これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

「デッドプール」4DX2D

2016年06月30日 21時28分45秒 | エッセイ
 6月30日まで有効の映画割引券があった。
「ミキ、何か見たい映画ある?」
「デッドプールがいい! 友達が面白いって言ってた」
「ふーん、じゃあそれにしよう」



 時間を調べると、IMAXもあるが、4DX2Dなるものもあった。時間も18時台で都合がいい。
「4DXにしようよ! 楽しみ~」
 4DXとは、体感型映画上映システムのことである。たとえば、車に乗っている場面ならシートが左右に傾いたり、クラッシュしたら前後に大きく揺れたりと、アトラクションのような動きをする。耳元に空気をプッと吹きかけられ、雨の場面では背もたれから水が飛び出し、爆破シーンでは劇場内に煙が上がる。
 劇場スタッフが「傘の持ち込みはできません。お荷物はロッカーに預けることをお勧めします」と説明した意味がわかった。飲み物やポップコーンを持ち込んだら、激しく動かされて吹っ飛んでしまうかもしれない。
 同僚がこのシートをいたく気に入っており、都立高の教室にもぜひ導入してほしいと話していた。
「寝ている生徒がいたら、前後左右に揺らして、水をかけて起こせるじゃないですか~」
 ……なるほどね。
 そんなわけで、期待度がグングン上昇したところで劇場に入った。
 しかし裏切られた。肝心の映画が面白くない。下ネタが多すぎて下品だし、登場人物にほとんど魅力を感じない。こりゃダメだ、キャストをミスったのではないか。
 アクションは見ごたえがあったけれど、人が簡単に死にすぎる。まさにゲーム感覚で進行する戦いに違和感をおぼえた。R15指定というのも頷ける。
 加えて、デッドプール役のマシンガントークが不愉快である。まるでラジオのように、いつまでもいつまでもしゃべっている。
 なんて騒々しい男なんだ!
 おしゃべり男は大、大、大っ嫌い。敵役のフランシスが「頼むから黙ってくれ」と吐き捨てるように言ったとき、「そうだそうだ」と拳をあげて同意した。
 仕事のあとで疲れていた上、映画はイマイチとくれば、普通なら寝てしまうところである。昨日もその前も、忙しくて睡眠時間は4時間半だった。
 だが、この劇場は4DXだ。
 ガタガタガタッ
 プッ
 ピチョーン
 グラグラグラグラ
 同僚の言った通り、これでは眠れない。強制的に起こされ、ウトウトすることもなく、最後まで観ることができた。期待通りではなかったが、スピード感や重量感には圧倒されたし、まあ楽しめたかな……。
 そういうことにしておこう。
「パンフレットはいらないね」
「うん」
 手ぶらで帰るのは久しぶりかもしれない。
 4DXは癖になりそう。
 慢性睡眠不足で、年中睡魔と戦っている人におススメします!


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英EU離脱の恨み節

2016年06月26日 17時46分23秒 | エッセイ
 6月24日は忘れがたい日になった。
「離脱ですよ、離脱」
 背中合わせに座る社会科センセイが、半生だったトンカツを食べたような機嫌の悪さでつぶやく。職場では、朝からイギリスの国民投票が話題となっていたが、ついにEU離脱という結果が判明したわけだ。
 離脱となれば、世界経済の大混乱は必至。英国債は大量に売られて大暴落、ポンド安はもちろんのこと、つられてユーロも安くなり為替変動が起こると予想される。金融業では、英国の金融当局から取得した単一免許制度が適用されなくなる可能性が生まれ、輸出業では単一市場が見直されると、EU加盟国との貿易で関税や非関税障壁が復活するかもしれない。また、労働ビザ不要の現状が変わった場合に、イギリスは他国から有能な人材を集められなくなる懸念がある。
 GDPは大幅に低下、政府の年間税収は450億ポンド減少、1世帯当たりの年収は5200ポンド減少の見込みというから、投票結果はまったく理解しがたい。
「そもそも、国民投票がいけないんですよ。政治や経済を知らない人たちに、国の行く末を任せるんだから」
 社会科センセイのイライラは果てしなく、その通りだと大きくうなずく。国民の言葉として「離脱に票を投じたが、本当に離脱するとは思わなかった。投票をやり直したい」などという呆れたものもあるからだ。もっとも、残留派の嘆きはこの程度で収まるはずがなかろうが。
 私だって怒っている。至極、個人的な事情で怒っている。
 何年か前に、米ドル建終身保険なる金融商品を購入した。当時、1ドル=100円くらいで、その後はグングンと円安が進み「ウホホ」と喜んでいた。ところが最近は円高傾向が続き、「むむむ」と眉間にしわを寄せる日が増えた。そこへ、イギリスEU離脱である。
「円相場は1ドル99円台まで上昇しました」
 キャスターが、冷静にニュースを読む。しかし、私は冷静になれない。
「ゲゲッ、ふざけるな~!」
 私の為替差益を返して~!

 昨日の夜、久しぶりにゴキブリが出た。
「冷蔵庫の下に潜って逃げちゃったよ」
 夕食の後片づけをしていた夫が、申し訳なさそうに話す。部屋にはコンバットがいくつもあるのだが、窓を開けていると、隙間から入ってくるらしい。
 殺虫剤よりも、私は新聞で叩き潰すほうが好きだ。
「そうだ、この新聞を使おう!」



 もろもろの恨みをこめて。
 覚悟しなさい、ゴキブリくん。


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父の日二重奏

2016年06月19日 21時06分21秒 | エッセイ
 今日は父の日だから、夕飯は、夫の好きな神戸牛にしようと思った。
「夕飯はいらないよ。出かけるから。前に言ったでしょ」
「そうだっけ?」
 興味のないことはすぐ忘れる。主役がいないなら、値の張る神戸牛にする必要はない。スーパーの牛ヒレステーキ用で十分だろう。
「肉……」
 夫は、それでも欲しそうな顔をしていたが、時間になると出かけて行った。
 そんなわけで、わが家の父の日イベントはなし。でも、私の父にはこっそり用意をしていた。
 父は月末に誕生日を迎える。毎年、誕生日に合わせて冷凍菓子を送っていたが、不意にひらめいた。
「別に誕生日まで待たなくたっていいのよね。今年は、父の日に間に合うように送ってみよう」
 那須の父にあてて、コーヒー、好物の冷凍たい焼き2袋、冷凍パフェ、冷凍シュークリーム、冷凍ローストビーフを段ボールに詰める。
「あ、バースデーカードがない。富士山のポストカードでいっか」



 お気に入りの富士山。裏面には「秋晴れコスモス」などというタイトルが書かれており、季節外れということに気づく。まあ、老眼だから読めないだろう。大きな字で「父の日ありがとう、誕生日おめでとう」としたため、菓子類と一緒に送った。
「荷物が着いたよ、ありがとう」
 昼前に、母からメールが来た。「お父さんがたい焼きを喜んでいる」と続いていたので、2袋でちょうどよかったらしい。
 結びは「さっそくいただきます」。
 お恥ずかしい話だが、2人の飲食風景は、とても行儀がいいとは言えない。
 母は唇にしまりがなくて、ものを噛むときに「パカッ」と開くことが多い。そのたびに、「ベシャッ、ベシャッ」と汚らしい音が聞こえてくる。何度注意しても聞く耳を持たず、「年をとるとダメだねぇ」と開き直る始末だ。
 一方、父からは「ピチャッ、ピチャッ」と母より高い音が漏れてくる。口の中は、どういう仕組みになっているのだろう。そこに夫がいれば、「ゾゾゾゾッ」と汁物を吸い込む低音と、ときには「ヘックショイ」という破裂音が加わり、わが家の高齢者たちは実に騒々しい。
 だが、すでに両親を亡くした同僚や友人から見ると、父の日や母の日を祝う相手がいること自体が羨ましいのだという。食事のマナーが悪くても、元気でいてくれることが一番大事。いなくなってしまうと、お祝いごとは何もできなくなる。
 なるほど、たしかにそうだ。二重奏だろうが三重奏だろうが、自分の力で食べられることは生きている証。
 那須の両親が、ベシャッ、ピチャッ、ズルッ、ボボッ、グチャッと食卓で不協和音を立てても、演奏中なのだと広い心で受け止めようと決めた。
 特に、父の日の今日は賑やかかもしれない。
 食欲があって結構なことだ。


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誰の誕生日?

2016年06月16日 21時41分57秒 | エッセイ
 先週の今日は、六本木で開催されたワインフェスに姉と参加していた。
 赤や白、泡物を何杯もいただき、カヴァ6本、白6本を買ってニンマリした。買い物はもちろん、いろいろな種類を次から次へと飲めるのがうれしい。



 昨日、商品が届いたものだから、ひっくり返って激しくブレイクダンスしたくなるくらいウハウハした。ワインセラーはないけれど、冷蔵庫に入れて冷やしておこうっと。
 さて、今日は夫の誕生日である。
 何回目かはあえて言わないが、高齢者であることには違いない。先日も「炊き込みご飯」という名詞が思い出せず、苦し紛れに「醤油ご飯」などとのたまっていた。
 どんな飯だよ?!
「パパ、今日は誕生日だね。夕飯は寿司でいいかな。最近食べていないし」
「うん」
 夫も、お祝いをしてもらうことを、それなりに喜んでいるらしい。
 主役でもない私ですら、気分が舞い上がって仕方ない。
「ケーキ買わなくちゃね、ケーキ。ラ・メゾンにしようかなぁ」
 浮かれる私の横で、娘が夫に聞こえないようにボソッとつぶやいた。
「プレゼントはどうするの?」
「ギクッ!」
 しまった、自分が飲み食いすることばかりに気を取られ、誕生日プレゼントのことはすっかり忘れていた。なんたる不覚!
「商品券とかでいいんじゃない。セブンイレブンで使えるやつ」
「……適当だな」
 夫はここ何年かで相当なデブ……もとい出不精となり、スーパーかコンビニにしか出かけない。とりわけ、お気に入りがライフとセブンイレブンで、週の半分以上は通っているようだ。
「いらなければ、私たちが使えばいいし」
「ケケッ」
 誰のためのプレゼントなのか、よくわからないまま準備が進み、いよいよ当日を迎えた。
「パパ、お誕生日おめでとう!」
 乾杯に使った飲み物は、冒頭のカヴァである。夫は「豚汁があるからいらない」と言い、娘と2人で乾杯した。



「主役抜きで乾杯って、何か変じゃね?」
 娘は口をへの字に結び、納得していないようだったが、「いーよ、いーよ」と宥めておいた。
 カヴァ、うまいッ!
「今日は蒸し暑かったから、寿司でよかったよ」



 夫は久々の寿司に満足げだった。
 私も寿司は好きだが、もっと楽しみだったのが食後のケーキ。最近、甘いものを控えているので、脳が糖質を欲しがっている。
 結局、ラ・メゾンに行き、「チェリーのクッキークリームタルト」を買った。



 チェリーの下のクッキークリームが、ハーゲンダッツの「クッキー&クリーム」をほうふつとさせる。チェリーには弾力性があり、みずみずしい果汁ともマッチして、今月のタルトにふさわしい出来だ。甘いものを制限していたこともあり、禁断の甘美さに酔いしれた。
「パパ、誕生日おめでとう」
 娘が、夫に商品券を手渡した。



 夫がこれを使うかどうかはわからない。使い道がなければ、私が消費してあげるから、遠慮せずに言ってねと伝えるべきだったか。
「ごちそうさまぁ」
 誕生日ではなかったが、非常に満ち足りた気分になった。もう、もらった気でいるのだ。
 こんなに明るい気持ちになれるなら、父の日も、これとは別にお祝いするべきか。今度は白を飲みたいものだ。
 はてさて、誰のための父の日なんだか……。


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1泊83万円ナリ

2016年06月12日 22時24分58秒 | エッセイ
 最近、ありきたりのディナーでは物足りなくなってきた。
 食材や価格だけでなく、そこでしか味わえないものがないと面白くない。何か、興味を引くものはないかと探していたら、東京ステーションホテルの館内見学付きフレンチディナーというものを見つけた。
「えっ、あの格式高いホテルを見学できるの? 行きたい、行きたい」
 日程は限定されているが、ちょうど都合のつく日があり、申し込んでみた。
「えーと、17時に4階アトリウムに集合か」
 この日は20人くらいだったろうか。女2人というのは私たちくらいで、夫婦やカップルでの参加が多い。開始まで、ソファーに腰かけて待つよう勧められる。



 茶を基調とした館内は、落ち着きがあって大人のムードである。食事も大事だが、雰囲気も非常に重要だ。始まる前から「これは期待できそうだぞ」という予感があった。
「お待たせいたしました。まずは南側のドームからご案内いたします」
 ホテルスタッフについて3階に下り、廊下を歩いていくと、ところどころに愛らしいアレンジメントか飾られていた。細部まで気配りが感じられる。
 さて、東京駅は工部大学校を最下位の補欠で入学し、首席で卒業した我が国を代表する建築家、辰野金吾氏の作品である。東京大空襲で屋根が焼け落ち、1947年に修復したが、3階建ての部分が2階建てになるなど元通りではなかった。2007年より復原工事が行われ、2012年に現在の姿に至っている。
「こちらからドームをご覧いただけます。壁の色は当時の資料や、白黒写真をカラーに復元する技術から、卵の黄身のような色であったことが確認されています」



 白と黄卵色の組み合わせは、まったく思いつかなかった。レモンパイのようで、見ていると緊張がほぐれ、心にゆとりができてくるから不思議だ。これに茶色が加わると、少々引き締まった印象となって見事に調和する。



「干支のレリーフがありますが、8角形ですので、子、卯、酉、午の4つがありません」
 私の干支は未。ちゃんとあってよかった。



 あとから知ったことだが、干支は方角を示しているのだとか。未は南南西を表す役目をしている。
 姉の干支は巳。こちらが示すのは南南東。



 鷲型、花飾りのレリーフや、秀吉の兜のキーストーンなどの説明もあったが、私は全体を一つの単位として見るのがいいと思った。
「本日は、ロイヤルスイートルームが空いておりますので、このあとご案内いたします」
「ほー」
 ドームのあとは、173平米という広さを誇るロイヤルスイートルームの見学である。



 まず、目に飛び込んでくるのが黄色の椅子だ。



 たとえ会議でも、心が弾むに違いない。



 ソファーはグレーだが、クッションにはやはり黄色の刺しゅうがあしらわれている。



 天井には、4階のアトリウムで見たシャンデリアとよく似たデザインの照明が下がっていた。



 この統一感が素敵だ。
 壁際の調度品にも、高級感がある。





 社長席のようなデスクもあり、面白半分に座ってみた。



 貫禄ゼロだな、こりゃ。
「メモ帳をご覧ください。こちらには川端康成、内田百聞といった文豪も滞在されていたので、原稿用紙となっております。よろしければどうぞ」



「あっ、本当だ! すご~い」
 人間の性で、つい枠の中に収めようとして文字を書くかもしれない……。
 椅子に腰かけたり、トイレや流しをのぞいたりと、かなりの時間を過ごしたような気がする。バスルームやベッドルームは見られなかったが、この部屋の空気を吸うだけでリッチな気分になれた。
「ちなみに、こちらは1泊83万円でございます」
「うわぁ~」
 ツアー客から悲鳴が上がる。8万3千円だったら泊まりたいのに残念だ。
 ロイヤルスイートルームのあとは、北側のドームを見学してアトリウムに戻る。いよいよディナーの始まりだ。ちょうどお腹もすいてきた。
 前菜。パテがイチ押し。



 スープ。コクのある味。



 甘鯛のポワレ。皮がカリカリで身はふんわり。



 黒毛和牛のローストビーフと牛タンのシチュー。ソースが絶品。



 しかし、一番気に入ったのはデザートだ。
 ヴァニラ香るマフィンココット焼 ストロベリーソース
  キャラメル風味のアイスクリーム添え



 しっとりふんわりのマフィンが、適度に甘くフルーティーで、アイスクリームとの相性も抜群にいい。
 ラストまで手を抜かない構成に脱帽である。
 美味しかった、楽しかった。
 また来よう。


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月刊フラワーズ7月号をゲットせよ

2016年06月09日 20時00分00秒 | エッセイ
 活字を読むようになったのは30代からだ。
 それまでは、もっぱら漫画。絵の粗い少年漫画は対象外で、写実的な劇画タッチのアクションだったり、ロマンティックなラブストーリーだったりする少女漫画に夢中だった。
 とりわけ好きだった漫画家が、萩尾望都さんである。『ポーの一族』は不朽の名作だし、『11人いる!』もファンタスティック。『トーマの心臓』『訪問者』などなど、時間がたつのも忘れて読んだ。
『ポーの一族』は1976年に連載を終えているが、今回、40年ぶりに最新作が『月刊フラワーズ7月号』に掲載されるとブロ友さんが記事にしていた。

 なにっ、買わなくちゃ!

 翌日、早速書店に向かったが、完全に出遅れたようで、どの書店も売り切れである。ブロ友さんはお住まいが福井ということもあり、「まだ残っている」と書いていた。しかし、都内の私が住んでいるエリアでは、すでに入手困難になっているらしい。

 ネットで見てみよう。

 PCから「月刊フラワーズ 2016年7月号」で検索すると、「売り切れ」という予測ワードが登場する。私と同じことを考えた中高年ファンが、我先にと本屋に押し掛けたのだろう。
 アマゾンでは在庫があるようだが、プレミアム価格の3000円超えで売られている。定価は590円なのに信じられない。おそらく、転売目的の輩がいち早く買い占めたのではないか。ファンでもないくせに、やめてほしい。
 けしからぬ人間を儲けさせることはない。もう月刊フラワーズはいいや、とあきらめた瞬間、富山の友人からメールが来た。
「若冲のお返しは、梨と新酒でいい?」
 先月、若冲展に行った際、気持ちばかりのものを若冲ファンの友人に送ったら、「家宝にする」と喜んでもらえた。律儀な彼は、何かお返しをしたかったようで、メールが来たというわけだ。
 北陸つながりで、福井と富山がダブって見えた。私はボタンを連打し、前のめりになってメールの返信をした。
「お願い! 梨と酒はいいから、月刊フラワーズ7月号を送ってぇ~!」
 富山でも売り切れていたようだが、その書店では7日に再入荷する予定になっていたらしい。ただならぬ気配を感じた友人が、書店で受け取ったあとすぐに送ってくれたので、わが家には8日に到着した。



 やった、やった~!

 思わず両手を上にあげ、力強くガッツポーズを決めちゃったもんね。
『月刊フラワーズ 7月号』は重版が決まったというが、部数がさほど多くないので、ここでゲットできたのは幸運である。つくづく、人とのつながりはお金に代えられないと実感した。
 ところで、友人は職人だから、少々いかつい外見をしている。多分。
 どんな顔をして少女漫画を買ったのかと想像すると……。
 感謝の気持ちが2倍、3倍になってきた。



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Windows10の呪い

2016年06月05日 20時57分28秒 | エッセイ
 3年前に買ったパソコンはWindows7。電源を入れると、事あるごとに「Windows10へのアップグレードができます」と誘いをかけてくる。
 周囲での評価は芳しくない。
「使いにくくなった」
「10にはバグがあるから、もうちょっと経ってからのほうがいいらしい」
 などなど。
 いつも時間に追われた生活をしてるので、面倒は避けたい。誘いの文句を見たら、すぐ×を押して消すようにしている。
 ところが、先日、パソコンをつけっ放しにしたまま、翌日着る服を決めていたのがいけなかった。
「うーん、これよりあっちのほうがいいかも……」
 大した服でもないのに、いつまでもファッションショーをしていたら、画面上に「アップグレードができます」のウインドウが開いているではないか。あわてて消したが、ときすでに遅し。やがて画面が切り替わり、「アップグレードを開始します」の文字が躍り出す。画面中央で、顎をそらすように仁王立ちしているように見えた。
「いやいや、これからブログを更新するんだから、ダメだよ」などと言っても受け付けない。キー入力ができなくなり、恐れていたことが始まってしまった。「このときを待っていたんだ!」とばかりの、聞く耳を持たない態度が鼻についた。
 さあ困った。操作ができるようになるまで何もできないではないか。
 まず、風呂に入って弁当の下ごしらえをして、記事の下書きまで終えたけれど、アップグレードはまだ続いている。
「いったい、いつになったらブログが書けるのか……」
 結局、終了までに2時間かかった。時計を見ると、すでに23時を回っている。ブログの更新は諦め、モヤモヤした気分で電源を切った。
 翌日、仕事から帰るなり、パソコンの電源を入れる。もしや、昨日のアップグレードは悪夢だったのではと疑ったが、画面表示がすべてを語っていた。



 まずはSNSのチェックからだ。お気に入りからfacebookにアクセスすると、IDやパスワードが消えていてログインし直さなければならない。
「えーと、どこにしまってあったかな」
 メモを見つけて、無事ログインできた。mixiもアメブロも、αcafeも読書メーターも、すべてやり直しだ。
「それから、ブログサービスか……」
 gooにseesaa、yahoo、人気ブログランキング、ええい、どれだけやればいいんだっ!
 もう、JUGEMやFC2はどうでもいい。必要なものだけ使えるようにするのに、1時間くらいかかった。そこから記事を入力したら、またまた23時を回っている。もはや、呪われているのではないかと思ったくらいだ。
「ふー」
すっかり疲れ切って更新を終えた。
 だが、一度作業をしてしまえば、今のところパソコンは快適に動いている。アップグレードから31日以内であれば、元のバージョンに戻せるというけれど、またIDやパスワードを入れ直すことを考えると萎える。これ以上面倒なことはしたくない。
 ワードの入力は便利になった。携帯のように予測ワードが表示され、作業時間の短縮に役立つ。10も悪いことばかりではないらしい。
 そんなことを思った矢先に、夫が助けを求めてきた。
「俺のパソコン、さっきWindows10にアップグレードしたら、インターネットに接続できなくなった。ちょっと見てくれぇ!」
 ……呪いはまだ続いてた。


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サンダルと呼ばないで

2016年06月03日 23時19分59秒 | エッセイ


 上の写真は、わが家の玄関先に常備されているものである。
 さて、これを何と呼ぶか。
「下駄」
 大正生まれの義母は、決してサンダルという言葉を使わない。かかとを覆わないスタイルの履物は、ビーチサンダルでもクロックスでも、すべて下駄に分類されるのだ。
「つっかけ」
 昭和17年生まれの母もサンダルと呼ばず、本体が木でできたカラコロ音のする履物と同一視する。似ても似つかないのだが、当人からすれば見分けがつかないのだろう。
 さて、私は職場で冒頭の写真に似たサンダルを履いていた。足裏に当たる部分に突起がついている「健康サンダル」である。最近では、だいぶくたびれてきて、ところどころに亀裂が目立ち始めた。そろそろ、新しいものをと考えて購入したのがこれである。



 突起はないが、これも足裏に心地よい作りとなっている。
 特に、土踏まずをケアするカーブが刺激的で、履いているとマッサージを受けているような解放感がある。



 若いころは、履き心地よりもデザイン重視だったが、今では見た目より中身。日焼けしたマッチョより、地味でも趣味が同じで私を笑わしてくれる男性が好きなのと同じだ。
 通勤に使っているサンダルも、室内履きに負けず劣らずの履き心地である。



 30分歩いても、10分走っても、ふくらはぎが痛くならないのがいい。210分待ちの若冲展での相棒でもある。列にならんだ18時半から23時半に帰宅するまで、5時間ずっと立ちっぱなしだったが、疲れなかったのはこのサンダルのおかげだ。歴代のサンダルの内でも、抜群の性能である。
 履き心地の秘密は、中央のふくらみにあるのかもしれない。



 母や義母にならい、私はこれを「ミュール」と呼ぶことにしよう。
 しょうもない一族と後ろ指を指される気がする……。


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