これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

涙じゃないけど、前が見えません

2021年05月30日 20時27分40秒 | エッセイ
 去年の今頃は、臨時休校明けで、イベントどころではなかったが、今年は感染対策を徹底して中学生向けの高校進学関連の催しが予定されている。今日は、私塾主催の受験相談会に高校側として参加してきた。
「検温はこちらです」
「フィエスシールドの着用をお願いします」



 会場のあちらこちらに手指消毒用のアルコールが配置され、室内の換気も万端だ。人数制限をして、密にならない工夫もあることに感心した。
 しかし、今日は気温が高かったからか、フェイスシールドとマスクの両方をして会話すると、1分もたたないうちに視界が悪くなる。
「うわ、フェイスシールドが曇った」
 乾燥して気温の低い冬場ならまだしも、これからの時期は汗や湿度との戦いが待っている。熱中症にも気をつけなければ。
 中学生側は、子どもと母親の組み合わせが多い。もちろん父親との場合もあるし、子どもだけという頼もしいパターンも存在する。
「こんにちは! よろしくお願いします」
 感じのよい声で挨拶され、顔を上げると、母親と息子と思われるペアが立っていた。
「どうぞお掛けください」
 2人を座らせたあと、息子に視線を移した。ハキハキとしていて、中学生にしてはかなりのしっかり者だ。
「えーと、中学3年ですか?」
「え? いえ、あの、僕、父親なんですけど……」
「あらまー! 失礼しました。お若いのでてっきり……」
「ははははは」
 やっちまった。Tシャツ、ジーンズという軽装に、贅肉のない細身の体、前髪長めの髪型が年齢を感じさせなかった。すべて、フェイスシールドが曇っていたから悪いのだ。このご家庭のように、夫婦のみ、母親のみの参加もある。なぜか、父親のみは極端に少ないが。
 学校の特色や進路実績などを話し、相談が終わったところで、再度父親にお詫びした。
「お父様、先ほどは本当に失礼しました」
「いえいえ、いいんです。全然気にしないでください!」
 ご夫婦は終始笑顔で明るく去られた。もしかして、本校を受験してくれたりして~!
 来場者は中3が圧倒的に多かったが、情報収集は早い方がいい。中1、中2にも参加してほしいと願う。大学のオープンキャンパスなどに来ている中学生もいるし、塾や部活などが忙しいのかもしれないが、自分の将来と向き合う作業を優先してもらいたい。
 さすがに、中1と父親を間違えることはないだろう。うん。
 16時に閉会し、帰路に就く。
 今年は、なるべくたくさんの中学生と接したいものだ。


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復唱のシャア

2021年05月23日 21時12分58秒 | エッセイ

 コロナ禍で、友達と会う機会がなくなった。
「なんだか人恋しくなってきた」
 北陸地方に住む友人にLINEで愚痴る。この友人は、気軽に相談できてありがたいのだ。
「とにかく感染が収まってからだね。お出かけも旅行も」
「うん。一人でも頑張るよ」
 とやり取りしていたのだが、同じスタンプが2回表示されていることが引っかかった。



 あれ? 2回も押したっけ。
 まあいいや~とスルーしたのだが、ここでもうちょっと深く考えるべきだった。
 翌日は土曜出勤。17時には上がろうと思っていたのに、仕事が片づかなくて17時半になってしまった。娘にLINEで帰宅時間を伝えようと、スマホを取り出したら、笑える動画が送られていた。4匹のアライグマが、壁際に吊られたボールのようなオモチャをとろうと、後ろ足で立ち上がって跳ねるのだが、ジャンプ力がなく「ボテッ、ボテッ」と着地する。
「ぷぷっ」
 思わず笑った。ここで私が使ったスタンプは、ファーストガンダムの「哄笑するシャア・アズナブル」である。



 スタンプに続いて「18時半頃家に着けそう」とのテキストを送った。
 だが、なぜか、高笑いするシャアも送ってしまった。
「あれえ? またスタンプが。なんでだろ」
 文字を送るたびに、シャアが笑うものだから、こんなことになる。



 娘は、私の頭がイカれたと呆れたようだ。まあ、よくあることだが。



 別のスタンプはどうだろう。同じく、シャア・アズナブルの名セリフ「坊やだからさ」を使ってみた。



 うーん、これも同じだ。



 文字とセットで、スタンプを送る破目になり、「坊やだからさ」「坊やだからさ」「坊やだからさ」と、かなりしつこい。



「うるさい」
 娘から苦情が寄せられる。だが、叱られても、どうにもならない。
 ひとまず、帰宅時間は連絡したので、家で直すことにした。
「ちょっと、何だったのよ」
「だって、LINEのせい」
 LINEのお知らせをチェックしたら、不具合を直すにはアップデートすればよいらしい。
「ふー」
 スタンプのリピートがなくなり、ようやくホッとした。
 また、シャアに活躍してもらわなくっちゃ。



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「すが入らない」玉子豆腐

2021年05月16日 21時40分32秒 | エッセイ
「すが入る」とは、卵や豆腐を使った蒸しもので、火加減が強すぎたり加熱時間が長すぎたりする場合に、表面や内部に細かい泡のような穴が開くことを指す。昨年、蒸し器で玉子豆腐を作ったら、まさにこの状態となり、イチゴのようなブツブツ豆腐になってしまった。
「うえーん、オーブンを使えばよかったよ~」
 終わってから泣き言を言っても仕方ない。オーブンは失敗が少ない反面、天板を出して、お湯を張って、ときどきお湯の補充をして、といった管理が煩わしい。蒸し器は手軽で便利なのだが、フタを開けたら「ギャッ」となるとわかった。
 しかし、今回は強い味方がある。切り取って保管した、令和3年3月24日付読売新聞の記事だ。「茶わん蒸しは、卵の特性を理解すれば失敗なく作れる」との説明があり、「これは使える!」と取っておいた。ようやく、活躍のチャンスがやってきたわけだ。
「さて、器は何にしようか」
 茶わん蒸しだったら、蒸し椀に入れるのだが、玉子豆腐は小鉢の方がよさそうだ。
「でも、失敗したときと同じ器っていうのもヤダね」
 縁起を担いで(?)別の容器を出した。



 ゴージャスなケーキがウリの、ラ・メゾンで買った苺ムースの容器である。何かに使えそうだと思い、取っておいてよかった。
 記事によると、卵は80度程度で固まるそうだ。100度近くになると、卵液が沸騰して気泡が生じ、「す」の原因となるという。これを防ぐには、菜箸が役に立つ。
「なになに、菜箸を蒸し器とフタの間に挟み込み、中の温度を80~90度に維持するってか」
 つまり、こういうことだ。



 加熱しすぎないように、菜箸を挟んで作ったすき間から、余分な熱を逃がすと「す」が防げるという、実に簡単な仕組みであった。これなら誰にでもできるであろう。おっと、箸とフタの間に布巾を挟むのをお忘れなく。
 強火で1分、弱火で10分蒸すのだが、火が弱すぎたらしく15分かかった。
「竹串を刺し、黄色い卵汁が出なければ完成か、よしっ」
 ためらいもなく、ブッス~と竹串を刺してみた。卵汁は出てこなかったが、表面に大きな穴が開いてしまった。
「あーあ」
 めでたく完成したはよいが、この穴はどうする?



「いいよ、いいよ、穴なんて。口に入れれば関係ないから」
「おいし~」
 家族は寛容だった。ホッ。
 この日は「まいたけ牛丼」をメインにし、玉子豆腐は見事にサイドメニューを務めたのであった。
 さて、月末は「あんかけ茶わん蒸し」とやらに挑戦してみようかな。


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2021 とんだ母の日?

2021年05月09日 21時44分58秒 | エッセイ
 今年の母の日は、伊坂幸太郎の本がプレゼントだった。



 読んだことのある作品ばかりだが、再読したいリストを作っておいたら、娘が選んで注文してくれたのだ。
「わあ、うれしい! こんなにいっぱい」
 すっかり気をよくして、お返しに何かしたくなる。
「そうだ、久しぶりにパンを焼こうか」
「さんせーい!」
 焼き立てのパンは美味しい。



「お腹いっぱい。ごちそうさま」
 この調子で、素敵な母の日になるはずだったのだが、そうはならなかった。
 娘が花瓶を見ながら、私に話しかけてきた。
「お母さん、お父さんからもらったカーネーション、一輪挿しに移した方がいいんじゃないの」



 夫が気を利かせて花瓶を探してきたはいいが、少々大きかったようだ。
「そうね、前にミキからもらったのがあったし」
 あれは3年前の母の日か。白地に青の模様の入った、洒落た一輪挿しを娘に買ってもらったのだっけ。それを使えと言いたいのだろう。
「えーと、えーと。どこにしまったっけ」
 困ったことに、まったく記憶がない。2年前にもガーベラを活けたおぼえはあるが、その後は行方不明だ。
「なくしたの?」
「いーや、どこかにあるはず」
 娘の機嫌が悪くなってきた。これはまずい。
 しかし、心当たりを探してみてもそれらしいものがない。そもそも、箱に入れておいたのか、箱から出したのか、それすら記憶にない。こんなことで見つけられるとは思えない。
「大丈夫、絶対見つかるから」
 気まずい空気を払拭すべく、夕飯づくりを始めた。
 そういえば、先日、夫が買ったばかりのテレビのリモコンを、不燃ごみに入れたことがあったっけ。間違えて捨てられていたら、もう取り戻せないが、その可能性は低い。おそらく、私がしまった場所を忘れただけなのだ。
 それにしても、あるはずのものが見つからないという状況は、非常に心地悪い。何としても解決したい。さほど大きなものではないから、3階の収納庫、2階の押し入れ等々を本格的に整頓して探し出そう。そう決めた。
 しばらく、週末は一輪挿しの発掘にあてるしかなさそうだ。
 伊坂さんは、そのあとにしよう。
 とんだ母の日?
 いえいえ、片づけの機会をもらってよかった。
 そう考えなくちゃ。


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GWは読書で決まり

2021年05月02日 22時11分03秒 | エッセイ
 やっとGW、とはいえ、完全休養というわけではない。
「野球部の練習で球が民家に飛び込み、家人が怒っています」
「PCR検査の結果がわかりました」
「サッカー部ですが、1年生が骨折して救急車を呼びました」
 などなど、日によっては、休日であっても仕事に関わる連絡が飛び込み、心穏やかに過ごせない。
 昨日もコロナ関連の電話があったのだが、幸い、今日は何もなかった。
「さて、本でも読むかな」
 ずっと前に買ったのに、まだ読んでいないのがコレ。



 いわゆる「文芸書」ではないところが私らしいというかなんというか。
 予備知識として介護の心得は必要と思って買った。でも、心が疲れているときは読む気にならない。
「やーめた。こっちにしよう」
 先日、高校時代に読んだ漫画『動物のお医者さん』の愛蔵版を買ったのだ。



 佐々木倫子センセイの絵はきれいだし、シベリアンハスキーやら三毛猫やら、動物の質感がリアルで素晴らしい。馬にニワトリ、スナネズミまで登場し、紙面に奥行きがある。本の中では、獣医学部の学生たちがマイペースに実験や実習をしているせいか、せわしない現実を忘れさせてくれる。
「はっはっは。ミケが池に落ちた~」
 ところどころに笑いのエッセンスが散りばめられていて、明るい気分になれる漫画なのである。
 さて、心が回復したから、認知症の本も読めるかな……。
 漫画家といえば、大好きな萩尾望都センセイのものもある。



 こちらは、宇宙飛行士の山崎直子さんや、シンガーソングライターのイルカさんとの対談がメインになっていて、昔読んだストーリーの新たな一面を知ることができる。
 目次に、「好きなことを一生やり続ける力」の文字を見つけて、背中を押された気分になった。
「一生続けたいのはエッセイを書くこと」
 伝えたいことに自分なりの味付けをして、ああでもない、こうでもないと考えながら完成させる。でき上がったときの喜びはひとしおだ。読んだ方が、自分の思いを理解してくれると、ますますうれしくてやめられない。
 出口の見えないコロナ禍で、旅行に行けず、友人にも会えず、リフレッシュできない連休を迎えているけれど、「今、楽しめること」を見つけていかなくては。
 ひとまず、連休中は漫画を読んで現実逃避を楽しみ、活字を読んで知識を吸収しよう。
 おススメの本があったら教えてくださ~い!


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