これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

月見ポテト

2015年09月27日 20時47分33秒 | エッセイ
 今日は十五夜なので、おやつはウサギまんじゅうと



 十五夜団子にした。



 夫も娘もパクパク食べていた。
「美味しいね」
「外側の黄色い餡はさつまいもかな」
 イベントがあると、家の中も盛り上がる。私の気分も盛り上がり、ない頭で「夕飯も月見系でいくか~」と考えた。
 ちょうど横浜のブロ友さんが、山手西洋館の十五夜バージョンをアップしているところだ。きれいに盛られた団子を見て、カニ団子が浮かんできた。カニと鶏ひき肉を混ぜて蒸すと、白くて美味しい団子ができる。今日の献立にピッタリではないか。
 ところが、何を血迷ったのか、いざスーパーに行くとカニのことはすっかり忘れ、私が買ってきたのはサワラであった。
「いかん、何でこんなものを! アホか~!」
 おそらく、出かけ間際に夫が「しらすとキウイを買ってきてくれ」などと頼むから、肝心のものを失念したらしい。家で正気に返ったものの、もう一度出かける元気はない。ありあわせのもので何かできないか探してみた。
「じゃがいもと、かぼちゃ。よし、これでいこう」
 まずは、かぼちゃとじゃがいもを茹でる。やわらかくなったら火からおろし、バターと牛乳、塩を混ぜマッシュポテトの要領で形をつくる。
 それから、150度のオーブンで20分、焦げ目がつかないように焼く。
 サワラも焼いて、並べてみると……。



「あっ、お月様と団子だ!」
 よかった、一応、こちらの期待通りに見えたらしい。
 ポテトもかぼちゃも、余分な水分が飛んで、ふわふわになるから食べやすい。主役のはずのサワラ君が、団子の台に追いやられているところは同情に値する。しかし、今日だけは勘弁してもらいたい。
 無念だったのは皿の色だ。青か紺の皿を探したのに、白しか見当たらない。ダークな背景であれば、また違った印象になったのだが。
「さて、お月様を見に行こう」
 食後は十五夜お月さんの鑑賞だ。



 雲の切れ間から顔を出したところは、大粒の真珠のようで、実に美しい。
「うーん、いいねぇ」
 これまでで、一番素敵な十五夜だったかも。


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ちょっぴり怖い話

2015年09月24日 17時41分20秒 | エッセイ
 シルバーウィークで、また日光に行った。前回は姉とハイキングをしたが、今回は夫に娘、姪を誘って滝めぐりがメインである。
 集中豪雨で特急はしばらく運休だった。しかし、5連休に間に合うよう復旧作業をしたようだ。新鹿沼から下今市までの区間は、土砂崩れとおぼしき部分が何か所もブルーシートで覆われ、徐行運転となっていた。豪雨の爪痕は、あちらこちらに見受けられる。
 東武日光駅に着くと、車も人も多く、かなりにぎわっていた。
「いやあ、連休は忙しくなりそうですわ」
 タクシーの運転手さんもうれしい悲鳴を上げている。
「えっと、まずは田母沢御用邸、それからいろは坂に入って華厳の滝、竜頭の滝、湯滝、光徳温泉でよろしいですか」
「はい」
 観光シーズンにふさわしい秋晴れである。それでも、山の天気は変わりやすい。姪や娘に「折りたたみ傘を持ってきなさい」と言っておきながら、自分が忘れてしまった……。ううう。
「降ったら入れてあげるから大丈夫だよ」
 娘になぐさめられ一安心。駅から御用邸までは近いので、そんな話をしていたら着いていた。



 とても素敵な場所で、お伝えしたいことが山ほどある。御用邸関連記事はこちらから。
 第二いろは坂には、黒髪平というフォトスポットがあり、ここで写真を撮った。



 雨は落ちてこないが、やはり雲が垂れ込めている。私が出かけるときは、こんなものだ。





 それから華厳の滝。
「先週は雨にいじめられましてな。まだ水量が多いんですよ。通常であれば1秒間に2トンの水が落ちるんですが、今は倍の4トンです。滝が太くなって豪快ですよ」
「へー」
「それは滅多に見られないですね」
 私たちはエレベーターを降り、観瀑台に向かった。
 エレベーター出口からの通路がやたらと寒かったけれど、観瀑台では気温が上がり、ぬるい感じとなる。
「すごーい」
 ドドドドドという低い音が響き、水が勢いよく落下している。たしかに太めだ。いつもの華奢でエレガントな姿に、肝っ玉母さんのようなたくましさが加わっていた。水煙が上がり、滝の周りも観瀑台も白い。たくさん写真を撮った。
娘はツイッターに「華厳の滝なう」などと投稿したようだ。
 ところが、娘のフォロワーである大学の先輩から、この写真に「霊が写っている」との指摘が……。
「すごく物知りで、いつも正しいことを言う人だよ。何が起きるかわからないから、すぐに全部削除したほうがいいって」
娘はlineで別の友人にも写真を送っている。こちらからも同様の指摘があった。
「メガネをかけた人の霊が入っているね」
「ひいい~」
 実のところ、写真の出来はよろしくない。華厳の滝にかぎらず、滝では心霊写真が撮れることが多く、おススメしないのだとか。
「怖いから消しちゃえッ!」
 というわけで、華厳の滝、竜頭の滝、湯滝すべての滝を消去したので、アップできるものがなくなってしまった。
「お母さん、SNSに載せた写真も削除したほうがいいって」
「えー」
 こちらのほうは、いいねやコメントをいただいていたので、消したくなかったのだが……。
 申し訳ありませんが、小心者なので削除させていただきました。
 ついでに、「日光ニコニコハイキング」の記事も修正し、竜頭の滝の写真もカット。やるなら徹底的に!

 戦場ヶ原展望台にも足を運んだ。



 ここで私の服に、しゃくとり虫のようなものがくっついて、タクシーに乗り込んできた。4人プラス1匹でしばらく走る。



「光徳温泉です」
 ようやくランチタイムだ。タクシー、しゃくとり虫とサヨナラして、レストランに入る。観光後は、がっつり肉をたべたい。



 食後は温泉。その日はとても空いていて、貸切状態であった。



 温泉寺はアツアツだったが、ここの湯温はちょうどいい。観光も重要だけど、一番大事なのは温泉である。温泉にさえ入れれば、単純な私たちは満足できる。
 温泉後は光徳牧場へ。



 牛が間近に見えた。熱心に草を食んでいる。噛んだあとむしっているのか、「ブチッ、ブチッ」という音まで聞こえてくる。
「ははは、すごい食欲」
 牛は体が汚れても気にしないようだ。ホルスタイン模様とは別の、土色の柄ができていた。泥の上にゴローンと寝そべったのかもしれない。こちらは平和でいい。
「さあ、そろそろ行こう」
 またもや日帰り。次に来るときは、東照宮や二荒山神社などの世界遺産を見なくては。
 滝はもういいです……。


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三人三様

2015年09月20日 21時25分04秒 | エッセイ
 シルバーウイーク、またはプラチナウイークと呼ばれる秋の5連休が始まった。アラームをセットせずに眠り、起きたら9時近い。日頃は、5時台からあわただしく過ごしているので、夢のようだ……。
 遅い朝食をとったあと、駅まで買い物に行く。途中でカフェラテが飲みたくなった。
「いらっしゃいませ」
 地元にはドトールが多い。駅前に2つ、駅の中にも1つあり、利用頻度が高い。
「Tポイントカードはお持ちですか」
「はい」
 最近、ドトールプリペイドカードなるものが発売された。今日のように、時間のあるときに買っておくと便利かもしれない。会計前に、言葉をつけ加えた。
「あのう、ドトールカードも欲しいんですけれど」
 ところが、店員の対応がよろしくない。
「お飲み物と一緒に会計はできないんです」
 微笑みながらもこの女性は、勝ち誇った顔で拒否してくる。あれ? カードを売りたいんじゃなかったの?
「……意味がわかりませんが」
「お客様は今、Tポイントカードをお使いになっているので、これにポイントカードをつけることができないんですね」
「ああ、なるほど。二重にポイントがつくから、別にすればいいってことですか」
「はい、そうです」
 ならば、「お飲み物は先に会計させていただきます。そのあとに改めてカードのご購入ということでよろしいでしょうか」などと言えばいいのだ。教員もサービス業だから、それくらいわかる。
 プリペイドカードならば、先にチャージしないと使えないだろう。購入時に3000円くらい入金しておくとよさそうだ。
「あのう、チャージもしたいんですが」
 ところが、またもやドヤ顔で、あごを反らせて答える。
「ご購入とチャージは同時にできません」
 はあ、とため息をつきたくなった。後ろには3人ほどが並んで待っている。特に、すぐ後ろの主婦は私のことをジロジロ見ていて、少々居心地が悪い。これ以上、時間をかけては申し訳ないし、この店員とはもう口を利く気がしない。
「では、カード代が300円になります」
 店員は、ビジネスチャンスを逃したことを理解していないようだ。ひょっとすると、勝負に勝ったような勘違いをしているかもしれない。300円を払い、カードとカフェラテを受け取ると、言葉だけが追いかけてきた。
「チャージはなさいますか?」
「もういいでーす」
 もし、私が店員だったら、「ご購入とチャージの会計を分けさせていただきます。お先にカード代で300円いただきます。お後にチャージ代を……」と言うだろう。せっかく払う気になっているのに、なぜ水を差すのか理解できない。彼女は、顧客を満足させることには興味ないのだ。むしろ、「私はマニュアル通りにやったわよ!」と自分に酔っていた。
 変な女から買ってしまったドトールカード。チャージは別の店でしよう。



 気持ちを切り替えてカフェラテを飲んでいると、正面から不意に話しかけられた。
「あのう、さっき、お会計されていたとき後ろにいた者なんですけれど……」
 顔を上げると、たしかに後ろでジロジロ見ていた主婦のようだった。
 何だろう、クレームかしらと身構えると、主婦は口元をほころばせ、目線を下に向けてもじもじと口を開いた。
「お使いになっていたお財布、どこのブランドですか? すごく可愛かったので、気になっちゃって。教えていただけますか」
 漫画だったら、イスからずり落ちていたところである。それで、ガン見していたのかと納得した。



 ニ、三分言葉を交わしてメーカー名を教えると、彼女は礼を言って席に戻った。
 カードの購入とチャージをめぐり、至近距離にいた三人が、てんでバラバラなことを考えていたと思うと面白い。
 連休はあと3日残っている。ネタになるようなことは、また起きるかなぁ?


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二度寝をしない方法

2015年09月17日 20時27分28秒 | エッセイ
 ピピピピピ……
 アラームが鳴った。時刻は午前5時20分。自分でセットしておきながら、この音が憎くて仕方ない。
 よっこらしょと体を起こすが、まぶたが開かない。頭も働かずボーッとしたままだ。でも仕事に行かなくては。気合いを入れて布団を抜け出し、キッチンに向かう。フローリングの床には、用意した服がたたんで重なっていた。これを枕がわりにして、ついつい二度寝をする。
「ぐー」
 時間にしてほんの5分だが、お盆以降の悪い習慣である。結局、この5分が命取りとなって、乗りたい電車に間に合わないこともあった。何とか二度寝をやめなければ。
 人は朝一番にやることがあると、スムーズに起きられるものらしい。たとえば、犬を飼っている人なら「ポチを散歩させなくちゃ」でシャキッ、猫を飼っている人なら「タマにエサをやらなくちゃ」でシャキッとなるのだとか。
 残念ながら、うちにはペットがいない。家族はいるが、6時前に起きているのは私だけである。
 そういえば、実家では毎朝ラジオがついていた。睡眠時間の短い母も、寝起きはツラかったに違いない。私も眠い目をこすって起きたとき、ラジオを聴くと自然に目が覚めた。テレビという手もあるが、映像があるとうっかり見てしまい、動きが遅くなる。やはり、音声だけがいい。
 たしか、災害セットの中にラジオがあったはず。私は持ち出しリュックを開けて、ラジオを探し始めた。
 あった、あった。



 ラジオは、買ったときのまま中に押し込められていた。箱を開けてみると、黒いイヤフォンは使えそうだが、乾電池パックは白い粉を噴いている。これでは、本当に災害がきたとき使えなかっただろう。思いついてよかった。



 新しい電池を入れてチューニングしてみる。このラジオはAMだけしか聞けないようだ。NHK第一に周波数を合わせてみると、それらしき放送が聞こえてきた。ノイズがかなり混じっているが、「フランスでは三日月のことをクロワッサンといいます」などと言っている。天気予報や道路交通情報なども流れてきたが、なぜか北海道の情報ばかり。ここは東京だというのにおかしい。
 男性の声が高らかに「NHK札幌第二が午前6時をお知らせします」と告げたとき、私は仰天した。周波数を間違えていたのだ。まさか、北海道の放送が拾えるとは思わなかった。おそるべし、災害ラジオ!
 チューニングし直すと、今度はお目当てのNHK第一につながった。こちらは雑音ひとつない。アナウンサーのなめらかな声が心地よく、眠気が飛んでいく。対話や特集は5分ほどで切り替わり、歌やニュースがいい塩梅に挟まれて、飽きない工夫がされていた。ラジオ番組はよくできている。
 次の日もその次の日も、半分寝ている体でラジオを聴くと、モヤモヤした頭がクリアーになってくる。脳が起きると支度のスピードも上がり、チャチャッと弁当ができる。期待通りだ、これはいい。
 朝イチのラジオで、私は二度寝習慣から脱出することができたのであった。
 しかし、昼食後の眠気は逆に強くなった気がする。
 今日は、一日研修を受けていたのだが、2時台、3時台に眠くなり、ウトウトしてしまった。
 睡魔は、活動時間をずらしただけだったのかな。


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コピ・ルアクで祝う誕生日

2015年09月13日 17時32分08秒 | エッセイ
 毎年9月は甥と姪の誕生日会が行われる。アルコール係は姉で、ケーキ係は私だ。今回は地元の人気店で買おうと店に向かったが、出遅れたようでデコレーションは3個しか残っていなかった。
「じゃあ、イチゴのデコレーションと、洋ナシのタルトを誕生日用でお願いします」
「はい、かしこまりました。お名前は何とお書きしますか」
「えーと……」
 危ない、危ない、すべり込みセーフである。もうちょっと遅かったら、何も残っていなかったかもしれない。今日は運がよかった。
 包装を待っていると、ろうそくが目に入った。不意に、これも買っていこうかしらと思いつく。甥が中3、姪が中1だから、15歳と13歳になるはずだ。



「見て見て、今日はろうそくも買ってきた」
「へー」
 娘が気のない返事で答えた。ラインでのやりとりに忙しくて、適当に聞いている。
「51歳と31歳だね!」
「は? 51歳の中学生? 親より年上じゃん」
 一応、反応はあったが、どうでもいいようで流された。
「いらっしゃい」
 妹の家では、すでにごちそうの準備がされていた。



 あとは、みんなが揃ったらステーキを焼くだけ。待っている間に、姉の夫から、インドネシアとアメリカのおみやげをもらった。



「あと、これはみんなで飲もうと思ってね」
 彼が取り出したのはコーヒーだった。
「これは数が少ないから、1杯5000円くらいするコーヒーだよ」
「5000円?」
 真っ先に反応したのは、金銭感覚ばかりが発達している娘である。スマホを置き、しきりに「飲みたい飲みたい」と騒いでる。
「でも、作り方は聞かないほうがいいね」
 ようやく、コーヒーの正体がわかった。これは、コピ・ルアク。ジャコウネコのフンからとれるコーヒーである。
「ほら、パッケージにも写っているでしょ」
 たしかに、タヌキのような生き物が描かれている。これがジャコウネコなのか。



「何でもいいよ~。あとで飲もう」
「じゃあ、ケーキのときにね」
 ステーキが焼けた。宴会のスタートだ。可哀そうに、義兄はおみやげを置いたあと、別の用事があるからと帰って行った。彼がもらったのは匂いだけだった。
 甥は受験生である。でも、なかなか勉強がはかどらないらしい。志望校はほぼ決まったので、あとは努力あるのみなのだが。
 姪は真っ黒に日焼けしていた。夏休みは、軟式テニス部の活動で毎日のように登校していたとか。海やプールではなく、テニス焼けなのが虚しい。
「さすがに、受験生がいると、どこにも行かれなくてね」
 もうすぐシルバーウィークなのに、受験生の兄を持つ姪は部活以外の予定がない。気の毒に思い、うちのお出かけに誘ってみた。
「うちは3人だから、もう1人いたほうが偶数になっていいのよ。日帰りだけどね」
「えー、本当? 行きたい!」
 そんなこんなで、来週は姪を入れた4人家族で行動することになった。新鮮で楽しそうだ。

 料理が進んだら、づけ丼が出てきた。これはイケる。



 テーブル上が片付いた頃、いよいよケーキタイムに突入する。



「ハッピバースデー、トゥーユー、ハッピバースデー、トゥーユー」
 合唱のあとは火を吹き消すのだが、今回はろうそくが2本だけなので楽そうだ。
「はい、さっきのコーヒー」
「おおっ!」
 妹がコピ・ルアクをいれた。見た目は普通のコーヒーだが、飲んでビックリ。尖ったところがなくて、実にまろやかな味わいなのだ。酸味はほとんどないし、苦みと甘味のバランスもよく、これまで飲んだコーヒーの中でもかなり上である。
「美味しいね」
 両親も姉も、べた褒めだった。ジャコウネコさん、ありがとう。
 しかし、主役の2人はジュースを与えられている。まだ中学生だから、飲めなくても仕方ない。
 31歳と51歳になったら、挑戦してみてね!


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日光ニコニコハイキング(3)

2015年09月10日 20時14分38秒 | エッセイ
 湯元温泉でバスを下りる。「日帰り温泉」の旗がヒラヒラ揺れて誘ってくるが、私たちは温泉寺に行きたいのだ。
「ああ、温泉寺でしたら、そこの石灯籠の先です。すぐですよ」
 案内所で道を教わり、寺を目指す。
「あったあった」



 ここはお詣りもできるし、温泉にも入れるという、全国でも珍しい寺である。素通りするわけにはいかない。まずは本堂に向かった。
 カラカラと鈴を鳴らし、欲張ってあれこれお願いする。お賽銭は5円しか入れていないのに、図々しい。
「あっ、おみくじがある」
 2種類のおみくじがあった。ひとつは血液型別のおみくじで、「本気ですか?」と言いたくなった。うさん臭くて、当たる気がしない。もうひとつは、天然貴石入り開運みくじ。お守りになりそうだからと、こちらを選んだ。



「よかった、吉だよ!」
「あら、アタシも~」
 姉妹がケンカしないように、仏様が気をつかってくれたのかもしれない。天然石はアラゴナイト(霰石)で、学業成就、社交良好に導いてくれるようだ。早速財布に入れ、物覚えの悪い頭が少しでもよくなるように祈る。



「じゃあ、お風呂お風呂」
「混んでいるかな」
 他人様のブログを拝読すると、混雑していてイモ洗いのようだったと書いてあった。おそらく、運が悪かったのだろう。



 呼び鈴を押し、500円払うと、浴室に案内してくれる。温泉施設と違い、バスタオルは自分で用意しなければならないし、貴重品を入れるロッカーもない。小さな袋に財布を入れ、風呂場に持ち込んだ。
 悪天候が幸いしてか、先客は1名である。しかも、ちょうど上がるところであった。
「貸し切りだ~」
「よかったね」
 気兼ねなく、乳白色の浴槽に身を沈めた。湯温は44度とかなり熱いが、ここは我慢。浸かったところの血管がブワッと広がって、血液がタッタッタッと走り出す。サニブラウン・ハキーム君くらいの速さだ。指先から肩や腰まで、ぐるぐるぐるぐる駆けめぐる。
「うーん、いい湯」
「気持ちいいね~」
 熱い風呂は苦手な私でも、ここの湯には入れた。肌にピリピリした刺激がないからだろうか。サニブラウン君が何周も走ってくれたので、体の芯まで温まった。
 しかし、バスの時間が迫っており、ゆっくりできない。ほどほどのところで上がり、着替えはじめる。脱衣所を出るところで、また次のグループがやってきた。仏様の時間調整は巧みだ。誰もいなければ、彼女たちも喜んで入れるだろう。
 石燈籠の道を戻り、バス停に着いた。
「楽しかったね」
「また来ようね」
 わずか7時間の滞在だったが、思い出は2泊3日分。
 熱い風呂も悪くない。
 
(追記)9月9日から10日にかけて、この日光市では50年に一度の記録的大雨が観測され、栃木県・茨城県に特別警報が発令された。また、鬼怒川沿いでは堤防が決壊し、家屋や工場が流されるなどの大惨事が起きている。
 助けを待つ方が、一刻も早く、無事救助されますように。
 また、一日も早く、元通りの生活ができるようになりますように。


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日光ニコニコハイキング(2)

2015年09月06日 19時48分35秒 | エッセイ
 竜頭の滝に向かう私と姉の前を、おばあちゃん4人組が歩いていた。
 見た目は70代だが、服装は正統派ハイカーのものだし、1列に並んで軍隊のように闊歩している。
「早いね」
「元気、元気」
 アラフィフの私たちでも追いつけないスピードに感心した。しかし、最後尾の一人はかなりバテ気味で、置いていかれそうになっている。前の3人との間隔が開き、焦っている様子がわかった。上半身が右に左に揺れ、足は上がらなくても気持ちだけ前に進みたいという感じだ。
「あのおばあちゃん、大丈夫かな」
「心配だねぇ」
 仲間もその辺は心得ているようで、ときおり、立ち止まっては、彼女の到着を待っていた。
 勾配が急になってきた。水音も、ボリュームのつまみを上げている。道路の向こうには、ようやく「竜頭の滝」と書かれた看板が見えてきた。
 反対側から若いカップルが歩いてくる。彼らは上りコースを選んだようだ。竜頭の滝から石楠花橋までは急勾配になっており、上りと下りとでは10分違うという。元気のよさに、心の中で「若いねぇ」とエールを送る。
 ようやく茶屋が見えてきた。ハイキングで消耗したあとは、この存在がどれほどありがたいことか。
「お昼にしよう」
「何にする?」
 おススメは雑煮らしい。ここは逆らわず、言われた通りにする。



「うまーい」
「これにしておいてよかったね」
 揚げた餅は軟らかく、山菜たっぷりの汁も美味しい。いろはビールは喉ごしがいいし、茶屋のおばちゃんたちもフレンドリーだ。がぜん、旅行気分が盛り上がり、みたらし団子まで頼んでしまった。ここは餅に自信を持っているらしい。
「まだ、バスが来るまで時間があるよ」
「じゃあ、ソフトクリームも」
 ゆばソフトを頼んでみたが、出てきた品を見て、ちょっとガッカリした。



 でもでも、食べてみたらこれが美味しいの何のって。
 ソフトクリームにしては硬めだが、ジェラートほどではない。こってりしていて、ちゃんと湯葉の味がするのに、スイーツとしても優等生。見た目からは想像できない味であった。
 地味な女の子がメガネを外したら、とびきりの美少女に変身したようなソフトクリーム。もし、ここに行かれたときは、ぜひお試しを。
 活動後の一服は、えらく満足度が高い。さっきのおばあちゃんたちも、茶屋に立ち寄っただろうか。特に最後尾の彼女には、雑煮を食べてゆっくりしてほしい。
 幸福感に包まれたまま茶屋を出て、「菖蒲ヶ浜」バス停まで下り、湯元温泉行きのバスに乗る。1分の遅れもなく、正確な時間にバスが来た。
 最後は温泉だ~!


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日光ニコニコハイキング(1)

2015年09月03日 21時26分46秒 | エッセイ
 学校という無機質な建物にこもっていると、自然が恋しくなる。
 姉を誘い、日光まで出かけることになった。東照宮を中心とした世界遺産は何度も見ている。日帰りということもあり、今回は欲張らず、戦場ヶ原のハイキングと温泉だけと決めた。
 バスで光徳入口まで上り、ハイキングのスタート地点にする。



 私がどこかに行こうとすると、お約束のように雨が降る。この付近は道が整備されておらず、足元がえらくぬかるんでいた。



 しかし、こんなことでメゲる私ではない。終了後の温泉を楽しみに、おしゃべりしながらガシガシ歩いた。
 10分ほど過ぎると、遊歩道の整備された場所にたどり着く。



 さて、日光と聞けば「サル」を連想するのではないだろうか。三猿はもちろん、いろは坂で野生のサルの姿を見ることもある。中には攻撃的なサルもいるようで、近づいてはいけないという話だ。
 だが、そんな先入観を吹き飛ばす看板が目に入った。



「クマと出会わないために、人の存在を知らせましょう」

 えっ、サルじゃなくてクマ? 

 日光は栃木県である。こんなところにもクマが出るとは。心の準備ができなくて、「ひええ」と怯えるしかなかった。
 ためしに鐘を鳴らしてみると、「カーーーン」と甲高い音が轟き、鼓膜に突き刺さる。用意のいいハイカーは、クマよけの鈴をつけ、「シャンシャン、シャンシャン」と音を鳴らしながら歩いていた。私と姉が、抜け目なく後をつけたのは言うまでもない。
「クマも遊歩道を歩くのかしらね」
「あーこりゃ歩きやすくていいや、なんつって」
「あり得んな」
「ははは」
 安心すると軽口も飛び出す。
 戦場ヶ原は見晴らしがよく、雨天でも快適だ。



 屋根も壁もなく、ひんやりした風が髪をやさしく撫でていく。
 晴れていれば、男体山が見えるはずだったのに、どこに何があるのかさっぱりわからない。



 それでもいいのだ。ここには、時間も仕事も忘れて、ただ歩くことだけに没頭している自分がいる。マイナスイオンを浴びて、うつり変わる風景をぼんやり眺めていると、狭苦しい社会の枠組みから解放されるようだ。
 リラックス、リラックス。
 ハイキングの醍醐味は、この幸福感ではないだろうか。
「キレイな川だね」
「うん。湯川って書いてある」
 さらに下っていくと、赤沼分岐に着いた。
 さすがに、ここまでは、クマもついてこないだろう。
「竜頭の滝まで、あとちょっとだよ」
「よーし」
 水音が、ひときわ大きくなってきた。
 ハイキング出口までもうちょっと。


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