これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

天狗とおびんずるさま

2013年10月31日 19時28分51秒 | エッセイ
 日頃の行いは自慢できるものではないが、その日は秋晴れだった。
 北鎌倉で横須賀線を下り、駅前の喫茶店でカフェラテを飲む。



 ひと休みしたあと、目指す場所は建長寺だ。
 7分ほど歩くと、入口が見えてきた。



 山門のにぎやかなこと。



 この下に「おびんずるさま」が待っている。



 自分の体の悪いところや痛いところをさすったあと、おびんずるさまの同じところをなでると、平癒するのだそうな。前日、食べ過ぎたせいか、お腹の調子が悪かった。私のおへそに手を当て、そのあとおびんずるさまのお腹をなでてみた。おかげで、道中、トイレに駆け込む破目にはならなかった。
 ついでに、加齢とともに物覚えが悪くなり、物忘れがひどくなった頭に手を置く。それから、おびんずるさまのつるつるした頭に触れる。まあ、記憶力が蘇ることはないだろうが……。
 つづいて、本殿にお参りした。



 鐘楼も幻想的だ。



 そして、きらびやかな唐門。



 この前を通って、半僧坊(はんそうぼう)に向かった。



 足腰の弱い人は無理をしないほうがいい。日頃から運動をしている私でも、途中から息が荒くなってきた。
 245段の階段を昇ると、何体もの天狗の像が見えてくる。





 ここはパワースポットだという。たしかに、ひんやりとしていて、異質な空気を感じる。聖域に踏み込んだ実感があった。





 来てよかった~!

 特に目立つのが、この天狗だろうか。



 ハイキングコースもあったが、そこまでゆとりはない。早々に山を下り、鎌倉散策を続けた。

 帰宅後、バッグの中身を出した。
 いつも使わないバッグなので、定期券や財布などは通勤用に移動せねばならない。外側のポケットには、チラシや半券なども入ったままだ。いつもなら放置するのだが、なぜかこの日は片づけようという気になった。ゴミの中に、封筒が紛れている。宛名を見ると、年金関連の事業所だった。

 しまった~!!

 おそらく、2週間ほど前に、夫から「投函しておいて」と頼まれた封筒である。「いいよ」と返事をしたものの、すっかり忘れて入れっぱなしになっていた。これは悪いことをした。
 翌朝、出勤時にあわててポストに押し込んだ。これで大丈夫だろう。
 気づかなかったら大変なことになっていた。
 おびんずるさまに、心の中でお礼を言った。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シードとメニコン

2013年10月27日 20時08分09秒 | エッセイ
長年、ハードのコンタクトレンズを使用している。
落したり流したりするたびに作り直し、今は何代目なのかわからない。最近は、老眼が進んできたので、8月に度の弱いものに替えた。
 ところが、このレンズ、どうも相性がよくない。やたらと目がかゆくなるし、まばたきをするたびに、黒目に引っかかるような不快感がある。眼科医にみてもらうべきかと気になるくらいだ。
「コンタクトレンズって、いつまでもつけられるものじゃないみたいですよ。せいぜい60代までですかね」
 昔の同僚が、こんなことを言っていた。たしかに、知っているかぎりのお年寄りでも、コンタクト装着者はゼロだ。
 私も歳をとったのかもしれない。ちょっと悲しくなった。
 それでも、不快感と戦いながら、無理やりコンタクトを入れていたので、保存液が減っていく。残り少なくなり、ドラッグストアに足を運んだ。
 私が購入するのは、シードの02ソリューションだ。スーパープロツーとのセットが便利でいい。



 いつものように、陳列棚に手を伸ばしたところで気がついた。

 あれ? 新しいレンズは、メニコンじゃなかったっけ?

 メガネ屋さんで、勧められるまま購入したのは、間違いなくメニコン製であった。
 メニコンのレンズでも、シードの洗浄液でいいのだろうか。そもそも、コンタクトレンズのお手入れは、どのメーカーでも同じような気がするが。
 アバウトすぎるんじゃないかと疑問がわいてきた。

 じゃあ、今日はメニコンの洗浄液とタンパク除去剤を買ってみよう。



 早速、新しい洗浄液を開けてみる。ケアの方法は同じだ。容器の9分目まで保存液を入れ、タンパク除去剤を2滴垂らす。容器を上下に振ってかくはんしてから一晩おくと、翌朝はキレイになっている。
 これを目に入れて、違いを確認してみると……。

 引っかからな~い!!

 なんと、しばらく悩まされていた不快感がなくなっている。かゆみや乾燥も感じないではないか。メーカーによって、こんなに違うとは。もっと早く、メニコンに変えておけばよかったのだ。
 もし、医者に行っていたら、恥をかくところだったかもしれない。
「えっ、メニコン製のレンズなのに、シードの洗浄液を使っているんですか?」なんて怒られたりして。
 あぶない、あぶない。



    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おバカ屋敷

2013年10月24日 21時15分25秒 | エッセイ
 もうじき文化祭だ。
 私のクラスではお化け屋敷をやるので、幽霊役の特殊メイクを考えたり、暗幕を借りたりと、準備に忙しい。昨日から授業も短縮となり、本格的に活動しはじめた。
「どう、進んでる?」
 教室の様子を見に行くと、汚れ防止シートの上で生徒が数人、黒のペンキで段ボールを塗っている。
「やばい、間に合わないかもしれない」
 必死にハケを動かし、おしゃべりする余裕もなさそうだ。
「あっ、床にペンキがついてる!」
 恐れていた通り、シートからペンキがはみ出していた。残念ながら、我がクラスの生徒は几帳面とはいいがたく、慎重に行動できない。
「すぐにふかないと、落ちにくくなるよ」
「でも、それどころじゃなーい!」
 目先のことに気をとられ、生徒は掃除まで手が回らないようだ。仕方ない、終わったらまとめて片づけようと、その場を立ち去った。
 しばらくして、他の教員から耳打ちされた。
「笹木先生のクラス、黒いペンキを手や顔に塗りっこして、走り回っている生徒がいますよ」
「ええっ!」
 仰天して教室に走ると、とんでもない状態になっていた。
 塗りっこしていた子たちはすでに顔を洗ったあとで、教室からトイレまでの通路に、黒い水滴が点々と落ちている。洗面台は黒ずみ、床にも色がついていた。
 そして、教室のほうには、ペンキを塗り過ぎた段ボールが立てかけてある。塗料が床に流れ、黒い水たまりができていた。運悪く、それを踏んだ生徒の足あとが、あちらこちらに広がっている。クラスの中だけでなく、教室前の通路、隣のクラス、そのまた隣のクラスの廊下あたりまで、床に模様を描いていた。
「うーん」
 そのまま気絶できたら、どんなに楽だったことか……。
 残っている生徒は数人のみ。日を改めて、全員で掃除するしかないと決めた。だが、やり方を考えないと、生徒は思うように動かない。特に男子はダメだ。子ども可愛さに、母親が何もかもやってあげると、日常生活に支障が出る。作戦を考えなければ。
 帰る道々、どうにも腹が立ってきた。考えなしにもほどがある。お化け屋敷ではなく、おバカ屋敷でもやれ、と罵りながら夕食をかき込んだ。
 翌日。
 ホームルームに、雑巾とナイロンたわしを大量に持っていった。
「この教室見てどう思う? とても許される状態じゃないってわかるよね」
 生徒は気まずい表情だ。
「2人1組になって掃除をしよう。1人がナイロンたわしで汚れをこすって、もう1人が雑巾でふき取るんだよ。キレイになるまで終わらないからね」
 女子は短時間で終わってほしい教室を、男子は時間がかかっても構わない廊下を割り当てる。2人組みになった生徒が、次々と雑巾やたわしを取りにきて、せっせと床を磨き始めた。
 戦力外と思っていた男子も、イヤイヤ作業を開始した。液体クレンザーでこすると、頑固な汚れも落ちてくる。その過程が楽しいのか、予想よりも真剣に取り組み始めた。
「先生、モップないですか?」
「職員室前に行けば貸してくれるよ」
「行こうぜ」
 3人で連れ立って取りに行く。戻ってきた彼らは、モップだけでなく、デッキブラシまで手にしていた。
「これでこすったほうが落ちるんじゃね?」
「かも」
 せっせと作業したかいあって、教室も廊下も、30分後にはほぼ元通りに戻っていた。ペンキのカスは多少残っているが、前の日に比べれば雲泥の差だ。男子が、いい意味で裏切ってくれた。
「前よりキレイになったんじゃね?」
 ……いや、それはないと思う。
 お化け屋敷って、大変なのよ。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハロウィン☆パスタ

2013年10月20日 15時48分29秒 | エッセイ
 10月は、ハロウィングッズが売られている。
 毎年のことだが、つい買ってしまった。
 ロリポップチョコレート。



 うちは3人家族なので、誰かが2つ食べられる。どうせ、夫だろう。
 それから、ショートパスタ。



 こちらは250g入りなので、3人で分けるには少々足りない。
 ディズニーキャラクターだから、娘と2人でこっそり食べることにした。
 外袋から、いろいろな形のパスタがあるとわかる。



 中身を出して並べてみたら、11種類あるようだ。



 ミッキー、ミニー、ドナルド、デイジー、グーフィーなどはわかる。
 ハロウィンだから、ジャックやコウモリがいるのもわかる。
 しかし、なんでクモまで……?



 ハリー・ポッターに登場するロンが見たら、大きな悲鳴を上げて、逃げ出すに違いない。
 ゆで時間は7~9分。
 ホカホカのパスタに、カニトマトクリームソースをかけてでき上がりだ。



「おいし~い!」
 ショートパスタには、ほどよくソースがからむ。コンソメ味の野菜スープも用意して、リッチなランチになった。
 食後、写真の整理をしていたら……。
 さきほどの、でき上がった写真の中に、白いクモを発見した。



 うへえ~!

 食べ終わったあとでよかった。
 イカスミのソースにしたら、もっと不気味な雰囲気になって、ハロウィンらしかったかもしれない。
 味は保証しま~す♪


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バースデー・イブ

2013年10月17日 20時36分39秒 | エッセイ
 明日、18日は私の誕生日だ。
 といっても、自分でお祝いの準備をするのはおかしい。でも、企画力ゼロの夫に任せると、娘に教えてもらってようやく誕生日を思い出す有様である。毎年、誕生日が過ぎた週末、食事に行くくらいだから、何も期待していなかったが……。
 今年はさらに悲惨であった。
「18日は、AKBのイベントでディズニーシーに行くから、帰りは12時くらいかな」
 まずは娘が予定を入れた。
 そして、昨日は夫あてに電話がかかってきた。
「いやあ、まずいなぁ。18日はお通夜が入っちゃったよ。ママ、悪いけど、行ってくるよ」
「…………」
 つまり、私はひとりで誕生日の夕食をとる破目になったのだ。
 これは、生まれて初めての経験である。
 しかし、家庭があると、なかなか一人になれる時間がない。もしかすると、貴重なのかもしれないと考え方を変えてみた。

 よし、遊びに行くぞ!

 仕事のあとは、見たい見たいと思っていた映画に行くことにしよう。終わるのは8時半だ。
 それから、ワインバーに繰り出す。女性が一人でも入りやすい店を探さねば。
 もしかすると、同じく一人で来ていた素敵な男性が、話しかけてくるかもしれない。そのまま恋に落ちて……なんてことはないだろうが、妄想の効果か、やたらとワクワクしてきた。
 ちなみに、すでにお友達からはプレゼントをいただいている。
『大人のラジオ体操 決定版』(DVD付き)



 毎朝、ラジオ体操を欠かせない者としては、たまりませんなぁ~!!
 早く中を見たい。

 さて、明日が楽しみだ。
 何を着ていこうかなぁ♪


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2013 鴻巣花火大会

2013年10月13日 20時26分04秒 | エッセイ
 私は埼玉県出身である。
 郷土愛が手伝って、埼玉県のイベントには参加したくなる。
「次の土曜日は、鴻巣の花火がありますよ。今年は四尺玉も上がるので、すごいですよ」
 同僚からそう聞き、行ってみたくなった。
 しかし、鴻巣は熊谷の手前だから、都内からだとかなり遠い。どうせならと、埼玉に住んでいる高校時代の友達2人に声を掛けてみた。
「えっ、鴻巣で花火大会やるの? 知らなかった」
「アタシも知らなかった」
 さほど有名ではないようだが、四尺玉に惹かれ、彼女たちも来るという。現地で落ち合うことにした。
 10月12日。打ち上げ開始は6時半からだ。観覧場所までは駅から20分ほどだが、改札の大混雑で足止めを食らい、トイレの行列に並び、すっかり遅くなった。

 ドーン、ドドーン、バリバリバリバリ……

 轟音がとどろき、すでに始まったようだ。
 角を曲がり、民家が切れたところで、花火が大きく見えた。



「おおーっ!」
 どこにでもついてくる高2の娘が、歓声を上げる。打ち上げ場所から近いのか、隅田川より大きく見える気がした。
「もう疲れた。その辺で座って見ちゃおうよ」
「それもそうね」
 民家に阻まれ、低い位置の花火は見えないが、河川敷まで行く気力がない。私たちは、駅から5分ほどの路地で立ち止まり、花火を眺めた。



「へー、すごいじゃん」
 今年の隅田川は30分で終わったから、穴埋めする気持ちで見ていたのだが、こちらもなかなかのものである。



 人魂のような光が、ふらふらふらーっと天に昇っていく。これが上空にたどり着くと、大きな花を咲かせるのだ。





 同じことを考える人も多く、路地にはたくさん人が集まってきた。
 誰もが空とにらめっこし、人魂が上がるとカメラを構えていた。



 彩の国さいたま、を代表するように、鴻巣の花火は色鮮やかだ。



 人魂が4つも5つも同時に上がり、花の競演も見事である。





 1時間ほどして、友人2人が合流した。



「鴻巣の花火って初めてだけど、いいねこれ」



「写真撮らなきゃ」



 彼女たちもスマホを取り出し、熱心に撮影し始めた。



 半分ほど見たら帰る人もいるようで、会場から駅に戻る人波ができている。これからが本番なのにと、不思議に思った。



 8時15分あたりから、いよいよクライマックスだ。
 無数の人魂が上がっては開き、上がっては開きを繰り返す。



「うわぁ~!!」
 百花繚乱、豪華絢爛、などの四字熟語が浮かんでくる。これでもか、これでもかと連発されたお花畑で、空は昼間のように明るい。これは、隅田川も真っ青の迫力である。



 最後に、ひときわ大きな花火が、尋常ではない輝きを放ち、力強い軌跡を描いていった。



 放送は聞こえないが、これがきっと四尺玉なのだろう。
 花火大会のラストを飾るのにふさわしい、大物の登場であった。
「はー」
「はー」
 友人も娘も、しばらく言葉が出てこない。
 圧巻の幕切れに、私の魂まで上がってしまったようだった。
「……よかったね」
「うん、よかった」
 ようやく口がきけるようになり、4人で駅に向かう。
 来年は、荒川まで行かねばと誓った。
 埼玉県出身でよかったなぁ。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

横浜食べ歩き

2013年10月10日 21時39分58秒 | エッセイ
 同僚2人と横浜に行ってきた。



 みなとみらい駅から、カップヌードルミュージアム、よこはまコスモワールドと通過し、ワールドポーターズに立ち寄る。ここには、雑貨や洋服、レストラン、カフェなどがあり、ひと息つくにはよさそうだ。
「あっ、たい焼きパフェだって!」
 私が吸い寄せられたのは、温かいたい焼きに生クリームが詰まったスイーツである。思わず買ってしまった。



 温かい鯛皮の中に、こしあんと生クリームが仲良く重ねられ、実にグッドなコンビネーションだ。
「笹木さんって、よく食べるわね」
「!!!」
 大食漢と言われたことはないが、今所属している教員チームは小食の人が多い。お酒は飲むけれど、つまみはほとんどいらないタイプばかりだ。私はアルコールに強くないので、居酒屋では食べる側に回る。唐揚げに刺身、ポテト、厚焼き玉子、ピザを食べてから、〆のお茶漬けやデザートなども頼むと、「この人はどういう胃袋をしているのか」という顔をされる。
 ちょうど、お昼に軽く麺類をいただいたあとだから、甘いものがほしくなったのだ。
 食べながら移動し、赤レンガ倉庫に到着する。



 ちょっと先にある海上保安資料館横浜館にも足を向ける。



「ここには工作船が展示してあるから、勉強になっていいわよ」と同僚Aが言った。
 たしかに、ちょっと珍しいかもしれない。
 山下公園を通り、マリンタワーに上る。展望室からの見晴らしがいい。





 加えて、足元から見える地上も迫力満点だ。



 中華街もフラフラしたが、急に肉まんが食べたくなった。
「200円です」
 蒸したての肉まんの美味しかったこと。同僚AもBも、無言で私を見つめていた。
 ぐるっとひと回りしたところで、気がすんだ。
「じゃあ、お茶して帰りましょう」
 同僚Aが勧めたのは、ハワイで人気のカジュアルレストラン、Eggs'n Thingsである。ここはパンケーキが美味しいらしい。量が多めと言われ、20代男性の同僚Bはクレープを、私と同僚Aは女同士でブルーベリーパンケーキをシェアすることにした。
「お待たせしました」



 ドーンという効果音が聞こえたようだった……。

 なんだ、この量は!

 クレープも結構な大きさだが、パンケーキは生クリームが半端ではない。1人で頼まなくてよかったと胸をなでおろした。
 しかし、同僚Aの胃袋は、かなり混雑していたようだ。クリームは軽くてふわふわだし、パンケーキもしっとりして食べやすかったのに、一向に減らない。メープルシロップはかけたものの、手を休めて、私のほうをジッと見ている。
「ねえ、笹木さん。もっと食べて」
 同僚Bも私を見ている。
「よかったら、こちらもいかがですか」
「……」
 迷いながらも、結局食べてしまう自分が怖い。パンケーキは、空腹だったら一人でイケるかもしれない。
 皿は空になり、同僚AもBも安心したようだ。
「ああ、よかった、笹木さんがいて」
「…………」
 気分は、ギャル曽根2世です。
 しばらく、このキャラなの?


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぶらり 小江戸・川越(2)

2013年10月06日 20時28分15秒 | エッセイ
 喜多院から10分ほど歩いて、川越城本丸御殿に到着した。



 見た目は、落ち着いた佇まいである。だが、中はそうでもなかった。
 ドタドタ、バタバタ。
「すみません、今、所沢から小学生が120名ほど来ておりまして、にぎやかになってます」
 入口のオジさんが、体を小さくして詫びる。廊下には、紅白帽をかぶった数名の子どもたちが座りこんでいた。鉛筆を片手に、内部の説明を書いているようだ。口数は少ないが、移動するときの音が大きい。120人も散らばっていれば、なおさらだ。
 ドスドス、ドカドカ。
 使者之間、坊主当番詰、家老詰所などがあったが、活発な小学生の姿しかおぼえていない。
 まあ、いいか。
 本丸御殿のあとは、蔵づくりゾーンへと向かう。小江戸と呼ばれるゆえんは、この美しい町並みにある。一番の目当ては最後にとっておいた。
 黒っぽい建物の群れが近づくと、ワクワクして足取りも軽くなる。



「すご~い!」
 


 屋根にも壁にも、エキゾチックな雰囲気が漂っていて、すごくいい。
 しかし、交通量の多い道路で、なかなか車が途切れない。この町並みに、自動車はミスマッチだと思うのだが。
「切れた、よし、今だ!」
 信号が赤に変わり、車が途切れた。今がシャッターチャンスとカメラを構えたら、うしろから水色の服を着たオバさんが、ものすごい勢いで走ってきた。
 ……画像左下に、彼女の肩が残ってしまった。



 まあ、いいか。
 私だけの川越ではないのだから、人や車が多くても仕方ないのだ。
 五百羅漢を見たおかげか、心が広くなって腹も立たない。すぐに、次のシャッターチャンスがやってきた。





 うん、本当に素敵な町並み。



 ひときわ高い建物は、「時の鐘」である。



 振り返ったアングルからの景色も、またいいものだった。



 ここから川越駅までは遠い。ちょうど路線バスが来たので、ひょいと乗ることができた。
 しめくくりは、ウナギである。駅前のアトレに、老舗のウナギ屋「いちのや」が入っているのだ。



 コースターが可愛い。
 注文したうな重は、まもなく運ばれてきた。



 ここのウナギは、身がカリッと香ばしい。軽いのに、味はしっかりしている。タレもいい味で、あっという間に平らげた。これはヤバい、やみつきになりそうな味だ。
 ああ、楽しかった。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぶらり 小江戸・川越(1)

2013年10月03日 20時42分00秒 | エッセイ
 10月の声を聞き、だいぶ涼しくなってきた。近場の散策には、ちょうどいい季節である。ほんの一時間ほどの距離なのに、なかなか機会がなかった川越に行くことにした。
 まずは喜多院。



 お参りをすませて、おみくじを引いたら「吉」で気分がいい。
 せっかくだからと拝観する。ここでは、「三代将軍家光誕生の間」「春日局の化粧の間」などが見られるが、キラキラしているものに弱い私としては、本堂(慈恵堂)のまばゆい内陣をお勧めしたい。
 多宝塔。
 自転車の隣で、見知らぬおじいさんが意味もなく立っていて、一向にどこうとしない。無理やりカットしたら、奇妙なアングルになった。



 売店横にある「五百羅漢」の拝観券もついている。
 羅漢というのは、阿羅漢つまり尊者のことである。1782年から1825年に渡って建立されたというから、相当古いしキンキラじゃないし、あまり興味はなかったのだが……。



 入ったとたん、「前言撤回~!」と叫びたくなった。

 なに、これ!? すごい。

 羅漢だけで、533体あるという。ズラリと列をなす様子は、私の好きな、京都の三十三間堂を連想させる。





 はじめは遠くから見るだけだったが、近くで見ると、さらに味わいがある。
 阿羅漢というと雲の上の人のようだが、実に人間味のある顔をしているからだ。
 龍を背負い、何ともいえぬ顔をしている尊者。



 何かを抱っこして、ニコニコ笑顔の尊者。



 だるまを片手に、ご満悦の尊者。



 鏡餅を両手に持ち、幸せそうな尊者。



 ちょうちんを提げ、難しい表情の尊者。



 サルを飼っている? 尊者。



 こちらは鷹を飼っている? 尊者。



 だいぶご高齢とおぼしき尊者。



 旅装束の尊者。



 とまあ、こんな具合に、しばらくいても飽きないし、尊者の笑顔に元気をもらって明るい気分になれる。
 ノーマークだったけれど、ここは非常にいいところだ。
 時間があれば、何度でも来たい。
 名残惜しかったが、北上して「本丸御殿」に向かった。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする