これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ひじきご飯はいらんかね

2022年09月25日 21時57分12秒 | エッセイ
 前回の防災グッズから思い出した話である。
(関連記事「お袋のワザが光る焼きおにぎり」はこちらから)
 どの学校でも防災訓練をするものだが、コロナ禍により、さまざまな制限をしている。たとえば、AEDの使い方や心臓マッサージを教わるときは、一回ごとに器具を消毒し、感染防止に努めなければならない。
 非常食の炊き出しも同様だ。令和2年度以降のルールとして、作る練習はよいけれど、生徒は作ったご飯を食べられないことになっている。食事は感染リスクの高い行為なので、なるべく避ける必要がある。
「食べられなくてもいいから作ってみたい」
 防災訓練の一環として、各クラスの当番が集まり、炊き出し班の活動をした。
「じゃあ、箱の中身を開けてください。カッターも入っていますね。必要なものが全部まとまっているんですよ」
 担当教員がマイクを使って、作り方の指示をする。



 学校で購入する非常食は、1箱50食分なので結構重い。
「じゃあ、段ボールを包むように、アルミシートとビニールを外側に折って」



 当番4人で力を合わせ、せっせと作業が進んでいく。
「カッターでアルファ化米の袋を切って、箱の中に入れましょう。炊き込みご飯の具材も一緒にね。乾燥剤があったら出してくださーい」



「おしゃもじもありますね。お米と具材をよーく混ぜてください」



「混ぜたら、ポットのお湯を袋の線まで入れましょう」



 ジャジャジャジャジャー。
 お湯だと15分ほどででき上がる。これをパックに盛り付けるところまで、当番が体験していく。
「できた!」



 パックは全部で300個となった。しかし、教職員は60名。はたして食べ切れるのか?
「やっぱり、食べ物を捨てるのはよくないですよ。事業ゴミは有料だし、一人3パックぐらいは食べてもらわないと」
 経費を担当している事務室から、もっともな話をされた。これは頑張らないといけない。
「そういえば、2時に都庁から4人、お客さんが来ますよ」
「おみやげに持って帰ってもらおうか」
「そうしよう。紙袋、紙袋」
 これで12パックは減る。
 職員室にはズラリとパックを並べておいた。
「えっ、食べていいの? ちょうどお腹が空いたからありがたい」
 若手男性は3パックどころか、5パックぐらい持っていってくれた。若手じゃなくても、女性でも、2~3パックは食べてくれる。順調に減ったところを見届けて、私もひじきご飯の味見をする。



 まあまあ美味しいで~す!
 しかし、ラストの6パックがなかなか減らない。時計を見ると、そろそろ17時になるところだ。勤務時間が終わる前に、なんとか押し売りしないといけない。
「○○さん、ご飯食べた?」
「見て下さいよ、あと4パックあります」
「失礼……」
 すばやく左右に視線を流し、パックのない机を探した。
「××さん、まだ食べられる~?」
「あ、じゃあいただきます」
「やったぁ!」
 すかさず2パック手渡した。あと4パックで完売なのに、職員室はもう飽和状態らしい。新たな引き受け手を求めて事務室に移動する。ここでは女性職員が2名、せっせと作業をしていたが、予想以上にガードが固かった。
「ご飯どうですか」
「大丈夫でーす」
 きっぱりと断られ、取りつく島もない。事務室の奥には校長室があるが、校長先生は主張中で、17時半に戻ることになっている。しかし、部屋にカギはかかっていない。女性たちと目配せして、ご飯の行き先が決まった。
「2パック置いちゃえ、置いちゃえ」
「わははは」
 何という部下なのか。いや、この際、上下関係を気にしてはいけない。とはいえ、校長先生が部屋に入ったら、さぞやビックリするだろうな……。
 最後に残った2パックは、私が1つ、近くに席の職員が1つ持ち帰ることで解決した。300パックを無駄にすることなく消費し、実に満足のいく防災訓練となった。
 その夜、体重計に載ったら……。
 そりゃあ、増えるでしょうね。
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お袋のワザが光る焼きおにぎり

2022年09月18日 20時39分23秒 | エッセイ
 休日くらい、ちゃんとした朝食をいただきたい。
「えーと、お昼はお好み焼きだから、朝はご飯にしようかな」
 わが家は1階に夫、2階に私と娘が住んでいる。洗濯や風呂、夕食は共同だが、それ以外はほとんど顔を合わせない。もちろん朝食も別である。
「よし、焼きおにぎりにしよう」
 女2人で米1合を平らげるのはキツい。3分の2合ぐらいがちょうどよいのだ。
「そういえば、災害用の炊飯グッズがあったじゃん。練習しようかな」
 その名も「お袋のワザ」。



 たしか、20年前に買ったものだが、手元にあるだけで安心してしまい、すっかり忘れていた。大掃除で床下収納庫を整理したとき、未開封の状態で発見され、近いうちに使おうと思っていたからちょうどよい。
 中には不織布の袋と竹串が入っている。



 作り方が書いてある説明書を裏返すと



 折り目がついていることに気づく。



 これを組み立て、目一杯のところまで米を入れると1合、5mmほど下の点線までにすると3分の2合を計ることができる。



 ジェラートのコーンみたいな雰囲気だが、繰り返し使うので、計量したら伸ばしてしまっておく。
 米は洗わず、そのまま袋へ入れる。3分の2合だと、2回折り返して竹串でとめる。袋に穴が空いているので、「えいやっ」と振りかぶる必要はない。



 これを沸騰したお湯に入れ、20分から30分茹でる。



 わが家の米は無洗米だから都合がいいが、ぬか付きの米であれば、鍋のフタを外すとニオイがつかずに美味しく仕上がるらしい。
 最初だから25分茹でてみた。フタを開けると、袋がパンパンに膨らんでいる。



「おおっ!」
 がっついてはいけない。まだまだ。このあと湯から引き上げ、空の鍋で蒸らす作業が待っている。



 待つこと10分。炊飯器で炊くのとほぼ変わらない、ホカホカ、フワフワの白飯ができ上がった。
「よーし、おにぎり、おにぎり」
 これをバターで炒め、醤油をかけて皿に盛ると、ホリディモーニングのでき上がりだ。



 グレープジュースを添えて、いただきま~す!
 私は硬めの白飯が好きなのだが、これはかなり軟らかい。水加減ができないから、茹でる時間を15分ぐらいに短縮してはどうかと考えた。
 茹でたあとのお湯と袋は、繰り返し使うことができる。また、鍋で直に煮炊きしないので、洗い物に使う水も節約できる。よく練られた商品であると感心した。
 でも、災害が起きないことが一番ありがたい。
 台風14号の被害が小さくてすみますように。


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メモにもなります

2022年09月11日 20時53分41秒 | エッセイ
 昨日、9月10日は天気もよく、中秋の名月を見ることができた。
 東の空を見上げると、まん丸のレモン色の月がぽっかりと浮かんでいる。
 レモン色というより、淡黄色というべきなのか。柔らかな色の円形に気持ちが和んだ。
「うさぎまんじゅうさえ食べられれば、月は見るだけでいいや」
 あいにく、準備が悪くて、うさぎまんじゅう以外は何も用意していない。涼しくなったのはよいが、蚊が活動を始めたこともあり、写真を撮りに行く気もなかった。
 私は蚊に刺されやすいのだ。先日は、蚊だけでなく、レインブーツに潜んでいたと思われるダニにも刺された。痒い思いはもう御免。窓枠にはまった網戸の格子模様を邪魔に感じながら、部屋の中でダラダラ過ごす。
「あらキレイ。撮りに行こうかな」
 一方、娘は元気がある。蚊にも刺されにくいし、ダニにも刺されていないらしい。いそいそと一眼を取り出し、ベランダに出ようとしていた。
 ふと、月を撮るときのカメラ設定を思い出し、声をかける。
「月専用の撮影モードがあるらしいよ。家の中で準備しておけば」
「へえ、どんなの?」
「えーと……」
 最近は、紙ではなく電子のメモを取るようにしている。紙はすぐ行方不明になってしまうので、スマホのメモがありがたい。しかし、スマホにカメラ設定メモは保存されていなかった。
「となると、こっちかな」
 自分のブログを開き、「名月」のキーワードを入力する。検索すると、すぐ目当ての記事がヒットした。



「あった、あった」



「何だ、お母さんのブログじゃない」
「ここに書いてアップしたから」
 ブログの新しい使いかたというべきだろうか。これからますます物忘れがひどくなっても、情報提供型の記事に変えておけば、「メモはどこじゃ?」と悩むことはなさそうだ。
「やってみる」
 数値を合わせて5分後、意気揚々とした様子で戻ってきた。
「撮れたよ! すごい!」
 これが、昨日娘が撮った月。



 そして、こちらが2017年に私が撮った月。



 色の違いはカメラの性能の差かもしれないが、変わらぬま~るい姿に安心した。
「でも、トリミングの構図がほとんど同じ……」
 5年たっても、美的感覚は何も進化しなかったってことかな。
 来年は、ちゃんと準備をして、少し変わったことをしたい。


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ワインを飲んだときの経済損失

2022年09月04日 21時04分41秒 | エッセイ
 私はワインを愛している。
 好きなのは、スパークリング、白、赤の順。ロゼはあまり好みでない。炭酸の強いシャンパーニュだと、「早く飲みたいっ」と朝からテンションが上がる。
 しかし、残念なことに、アルコールに強い体質ではない。グラス1杯で酔いが回り、やたらと明るい気分になって騒いだ挙句、家族から厄介者扱いを受ける。娘からは「もう飲まないでよ」と叱られることもままある。酒を飲んだはずが、飲まれているパターンだ。
 金曜の夜なら、酔っぱらったあとは寝ればよいが、土曜や日曜の昼はよくない。ランチを作りながら飲み、食べる頃にはすっかりでき上がっている。せっかく作った料理の味をおぼえていない上、食後は気持ちよく昼寝をするものだから、起きたときは夕方だ。
「あれっ、もうこんな時間。夕飯を作りはじめないと」
 という具合で、一日が非常に短くなってしまう。
 特に、今はペーパークラフトや、木目込み細工などの趣味に時間を費やしたいので、酔っぱらってガーガー寝ている場合ではない。
「うーん、この無駄な時間をお金に換算すると、年間でいくらの損失になるんだろう……」
 そんなこんなで計算をしてみた。
 平日と日曜の夜は飲まない。私はむくみやすい体質なので、アルコールと水で膨れた顔のまま出勤する破目にならぬよう、金曜の夜、土曜の昼、土曜の夜、日曜の昼に限って、飲酒をしている。
「料理の記憶がないってことは、ランチ代半額程度の無駄ってことだから、まず1000円」
「昼寝と寝起きでボーッとしている時間合わせて2時間だから、5000円」
 趣味にかける時間は貴重だ。このぐらいの価値はあるだろう。
「筋トレができなくなると、健康に影響が出るから2000円」
 それらしい根拠で、土曜の昼・夜に飲酒をすると8000円の損失、日曜の昼だと2000円の損失と割り出してみた。ボトルを開けると、ボトル代1000円プラス10000円の損失と計算すればよい。ひと月だと44000円、年間にして52万8000円の損失となる。
「なんか、飲むのがバカらしくなってきた」
 そう感じたらしめたもの。
 実は、この作戦を7月から始めてみて、ほとんど飲まずに休みの多い8月を終えることができた。9月もこの調子で、損失回避を動機づけに、なるべくノンアルコールで充実した休日を過ごしたいと計画している。
 金曜の夜だけは例外だ。ボトルを開けると飲み過ぎにつながるため、缶のスパークリングワインを飲んでもよいことにしている。



 一本250㎖。夕食時に開けて、飲み切ってしまえば、土日は健康的な時間が待っている。
「ああ、飲み終わっちゃった。もう一本欲しいなぁ~」
 そこは我慢我慢。
 ああ、次の金曜日が待ち遠しい。


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