入れるわけね」
 ドドッとまとめて放り込んだら、ミルフィーユになるのであろう。上から丁寧に剥がし、グラグラしている湯の中へ沈める。ここまではオーケー。茹で時間は10分なので、鍋の様子を見ながらじっと待つ。
「あれれ、麺がすごく膨らんできたよ」
 茹でる前は2cmほどの幅だった麺が、倍ぐらいの太さになってきた。こうなると、麺が鍋いっぱいに広がって、身動きがとれなくなる。入れ過ぎたかと後悔しつつ、苦しまぎれに箸でちょこちょこかき混ぜた。
「うーん、10リットル入れても4人前は無理みたい。麺を分けて煮物の鍋に1人前、パスタ鍋に3人前にすればよかった」
 次回があることを前提に、あの手この手を駆使したい。
 4cmに膨れ上がった麺は10分後に茹で上がり、水洗いをした後、ザルに上げる。そうめん用の上品な器では収まり切れないので、味噌汁のお椀を使った。



「わあ、すごい」
 家族を呼ぶと、ワンタンの皮が長くなったような麺に感嘆の声が上がる。見た目のインパクトが強烈なのは間違いない。ネットには「麺というよりラザニア」といった評価もあり、その通りだと頷いた。
「美味しいね」
「うみゃい」
 反応は上々だ。七味を掛けても掛けなくても、うどんの旨味が口の中に押し寄せてくる。計算外だったのは、1本を切らないように茹でた割に、口に入る限界は3分の1本であったことだろうか。最初から半分程度に切って茹でることをオススメしたい。
 混みあった鍋の中を箸でかき混ぜたせいか、裂けてしまった麺もあった。



 扱いは丁寧に、と自戒する。
 10月には紅葉を見るため、ここを再訪したいと思っている。
 土産はもちろん、ひもかわうどん!

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牛肉のない牛丼をことわざで表すと

2023年09月10日 09時25分59秒 | エッセイ
 平日の夕食作りは夫に任せているが、週末は自分で好きなものを作る。毎週土曜日、スーパーに行って土日分プラス翌週の弁当のおかずを買うのが常だ。
 しかし、昨日はどうしようもない買い忘れをした。
「お昼は牛丼にしようと思ったのに、牛肉スライスを忘れた……」
 紅ショウガやら玉ねぎやらは買ったというのに、何たる失態。かといって、もう一度スーパーに行く元気はない。
「小さなことはできたのに、肝心なものを忘れるってことわざがあったな」
 このパターンに一番近いのは「仏造って魂入れず」だろうか。牛丼作って牛肉入れず、という偽ことわざが浮かんできたが、それはもはや牛丼ではないと一人でツッコミを入れた。
「そうだ、弁当用に買った牛モモステーキ肉があったじゃない!」
 焼き肉用の中厚切り肉がないときは、ステーキ用の肉を5mm厚さのそぎ切りにすることがある。月曜にピカタを作ろうと思って買った肉だが、冷凍庫の豚や鶏に変更すればすむ話だ。これをさらに薄く切って牛丼用にすれば、円満に解決すると閃いた。
「おいし~い! 今日の肉は余計な脂がなくてさっぱりしているね」
 知らん顔をして食卓に並べたら、家族から褒められた。牛丼詐欺だな、これは。
 失敗は昼だけではなかった。卵が結構たまっていたので、夕食の副菜は卵の信田煮(しのだに)にしようと思っていた。信田煮には油揚げがいる。湯通しして口を開き、卵を割り入れたら楊枝で口を閉じ、砂糖醤油のつゆで煮るだけという手軽さがよい。


  (料理本からのイメージ)
 鉄分、カルシウムなどがバッチリとれる上、まろやかで家族も大好きだ。しかし、エコバッグの中には油揚げがなかった。
「しまった、これも買い忘れかぁ~!」
 うっかりにも程がある。これをことわざで表すと、「画竜点睛を欠く」ではないか。信田煮、油揚げを欠く。ぴったりではないが、一番近い気がした。
 この場合はメニューを変更しないと無理だろう。卵を消費できる別の料理を考えていたら、ジャガイモが1個だけ残っていたことを思い出した。
「卵とジャガイモを使った料理といったら、スパニッシュオムレツかな」
 レシピを検索する。ピピッときたのが、理恵蔵さんという方の「スペイン人に教わったスパニッシュオムレツ」である。材料がシンプルな上、別の作業をしながら作れる点に惹かれた。
 玉ねぎのみじん切りをたっぷりのオリーブオイルに入れ、弱火で放置、あめ色になったらさいの目切りのジャガイモを入れ、フタをして放置、ときどき塩コショウをして混ぜ混ぜ。ジャガイモがホクホクになったら取り出して、ボウルに割り入れた卵液と合わせ、フライパンで焼けばできあがり。



「珍しいね、オムレツなんて」
「いい味」
 こちらも家族に好評だった。理恵蔵さん、ありがとうございました。
 何とかなったからよかったけれど、買い物リストは慎重に作らなくちゃね。

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バーモントカレー甘口に限る

2023年09月03日 17時26分04秒 | エッセイ
 昨日、母と墓参りに行ってきた。今回は姉と娘のミキも来てくれて、4人で賑やかに墓石を拭き、花と線香を供えてきた。
 祖母の命日に合わせ、5月にお参りしたときは、雑巾がない、ゴミ袋を忘れたなどと失敗の連続だったが、今回はバッチリ。正午を回ったあたりで帰りのタクシーに乗り込んだ。
 お昼は蕎麦にしたくて、運転手にどの店がよいかを聞いてみた。
「駅前には2軒あるんですが、1軒はやめた方がいいです。もう1軒はまあまあだけど、わざわざ行くほど美味しいわけじゃないですよ」
「そうですか。じゃあ、まあまあの店で下ろしてください」
「わかりました」
 実に正直な運転手さんだった。やはり地元に人に聞いてみないと、裏事情はわからない。
 駅から2kmほど離れた場所には、有名な蕎麦屋があるらしいが、そこまでしなくてもよいだろう。
「こちらが無難な店ですよ、どうぞ」
 車から下りて店の入口を開けたら、すでに満席だった。せっかく教えてもらったけれど、これでは入れない。かといって、別の蕎麦屋に行く気はないので、眉がㇵの字になる。同じ表情を浮かべた姉と相談した。
「どうしようか」
「蕎麦じゃなくていいから、何か食べられるところを探そう」
「カレーでよければ、いつもお茶する店にあるよ」
 そんなわけで、5月にも来たカフェでランチということになった。全体的に駅前の人出は多かったが、運よくこちらは席が空いていた。81歳の母にメニューを説明する役は娘に任せて、私も食べたいものをチョイスする。うーん、肉が食べたいな……。
 まずは姉が口火を切る。
「みんな決まった? アタシも野菜カレーにするわ」
「ミキはハヤシライス」
「角煮カレー」
「おばあちゃんも野菜カレーだって」
 母が「ご飯は少なめにして」とつけ加える。
「わかった」
 あら、ご飯の量を減らすなんて珍しい……。母は年の割にはよく食べる方なのだが。そういえば、昨年4月に腸の手術をしているし、年々体力は落ちているだろうから、もっと気をつかわないといけないのかもしれない。
 そんなこんなで体調に気を取られ、母の味覚をコロッと忘れていた。
「お待たせしました」
 角煮カレーが来たぁ~!



「ご飯少なめの野菜カレーです」
「あ、こっちです」
 母の前にトレイを誘導する。野菜が意外に大きくて、箸を使った方が食べやすいようだ。箸を持ったついでなのか、母は先に野菜を全部食べてしまい、ご飯とルーが残っていた。スプーンに持ち替え、ご飯を2~3回口に運ぶと、困ったようにつぶやく声が聞こえた。
「あれえ、これは辛いね」
 そこでやっと思い出した。母は山葵の辛さなら平気なのだが、カレーはハウスバーモントカレーの甘口でないと厳しいのだ。この店のカレーは、実際には中辛程度なのに、ひと口食べては水を飲み、ツラそうに食べている。野菜はひとつも残っておらず、ご飯を減らしたことも裏目に出たのだろう。ハヤシライスを勧めればよかったと後悔した。
 まだ私が小学生だったとき、母の友人である美容師さんの店に遊びに行ったことがある。髪を切ってもらって、夕飯にカレーをいただいた。だが、このときも母は辛くて食べ切れず、母のカレーに慣れていた私も口の中が燃えていた。
「食べさせたくなくて、うんと辛くしたんだ。もう友達じゃないよ」
 母はそう決めつけ、帰り道では悪口が止まらなかったが、私は違うと思った。きっと、美容師さんの家では普通の辛さなのだけど、母にとって過酷な辛さだっただけ。学校の給食だって、カレーはまあまあ辛いのだから、中辛以上にチャレンジしていこうと子どもなりに考えた。今では辛口だって問題ない。

「ふー、食べられたよ」
 頑張ったようで、母の皿がからっぽになった。多少はホッとしたけれど、無理をさせてしまったかと気が引けた。
 調べてみたら、カレーが辛いときには、メープルシロップやハチミツをかけると食べやすくなるらしい。
 次の墓参りは1月を見込んでいる。
 ハチミツは……一応持っていく?

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