これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

葉のない柏餅

2012年04月29日 20時34分19秒 | エッセイ
 知り合いの家庭科教師が、4月の調理実習は柏餅にすると言った。



「でもね、柏の葉はなし。どうせ、ゴミになるんだから、いらないでしょ」
 しかし、葉に包まれていないのに、柏餅と呼べるのだろうか? 素朴な疑問がわいてくる。
 私は単純なので、すぐに感化される。うちでも柏餅を作りたくなってきた。
 去年は、上新粉から自家製柏餅を作ったけれども、今年はダイエット中だから、マスコットにしよう。餅と葉の生地を用意し、お裁縫を始めた。



 40代半ばに差しかかると、手元が見づらくなっていけない。メガネを外し、裸眼で針を通す。餅の部分ができたら、中に綿を入れて質感を出す。輪郭が凸凹になっているが、どうせ葉に隠れてしまうのだから、適当でいい。



 彼女の学校の調理実習でも、こんな感じだったのだろうか。
 やっぱり、柏餅とはいえないと思う。
 緑のフェルトに、刺繍糸を縫いつけ葉脈を作る。あとは餅につけるだけだ。



 はい、できあがり!

 常々感じていたことだが、柏餅は葉の色が濃くて地味だ。いっそのこと、赤にしてはいかがか。



 手芸ならではの柏餅である。
 マスコットを作ると、「何の役に立つの?」と言われることがある。私自身、実用的なものが好きなので、ちゃんとお仕事ができるようになっている。
 餅の中には綿だけでなく、実は磁石も入っているのだ。冷蔵庫の扉にくっつけて、ちょっとしたものを貼り付けることができる。



 これぞ、柏餅マグネット♪
 本物の粘着力に負けないぞぅ~!



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祝☆4周年

2012年04月26日 21時06分24秒 | エッセイ
 2008年4月26日は、このブログが誕生した日だ。今日で、なんと4周年を迎える。
 始めるからには、できるだけ長く続けようと思っていた。元々、文章を書くことは好きだ。でも、それだけでは、435回の更新を乗り切る力にはならない。
 読者の方からもらうコメントが、「また書くぞ」という気持ちにさせてくれるのだ。
 一番ありがたいのは、開設当時から、ずっと読んでくれている知り合いかもしれない。教え子や元同僚、姉、妹などに会ったとき、「いつも読んでいるから」と言われると大変励みになる。アクセスの少なかった時代から、私を支えてくれたことに感謝している。
 途中から読者になってくれた方も同様だ。いろいろなタイプがいるけれど、バックナンバーまでさかのぼってコメントを入れる方、ブログとmixiの両方にコメントをくれる方は神様のようだ。大事にしなくてはいけない。
 グルメやガンダムなど、私は、万人受けしない日記を書くことがある。「ガンダムはわからないんだけれど」と前置きしたあとで、頑張ってコメントを書き込んでくれる方には頭が下がる。逆に、映画や展示の日記を書くと、同じものを見た方がフラリと立ち寄ったついでに、別の視点からの感想を書き込むこともある。トラックバックをもらうと、さらにうれしくなり、「もっと頑張るぞ」という気にさせられる。
 仕事でいやなことがあった日は、いただいたコメントを読んで元気になる。コメント返しをすれば、ますます力がわいてくる。私にとっては、ブログも栄養素のひとつで、体の機能を調節したり、エネルギー源となるものなのだ。
 コメントも来訪も、一度きりでも構わない。大事なのは回数ではなくて、まったく知らない人とのご縁なのだから。ブログ友達の友達が来てくれると、交流が広がり、とても楽しい。
 これからも、ネタと時間がある限り、私は書き続けるに違いない。
 記念日には、何か買い物をしたくなる。今日は、これを買って帰った。



 ダイエット中なので、ケーキやプリンなどのスイーツではない。
 明日のお弁当のおかずである……。
 
 せっかくの記念日が台なし!?

 家に帰って、少々虚しくなってきた。
 来年は、買っても太らない、バッグや服などを選ぼうか……。



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枝豆風味のザックザク

2012年04月22日 08時59分51秒 | エッセイ
 私がガンダム狂であることを知っている友人から、「ザクとうふが売り出されたらしい」と教えてもらった。「ほおお」とそのときは気になったが、忙しさにかまけて、すっかり忘れていた。
 昨日、歯医者の帰りにコンビニに寄ると、噂の「ザクとうふ」がズラッと並んでいるではないか。



 欲しい!!

 豆腐は、それほど好きじゃない。しかし、ガンダムグッズには目がないので、迷わず買ってしまった。
 夕飯はホタテのバター焼きだ。しかし、私はホタテをあきらめ、ザクとうふに変更することにした。袋を開けると、ザクのパッケージが登場する。



 おおっ!!

 ファンには、たまらないデザインである。これが、赤いシャアザクだったら、洗って保管するかもしれないが、ノーマルだったのであっさり捨てた。
 味は枝豆風味だから、うすい緑色をしている。イメージ的にも、ノーマルザクが一番マッチするだろう。パッケージをひっくり返し、フィルムをはがした。

 パカッ。

 プリンのように、豆腐を皿に載る。
 


 赤い目はないけれど、パッケージと同じ姿である。
 たしかに枝豆の味はするが、豆腐との相性がいまひとつで、「美味しい」というより「惜しい」という感じだ。
 しかし、そんな不満も吹き飛んでしまう仕掛けがあった。外袋を裏返すと、爆笑もののセリフが書いてある。

「キヌとはちがうのだよ、キヌとは!!」



 これは、ランバ・ラルがグフに搭乗し、ガンダムと戦ったさいの名セリフ「ザクとは違うのだよ、ザクとは!!」のパロディである。絶妙のフレーズに大笑いした。
 食べ終わると、お腹が重くなった。いくら豆腐といえども、200gは多い。
 量も値段も、半分にしてくれないかなぁ。



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知恵くらべ

2012年04月19日 20時32分15秒 | エッセイ
 仕事の合い間に、お茶を飲もうとして流しに向かった。流しの前にはポットと窓があり、校庭が見える。
 校庭には、3年の男子3人集まっていた。高校生にしては、やや小柄な3人である。何をしているのかと見ていたら、やおら肩車を始めた。上に乗った子は、手にモップを持っている。どうやら、遊んでいるわけではなさそうだ。そのまま、フラフラと背の高い木に近づき、モップで枝をつついていた。
 モップのはるか上にはボールがある。高く上がったボールが、枝に引っかかってしまったのだろう。だが、うまい具合に挟まっており、突いた振動ではビクともしない。このままでは取れないと思ったのか、その男子は、やけくそ気味にモップを放り投げた。

 ズボッ

 とたんに、3人から悲鳴がもれる。
「あーあ、ダメだ」
「モップまで引っかかっちゃった」
 苦しまぎれに放ったモップまで、枝がナイスキャッチしたのだ。たぶん、そうなるような気がしていた。
 私は窓を開け、彼らに話しかけた。
「何してるの」
「あっ、先生。脚立借りられませんか」
「ここにはないから、用務さんにお願いしてごらん」
「はーい」
 彼らは素直に移動し、5分後には脚立に上っていた。
 私だったら、木に登って取りに行く。でも、今の子は、そういう発想がないようだ。子供のときに、木登り体験がないのかもしれない。へたに勧めてケガでもされたら、責任問題に発展するので、黙って見ていた。
 難なく、ボールとモップは取れた。でも、3人は同じ場所に集まったままだ。
「もう終わったんじゃないの?」
「いえ、肝心のものが取れていないんです」
 元々は、3人のうちの1人が、2階からジャージを落としてしまい、木のてっぺんに引っ掛ったのだという。それを取るため、ボールを投げたら落ちてこず、モップを放れば引っかかる。やることなすこと、すべて裏目に出たようだ。高さは5mくらいだろうか。脚立ではとても届かない。
 これは、木に遊ばれている。おかしくて、私は笑いそうになった。
「そうだ、いいこと考えた」
 それでも3人はめげない。元気に、グランドに放水するためのホースを持ってきた。
「これでジャージを濡らせば、きっと重みで落ちてきます!!」
「……まあ、勝手にしなさい」
 彼らはバルブを開いて、ジャージに放水を始めたが、いつまでも見ているわけにはいかない。しばらく目を離していたら、いつの間にかいなくなっていた。作戦は成功し、無事、木からジャージを奪還したらしい。
 勉強ギライの我が生徒でも、「三人寄れば文殊の知恵」となる。
 あとで、水道代を請求してやろうか……。



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女の子がいっぱい

2012年04月15日 20時02分34秒 | エッセイ
 先週の今頃は、ソメイヨシノが満開だった。我が家の桜も、雪が積もったように、ふんわりとした花びらで覆われていた。しかし、一週間経った今は、3割ほどしか残っておらず、葉桜となっている。
 それなのに、娘は中学時代の友達を呼んで、花見をするとほざいていた。
「何人来るの?」
「15人」
「お昼は?」
「みんなで持ち寄るから、おにぎりだけ作って」
 簡単に言われてしまったが、15人分のおにぎりを作るのは骨だった。いつもは、2合か3合しか炊かないお米を、7合も炊いたのだ。あとは、にぎって海苔巻いて、にぎって海苔巻いての繰り返しである。
 おにぎりが終わらないうちに、インターホンが鳴る。
「こんにちは~!」
 さっそく、女の子たちの登場だ。今日は、お互いの制服を見せっこする目的もありから、どの子も制服着用でやってきた。葉桜の下にレジャーシートを広げ、荷物を置いたあとは、花には目もくれず、けたたましいおしゃべりが始まる。
「なにそれ! 見せて見せて!」
「あーっ、アタシと同じだぁー!!」
「やだ~、おんなじ!? ガハハハハ!!!」
「キャーッ」
 道路で遊んでいた、近所のチビっ子たちも、一体何が起きたのかと、開けっ放しの門から様子を伺っている。
「アタシはこれ持ってきたんだぁ」
「あはは、焦げてるじゃん!!」
「いいんだよ、うるさいなぁ!」
 女の子パワーはすさまじい。15人も集まると、話し声すらかなりのボリュームになる。閑静な住宅街にとどろく高い声の応酬に、近所から苦情が寄せられるのではと心配になった。
とたんに電話が鳴る。呼び出し音がやけに大きく感じ、ドキドキしながら受話器を取った。
 電話をかけてきたのは、2軒隣に住む夫の弟である。
「今日は、花見ですか?」
「はい、そうみたいです。……お騒がせしてすみません」
「いえいえ、構いませんよ。もし、大きなお皿が必要だったら、貸しますから遠慮なく言ってください」
 苦情ではなかったことに安堵し、私は礼を言って受話器を置いた。
 近隣への迷惑を心配する一方で、女の子パワーに吸い寄せられる者もいる。
「お父さん、ちょっと来て!」
 娘に呼ばれ、夫が顔を出すと、招かれざる客が来ていた。
「変なおじいさんが入ってきて、『ネリマ48だ』とか言ってんの。追い出して!」
 夫の姿を見たとたん、闖入者は逃げていったという。ボケたふりをして、女の子たちに近づこうとしたのだろうか。
 平和になったところで、お昼である。私が一生懸命作ったおにぎりは、まずまず好評だったそうで、ひと安心だ。フランクフルトにサンドイッチ、ケーキなどもシートに並んでいた。
「バドミントンしよう」
「バレーボールもできるね」
 食後は、いくつかのグループに分かれて遊び、夕方6時ごろまでいただろうか。暗くなってからは、桜と同じように散っていった。
「また来年」
 帰りぎわ、合言葉のように、女の子たちが別れの挨拶を交わす。織姫と彦星は七夕にしか会えないが、この子たちも別々の高校に通っているから、桜の時期にしか会えないのかもしれない。
 それにしても、騒々しい織姫たちであった。




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この本、オススメします!

2012年04月12日 20時32分57秒 | エッセイ
 医学博士・南雲吉則氏の『20歳若く見えるために私が実践している100の習慣』を読んだ。
 タイトルに魅かれたのはもちろんだが、衝撃的だったのは、表紙の南雲博士の外見である。どう見ても30代から40代なのに、現在56歳というから驚きだ。



 これは、読まねば後悔すると直感し、即断即決で購入した。
 ページをめくると、いきなり「スポーツしない」という章から始まる。なんだなんだと読んでいくと、その根拠が書かれている。
「あらゆる動物において心臓は生涯に20億回しか拍動しません。それを使い果たしたとき、寿命は終わります」
 つまり、スポーツをすると心拍数が上がり、無駄に心臓を消耗するため、長生きできないそうだ。

 ゲッ、ジョギングしちゃった!!

 もともとスポーツが苦手なのに、健康のためと考えて、週末だけジョギングをしていたのだが、かえってよくなかったらしい。走り終えたときには、心臓がバクバク踊っていた。あれで、寿命が1年くらい縮んだかもしれない。
「食べない」という章もインパクトが強い。
「あらゆる動物で食事の量を変化させて飼育したところ、4割減らしたときに1.5倍長生きすることがわかったのです」
 腹6分目だと、すぐにお腹がすく。だが、この空腹状態が若返り効果を発揮させ、長寿に結びつくという。しかも、ダイエット効果も得られるおまけつきだ。ためしに、朝食と夕食をいつもの6割に減らしてみたら、2日で体重が1kg落ちた。空腹には慣れたが、基本的に食べることが好きなので、「一日一食」の教えは実践できそうにない……。
 他にも、「飲まない」「考えない」「洗わない」「温めない」「夜更かししない」といった章があり、大変興味深く読むことができた。
 面白かった本は、人に勧めることにしている。まずは、皇居でのジョギングに凝っている姉がターゲットである。
「ねえ、この本、よかったよ。ちょっと読んでみない?」
「へえ、これで56歳?」
「若いよね~」
「うん。でも、顔が好みじゃないからいいや」
「…………」
 断る理由に筋が通っていない。私は首をかしげながら引き下がった。
 次のターゲットは娘だ。娘は明太子が好きで、毎日食べている。
「なに、20歳若返る本?」
「ここには、明太子にはプリン体が多く含まれているから、通風になりやすいって書いてあるよ」
「明太子を食べるなって言うの!? ミキはまだ15歳だよ。20歳若返ったら、生まれていないじゃないか!」
「…………」
 こりゃダメだ。
 いいもん、私一人で若返ろうっと~♪



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新入生誓いの言葉

2012年04月08日 19時50分51秒 | エッセイ
 娘のミキが高校に入学した。入学式といえば、たいてい4月7日だが、今年は土曜日だったので、仕事を休むことなく出席することができた。
 娘の学校では土曜日にも授業がある。昔のように、日曜日だけがお休みだ。
「受付をお願いします」
 式場の体育館で、担当教員が声をかけてきた。名簿を見ると、男女別ではあるが、女子が先、男子が後というスタイルになっている。

 珍しい……。

 都立では、男女混合名簿が多いので、女子先男子後名簿が新鮮だった。
 この学校は野球部が強いためか、男子が6~7割を占めている。少数派の女子が、少しでも居心地よく過ごせるようにとの配慮かもしれない。
「新入生の入場です。拍手でお迎えください」
 A組の担任に先導されて、出席番号1番の女子が歩いてくる。素直で穏やかな印象だ。次々と女の子たちが通り過ぎていったが、どの子も目が澄んでおり、人柄がよさそうに見える。
 第一希望ではなかったけれど、「この学校でよかったかも」との想いを強くし、さらに大きな拍手を送った。
 全員が入場すると、「開式の辞」となり、式典が進行する。
 都立では、そのあとに「国歌斉唱」が続くのだが、この高校では「国歌演奏」としており、歌う必要がない。教員の不起立問題や、生徒の反発などが懸念されるデリケートな部分だから、ここでも参列者への配慮を感じた。

 柔軟で、いい学校かもしれない。

 学校にもそれぞれ個性があるが、この高校と私との相性はよさそうだ。「入学許可」、「学校長式辞」、「来賓祝辞」にあとは、「新入生宣誓」である。
 私はこの瞬間が来ると、20ウン年前に入学した高校で、自分が「新入生 誓いの言葉」を読んだことを思い出す。姉と同じ高校だったし、母親がPTAの役員だったから、頼みやすかったのだろう。
 当時を回想し、しばし思い出に浸ってみる。
 あのときは突然、担任と名乗る教員から電話があり、入学式の前日に「練習に来てほしい」と言われ、大変ショックを受けた。

 私だけ、春休みが1日短い!!

 前日、私はひと足早く制服に袖を通し、ウンザリしながら登校した。担任の指導の下、文面を考え奉書紙に清書し、読む練習をしたら、半日がかりの大仕事である。他の子は、最後の春休みを楽しんでいるのに、差がありすぎる。
 しかし、いくら練習をしても、当日はやっぱり緊張するし、不安で仕方ない。何とか無事に終わったあとは、近所に住む子からとどめを刺された。
「昨日、砂希ちゃんが制服着て、出かけるところを見たんだよね。一日間違えてるのかと思ってた」
 さんざん苦労したあとは、濡れ衣を着せられていたとわかり、いいことはひとつもなかったのだ。

「新入生宣誓」
 娘と同じクラスの女子が、代表で壇上に上がる。奉書紙のこすれる音に続き、明るいアルトの声が響き渡る。この子もしっかり練習し、本番に臨んでいるに違いない。ほんの5分のために、何時間もかけた成果の見える、いい宣誓だった。「よくやったね」と、心の中でねぎらいの言葉をかけた。
 入学式が終わり、新入生が退場すると、PTAから委員募集の話がある。小学校、中学校では、「逃さないわよ」という迫力が感じられたが、ここは「よかったらどうぞ~」という雰囲気で、圧迫感がない。不思議なもので、そうなると、何かやってみたくなってくる。ママさん仲間がいれば、PTA活動にも張りができそうだ。
「友達いっぱいできたよ! みんな面白くていい子ばっか」
 帰ってくるなり、娘が興奮気味に話す。
 もう一度、宣誓したくなってきた。
 親子ともに、楽しく高校生活が送れるよう、努力することを誓います!



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ヘンテコな依存症

2012年04月05日 20時20分41秒 | エッセイ
 何かを買って帰ろうと思っていたのだが、その何かが出てこない。
「何だったかな、ブリーズライト? 目薬?」
 いまひとつ確信が持てないまま、ドラッグストアに寄った。会計をすませたあとも、何かが足りない気がする。でも、やっぱり思い出せない。モヤモヤして、どうも気分が悪い。
 お風呂に入ろうとして、服を脱いだときにわかった。
「そうだ、乾電池!!」
 私は入浴前に、体重を測る習慣がある。しかし、昨日は計測後に、電池切れを示す「Lo」の文字が出てしまった。買い置きを探すと、単三電池が4個必要なところ、1個しか残っていない。ようやく、「明日買ってこよう」と考えたことにたどり着いた。
 だが、時すでに遅し。スイッチを入れても、反応のない体脂肪計を前に、私のモヤモヤは最高潮に達した。



 ああーっ、測りたい!!

 電池がなくて、目の前の器具を使えぬもどかしさ。イライラして、地団太を踏みたくなる。採点した答案を、目の前で隠されたようなじれったさが我慢できない。体重を測らなければ、とても平常心には戻れそうになかった。
 アルコールやタバコに依存する人は珍しくないが、私の場合は体重計らしい。毎日、同じ時間に体重を測らないと、「太ったのではないか」と気になって気になって、落ち着かない。我ながら、ヘンテコな依存症だと思うが、それが現実である。
 そういえば、アナログな体重計もあったことを思い出す。結婚後すぐに買ったものだから、もう20年も経っている。脱衣所を探すと、タオルの下から、ほこりをかぶった体重計が顔を出した。



 16年前に妊娠したときは、1日に3回も4回もこれに乗って、体重管理に励んでいた。デジタルの体脂肪計をもらってからは、すっかりお役目を奪われてしまったが、今回は久々の出番だ。何といっても、電池のいらないところがいい。
 そこだけ色落ちしている、足の定位置に両足を載せる。白い目盛りがグルグルグルッと回り、見慣れた数字で止まった。どうやら、太ってはいないようだ。ようやく、私は落ち着きを取り戻し、お風呂に入ることができた。
 翌日、最優先で乾電池を買ったことはいうまでもない……。
 禁断症状が出てから、初めて依存症に気づいたわけだが、私だけではないだろう。
 あなたも、奇妙なものに依存していませんか?



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4月1日映画サービスデー

2012年04月01日 18時57分08秒 | エッセイ
(この記事には、映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の一部内容が含まれておりますことをご了承ください)

 毎月1日は映画サービスデーである。吉高由里子ファンの娘が、先週あたりから『僕等がいた 前篇』を見に行く計画を立てていた。
「4月1日だったら、1000円で見られるんだよね。友達5人と行ってくるわ~」
「きっと混んでるよ」
「へーき、へーき」
 私も先日、映画に行ってきた。たまたま水曜日だったので、レディースデーで1000円となり、かなりのお得感があった。作品は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』である。『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』も捨てがたかったのだが、アカデミー主演女優賞を獲得した、メリル・ストリープのサッチャーを見たいと思った。
 英国初の女性保守党党首、女性首相であることは知っていたが、「小さな政府」を目指した政策以外に予備知識はなく、元首相の人となりに触れることができた。
 サッチャー氏は、食糧雑貨商の家に生まれ、家業を手伝って成長する。遊びに出かける同じ年頃の女性を横目に、店の前を掃除して、つつましい生活をしてきた。学業のほうも怠りなく、オックスフォード大学に進学する優秀さを見せる。
 20代半ばで臨んだ最初の選挙には落選するが、その後、夫・デニスと結婚し、心の支えを得る。双子を生んだあと、30代半ばで下院議員に初当選し、政治家として活躍していく。当時、議会は完全な男性社会で、女性議員は非常に肩身の狭い思いをしたようだ。男性と戦い、自身を認めさせるまでに、相当なエネルギーを費やしたはずである。これも、最愛の夫がいたからこそ、できた芸当だったのかもしれない。
 臆病で腰抜けばかりの男性議員に腹を立て、保守党党首に立候補してからは、首相街道まっしぐらである。自信にあふれ、断固とした態度で演説を行い、人の心を動かしていく様は、まさに「鉄の女」に見えた。自身の主張は曲げないから、周りの男性たちが合わせていくしかない。このあたりは、サッチャー氏の活躍が小気味よく描かれており、胸のすく思いがする。
 政策に反対する民衆に囲まれても、顔色ひとつ変えず、正しいと考える道を選ぶ。これも、夫・デニスの存在が大きかったように思える。
 圧巻は、フォークランド紛争だ。イギリス領のフォークランド諸島へ、アルゼンチン軍が侵攻し占拠した事件は記憶に新しい。このとき、首相は奪回のために、ただちに軍を派遣する。あいにく戦局が悪く、艦艇を失い何人もの兵が死にさらされると、内部からも非難の声が出る。しかし、彼女は一貫して強硬な姿勢を崩さなかった。
 結果、2カ月後にはフォークランドを奪還するのだ。支持率は一気に上昇し、国民がいかに強い指導者を求めているかを如実に物語っていた。
 だが、人頭税の導入を機に支持を失い、辞職へ追い込まれることになる。それでも彼女は涙ひとつ見せなかった。サッチャー氏が泣いたのは、唯一……。
 いわば、政界を舞台にしたラブストーリーに、大変心が温かくなった。ぜひ、たくさんの方に見てもらいたい映画である。メリル・ストリープは、現役時代のパワフルなサッチャー氏と、老いて認知症を患う同氏の演じ分けが素晴らしい。さすがは、2度のオスカーに輝く大女優だ。
 
 映画サービスデーの今日、よりによって娘の体調が悪くなった。
「どうしよう、風邪をひいて頭が痛い。捻挫した足もうっ血しているし、今日はやめておこうかな」
 急いで友達にメールを送ったらしい。しかし、予想外の反応に戸惑っていた。
「やだなぁ、ウソでしょだって! 信じてもらえないよ~!」
 4月1日は、エイプリルフールでもある。去年、娘は「今度、引っ越すことになりました」というウソのメールを送り、友達をだましては喜んでいた。今年も、その延長と思われたらしい。
「くそっ、本当に具合が悪いんだってばよ~!」
 親としては、『僕等がいた 前篇』より、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』を見てもらいたい気もするが……。高校1年生には難しいか。



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