これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

胃内視鏡検査の掟

2018年10月28日 20時49分38秒 | エッセイ
 人間ドックで「萎縮性胃炎」と診断されたのが去年の12月。
 今年は胃内視鏡検査を受けて、胃がんリスクを回避しようともくろみ、病院に電話をかける。
「その日は、一番早くて、15:15分のお時間しか空いていませんが」
「ああ、そうですか。じゃあ、それでいいです」
「かしこまりました。予約をお取りしておきます」
 検査日を決めるときは難航した。夏休みはすでに埋まっており、平日は休めない。でも、文化祭の振替休業日であれば、平日の検査が可能だ。ここしかないと意気込んで予約電話をかけたものの、遅い時間帯しか空いていなかった。
「うっそ~、前の日の20時以降から食事禁止?」
 私は胃の検査をナメていた。水やお茶なら検査の30分前まで飲んでいいそうだが、繊維の多い飲み物や固形物は一切禁止。夕方まで空腹に耐えねばならない。何と苦行であることか。
「じゃあ、なるべく遅く起きて、家でゴロゴロしていればいいんじゃない?」
 と思ったのだが、前日に職場で大きな問題が起きた。校長から、都合のつく職員は振休返上で出勤してくれと要請を受けた。
「うう、14時まで暇だ……。ヤバい」
 ついつい応じてしまい、水とアールグレイだけを口にして職場に向かった。待っていたのは、4時間の軽作業であった。重労働ではなかったが、頭も使わないから、どうしても神経が空っぽの胃袋に集中する。
「お腹が空いたなぁ、くうう~」
 聞くところによると、いわゆる胃カメラは吐き気を催すものだという。だが、今の私には、「ひもじい」辛さが一番堪えて、検査まで頭が回らない。戦時中の食糧難を乗り切った人たちは偉いと、心から尊敬した。
 どうにかこうにか、食欲を抑え込んで検査まで持ちこたえることができた。
「胃カメラは初めてですか」
「はい」
「左の腕から麻酔を入れますからね。喉にも麻酔薬を塗りますから、苦しいことはありませんよ。リラックス、リラックス」
 鼻から胃カメラを入れる病院もあるそうだが、「オエッ」となるのは喉だから、感覚を麻痺させることが一番楽だという。言われた通りに横たわっていたら、いつの間にか終わっていた。
「笹木さん、終了です。麻酔がさめるまで、あちらのベッドで寝ていてください」
 キツネにつままれた気分である。おそらく、すぐに麻酔が効いて、ガーガー寝ているうちに検査が終了したのであろう。よだれは垂らさなかったか? いびきなんぞ、かいていなければよいのだが。
「はい、20分たちました。まだ横になっていた方がいいですか」
 看護師が私を起こす声がした。え、まだ5分しか経っていないんじゃないの? と驚いたが、またまた寝てしまったらしい。幸い、気分は悪くないし、いつまでの寝ていないで、さっさと食事をしたほうがよさそうだ。
「大丈夫です。帰ります」
「では、荷物をお持ちになって2階にお越しください」
 麻酔からさめたら、まず水を飲むらしい。むせなければ、食事をとって構わないと説明されたので、そうさせてもらった。病院の目の前には、サブウェイがある。
「えーと、ローストビーフサンドに、ミネストローネ、カフェラテもください」
「トッピングはどうされますか」
「レタスとキャロット、ピーマンで」
 レジに進むと、クッキーとパウンドケーキが目についた。すかさず、「これも」と言ってトレイに載せた。



 いやあ、食べた、食べた。
 2時間後には、家で普通に夕食をいただき、一日分の遅れを取り戻したような気になった。
 何があっても、胃の検査は午前中に終わらせないといけないね……。


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スダチ文化圏

2018年10月25日 21時40分32秒 | エッセイ
 徳島出身の同僚からスダチをいただいた。



「実家から送ってきたのでどうぞ」
 礼を言って受け取ったものの、わが家にスダチを使う習慣はない。はてさて、何に使おうか。
 そういえば、香川出身の友人が、こんなことをボヤいていたっけ。
「この前、蕎麦屋で天ぷらを食べたのよ。スダチある? って聞いたら、ないって言われたの」
「ふーん」
「で、そのあと、何て続けたと思う?」
「さあ」
「レモンならありますってほざいたのよ、冗談じゃないわよ」
 徳島も香川も、スダチ文化圏であることは間違いないようだ。これが大分だと、カボス文化圏に変わるのであろう。もっとも、天ぷらには、ちょっと甘めの天つゆが一番だと思うが。
 圏外の私は、スダチの使い道が思いつかない。ちょうど、姉に会う用事があったので、探りを入れてみる。
「焼いたサンマにかけるのがメジャーでしょ」
 サンマ? 絶対、大根おろしの方が美味しいって!
 発想を転換して、レモンをかけていただく料理から逆算することにした。
「そうねぇ、スモークサーモン!」
 搾りたてのレモンではなく、わが家の場合は日持ちのする「食卓レモン」だったりするところが残念だ。
「生キャベツ!」
 血糖値を抑えるために食べるキャベツは、黒酢か食卓レモンをかけることが多い。
 かくして、休日のランチには、半分に切ったスダチをかけ、贅沢にいただくことができた。



 キャベツにスダチはイマイチだったが、サーモンとスダチの組み合わせはかなりよい。鮭のソテーなんぞにも合いそうだ。

 よっしゃ、これで1個減ったぞ~!
 しかし、あと5個も残っている。
 うちも、天ぷらにかけてみようかな?


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メールの中身

2018年10月22日 21時53分49秒 | エッセイ
 今年、新規採用になった20代の職員が、二回り年下とわかったときは息子ができた気分になった。
「えっ、都立高を卒業したの? どこ?」
「K高校です」
「Kか、へえ~」
 そこはトップクラスではないが、中堅校よりはレベルの高い学校である。道理で注意力はあるし、気の利く小僧……いや、息子だと一人頷いた。
 そういえば、3校目で一緒に学年を組んだ先生が、K高校に異動したのだっけ。もしかして、教わったかもしれない。
「ねえ、数学のヤスオ先生っていなかった?」
「いました、いました。1年と2年のときの担任です」
「ええええ」
 世間は狭いとはよくいうが、ここまでキツキツだとは驚いた。まさか担任だったとは。
「教え子が教員になるって、とても嬉しいことなんだよ。ヤスオ先生は知っているの?」
「いえ、卒業してからお会いしていないので、何もお知らせしていません」
「じゃあさ、メールしてみない? 私、アドレスわかるから」
「嫌がられませんかね。僕、好かれていた自信がないんですけど」
「大丈夫、大丈夫」
 ヤスオさんは面倒くさがりだけど、自分の決めたルールには実に忠実な人だ。整理整頓を心がける、約束した時間を守る、だらしない服装をしないなど、血液型A型のイメージにピッタリな性質がある。加えて、すでに定年退職しているから、現役時代と違って時間はたっぷりあるはず。必ず返信をくれるはずだと予想していた。
「きっと、刺激の足りない毎日を過ごしているんだよ。そこに教え子から教員になりました、なんてメールが来たら、ぶっ飛んじゃうね」
 加えて、その教え子がかつての同僚と同じ職場になっていたら、ますます興味をひかれるだろう。
「よし、私もメールするから、二人で送っちゃおう!」
「はあ、いいんですかね……」
 息子はイマイチ気が進まないようだったが、素直に送信していた。私は5年前に一度、電話で同窓会の話をしている。気楽に気楽に、パソコンで10行ほどのメールを送信した。



 2日ほどは何も音沙汰がなかったが、3日目に待ちかねた返信が届いていた。
「ふふふ、来た来た」
 やはり、ヤスオさんは律儀な人だ。「手紙の返事を書かないと気持ち悪いんだよ」というタイプなのかもしれない。開いてみると、30行くらいの長編である。ズラズラズラッとスクロールする文字列の多さに、「うおっ」とのけぞりそうになった。
「笹木さん、お久しぶりです。私は今、○○高校で週に4日、時間講師をしています」といった近況報告から始まり、かつての生徒についても「マチダ君のことは、とてもよくおぼえています。教員志望だったので、夢が叶ったことをお祝いしたいです」と評していた。
 好かれていないと感じた根拠は何だったのやら。ヤスオさんは損な性分である。
 最後が少々重かった。
「マチダ君は将来の都立高を背負う有望な新人です。笹木さん、どうか、彼を立派に育て上げてください。私からの切なるお願いです」
「…………」
 決して本人には言えないが、どえらいことを頼まれてしまったらしい。困った、どうしよう。
「笹木先生、ヤスオ先生から返信をいただきました」
 困惑する私に気づく様子もなく、マチダ君が話しかけてきた。何か吹っ切れたような、爽やかな笑顔を浮かべていた。
「大作だったでしょ」
「はい、画面に収まり切れないほどの文字数で、読みごたえがありました」
「あはは」
 おそらく、ヤスオさんはマチダ君に伝えたいことがたくさんあったに違いない。元担任として、最後の指導をしたかったのではと察する。大きな愛情と期待をこめて。
 たぶん、私に関する情報も入っているだろう。きっと、こんな感じではないか。
「笹木さんは、あっちもこっちも抜けていて、全然頼りにならない人だから、君がしっかりフォローしてあげる必要があるよ」
 いやあ、その通りです……。
 以来、マチダ君が私の仕事を横取りするようになった気がする。


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2018 誕生日

2018年10月18日 21時17分49秒 | エッセイ

 今日は私の誕生日である。
 ちょっと早起きして、弁当を作りながら優雅にコーヒーなんぞをいれ、ゆったりと支度するつもりだった。
「え、もう5:30? しまった、二度寝したのか」
 しかし、予期せぬ寝坊でスタートから狂っていく。
「駅まで走れば間に合う!」
 どうにか、いつも通りの電車に乗り、ハーハーゼーゼーしながら職場に向かった。
 全っ然、優雅じゃなーい!
 しかも、大事な連絡を忘れるミスをしでかした。
「先生、今日は書道の先生いませんでしたよ」
 1時間目の終わりに、1年の生徒が、不満そうに職員室まで言いに来た。
「はっ、そうだ。2週間前に、休むって言われたっけ」
 何と、その先生から自習課題まで預かっていたのに、すっかり忘れていた。2時間目にあわせて、書道室に駆けていく。
「くそっ、何で4階なんだ~!」
 書道室は真っ暗だった。誰もいないのかと思ったら、暗闇の中で生徒が座っていた。
「わ~、まぶしい」
「何で電気を消しているの? 課題をやるから明るくしないと」
 生徒は全員そろっていたが、なぜか暗がりが好きらしい。授業の終わりに課題を集めに行ったときも、教室の明かりが消えていた。寝ている生徒はおらず、全員起きて前を向いて座っているのに、変なクラスだ。
 そんなこんなで、すっかり疲れてしまった。
「ああ疲れた。今日は早く帰って美味しいものを食べよう」
 先日、ライオンズ優勝セールで、スパークリングワイン6本セットも買った。



 今日はそのうち、フランス産のこれを開けてみる。



 夕食は寿司である。イタリアンレストランに行く手もあったが、最近、急激に弱ってきた義母を世話するため、夫が家にいたいと言ったせいもあるし、私が家でのんびりしたいと思ったせいでもある。



 今回のにぎりは、北海道ホタテと



 炙りのどぐろ、金目鯛が目玉であろう。
 これに、ズワイガニと大トロ、赤貝が加われば言うことなしだ。



「うま~」
 夫は4貫も追加していた。



 桶の隅には、ガリが山積みにされている。娘が「いらない」と言って、夫に押し付けたからだ。



 お腹がすいていたのか、夫は全部平らげていた。何も与えてないようで複雑な気分だ。
「ごちそうさまでした」
 今日のケーキはカボチャのモンブラン。



 夜の糖質はNGらしいが、今日ばかりは許してもらえるだろう。
「はい、お母さん。プレゼントだよ」
「わーい、ありがとう!」



 財布は前から欲しいと思っていた。
 カードが24枚も入るところが魅力だ。だからといって、無駄づかいせず倹約を心がけよう。
 だいぶ年をくってしまったが、いくつになっても祝福してもらえると嬉しい。
 お誕生日、ありがとうございました。


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秩父札所巡り 歩いた距離は?

2018年10月14日 22時05分26秒 | エッセイ
 秩父の札所巡りが、いよいよクライマックスを迎えている。
 同僚で巡礼通の栗本さんが、残った8カ所の札所まで案内してくれるというので、姉と娘も入れた3人で参加した。
 栗本さんは、極力、バスや自転車に頼らない「徒歩巡礼」を推奨している。一番御利益があると言われているからだが、足は疲れるし、真夏日は汗ダラダラで全身あせもだらけになり、涼しくなったらやぶ蚊に何カ所も刺され、やたらと痒い行程でもあった。
 歩き始める前に、白装束の栗本さんに声をかけられた。
「今日こそ、結願(けちがん)ですね」
 結願とは、すべての霊場を回り終えることを指す。苦労すればするほど、札所巡りを終える喜びも大きい。
「まずは、秩父神社に行きましょう」
 ここは、夜祭で名高い神社だけあって、彫刻が美しい。











 そこから、札所の16番、17番、18番、19番、20番、21番へと進んだ。大したアップダウンもなく、札所の間隔が短くて楽チンである。どの札所にも写経を納め、御朱印をいただく。秩父の札所は34カ所だから、34枚の写経をしたというわけか。書いても書いても、字が上達しなかったことが気に食わない。引き続き、練習せよという意味なのかもしれない。いや、絶対そうだ。
 21番札所の次は23番音楽寺に向かった。ここは、少々高台にある。
「せっかくトレッキングシューズで来たんだから、上りがなくちゃ物足りないよ」
 20代の娘は元気よく坂を駆けていったが、私も姉も内心「うへえ~」であった。最後は全部平坦な道だと思ったのに、まったくもって甘かった。23番のあとは22番に行く。こちらの方が西武秩父駅に近いので、地理的な問題を考慮した結果であろう。
 22番札所 童子堂。



 ここで、めでたく結願を迎えた。
「よう頑張られましたな」
 栗本さんが金剛杖を握りながら褒めてくれた。
「やったね」
「おめでとう!」
 姉と娘も、私と一緒に喜んでくれた。身内からのお祝いの言葉は、ちょっぴりこそばゆい。
 さて、では、これまでの8回の巡礼記録を振り返ってみよう。



 歩いた距離は、実に137.6kmであった。調べてみたら、東京駅から新冨士駅までが135kmだった。
 歩数は、225,333歩。毎日一万歩歩いたとしても、22日分である。
 階数に換算すると、391階。サンシャイン60のてっぺんまで6回上る計算となった。
 数値で確認し、ようやく私も「やったやった」と嬉しくなってきた。何とかなるものなのだ。
 その後、栗本さんから、こんな冊子をいただいた。



「次は、四国ですよ」
「えっ、まだあるんですか?」
「歩けるうちに行ってください」
「ひええ」


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またまた忘れていませんか?

2018年10月11日 22時16分17秒 | エッセイ
 正倉院展。一度は行ってみたい。今年は第70回だ。



 夏休みや冬休みではなく、10月末から11月上旬という日程に加えて場所が奈良。毎年、「行きたいけどちょっとね~」と二の足を踏んでいた。社会科教員の元同僚は、「何が何でも見るわ」と都内から日帰りで駆け付けていたが、そこまでの熱意はない。
 でも、今年は状況が違う。11月2日の金曜日が、仕事の振り替えで休業日になったからだ。
「てことは、土日と合わせて3連休。正倉院展に行かれるじゃん」
 急いでJTBに行き、残り少ない部屋を確保し新幹線を予約する。何やらとんとん拍子に話が進み、2泊3日の奈良旅行ができることになった。
「ひゃっほ~!」
 喜び勇んで、手付しか払っていない旅行代金の残額を振り込みに行く。これで、11月の楽しみができたとニヤニヤした。が、それもつかの間。ニヤけ顔は一件のメールで凍り付く。
「おや、池田さん? ああ、大学の後輩か……」
「笹木さん、ご無沙汰しております。昨年は同窓会に来ていただきありがとうございました。今年も11月3日に開催いたします。18時からですので、ぜひお越しください」
「ああっ、そういえば!」
 私の出身大学は、毎年、文化の日を含めた4日間で学園祭を実施する。それに合わせて、15歳年下のサークルの後輩が同窓会を企画してくれると聞いた。去年、初参加して後輩とメアドを交換し、「来年は直接連絡しますね」と言われたのだっけ。すっかり忘れていたし、あれからもう一年経ったことにも気づかなかった。
 ダメだ、ボケてるな……。
 ひとまず、後輩に、誘ってくれたお礼と、予定があって行かれないお詫びを返信した。
 あーあ、タイミング悪すぎ。
 一応、同期に連絡をとると、「今年は行かれる」という返事の多いこと多いこと。自分で選んだこととはいえ、私だけが取り残される気がして落ち込んだ。正倉院展に目がくらんだ私がいけない。
 そして今日、またメールの着信音がした。設定は「機関車」になっている。力強い汽笛が「ブォ~」と鳴り響いた。
「あ、また池田さんだ。なになに?」
「笹木さん、返信ありがとうございます。同窓会は毎年開催しますので、都合のよい年にお気軽にご参加ください」
「おおっ!」
 そこには、私が一番かけてほしい言葉があった。何ていい後輩なんだろう。
 来年こそ、来年こそは予定を入れずに顔を出さなきゃ。
 それにしても、一年ってこんなに早かったっけ?


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ライオンズ優勝セールで買っちゃった

2018年10月08日 21時21分33秒 | エッセイ
 西武ライオンズ優勝セールは、10月1日から今日までである。
 池袋を利用する者として、このセールは見逃せない。
「ねえ、ミキ。今なら西武で衣類が10%オフだよ。行ってみる?」
「行く行く」
 大学4年の娘と休みの合う日を相談し、午前中から西武本店に斬り込んだ。
 よっしゃ、行くぜぃ~!!



「ライオンズ ライオンズ ライオンズ ミラクル元年 奇跡を呼んで~♪」
 松崎しげるの歌う応援歌「地平を駈ける獅子を見た」を聞くのも久しぶりだ。今回は10年ぶりのパ・リーグ優勝とあって、どの階も力が入っている。今までセールの対象外だったブランドまで参戦していたりして、選びがいがあった。
 まずは私の服である。10月から学校説明会が始まるので、それ用の衣装や、スーツの上に羽織れるコート、洒落たパンツ、セーターなどが欲しい。
 目当てのイッセイミヤケはセールの対象外……。でも買った。
 ナラ・カミーチェはセールをしていた。やったやった!
 店側もちゃっかりしていて、10%オフにする代わり、ポイントはつかないそうだ。私のポイント率は5%だから、実質5%の値引きか。お得感が薄まったが、まあ仕方ない。





「ウォウォウォ ライオンズ ウォウォウォ ライオンズ ライオーンズ」
 1時間も同じ歌ばかり聞くと、少々ウンザリしてくる。買うもの買ったら、さっさと出て行かなくてはという気持ちになる。客の回転をよくするための工夫なのだろうか。
 自分の服が終わったら娘の番だ。
「トップスが欲しいんだよね。ブラウスとかニットとか。あと、袴に合わせるブーツも」
「ほうほう」
 娘が向かった店は、23区である。ここはセールをしていた。ポールスミスも。気に入った服も見つかり、ホクホクして会計を待つ間、またまた歌を聞かされた。
「空青く 風白く 地は緑~♪」
 西武に入ってはや2時間。いい加減、この歌には飽きた。カード明細を持ってきた店員さんに話しかけてみる。
「毎日、この歌を聞いているんですね」
「はい、一週間ずっとです」
「2時間聞かされただけでツラいのに、大変ですね」
「あはは、もう歌えますよ」
 店員という立場上、否定的なことは言わないが、よもやカラオケで歌うこともあるまい。気の毒に。
 娘の服とブーツはこれ。



「ふー、買った買った」
「重いよ」
 3つの袋を引きずるようにして持ち帰る。あとは、eデパートで買ったスパークリングワインの6本セットが届くのを待つだけだ。
「獅子よ 駈けろよ 果てしーなーく♪」
 店の中から歌が追いかけてくる。自動ドアが閉まり、やっと歌から解放されたときはホッとした。
 ランチして帰ったら3時を回っていた。かなりの重労働だ。
 戦利品は明日から着ましょうかね、うふふ。


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朝食の友

2018年10月04日 21時48分37秒 | エッセイ
 毎朝、オーブントースターの世話になっている。
 このグラタン皿に、「くっつかないホイル」を敷き、



 卵を割り入れ、ピーマンやウインナーを添えて、とろけるチーズをかけたら6分間焼く。ほどよく焦げ目のついた、お手軽玉子料理のでき上がりだ。玉子以外にも餅を焼いたり、グラタンを作ったりするとき、非常に頼りにしている。もう手放せないと思っていた。
 だが、別れはあっさりやってきた。日曜日のことだ。
「お昼はステーキにしよう」
「いいね」
 一人だと、ろくなものを食べない夫が喜んでいた。ステーキのつけ合わせは野菜がいい。プチトマトを洗い、茹でた小松菜を切る。さらに、カボチャを添えるつもりで薄く切り、バターを載せてオーブントースターに入れた。8分後、「チーン」という音とともにフタを開けたら、バターが溶けていなかった。
「ありり。焼けてないや。どうしたんだろう」
 まさか、オーブントースターが夫のために働くことを拒否したわけではないだろう。そっと本体を触ってみると、ひんやり冷たい。どうやら、熱が伝わらないようだ。壊れたか。
「あ、わかった。原因はこれだな」
 見ると、コードの一部がまな板の下敷きになっており、つぶれていた。おそらく、接触不良を起こしたのだろう。すでに20年以上使っているから買い替え時か。
「グラタンと玉子料理が作れれば何でもいいや。今日にでも欲しい」
 急ぎのときはスーパーに行く。タイガー製のオーブントースターが2500円ほどで売られていたから、すかさず買った。



 この値段だと特別な機能はついていない。幅は以前のものより狭いけれど、奥行きがある。ひとまず、新しいものに慣れて、しっかり使いこなせるようになりたい。
「さあ、焼くよ」
 翌朝、オーブントースターにグラタン皿を入れてみたが、困ったことも起きた。横向きに入れた皿の取っ手をつかむとき、邪魔な突起があるのだ。



 うっかり小指が触れて、火傷しそうだった。
「うわ、あちちち」
 こんなところにトラップがあるとは。使う人の身になって欲しいなぁ。
「待てよ、奥行きがあるんだから……」
 皿を縦向きに入れたらどうだろう?
「わあ、入った入った、うっほほーい」



 こうやって焼けば、指が「ジュッ」となる心配もなく、美味しい玉子料理が楽しめる。
 さて、また20年間は、お世話になりましょうかね。


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