これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

カメラの練習~工場夜景

2014年08月31日 20時48分32秒 | エッセイ
 姉と「新工場夜景ジャングルクルーズ」という船に乗った。
 予想通り、周りはカップルや夫婦、家族連れなどでにぎやかだ。
「つき合わせちゃって悪いわね。友達いないから、一人で乗るのも淋しくてさ~」
 ちらりと姉の顔色をうかがうと、迷惑そうな様子ではない。
「船は好きなのよ。水曜日は屋形船に乗ったしね。アタシも友達いないから、ちょうどよかったわ」
「あはは」
「ははは」
 しょうもない姉妹である。前にいた老夫婦が、笑いをこらえているような気がした。
 横浜を18:30に出航するこの船は、けっこう小さい。



 雨の心配もなかったので、迷わず2階デッキに向かう。
 景色は抜群だが、風が強くて寒いから、長袖は必需品だ。



 今回は、夜景モードでの撮影練習も兼ねている。明るいうちに、カメラの状態を再チェックした。
「それでは出航いたします」
 早速、遠ざかる横浜の街並みを撮影してみた。



 水平に撮ったつもりなのに、これは右に傾いでいる。



 もう一枚。
 今度は左だ……。船からの撮影は初めてだが、思った以上に難しい。
 さらに、小型船だから揺れて手ブレが激しい。スポーツをしている人を撮影するには、シャッタースピードを高く、滝などの静止画を取る場合にはシャッタースピードを低くすると教わったが、撮影する人が動いている場合はどうしたらいいのだろう。
 考えても仕方ない。暗くて設定変更もできないし、さあ、チャレンジチャレンジ。
 まずは、ベイブリッジ。



 係員のお姉さんが、「右手にありますのは……」「左手をご覧ください」と説明してくれるのだが、カメラを抱えていてはメモも取れず、スポットの名称はほとんどおぼえていない。
「みなさま。工場夜景を楽しむには、想像力が必要です。あの建物は〇〇に似ているなどと想像して、ご自分で名前をつけてみてください」
 ほほう。
 では、直感で、ひらめいた名前を挙げてみよう。



 ツナ缶。
 ちなみに、ここにはオレンジのライトが照らされている。これは、危険物が貯蔵されている意味らしい。



 AKIRAワールド。



 パイプ王国。



 飛び込み台。



 釣り人。



 足。



 夫婦。
 うーん、想像力の貧困さが暴露されるネーミングばかりだ……。
 唯一、名前をおぼえた工場もある。
「お待たせしました。ここが一番人気の、昭和電工です」



 かつて、「風雲たけし城」というテレビ番組があったが、ここはまさにお城である。形といい、煙のたなびき方といい、ゆるぎない貫禄が漂っていた。
「素敵ねぇ」
「うん」
 姉もうっとりと眺めている。工場という無機質な建物が、どうしてこんなに美しいのか、教えてもらいたいくらいだ。
 このあとは、来た道を戻るだけだが、暗くなった分、行きより華やいで見える。
 


 プラレール。



 クジラ。
 そして、横浜の夜景が、くっきり映ったところで下船となった。



「よかったね」
「キレイだった」
 船酔いする人には勧められないが、一風変わった写真を撮るにはいい。
 翌日、画像をパソコンで確認した。全部で205枚撮影したが、鮮明に写っているのは、ほんの30枚ほどだ。残りの175枚は、とても人様にお見せできるような出来ではない。

 ウソ~~~~!!!!

 ガッカリして、座り込んでしまいそうなくらいだった。
 激しい揺れにも対応できるような、「船上モード」はないのかな……。


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あー 夏休み♪

2014年08月28日 20時25分10秒 | エッセイ
 今年は、9日間夏休みをとった。
 まとめて取ることもできたが、私は分散型が好きだ。オフィスと違って学校にはお盆休みがないから、好きなときに休める。週に3日働き、2日は休暇、残りは土日という週休4日制が最高だった。
 しかし、兼業主婦の性で、一日何もせずに過ごすと罪悪感がある。最初は、布団を干してカーテンも洗って、娘と一緒にお出かけしてなどと張り切っていたが、そのうちネタも尽きる。ビールを飲んで、長座布団に横になり、小説を読み始めたらもうダメだ。いつの間にか寝てしまい、気づけば夕方になっている。
「お母さんがまた昼寝してた」
「ギクッ」
「一度起こしてあげたのに、起きなかった」
「……」
 娘の冷たい視線を浴びながら、またやってしまったと反省した。これといった成果なしで一日が終わると、頭の中にTUBEの替え歌が流れてくる。
「あー ズル休み」
 休みの日は何かしなきゃいけない、というわけではないけれど……。

 このところ、雨模様が続いている。
「お母さん、この前、長傘なくしちゃったんだよね」
 娘がおずおずと申し出る。暇だと、つい余計な返事になりがちだ。
「浅草で思い出せばよかったね。蛇の目傘売ってたのに」



「おこ」
 怒っている状態を「おこ」と言うのが、今どきの女子高生らしい。
「笠地蔵みたいな笠もあったよ」



「ぜっきょ」
 これは「絶対許さない」の意味である。
 娘は塾があったので、「じゃあ、これから買ってきてあげる」と用事を作ってみた。
 目指すは池袋。さて、私が選んできた傘は……。



 パステルグリーンの生地に、動物の顔が描かれたものである。
「可愛い」
 よかった、合格点がもらえたようだ。
 やることがあると、それだけで充実した一日を過ごした気分になれてよい。
 さて、明日は最後の休暇である。
 ズル休みにならないように、美容院にでも行くか。


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真夏の花やしき

2014年08月24日 20時20分52秒 | エッセイ
 東京都民なのに、私は一度も浅草・花やしきに行ったことがない。
 外国からの観光客に負けている気がして、暑い中、高3の娘と一緒に出掛けてきた。



「何から乗る?」
「やっぱ、ローラーコースターでしょ」
 乗り場に行くと、やはり、小さな子供のいる家族連れが多い。江戸風のレトロな風景を見ながら並ぶ。



 10分ほど待つと順番が来た。ラッキーなことに一番前の席だ。



 絶叫マシン狂の娘が納得するとは思わないが、狭い空間を生かしたアップダウンが施され、それなりに楽しかった。
「まあまあだね」
「あ、あそこにスリラーカーがあるよ。行ってみよう」
 少し移動すれば別の乗り場がある。いくつか乗ったところ、一番楽しかったのは「スペースショット」だった。



 スタートと同時にポールのてっぺんまで急上昇するときの加速と、高いところから眺める景色が爽快だ。座る方向によって景色が変わるが、浅草寺の見える席をおススメしたい。
「富士急のは乗ったことなかったね」
「ドドンパや、ええじゃないかに並んでたから」
 今度、富士急ハイランドに行ったら、試してみようと思う。
 いつもは入らない、お化け屋敷にも足が向いた。あまりの暑さに耐えかねた結果だ。
「あそこなら、絶対クーラー利いてるでしょ」
「行こう行こう」



 鳥居をくぐって階段を昇ると、冷気の漂うお化け屋敷があった。予想通り、冷房が入っている。



 すでに家族連れが2ペア並んでおり、「少々お待ちください」と言われた。
「ヤダヤダ、やっぱりやめる~」
 入口から戻ってきた親子がいた。女の子は、早くも半泣きになっている。
 次の家族連れが入ったが、こちらもすぐ引き返してきた。男の子は顔を引きつらせていた。幼児には、ハードルの高い場所に違いない。
「お待たせしました。どうぞ」
 ようやく順番がきたようだ。
「途中で、これを入れるところがありますのでどうぞ」
 係員が、カード型のお札を渡してきた。娘が張り切って手を出し、先に入る。
 暗い。
 実は、私には別の目的があった。去年の文化祭で、私のクラスはお化け屋敷をやったのだが、ろくな仕掛けがなくて、客からは「全然怖くない」と言われた。生徒任せにしないで、もっとアドバイスしなければいけなかったと反省している。大道具や演出など、ぜひ参考にしたいものだ。
「こっちこっち」
 娘は気合いが入っているようだ。さすがに18歳だと、引き返すどころか果敢に進んでいく。涼しくて、元気を取り戻したのだろう。
 通路の微妙な暗さは、文化祭では難しい。真っ暗では危ないし、明るいと怖くない。
「わお」
 ドアを開けると、怖い顔をした人形が立っていた。ネットやガラスで守られているのは、いたずらしたり破壊したりする客対策かもしれない。
「どっちだ」
 道が見当たらない。手探りで進むと、別の人形が立っていた。センサーに反応し、血まみれの体を起こして恨めしそうな表情の人形もいる。曲がり角で娘を追い越したら、後ろから文句が追いついてきた。
「お母さん、先行かないでよ。先頭はミキなんだから」
「別にどっちでもいいじゃない」
 歩く順番にこだわる娘に呆れ、さらに進むと祭壇があった。お札はここに入れるようだ。客に何かをさせる「参加型」も悪くない。
 後半、いくつか仕掛けを見たが、お金がかかっているようなので真似できそうにない。
「あれ? もう終わり?」
 観察ばかりしていたら楽しめなかった……。まあいいや。
 2階がお化け屋敷なのだが、出口から上階に行くと、園内の景色が広がっている。



 2人で「いい眺めだね」と声を合わせた。
 暑かったけれど、行ってよかった。


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上野どうぶつえん

2014年08月21日 19時55分10秒 | エッセイ
 仕事で浜松町まで行った。
 予定より30分も早く終わると、つい、どこかで寄り道したくなるのは私だけだろうか。山手線に乗り上野に到着したとき、「そうだ、エキュートに行こう」と思いつき途中下車した。
 上野のエキュートでは、パンダのスイーツが何種類も売られている。
 たとえば、これは「パンダプリン」なるものである。



 白い顔はアイスではなく、ホワイトチョコのムースだそうだ。食べていないから味はわからない。他にも、パンダクッキー、パンダもなか、パンダケーキなど、パンダ商戦に乗り遅れまいと躍起になっている店が目立つ。
 上野と聞いて何を連想するだろうか。
 私は動物園だ。子どものときは、パンダのランランとカンカンが一番人気だったが、トラやライオン、ゾウにサル、ペンギンなど、他の動物を見るのも楽しみだった。エキュートでも、パンダだけでなく、他の動物にもスポットを当てた商品があればいいと思う。
 思いが通じたのか、私が欲しくなる商品が見つかった。



 浪越軒の「どうぶつえん」。
 おまんじゅうになっており、全部で12種類の動物がいる。パッケージも可愛い。



 開封したらその日のうちに食べなければならないが、未開封なら一週間日持ちする。
 中のあんは、「こしあん」「つぶあん」「苺あん」の3種類があり、動物によって違うそうだ。店のお姉さんが、商品説明の紙を入れてくれた。



 家に着くと、女性陣の評判は上々であった。義母は「きゃあ、可愛い」と喜び、娘も「写メ写メ」とはしゃぐ。
「一人3個だよ。どれがいい」
「えっと、じゃあ、あんが同じにならないようにしようかな」
 真剣に選ぶ女たちの隣で、夫は「腹減った、早くくれ~」とうるさい。
 私はパンダと



 ブタ



 クマにした。



 余り物のコアラ、ヒヨコ、ウサギを夫にやると、ろくに見もしないで、掃除機のように口の中に吸い込んでいく。わずか15秒ほどで食べ終えてしまった。
 味は、残念ながら甘すぎる。3個食べると、さすがに煎餅などのしょっぱいものが欲しくなった。「どうぶつえん煎餅」なる商品も、作ればいいのにと思ったりして。
 暑くて、真夏の動物園には行く気がしない。
 今年は、お菓子のどうぶつえんで楽しめて満足だ。


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糖質満載食

2014年08月17日 17時50分02秒 | エッセイ
 写真を見ると、20代の夫は、引き締まった筋肉質でカモシカのようだった。
「すぐ腹が減るから、昼飯はざるそばとカツ丼だったよ。今はやらないけどね」
 糖質制限食で知られるドクター江部が聞いたら、貧血を起こしそうなくらい、糖質満載の昼食である。代謝のよかった年頃は、それでも太らなかったが、30代に入ると徐々に体積が増えて、腹囲が大きくなってきた。大食いが中食いくらいになったとはいえ、40代には立派な中年太り、50代以降は肥えた牛と化すのだから恐ろしい。
「久しぶりに会った人から、太ったねって言われた……」
「そりゃそうでしょう」
「膝と腰が痛い」
「それだけ太っていれば、体に負担がくるよね」
「やせないと」
 夫は酒を飲まない。甘いものも、ダイエットのために我慢するようになった。
 数年前には、テレビで「やせる食べ方」なるものも見たそうだ。
「最初にみそ汁を飲んで、野菜、おかず、ご飯の順に食べると太らないって」
「ふーん。やってみれば」
「うん」
 さらには、薬にまで頼っている。



 それで効果が出たかというと、NOなのだ。腹部はますますせり出し、老眼鏡のつるに肉が食い込むくらい、顔も膨らんでいる。何がいけないのかと不思議に思っていたが、先日、ようやく原因がわかってきた。
 私と夫は、ライフスタイルが違うので、朝食も昼食も別々にしている。つまり、夕食しか一緒にとらない。彼が一体何を食べているか、よく知らなかった。
 その日は日曜日で、娘が友達と出かけており、夫が珍しく家にいた。朝食を別々にとり、私は2階、夫は1階で過ごしていたが、ふと「お昼はサンドイッチにしよう」と思いついた。一人分を作るのは不経済だから、手抜きも兼ねて、買いに行った方がいい。スーパーならば夕食の材料も揃うから、コンビニより便利だ。
 出かける前、一応、夫にも声をかけてみた。
「これからお昼を買いに行くけど、何か欲しいものある?」
「お昼、何にするの?」
「サンドイッチ」
「いいね。俺も欲しい」
「どのくらい買えばいいの?」
「そんなにいらないよ。そうめんも食べるから」
「…………」
 何と、彼の昼食は、そうめんとサンドイッチであった。
 糖質満載食を改善しない限り、何をやっても無駄らしい。
 まずは、ランチメニューを見張らなくては……。


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鴨と遊べる 小石川後楽園

2014年08月14日 20時09分07秒 | エッセイ
 水道橋に行くついでに、小石川後楽園に立ち寄った。



 この園は江戸時代初期、光圀の代に完成したものらしい。



 入園料は300円かかるが、写真撮影の練習によさそうな予感がした。



 思った通り、日本的な美しさが楽しめる。





「うん?」
 池に映る景色を見ていたら、親子の鴨が一直線に泳いできた。



 迷うそぶりもなく、対岸を目指してスイスイと進む。



 岸につくと、羽を広げてジャンプし、上陸してきた。



 お母さん鴨だけでなく、子鴨たちも続いてくる。
 そして、三脚を構えたオジさんや、デート中のカップル、仕事の合間のサラリーマンたちが集まるベンチにペタペタと歩いてきた。



「可愛い~」
 のんびり座っていた人たちも、鴨のほうに吸い寄せられ、成り行きを見守る。鴨も人に馴れているようで、怖がるどころか近づいてきた。
「パン食べるかな」
 三脚オジさんが、バッグからパンを出し、ちぎって投げた。鴨ファミリーにとっては期待通りだったようで、落下地点に突進していった。
 しかし、パクリと食べたのはお母さん鴨。2羽の子鴨を押しのけ、涼しい顔をしている。
「えー」
「子供にあげないんだね」
 ギャラリーからはブーイングが起きている。二度目、三度目も、体の大きさで勝るお母さんが独り占めしてしまった。これはいただけない。
「とられるなよ」
 オジさんは、子鴨のいる場所を狙って投げる作戦に変えたようだ。
「あ、食べた食べた」



 家族といえども、生存競争は激しいらしい。パンがなくなるまで、3羽の争いは続いていた。
 鴨を見たあとは、奥へと進む。
 寝覚滝。



 内庭。





 円月橋。



 九八屋。



 なぜか、稲田の周りには鴨の集団がいた。



「グエグエ」
「グワグワ」
 こちらの鴨は何やら騒がしい。稲田に入りたいのか、しきりに首を伸ばしているが、ネットに囲われていて立入禁止となっていた。これが気に入らないのだろう。



「何だよ、この網。入れねえだろ」
「うぜえ~」
「クソだな」
 などと悪態をついているのかもしれない。
 水かきの足跡は可愛いのだが……。



 池をグルッと回ると、ハスの生えている一角があった。



 ピンクの花がきれいだ。
 ここにも鴨がいた。ハスの葉をパラソルがわりにして、シエスタを楽しんでいるようだ。



「スヤスヤ」
 寝ている鴨を見たら、私も眠くなってきた。
 写真も撮れたし、帰って昼寝しようっと。


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台風11号 雲の切れ間

2014年08月10日 16時26分05秒 | エッセイ
 台風11号が、各地で大暴れしている。
 進路から外れた東京でも、今朝は7時あたりから大雨となった。
「ババババババッ」
 水鉄砲、いや機関銃のような雨粒が、窓に当たって大きな音を立てる。これにはギョッとした。
「ゴロゴロゴロ……」
 遠くで雷鳴が聞こえ、9時台になっても、明るくなるどころか日没後のような暗さである。だんだん、風も強まってきた。柿や桜などの樹木が左右に強く揺さぶられ、葉が大きな悲鳴を上げる。
「ザザザザ~、ザザザザ~」



 雨と風で水煙が上がり、やたらと視界が悪い。こんな日はどこにも出かけたくないが、昼食の材料を買いに行かねばならない。「昨日買っておけばよかったな」と思いつつ、「そのうち、やむだろう」と楽観視して、雲の切れ間を待った。
 午前11時前に、そのときがやってきた。いきなり空が明るくなり、小雨になったのだ。
「今だっ」
 準備していた買い物メモと傘を持ち、長靴を履いて、私は家を飛び出した。スーパーまでは徒歩5分。魚や野菜を選んで会計をし、家に着くまでの所要時間はトータルで30分だ。そのくらいはもつだろう。
 最初の角を曲がると、雨はますます小降りになった。しかし、道路はいたるところで冠水していて、いくつもの川ができている。かなりの雨量があった証拠だから、長靴で正解のようだ。足首の深さまでつかりながら、私はスーパーを目指した。
 ようやく店内に入ると余裕が生まれ、メモに書いていない道明寺だの、グレープフルーツだのが欲しくなった。必要なものと余計なものをレジに持っていき、会計をすませる。こんな天気なのに、スーパーには結構客がいた。みんな、そのときを狙って来たのかもしれない。
「ありがとうございました。天気が悪いですから、お気をつけて」
「はあい、どうも~」
 レジのオバさんが優しい言葉をかけてくれた。カゴを持ってマイバッグに収納し始める。窓を見ると、再び強い雨が降ってきたようだ。時間を稼ぎながら、ゆっくりゆっくり手を動かす。一時的なものだったようで、すぐに小降りになってきた。
「よーし」
 意を決して外に出る。空は明るいままで、雨は間もなくやみそうだ。一応、傘は差すが、差さなくても問題ないくらいの雨量になっている。
 こんな天気なのに、ほとんど濡れなくてラッキー!
 うまい具合に移動でき、今日はツイていたと喜んでいたら、いきなり腰から下に冷たいものがかかり、視界が白く濁った。
「な、何?」
 ガードレールを挟んで、私の右隣を、白い乗用車が走り抜ける。どうやら、冠水した道路を走ったさい、はねた水が私にかかったらしい。泥の汚れはなかったが、右半身がずぶ濡れになった。雨には濡れなかったはずなのに、髪やメガネにも水滴がかかり、しばし呆然とした。
 ドライバーのみなさん。
 冠水した道路を走るときは、歩行者に配慮して、ちゃんと減速してくださいね!
 ああ、冷たかった。プンプン!


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人形のまち岩槻へ

2014年08月07日 21時04分32秒 | エッセイ
 その日は仕事を休み、午前7時半からの早朝セミナーに出ていた。
 8時過ぎにセミナーが終わり、ビルから出る。雲ひとつない青い空に、新宿都庁が映えている。



 さて、私はこれから埼玉県に向かわねばならない。手提げ袋を忘れていないか何度も確認し、JR新宿駅を目指して歩いた。
 この手提げ袋には、大事なひな人形が入っているから、雑に扱ってはならない。3月に、娘の節句を祝うために飾ったら、七人雅楽の一体にキズがついていることがわかり、修理を依頼するのだ。



 私はこれが、引っかき傷に見えてしまった。花の顔(かんばせ)に何たることか。
 狭い段ボールの中に何体もの人形を入れてあるので、ケンカしたのかしらと思ったりして……。
 まさか、修正液を塗るわけにもいかず、購入先に電話で相談したら、「お手数ですがご持参ください」という返事であった。
「3月に気づいたのに、どうして8月まで放っておくの?」などというツッコミが入るかもしれない。
 まあ、多少はスローな面を持っている人間なのだと理解していただきたい。
「岩槻~、岩槻」
 東武野田線に乗り、岩槻駅に到着した。東口ということはわかっていたが、目当ての店舗が見つからない。やむなく本社のビルに寄り、店舗の場所を聞いてみた。
「駐車場はわかりましたか? あの奥にありますから、そちらでお申しつけください」
「あら、私、通り過ぎちゃったんですね」
 何とも間抜けな話だが、丁寧に対応してもらい、気をよくして階段を下りた。
 途中の階に、「人形の博物館」という展示がある。時計を見て、時間にゆとりがあると思ったとたん、急に入りたくなってきた。
 受付は無人だ。中にも人はいない。入場料の300円を賽銭箱に入れ、一歩足を踏み入れると、ズラリと並んだひな人形たちが待っていた。
 ほとんど客が来ないのか、人形たちは退屈そうだった。古い時代のものは、明らかに顔立ちが違う。ジッと見つめても、決して人形とは目が合わない。心ここにあらず、という表情ではあるが、おおむね歓迎ムードのようだ。
 そうか、呼ばれちゃったのかも……。
 これも何かの縁だろうと考え、グルッとひと回りした。こうやって、ガラスケースの中で整列していれば、ケンカすることはないだろう。
 博物館を出て、ようやく店舗にたどり着く。人形を見せると、店員さんは手袋をはめ、慎重にキズを確認した。収納の状況や、経緯などについても詳しく聞かれた。
「キズは薄くなりますが、多少は残るかもしれません。もし、それがお嫌であれば、首だけ交換することもできますが、いかがいたしましょう」
 首を交換すると、別の子になってしまう。それは困るので、このまま修理してもらうことにした。目立たなければ、多少のキズは仕方がない。
「かしこまりました。では、修理が終わりましたらご連絡いたします」
 店員さんは、明細表に内容を記入し、お客様控えを手渡した。そこには、こう書かれていた。
「七人雅楽 1人」
 うーん、さすがは人形のまち岩槻である。
 ここにいると、人形と人間の境界線がわからなくなりそうだ。


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チョコレートケーキ大学

2014年08月03日 15時55分20秒 | エッセイ
 受験生の娘につきあって、成蹊大学オープンキャンパスに行ってきた。今年は8月2日、3日で行われる。
「こんにちは~」
 受付では、青いTシャツを着た学生たちが元気にあいさつしてくれた。どの大学でも、アンケートを書いてくれた参加者にはプレゼントを用意しているし、飲み物も無料でもらえる。キャンパス内を回るツアーもあり、暑い時期ではあるけれど楽しいイベントには違いない。
「ええっと、経済学部の体験講義はどこかな」
「5号館だって」
「モノが売れる仕組みづくりって書いてある」
「面白そうだね」
 ガイダンスや授業が退屈だと、大学のやる気を疑ってしまうが、この講義はよくまとまっていた。
「いい商品だったら売れる、というわけではありません。企業は、売るための様々な活動をしています」
 オシャレな女性の准教授が、マーケチング、もといマーケティングについて、高校生にもわかりやすく説明を始める。
 たとえば、1964年に発売された「かっぱえびせん」は、今年で50周年を迎えるロングセラー商品である。1本は5cm、0.5g、そして10本の切れ込みが入っているが、売れ続けるために短冊形や細めスティック形を発売するなど、サイズ・形状展開や味展開の工夫をしたという。さらに、地域限定商品を作ったり、2004年には「1才からのかっぱえびせん」を売り出し、対象年齢の拡大を図ったらしい。
 准教授の講義はまだまだ続く。
「マーケティングの4Pを説明するには、1971年発売のカップヌードルがいい例になります」
 4Pとは、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションをいう。カップヌードルは、1個100円で発売されたが、強気の価格が裏目に出て、スーパーからは相手にされなかったそうだ。しかし、日清食品は値下げをせず、自衛隊、としまえん、東京スタジアムでのテスト販売を経て、銀座のデパートで売り出したというから驚いた。浅間山荘事件で、自衛隊員がカップヌードルを食べている姿が報道されたり、銀座の歩行者天国でデモンストレーションをしたりして、「新しくてカッコいい食べ物」というイメージが広まった結果、ブレイクにつながったらしい。
「家にポットがないという、現代の若者に合わせた『カップヌードルごはん』も販売されています」
 今は、お湯をわかしてお茶をいれることをしない若者が多い。ペットボトルのお茶を買ってきて、レンジでチンして飲む時代になっている。これに合わせて開発された商品というから、結構な衝撃だった。
 45分の講義が終わり、教室内には大きな拍手が起きた。楽しい講義を聞き、誰もが得した気分になったのだろう。
 さて、私とつき合いの長い方なら、このあと何が起きるか、予想がつくのではないだろうか。
 帰りにスーパーに寄り、買い物をした。



 そう、私も娘も、影響を受けやすいのだ。
「カップヌードルが食べたくなった」
「ミキはカップヌードルごはんを食べてみたい~」
 カップヌードルごはんは、お湯を注いで3分というわけにはいかない。
 まず、フタを取る。中はこんな感じになっていた。



 次に、160ccの水を入れる。



 よくかき混ぜてから、電子レンジで5分30秒(500wの場合)加熱する。



 チーン。



「あっちっち」
 容器が熱くなるので、取り出すときには注意が必要だ。フタについていた「仕上げ香味油」をかけ、再度かき混ぜてできあがり。
 ひと口もらったら、カップヌードル味の炊き込みご飯のようで、なかなか美味しかった。
 ところで、成蹊大学のシックな本館を別のサイトに投稿したら、フォロワーさんが「チョコレートケーキみたいですね」というコメントをくれた。



 そういわれれば、よく似ている。チョコレート色の外壁に、ちょっぴり生クリームが飾られているみたいに見えてきた。
「じゃあ、チョコレートケーキが食べたくなったでしょ」と、突っ込みたくなる人がいるかもしれない。
 いえいえ。
 今日のおやつは、かっぱえびせんですから。


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