ユニークな商品には、めっぽう弱い。
たとえば、これ。
外包みはのし紙となっており、「何だろう」と興味をそそられる。包装紙を破くと、見るからにレトロな箱がお目見えする。
フタをパカッ。
ジャジャーン!
きちんと整列した小判に、目がくらみそうだ。
フタの内側には、「慶長小判の大きさ、重さ、紋様をそのまま再現したチョコレートです」という説明書きがある。
一枚取り出してみた。
銀紙ならぬ、キンキラキンの金紙を剥き、中身を見ると
慶長小判って、こんな感じだったんだ……。
素晴らしいアイデアに感動する。
まあ、味は普通だった。
チャンチャン。
面白いものを見つけると、職場に持っていく。席の近い教員におすそ分けして、反応を楽しむのだ。
「何ですかこれ。ウケる~!」
「こんなものが売られているんですね」
予想通り、女性にも男性にも好評だった。
席はかなり離れているが、私はどうしても日本史の先生の反応が見たかった。30代の彼は、決してイケメンではないけれど、かなりの歴史フリークだ。チョコをポケットにしのばせ、寒い廊下を小走りで通り抜けた。
いたいた。
彼は机に向かい、仕事している風を装っていた。私はさり気なく近づき、話しかける。
「サキハマ先生、ちょっとこれ見てくださいよ~」
右手でチョコを差し出すと、案の定、食いついてきた。
「ああっ、これはこれは」
「慶長小判のチョコレートですって。よかったらどうぞ」
「えー、いいんですか!? すごいなぁ」
彼は小判を手に取り、しげしげと眺め始めた。さきほどとは目の色が変わり、やけに熱心である。まもなく、解説が始まった。
「ひとくちに小判といっても、時代によって大きさも材質も違うんですよ」
「慶長って江戸時代ですよね」
和暦に疎い私は、一応確認を取る。
「はい、江戸の初期です。慶長小判は質がいいです」
「そうなんですか。大きさ・重さ・紋様が本物と同じだと書いてありましたよ」
「重さも?」
サキハマ先生は、愛しそうに小判をなでると、真剣な顔をこちらに向けた。
「これは、ぜひ授業で使わせてもらいますっ!」
あらら。
思いのほか、お役に立てたみたい。
しかし、あまりにもナデナデが続くので、授業で使う前に溶けてなくなりそうだ……。
念のため、もう一度言っておこう。
「あのう、チョコレートですからね、先生」
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
たとえば、これ。
外包みはのし紙となっており、「何だろう」と興味をそそられる。包装紙を破くと、見るからにレトロな箱がお目見えする。
フタをパカッ。
ジャジャーン!
きちんと整列した小判に、目がくらみそうだ。
フタの内側には、「慶長小判の大きさ、重さ、紋様をそのまま再現したチョコレートです」という説明書きがある。
一枚取り出してみた。
銀紙ならぬ、キンキラキンの金紙を剥き、中身を見ると
慶長小判って、こんな感じだったんだ……。
素晴らしいアイデアに感動する。
まあ、味は普通だった。
チャンチャン。
面白いものを見つけると、職場に持っていく。席の近い教員におすそ分けして、反応を楽しむのだ。
「何ですかこれ。ウケる~!」
「こんなものが売られているんですね」
予想通り、女性にも男性にも好評だった。
席はかなり離れているが、私はどうしても日本史の先生の反応が見たかった。30代の彼は、決してイケメンではないけれど、かなりの歴史フリークだ。チョコをポケットにしのばせ、寒い廊下を小走りで通り抜けた。
いたいた。
彼は机に向かい、仕事している風を装っていた。私はさり気なく近づき、話しかける。
「サキハマ先生、ちょっとこれ見てくださいよ~」
右手でチョコを差し出すと、案の定、食いついてきた。
「ああっ、これはこれは」
「慶長小判のチョコレートですって。よかったらどうぞ」
「えー、いいんですか!? すごいなぁ」
彼は小判を手に取り、しげしげと眺め始めた。さきほどとは目の色が変わり、やけに熱心である。まもなく、解説が始まった。
「ひとくちに小判といっても、時代によって大きさも材質も違うんですよ」
「慶長って江戸時代ですよね」
和暦に疎い私は、一応確認を取る。
「はい、江戸の初期です。慶長小判は質がいいです」
「そうなんですか。大きさ・重さ・紋様が本物と同じだと書いてありましたよ」
「重さも?」
サキハマ先生は、愛しそうに小判をなでると、真剣な顔をこちらに向けた。
「これは、ぜひ授業で使わせてもらいますっ!」
あらら。
思いのほか、お役に立てたみたい。
しかし、あまりにもナデナデが続くので、授業で使う前に溶けてなくなりそうだ……。
念のため、もう一度言っておこう。
「あのう、チョコレートですからね、先生」
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