これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

國學院大學博物館と神道

2022年08月28日 22時24分04秒 | エッセイ
 日常的に渋谷を利用するようになったので、駅から徒歩13分で行かれる國學院大學博物館に行ってみたくなった。
「ふむふむ、お盆明けは12時開館、16時閉館の短縮時程とな」
 ちょうど、ランチタイムに掛かる時間帯ではないか。すかさず、大学のホームページから学食のメニューを確認する。
「なになに、一般の方もお気軽にどうぞ、なんて書いてあるぞ」
 ホッホッホと笑みが漏れ、食べる気満々でキャンパスに到着した。



 しかし、校舎入口には「感染症対策につき大学関係者以外の立入禁止」という無慈悲な貼り紙があった。
「あれぇ~」
 詐欺にあったような気がしたが、この感染状況では仕方がないか。自分がウイルスを持っていない保証もないし、掲示物に従い、すごすごと引き返した。シンプルに博物館だけ入ることにする。

 

 入場は無料。館内は国学ゾーン、神道ゾーン、考古学ゾーンに分かれており、神道ゾーンでなければ撮影もできる。
「国学……国学ってナニ?」
 そもそも、ここは國學院なのだから、学びの根幹をなす学問なのではないか。調べてみると、儒学や洋学といった海外の学問に対抗して、日本古典を研究し、日本固有の精神を明らかにしようとする学問らしい。
 あっそ、ふーん。
 ……興味がわかないことを申し訳ないと思う。
 反面、かなりの熱意を持って、ガラスにへばりつきそうな勢いで見たのは、有栖川宮家ゆかりの品々である。











 どれも煌びやかで、うっとり見惚れてしまった。



 冒頭の食器類もステキ!



「さて、次は神道か」
 神道は、八百万の神々を信仰するわが国独自の宗教であるから、国学との関わりが深い。
 結構なスペースを確保して、神社の何たるかをあれこれ展示していた。とりわけ、大嘗祭のジオラマや供物は見ごたえがあった。ものが不足していた時代に、高価な物資を調達できる権力の大きさが理解できる。
 でも写真がない……ううう。
 國學院大學のホームページを見たら、「神道文化学部」の説明が載っていた。



 仏教やキリスト教の学部を設置している大学はいくつか知っているが、神道は初めて見る。とても新鮮に感じた。
 進路先一覧も載っていた。やはり、神社界への就職が多いようだ。中には日光東照宮、靖国神社、鶴岡八幡宮、伏見稲荷大社、太宰府天満宮といった、超有名神社に進んだ方もいるらしい。
「すごーい」
 かと思えば、東日本旅客鉄道とか、練馬区役所、船橋市役所だけでなく、石川県警、自衛隊などの進路も載っており、多様な希望を叶えているとわかった。学生・卒業生インタビューなるものも準備されていて、受験生でなくても勉強になる。実に丁寧な構成に、ひたすら感心した。
 最後は考古学。



 一大学のコレクションとしては、相当な数に上っている。











 日本の北から南まで、よく集めたものだと思う。特に和光市や深谷市、大田区、世田谷区、市川市など、首都圏からの出土品には興味がわいた。比較的、家や職場から近い場所で、大昔から農耕が行われていたとはロマンだ。
「渋谷のはないのかな」
 渋谷区でも弥生時代の住居跡が見つかっているが、それらしい土器は見当たらなかった。かけらでもいいから、あれば展示してくれるといいのに。ぜひ拝見したいではないか。
 順路の通りに進むと、出入口に戻ってくる。かなり楽しめた。
 8月31日から、企画展が始まるようだ。ちゃっかりチラシをもらってきた。



 また行くので、よろしくお願いしま~す!


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平等院鳳凰堂は家でも作れる

2022年08月21日 15時21分12秒 | エッセイ
 ペーパークラフトの平等院鳳凰堂を買ったのは、2021年1月2日だった。



 忙しいとか、気が向かないなどといった理由で、ず~っと放置したままだったが、ついに「やる気」が訪れた。この機を逃してはならない。
「よおし、お盆までに完成させるぞ!」
 さっそく箱を開け、パーツを確認する。やけに細かい。



 こんな感じのものが20枚ほど入っていて、それぞれをミシン目から切り離し、山折り谷折りの指示に沿って折り曲げ、糊で貼りつけるのだ。



 この糊、普段はおとなしく立っていてくれるが、ときどきひっくり返り、テーブルから転がって逃亡しようとする。スムーズに進むよう、機嫌をとりながら作業した。
 説明書はいたってわかりやすい。





 忠実で正確なイラストに、ひたすら感心するばかりだ。描いた人を尊敬する。
 難をいえば、表と裏の区別がしづらいところだろうか。始めてすぐに間違え、あわてて直した。



「くうう~っ」
 黒いパーツを触ったあとは、手が汚れてこんな色に。この手で顔を触ったら大変なことになる。



 小さな問題をクリアしながら進めた。少しずつでき上がっていくにつれ、達成感がじわじわと湧いてきて楽しい。
 私は比較的大雑把な人間なのだが、こんな小さなパーツにも根気よく糊をつけ、他のパーツの窪みにはめこんでいく。自分でも意外に思うほど、飽きることはなかった。



 人間は、いくつになっても、少しずつ前進していくのだと実感する。拙速に結果を求める年代でなくなった今は、時間とやる気さえあれば、誰にでも完成させられる娯楽であるとわかった。
「できた!」



 このアングルよりも、水平に見た方が好きかも。



 はい、これですこれ。
 友人曰く、「平等院は、他の寺院と違って、雲の上感を感じる。まったく別格」なのだそうな。
 以前、京都旅行で見たはずだが、そこまでの想いはなかった。
 細部まで知り尽くした気がする今、あらためて訪問してみたい。


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2022年8月9日

2022年08月14日 21時37分22秒 | エッセイ
 今年の夏休みは、8月9日から6日間。
 初日の9日は仕事半分、遊び半分で渋谷に行く。目当ての一つに渋谷マークシティの絵があった。



 岡本太郎氏の『明日の神話』である。
 ちょうど、この日は長崎原爆の日である。原爆炸裂の瞬間と、そこから立ち上がる人々の力強さを描いたという力作が見たかった。
「柱が邪魔だけど、すごい迫力。来てよかった」
 とはいえ、通勤経路に飾られていると、絵の価値を感じない人が多いかもしれない。立ち止まって写真を撮る私は、ごくごく少数派に属していた。もったいないことだ。
 その足で道玄坂に出て、与謝野晶子の歌碑に到着する。



「母遠うて瞳したしき西の山 相模が知らず雨雲かゝる」
 与謝野晶子は道玄坂付近に住み、新婚生活を送っていたが、楽な生活ではなかったという。この碑に刻まれているのは、生家のある大阪の方向を向き、母を懐かしんで詠んだ歌らしい。自由奔放な歌人というイメージだったが、やはり人の子。母親を恋しく思う気持ちが伝わって、一気に親近感がわいた。
 終戦記念日の8月15日には、晶子さんのこの歌も思い出したい。
「あゝをとうとよ、君を泣く、君死にたまふことなかれ」
 非国民と罵られても、自分の率直な感情を発信できる女性であったことに敬意を持つ。
 この日はとても暑かった。涼を求めて、道玄坂から北に進み、東急百貨店を目指す。
「あれ、10:30開店だって」
 3階の丸福珈琲店では、戸栗美術館とのコラボメニューとして「古伊万里焼でのチーズケーキセット」なるものがいただけると知り来たのだが、早過ぎたらしい。まだ10:15であった。



 ネットにアップされた写真がうらめしい。
「じゃあ、Bunkamuraに行こう」
 ロビーラウンジでケーキセットを頼んだ。隣接するこちらは10時開店なのがありがたい。古伊万里でなくて残念だが、盛り付けがなかなかオシャレ。



 要は、涼しくて飲み食いできれば、どこだっていいということであろう。
 食後、ちょこちょこっと用事をすませ、代官山でランチをする。
 以前から、シェ・リュイが気になっていた。











 予想よりもカジュアルな店だったので、気軽に来られることに安心する。お料理よりも、グラスシャンパーニュ、グラススパークリングワインがお手軽価格で飲める点を、高く評価したい。
 帰りは池袋で下車し、西武に寄って服を見た。先日、4階のイッセイミヤケが8月21日をもって終了とのハガキをもらっていた。最後に何か買いたいと思ったのだが、期待通りの品がなく、手ぶらで帰る破目になってしまい残念だ。
 しかも、帰りの電車でスマホを開くと、「三宅一生氏死去」というショッキングなニュースも飛び込んできて、二重に衝撃を受けた。
「嘘でしょ、何てこと……」
 この日、私が着ていた服は、2016年あたりに買った、イッセイミヤケのワンピースであった。



 着心地がよく、家で洗濯できるため、かなり活躍している服といえよう。安い買い物ではないけれど、好きな服を着られる喜びを教えてくれたのは三宅氏であった。御礼と伝えるとともに御冥福を祈りたい。
 そんなこんなで終わった8月9日。
 この夏で一番、心に残っている。


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直感を信じますか

2022年08月07日 21時10分11秒 | エッセイ
 6月あたりから夜更かしの習慣がついてしまった。
 もともと私はショートスリーパー。睡眠時間4~5時間でもどうってことはないが、目にはよくない。
「なんか乾燥するな。ドライアイが悪化したみたい」
 まばたきの度にこすれるような不快感があり、視力も低下してきた。裸眼だと0.1ないのに、これ以上落ちたらマイナスになってしまう。なんてはずないけど心配だ。
 さらに認知症リスクが上昇する。たっぷり眠って脳内のゴミを排出しないと、やがてはご近所を徘徊したり、料理を作れなくなったりして、娘に迷惑をかけそうな気がする。来年だったらどうしよう。
 しかし、いいこともある。睡眠不足が続くと、不思議なことに直感が冴えるのだ。
「ねえ、あなたってさ、学生のときバスケやってなかった」
「えー、何でわかるんですか。やってましたよ」
「ふふふ、なんとなく」
 当てずっぽうかもしれないが、不意に相手のイメージが画像で浮かんでくるときがある。尋ねてみると、結構な確率でその通りだったりする。決して理屈ではわからないことが起きるのだ。
 先日、Facebookを見ていたら、こんな広告が表示された。



「板谷波山? 知らないなぁ。でも気になる」
 何だかピピッと来てしまった。
「絶対、これは姉も好きなはず」
 一種の決めつけである。すぐ姉に連絡を取り、一緒に出光美術館に行こうよと誘いをかけた。ついでにランチもしようと店を探す。自分でも性急だと思ったが、直感がそうしろと言っている。
「8月だったら行けるから、別にいいわよ」
 姉はさほど乗り気でなかったけれど、断る理由もなかったようで、快くつき合ってくれた。しめしめ。
 思った通り、展示は素晴らしい作品ばかりだった。


  (リーフレットより)

 何より色彩がよい。「薄衣に包まれたような気品」と評されるように、幻想的で、魔法をかけたような色づかいが新鮮だった。リーフレットの文字も、波山カラーというべき色で描かれている。



 服のコーディネイトにも、この色の組み合わせが使えるような気がする。うん。
 美を堪能したあとは、食を楽しむ時間となる。目指すは東京會館である。
「ビーフステーキ丼にしよう」
「そうしよう」



 スープはミネストローネで、ちょっと熱かったけれど、牛肉にマッチした。
「食後はマロンシャンテリーかしらね」
「だね、だね!」



 東京會館ならではのデザートに舌鼓を打つ。おいし~!
 そんなこんなで、姉との美術鑑賞は楽しく充実していた。やはり直感は大事にしたい。

 学生時代の友人が、一昨日誕生日を迎えた。SNSでメッセージを送るため文章を考える。どうせなら、自分ならではの言葉で祝意を伝えたいと頭をひねったら、南国でグラスを片手に、曲に合わせて踊る友人の姿が浮かんできた。イメージをそのまま文字にする。
「○○くん、誕生日おめでとう。南の国でレゲエを聞きながらお祝いできるといいね」
 少しして、友人から返信があった。
「ありがとう。かなり理想。若いときは、南の島の王様になるつもりだったんだよね」
 よかった、喜んでもらえたみたいだ。
 でも、目と脳のために、睡眠時間は6時間ほしいところだ。弁当のおかずや趣味の時間を短縮するようにして、早寝しなくては。
 じゃあ、直感はどこに行く?


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