これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

「だいせん」ではない冬の大山へ

2023年02月26日 21時18分23秒 | エッセイ
 神奈川県伊勢原市にある大山(おおやま)に登らないかと、親友の幸枝からお誘いを受けた。
「2月かぁ。夏の装備しかないから、寒さ対策をしなくちゃ」
 イメージとして、吹雪でホワイトアウトとなった札幌市が浮かんできた。凍えてしまうのではないかと心配する。
 店員さんに聞いたら、レインウエアの下にダウンを着る程度で対応できるというので、早速購入した。



 袖のタグは何に使うのだろうか。



 アウトドア用品は謎が多い。ご存じの方、ぜひ教えていただければ。
 小田急線に乗り、伊勢原駅で下車後、バス停へ。
 早速、阿夫利(あふり)神社の鳥居がお出迎えだ。



「元々は雨降山(あめふりやま)だったのが、阿夫利山になったんだって」
 雑学に詳しい幸枝が解説をする。そういうわけか。
 バス待ちの行列がどんどん長くなっていく。交通の便がよいため、人気のスポットなのだろう。空は青く、絶好の登山日和とテンションが上がっていった。
 バスの終点から歩いてケーブルカーへ。



 歩いて登る手もあるが、初心者は楽をした方が無難であろう。



 阿夫利神社駅で下り、まずはお詣りをした。





 おみくじを引いたら「小吉」。幸運は控え目な方がよさそうだ。



「ボトル持ってきた? お水を汲みに行くよ」
「うん、持ってる」



 事前に幸枝から「大山の名水を味わおう」と言われたので、空のペットボトルを持ってきて正解である。クセがなく、実にのど越しのいい名水がいただけるので、ぜひご賞味を。
 山に入る前に、セルフでお祓いをする。



 シャカ、シャカ。
 お守りも受け取り、いざ出陣!





 バスの行列の通り、山道には結構な人がいた。速い人には道を譲り、挨拶を交わして登っていく。
「富士山が見える」
「ホントだ」



 雲が掛かっていて、最初は残念だと思ったが、改めて見ると、富士山がイメチェンしようと髪を巻いたように見える。これはこれで面白い。別の方角には江の島も見えた。
 山頂まで90分ほどだったろうか。一週間前に降った雪のせいで、ぬかるんだ場所もあったが、割に歩きやすい道だった。ただし、登り続けていくと、だんだん暑くなってくる。
「ちょっと休憩しようよ」
 日頃から鍛えている幸枝と違い、私は運動不足である。30分も歩くとバテバテになった。立ち止まった途端、汗がどっと噴き出してきて、額を伝ってきた。
「わぁ、汗が目に入った! 暑い暑い」
 全身から湯気が立ち昇っていたに違いない。すぐにレインウエアを脱いだが、なかなか涼しくならない。明らかに着過ぎたとわかった。
「大丈夫?」
「まあ何とか。よし行こう」
 気を取り直して山頂を目指す。山には高齢者が多く、懸命に登る姿を見ると、弱音は吐けない。幼児も犬も登っている。刺激をもらって私も行列に続き、何とか山頂に到着することができた。
「奥の院だって」
「すご~い」



 景色も最高だ。



 山頂には休憩できる茶屋があり、焼きおにぎりを食べて栄養補給をした。
 景色を堪能したあとは、山を下る。集中力が切れたせいか、足を滑らせ、2回尻もちをついた。いててて。
 下りの山も絵になる場所が多い。





 山はいい。自然に触れ、新たな仕事のアイデアが生まれてきた。
 また、どこかの山に行きたい。
 今度は、汗だくにならぬよう軽装でね。

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2023 ししゃもを贈るバレンタイン

2023年02月19日 20時32分53秒 | エッセイ
 コロナ禍以前はバレンタイン特設会場に行き、目で楽しめるチョコを選ぶことが楽しみだったが、ステイホームが続いたせいか、すっかり面倒になってしまった。
「どうせ夫にやるだけなんだから、スーパーで十分でしょ」
 チョコレートに対する興味や買い物に行く意欲がなくなったのであろう。さっさと済まそうと、1月早々に30個入りの豪華な詰め合わせを購入した。しかし、母の誕生日に送る品が足りず、どうしようかなと困ったとき、この詰め合わせと目が合った。
「また買いに行けばすむよね」と簡単に考え、母あての段ボールにしまい込む。「横流し」とはちょっと違うが、決して褒められた行為ではない。しかも、次の週には同じものを買いに行ったら、すでに売り切れていた。
「あらっ、ちょっと予想外……」
 近隣の主婦たちも「安近短」で済まそうと企んでいたに違いない。代わりの商品を購入したが、これといった特徴がなく、少々不満であった。何かインパクトのあるチョコはないかと探したら、生協のカタログに、串に刺さった「子持ちししゃも」のチョコレートが載っていた。
「これだ!」
 メインは決まった。あとは六花亭のストロベリーチョコやトリュフなど、私の好きなものを加える。本命チョコは、もはや死語かもしれない。家族チョコとして、自分の好みを揃えることしか考えなかった。
「パパ、これどうぞ」
「ありがとう」
 夫はチョコがいくつも入った紙袋を開け、中身を確認していたが、ししゃもで手が止まる。
「なんだこれ」



「ししゃもだ」
「面白いでしょ」
「うん」
 彼はパッケージを見て「あはは」と笑った。
「製造元は香川県、販売元は愛知県か」
 しかし、なぜか食べようはとせず、紙袋に戻してしまった。代わりに、確実に美味しいとわかっているストロベリーチョコを手に取り、開封してバリバリと食べ始める。リンツの丸いチョコにも気づき、結構な速さで封を切った。
「…………」
 ちょっと気に入らない。ししゃもチョコはどうするのか。
「今日はもういいや」
 夫はパジャマを持って風呂場に向かった。ひと風呂浴びたら、テレビを見て寝るつもりだろう。私はししゃもが気になり、彼に代わって封を開けた。
 個包装の中も、ししゃもになっている。



 甘さは控え目。割にさっぱりしたチョコレートであった。
 塩気のあるイメージで後回しにしたのかもしれないが、1個食べられたと知ったら、あわてて頬張るのではないか。
 といっても、賞味期限は今年の11月。
 ゆっくり食べなさいねと言っておこう。

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サボるメール

2023年02月12日 19時46分34秒 | エッセイ
 私のスマホは、ホーム画面が厳島神社の大鳥居になっている。これにしてから何年たつだろう。コロナ禍以来、旅行をしていないから、変更する写真がない。



 夫に帰るメールをしたあと、友達にも「何時に待ち合わせる?」メールをした。
 ところが、待てど暮らせど、どちらからも反応がない。実は送信できていなかったと気づいたのは翌日だった。
 日曜日、スマホで撮った写真をブログに使うため、PCに転送した。ところが、PCにも届いていない。
「どうなってるの?」
 メールのアイコンを睨みつけたが、根本的な解決に至るはずもなく困った。
 どうやら、送れるメールと送れないメールがあるようで、その違いがわからない。
「連絡したつもりで、届かなかったら信用問題だよね……」
 そこで、送信済みになっているかを、いちいち確認することにした。



 母の誕生日にプレゼントを送る際も、「○日の午前中に届くから出かけないでね」とメールを送り、送信ボタンを押したらメールボックスを見る。
「よしよし、送信済みになったぞ」
 友達と待ち合わせの日程を決めるときも、メールを送ったらメールボックス。ブログ更新のときも、写真を送ったらメールボックス。
「はあはあ、結構めんどくさいな」
 そしてついに、メールが怠ける場面に遭遇した。
「あっ、送信済みに入っていない!」
 そのメールは夫あての「冷蔵庫にプリンが入っているよ」という、実にどうでもいい内容であった。重要度を審査されるはずもないが、届いていないのは確実と見た。
 ところが、次の瞬間、受信ボックスの上に「送信」というフォルダが一時的に現れ、3秒後には消えていった。
「なに? 今のは」
 再度、送信済みフォルダを確認すると、先ほどのメールが時差で送られている。つまり、メールボックスを確認すれば、いやいやながらも働いてくれるとわかった。
 送信したら確認、送信したら確認と、見張りのように繰り返す。一時的な「送信」フォルダはその後もしばしば登場した。ひょっとして、データが詰まっているのではないか。
「もしかして、いらないメールを削除すれば、もっとスムーズになるかも」
 だんだん、スマホの気持ちがわかった気になってくる。Outlookだって、容量を超えるとメール送信できなくなるではないか。送信済みフォルダ、ゴミ箱のメールをすべて削除すると、かなり動きがよくなったように見えた。
「てことは、自分のせい?」
 サボっている、なんて決めつけてゴメーン!

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よい枕の条件

2023年02月05日 21時10分04秒 | エッセイ
 朝、起きたときに首が痛いと娘が言う。
「枕が寿命なんだと思う。新しいの欲しいなぁ」
「お母さんのもへたってるから一緒に買おうか」
 夫の枕はどうだか知らないが、ひとまず2個買うことにした。店頭まで行くのは面倒なので、生活雑貨のカタログを見て探すことにした。
 よい枕の条件は何だろう。高さ、硬さ、形、耐久性といったところではないか。これまでの経験値から、「ブレスエアー枕」というのがよさそうに見えた。
「2個入りがあるよ」
「いいね、注文しておくから」
「早く使いたいな」
 もはや直感だが、手応えを感じる。きっと、よく眠れるようになるだろう。
 5日後に商品が届いた。しかし、箱を開けてみると1個しか入っていない。
「あれえ、2個入りを頼んだつもりだったんだけど」
 ときどき、違うものを注文してしまうことがある。数字をひとつ間違えたり、書き忘れたりするのだ。でも、請求書を見ると、ちゃっかり「2個組」なんて書かれているし、お値段も2倍になっている。品違いであろう。
 会社に電話をした。
「あのう、2個入りの枕を頼んだのですが、1個しか入っていませんでした」
「大変申し訳ありません。お手数ですが、送り返していただけますか。すぐにご注文の商品をお送りします」
 娘と顔を見合わせた。
「できれば、届いたものはすぐに使いたいんですけど、送らないとダメですか」
「はい。交換になりますので」
 どうにも解せない。だんだん面倒くさくなってきた。
「じゃあ、2個入りはキャンセルで、支払いは1個分にしていただけませんか」
「……係の者に確認しまして、折り返しますので少々お待ちください」
 結局、返送不要、あとからもう1個送ってもらうことになり、予定通り2個購入した。会社のマニュアルが、ユーザーの希望に沿っているとありがたいのだが。
 さて、ひと悶着あったブレスエアーだが、これがとてもよい。
 見た目は地味だ。



 ファスナーを開けると、弾力性のある本体が顔を出す。



 感触としては水枕に似ているかもしれない。沈み込まず、頭を優しく支えてくれるような心地よさを感じた。
「ぐう~」
 よく眠れるし、首が痛くならない。娘も「そうそう」と同意していた。2個入りを買って正解だったと思う。
 昨日は久しぶりにワクワクする夢を見た。
 よい枕の条件に、「楽しい夢を見られること」を加えたりして。

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