これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

犬のしつけ

2012年03月29日 20時22分15秒 | エッセイ
 夫と一緒に出かけても、並んで歩くことはない。彼は一人でさっさと行ってしまい、私はあとからついていく。去年の今頃は、「これではいけない」と手をつないだりしてみたが、すっかり面倒になり、それきりだ。
 その日は、娘の部活の定期演奏会を見た帰りだった。最初は夫婦らしい距離だったのに、すぐに夫との間隔が1メートル、2メートルと広がっていく。信号があれば、追いつくこともあるが、あいにく青になっている。すぐに、チカチカと点滅し始めた。夫が渡り切ったところで赤に変わり、私は足止めをくらった。
 ますます、夫との差が開く。それなのに、彼は振り返りもせず、自分のペースでズンズン進んでいく。最初から、いないものとして扱われているようで、ちょっと腹が立つ。
 ふと、子どものときに父から聞いた話を思い出した。
「会社の浦井さんって人が、子犬を飼っててな、散歩のとき、言うことをきかないんだってよ。グイグイ紐を引っ張って、自分の好きに歩こうとする」
「ああ、よくいるね、そういう犬」
「だから、あるとき、浦井さんは紐を放して隠れてみたの。そしたら、犬はすぐ、主人がいなくなったことに気づいて、一生懸命探していたんだって」
「へー」
「しばらくしてから犬の前に出て行ったら、ホッとした顔をしたらしい。そのあとは、隣を歩くようになったってよ」
 要は、しつけである。まだ幼いときに、主人のいない心細さを味わわせ、勝手な行動をいさめたのだろう。犬を飼ったことがないので、真偽のほどはわからないが、行儀の悪い犬はダメだ。
 思いつきで、スーパーに寄ることにした。急ぎではないが、買いたいものがあった。そろそろ、夫は家に着く頃である。私は家を背をして、スーパーに向かった。
 たっぷり時間をかけて商品を選び、会計をすませると、バッグから携帯電話を取り出してみる。
 予想通り、着信が1件、メールが1件あった。発信者はどちらも夫だ。

 よし、合格!

 メールを開いてみると、「どこにいますか?」などと書かれている。おかしくて、笑いがこみ上げてきた。あえて返信はせず、買い物袋をさげて家に帰った。
「ただいま」
「……おかえり。どこに行ってたの!? 急にいなくなるから……」
 夫が、キーキーわめき始めたが、最後まで聞かなかった。
 さて、こんな私たちだが、このたび、結婚20周年を迎えることができた。
「鉄は熱いうちに打て」という。すでに20年経っているので、いまさらしつけもないだろう。
 犬と一緒にしてはいけないかも……。



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お風呂の柔肌

2012年03月25日 20時01分00秒 | エッセイ
 浴用のナイロンタオルが破れ、新しいものを買いにスーパーへ行く。
 このタオルは、相当昔に買ったものだ。毎日ゴシゴシすると、肌が黒ずむと聞いていたので、週イチしか使わなかった。その結果、10年も持ってしまった。いい加減、寿命もくるだろう。
 浴用グッズのコーナーで、カルチャーショックを受けた。10年前は、やわらかめのナイロンタオルが一種類しかなかった。しかし、今は、「ソフトな肌触り」「豊かな泡立ち」「シルクの贅沢」などなど、明らかに女性を意識したものが15種類ほどあり、どれを選べばよいかわからないのだ。
「うーむ……」
 手触りとインスピレーションを頼りに、商品を比較する。10分悩んで、「めざせ! 赤ちゃん肌」というものに決めた。



 白くて艶のある肌は美しい。目指すのは、陶器のように、なめらかな肌である。浴用タオルを替えた程度で、実現するとは思わないが、何もしないよりはいいだろう。
 石鹸にも気をつかう。「めざせ! 赤ちゃん肌」につけるのは、「悠香 茶のしずく」だ。



 元々は洗顔石鹸だが、これで体も洗うと、しっとりして大変具合がいい。昨年は、アレルギー誘発成分が含まれていた問題で、回収騒ぎとなったが、対応がよかったから気にしていない。
 ナイロンタオルに比べると、「赤ちゃん肌」は泡立ちが悪い。少々もの足りないが、ふんわりした感触が気持ちよかった。
 お風呂上りは、全身にローションを塗って保湿に努める。しかし、目標の陶器には、まだまだまだまだ遠い……。
 一方。
 夫は、ブルーのナイロンタオルを使っている。ソフトさを追求する私とは逆に、「かため」を好む傾向がある。「フニャフニャしたタオルだと、洗った気がしない」のだそうな。
 洗浄力の強い石鹸で、毎日ガシガシ洗っても、肌が傷まないのだから不思議だ。夫の肌には、コンビニの茶系袋のような、きめ細かさと光沢がある。
 私がこんなに気を使っているのに、この差は何だ。
 そう思うと、ちょっと悔しい。

 いっそのこと、浴室掃除用の洗剤とナイロンたわしで洗ったらどうなのさっ!



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春の水ようかん

2012年03月22日 21時14分36秒 | エッセイ
 お世話になった知人の家に、ご挨拶に行ってきた。
 本当は夏に行きたかったのだが、先方と日程が合わず、後回しにしていたら、年度末になってしまったのだ。
 手みやげに、先方が好きな水ようかんを買っておいたが、あれから半年以上経っている。はたして、賞味期限は大丈夫だろうか。包み紙を見ると、2012年5月と書いてある。長持ちするならセーフ。そそくさと、袋に入れて家を出た。
 水ようかんは、夏の季語のようなものだ。3月に持っていくにはちと早いが、相手が好きなのだから問題ない。
 しかし、10分も経つと、徐々に重みが増してくる。腕が疲れてきたせいだ。まるで、5kg入りの米袋をぶら下げているような重みである。男性ならともかく、女性が持ち歩くには向かない手みやげだ。今さらだが、今度から煎餅かクッキーにせねば。
 右手が痛くなってきたので、左手に持ち替えた。5分も経つとつらくなり、今度は左手から右手にパスをした。どっしりした水ようかんを左右交互に持ちながら、どうにか知人宅に着いた。
「こんにちは、笹木です。お邪魔します」
「いらっしゃい」
「少しですが、これ、みなさんで召し上がってください」
「あら、どうもありがとう」
 無事、水ようかんを渡したとき、私は心底ホッとした。務めを果たした達成感というより、厄介者を追い払った安堵感である。水ようかんは何も悪くない。ただ、重さが私の体力を超えていただけだ。
 知人と一時間ほど話し、頃合を見て、帰りの支度をする。
「長々と失礼しました」
「あ、待って。これ持って帰って」
 知人が、小さな紙袋を差し出した。外側に「梅花亭」と書かれている。おそらく、和菓子だろう。お礼に来たのに、逆にいただきものをするとは恐縮である。
「いえ、とんでもない」
「いいの、いいの」
 結局、断りきれず、袋を受け取った瞬間、どっぷりと後悔した。

 お、重い!!

 小さいからと安心していたら、実は、水ようかん並みに重かったのだ。
 行きも帰りも重い袋を持たされ、罰ゲームのような、トホホな一日となった。

 家で、和菓子を開けてみる。



 子福餅、梅もなか、三笠山の詰め合わせである。どれも餡がギッシリ詰まっており、重いはずだと納得した。
 特に、梅もなかは、餡がてんこ盛りになっている。



 甘すぎず、舌触りが滑らかで、とても美味しいもなかだった。
 子福餅も牛皮がモチモチしていてよかったし、三笠山は香ばしい外皮と、あざやかなうぐいす餡がマッチして、上品な味わいであった。
 感動的な美味しさに、前言を撤回する。

 罰ゲームどころか、これは賞品だった!!

 我ながら、現金なやつだと自覚する……。



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33にちなんで

2012年03月18日 16時56分21秒 | エッセイ
 3月は送別会のシーズンである。今月は、職場絡みで2件、プライベートで2件の食事会があるのだが、最初の会では冷や汗をかいた。
 メンバーは、3年前に卒業した学年の担任団だ。3年間、苦楽をともにした仲間で、5人中2人はすでに別の学校に異動している。今月いっぱいで、もう1人異動することになったから、4月からは私を入れて2人しか残らない。
 せっかくだから、異動した2人も呼んで、5人でディナーをということになった。
 場所は、池袋にあるフレンチレストラン「トラントトワ33」である。あいにくの雨だったが、時間通りにお店に到着した。
「こんばんは」
「こんばんは」
 墨田区の学校に異動した悠子さんが、先に来ていた。職場からの3人が合流し、4人揃う。あとは、葛飾区の学校に勤務する吉崎さんが来るのを待つだけだ。
「来年は担任?」
「まだです」
「私は1年に入ることになりました」
「大変ですね」
 たわいのない話でも、久しぶりだと盛り上がる。現況の報告から始まり、昔の思い出話まで、話に花が咲いた。時計を見ると、予約時間から15分が過ぎている。
「吉崎さん、遅いですね」
「どうしたんでしょう」
「携帯持ってないから連絡もつかないし。もうちょっとで来るんじゃないですか」
 しかし、私は非常に不安だった。普段の彼は几帳面で、時間に遅れることはまずないのだが、何の連絡も入れずに、会議などをすっぽかしたという前科はある。自宅の番号なら知っているという先生に頼み、親御さんと連絡をとってもらった。
「家には帰っていませんでした。今日は送別会だから遅くなる、と言って出かけたそうです」
「じゃあ、やっぱり来るんでしょうか」
 多少はホッとしたものの、30分過ぎても、彼からは何の連絡もない。
「別の送別会だったりして……」
「いいよ、もう。始めちゃおう!」
 吉崎さんに見切りをつけて、ワインを注文し、コース料理をお願いした。
 アミューズに続いて前菜が来る。右端はカリフラワーのポタージュなのだが、珍しくて美味だった。



「おいし~い」
 安くて美味しいという評判通りの味である。いや、空腹という調味料を加え、さらにグレードアップしたかもしれない。店名「トラントトワ」とは、フランス語で「33」を表すが、この4人にとっては「さんざん待たされる」の意味となった。
「あっ、携帯に着信がありました!」
 吉崎さんと仲のいいゆき子さんが、液晶画面を見て叫んだ。もしや、彼が職場から掛けてきたのではと察し、折り返し、かけ直してくれた。
「やっぱり吉崎さんからでした。どうしても抜けられない用事があったそうです。これから出るので7時半くらいになるとのことでした」
「よかった~!」
 1時間半遅刻は褒められたことではないが、すっぽかされるよりはずっといい。これで、安心して次の料理を楽しむことができる。
 フォアグラのソテー。下には大根が敷いてあり、こってりとさっぱりのコンビネーションとなっている。



 重くなく、軽過ぎもなく、いいあんばいに仕上がっていた。
 魚料理。



 ワインがなくなり、赤を1本追加したところで、吉崎さんが飛び込んできた。
「いやあ、お待たせして申し訳ありません」
「よかった、これで全員揃いましたね」
 吉崎さんのビールとお料理が運ばれてきた。乾杯のやり直しをして、吉崎さんの近況を聞く。彼もなかなか忙しいようだ。
「次のお料理から、みなさん、ご一緒でよろしいですか?」
「はい、そうしてください」
 給仕の女性は、いやな顔もせずに、吉崎さんの空いた皿を下げては、次のお料理を持ってくる。私たちは、ひとまず休憩だ。
 そして肉料理。



 このときは気づかなかったのだが、私の衣装が一部写ってしまい、見苦しいことをお詫びする……。
 食後は、チーズと、



 デザートが待っている。



 この日は、ガトーショコラのバニラアイスクリーム添えだった。
 どのお料理も申し分なしで、5500円は安い。グルメサイトの口コミはあてにならないというが、少なくともこのお店に関しては間違いではない。すったもんだはあったけれど、無事に送別会が終わったことに感謝する。
 あとから調べると、店名の由来が載っているサイトがあった。
 どうやら、オーナーシェフが33歳のときにオープンしたから、「トラントトワ33」とつけたらしい。監督時代の長嶋茂雄氏のファンか、3月3日生まれなのでは、という私の予想はあっさり外れた……。
 店の入口の、「本日は予約のお客様で満席です」と書かれた掲示板を思い出す。人気があって、予約なしでは入れないというから、今度行くときも、ちゃんと電話をしなくては。
「33」の意味するところは、「みみ寄りな店」なのかもしれない。



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最近のホワイトデー

2012年03月15日 21時02分17秒 | エッセイ
 今週最大のイベントは、ホワイトデーだ。娘がクッキーを焼くと言うので、手伝う破目になる。
「やり方はこの本に出てるから、読めばできるよ」
「うん、わかった」
 中3ともなれば楽なもので、材料の計量には手を貸したが、あとは勝手にやってくれる。ときどき、聞かれたことに答えるだけでいい。生地ができたら棒状にまとめ、冷蔵庫で冷やしたあと、厚さ3mmにカットする。一応、切り口がハート型になるよう工夫したようだ。
「何人にあげるの?」
「34人」
「そんなに!?」
 ホワイトデーはバレンタインデーのお返しをする日だと思っていたが、最近はそうでもないらしく、もらわなかった子にもあげるという。天板2枚にクッキー生地をぎっしり並べ、オーブンで焼き始めた。甘~い、お菓子屋さんの香りが心地よい。
 冷めたら、絵のついたビニール袋に入れ、ラッピングリボンで口をしばる。34個ともなると、大荷物で持ち運びに難儀する。
「何に入れて持っていくの?」
「スクバ」
 スクバとは、スクールバッグのことだ。今の子は、何でも略したがって困る。
「お菓子を持って行っちゃいけないから、バレないようにしないと」
 実は、娘は2年の校外学習のとき、買い食いしたところを告げ口され、お叱りを受けたことがある。罰として、毎朝7時半に登校して一週間、清掃や片付けなどの奉仕活動をさせられたので、今回は、見つからないようにと頭を働かせていた。
「スクバなら、チャックがしまるから中が見えないでしょ。こっちにクッキーを入れて、教科書とかは見えても問題ないから、紙袋で持っていけばいいんだよ」
 何と悪どい……。母親似だろうか。
 当日は、膨らんだスクバを横目に出勤した。
 職場に着くと、私の机に小さな包みが置かれている。
「あら、これはどなたからですか」
「あ、僕です」
 同じ部の玉木さんが、女性陣全員に配ったものだった。前もって相談していたのか、他の男性からもキャンディーやらチョコレートやらをいただいた。だが、男性同士で受け渡す習慣はないらしい。私を含め、女性3人はバレンタインデーに何もあげなかったことを後ろめたく感じたが、ありがたくちょうだいした。
 とりわけ感激したのは、事務室の男性からいただいたマカロンだ。



 パンダだ! 可愛いっ!!

 リーリーとシンシンの両方が入っている。もったいなくて、とても食べられない。
 


 あまりの愛らしさに、どこで買えるのかと聞いてみた。彼は、上野駅のエキュートで入手したという。今度、私も行かなくては……。
 さて、このお返しはどうしたらいいのだろう。娘に聞くと、アバウトな答えが返ってきた。
「いつでもいいんだよ。あげるのだって、15日とか16日の子がいるもん。思い立ったときだね」
 キーワードは「ゆるめ」なのかもしれない。
 お返しに、ぜひあげたいと思うお菓子がある。
 六花亭「サクサクカプチーノ 霜だたみ」



 砂糖のかかったパイ生地の間に、クリーミーなカプチーノクリームが挟まっていて、それはそれは美味しいのだ。



 いかんせん、東京で買うには、デパートの物産展しかない。
 どこぞの店で買える日を、ゆる~くゆる~く待っていよう。



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オードブルは生大根

2012年03月11日 20時44分32秒 | エッセイ
 自分の体を、お風呂の浴槽に例えてみよう。60ℓの水を50ℓに減らし、痩せたいと思った場合、どうすればいいだろうか。蛇口を閉めて、入る水量を減らしても、中の水は少なくならない。つまり、食べる量を減らしても、痩せないというわけだ。
 痩せたいならば、浴槽の栓を抜き、水を流さなければならない。これが、「美トイレ毒出しダイエット」の原理である。



 体内に入る食品の量より、体から排出される尿や便の量が多ければ痩せるのだ。このダイエットは、排出機能を高めることにより、食事制限することもなく、厳しい運動を続けることもなく、ラクラク痩せられる。
 では、どのようにすれば、排出機能を活発にできるのか。尿が出たら、コップ1~2杯の水分を補給し、おしっこのサイクルを作るのだ。サイクルができれば、おしっこの回数と量が増え、飲んだ量以上に排出することができる。これは、老廃物が流れているからだ。私はむくみやすい体質なので、水分の摂取を控えていたら、かえって太った経験がある。おそらく、老廃物がたまり、重くなってしまったのだろう。
 寝る前にも1~2杯の水かお茶を飲み、翌朝たっぷりおしっこが出るようにする。トイレの前後で体重を測り、尿量をチェックすることが重要だ。目標は400g以上だが、私はまだ300gしか出ない。始めてから、たったの10日間だから、こんなものだろうか。でも、体重は1kg減った。
 さらに、便の排出も促進する必要がある。姉と妹は下しやすい体質で、年中下痢に悩まされていたが、私は下しにくく便秘になりやすい。
だが、便がスルッと出るようになる食材があるのだ。それは、生大根である。1回の量は、1cmがベストという。



 大根おろしにしたり、スティックで味噌をつけて食べたり、刻んでドレッシングをかける、などという食べ方が紹介されていたが、私は豪快にこのままガブリとかじる。何もつける必要はない。フレッシュな大根ほど酵素が多く、効き目があるらしい。ボリボリと大きな音を立てると、家族は冷たい視線を送ってくるが、受け流すに限る。
 このように、水分をとることも、大根を食べることも簡単なのだが、ひとつだけツラいものがある。それは、間食の制限だ。
「体は消化と排泄を同時にできません」
 書中の、この言葉は名言である。食後30分から4時間は間食を控え、体を排泄に専念させることが大切だ。ここでおやつを食べると、体が痩せモードに入れず、十分な効果が発揮できない。
 おやつとサヨナラするのは苦しかった。朝は10時ごろになると、小腹がすいてくる。いつもだったら、ここでチョコレートの出番なのだが、口にしていいのは水分だけだから、ひもじいこと、ひもじいこと。そこで、はたと気がついた。

 そういえば、お腹がすくという感覚を忘れていたかも……。

 午後も、3時か4時の間食が習慣化していたので、空腹感を感じることなく、次の食事を迎えていた。これでは、痩せるはずもない。チョコは食後の楽しみにして、決しておやつには食べない。ひもじさに慣れるまで、これだけは我慢せねばならないポイントだ。
 お腹をすかせて食卓につくと、お料理がいつもより美味しく感じる。痩せる食べ方は順番が大事だ。まずは、味噌汁からいただき、次に前菜の生大根である。「空腹は最高の調味料なり」とはよくいったもので、味噌汁も大根も美味しく感じられる。それから、肉や魚などの主菜・副菜となり、ご飯は最後にする。
 痩せるために始めたダイエットだが、食事のありがたみがわかり、料理への満足感もアップした。
 ちょうど、今日は東日本大震災の一周忌である。あのときは、地震や津波による被害に加え、放射能の恐怖、電力や物資の不足などを目の当たりにした。
 犠牲となった方々のご冥福を祈り、合掌……。
 今日は、いつも以上に「食べられる幸せ」を感じる。



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お初のマクロビ

2012年03月08日 20時27分14秒 | エッセイ
 ランチの店を探していたら、気になるところがあった。
「チャヤ マクロビ レストラン」
 マクロビとは、マクロビオティックのことだ。あの、マドンナやトム・クルーズも、マクロビオティック愛好家といわれている。彼女の美貌と見事な肢体を思い浮かべ、ここにしようと決めた。
 もっとも、一度食べたからといって、彼らに近づけるはずもないのだが。
「マクロビオティック? なにそれ」
 このところ、一緒に行動することの多い幸枝が、大きな目をパチパチさせて尋ねる。
「ええと、穀物中心の食事だったかな……」
「ふうん。オーガニックとどう違うの?」
「そっ、それは……」
 答えに窮した。イメージが先行するばかりで、実際のところ、私はマクロビオティックの何たるかを知らない。これではいけないと思い、きちんと調べてみた。
 店のホームページによると、「マクロビオティックとは、穀物や野菜、海藻などを中心とする日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する考え方」で、「暮らす土地の旬のものを食べること」「自然の恵を残さず丸ごといただくこと」を原則としている。だから、野菜の皮や根も食べるし、玄米や砂糖も精製せず用いるようだ。また、基本的に、肉・卵・乳製品・化学調味料などは使用せず、食品の灰汁も取り除かないという。
 食材バランスや調理法にも決まりごとがあるようだが、急激にではなくゆっくりと、我慢し過ぎてストレスをためないように実践するのがポイントらしい。自分で作るのは面倒だが、食べさせてもらえるならありがたい。
 レストランは11時からだ。すぐ満席になってしまうので、開店と同時になだれ込むのがおススメという。ランチタイムは主婦ばかりだと思っていたら、中にはカップルやサラリーマンもいて、意外と客層が広い。男性2人連れは、ちょっと怪しい雰囲気をかもし出していたが、愛好家らしい細身の体型だった。
「お待たせしました。新玉ねぎのロースト アスパラと春野菜のコンポジション 柑橘ハーブソース添えでございます」



 マクロビという名前からか、黒っぽい色の料理を想像していたが、目の前にあるのは色鮮やか一皿である。まろやかな酸味とほどよい甘味が楽しめ、とても美味しかった。
 お次は、「根セロリと蛤のスープ」である。



 サラサラした舌触りで、あっさりした味に仕上がっている。蛤がひとつしか入っていないのは物足りないが、マクロビオティックだから仕方ない。あるだけマシと思うことにした。
 メインは「かるくスモークした桜鱒のオーブン焼き 葉山葵のソース」だ。



 私はてっきり鮭だと思ったのだが、桜鱒という魚があるらしい。香ばしく、大変美味に燻されている。ソースも素晴らしい味である。肉はないけれど、十分楽しめるメインであった。
「美味しい。よかったよ」
 ダイエット中の幸枝も満足したようだ。
 食後のデザートにケーキがつく。こちらのケーキは、卵、バター、生クリーム、白砂糖を使用せずに作られているとのことだ。私は「soyティラミス」、つまり豆乳ティラミスにした。



 こってりした甘さがなく、舌の上でとろけるような食べやすさがいい。飲み物はミントティーにした。なかなかお目にかかれない、生ハーブには感動する。



 フレッシュで爽やかなミントティーを、ぜひ味わっていただきたい。
 幸枝のチョイスは、「伊予柑の豆乳カスタードパイ」である。



 愛媛県産の伊予柑を、豆乳カスタードクリームとあわせたものらしい。こちらも美味しかったそうだ。ランチは毎月変わるから、頃合を見て、また来たい。
「そろそろ行こうか」
 お会計をすませて店を出ると、後ろから呼び止められた。振り返ると、ウエイトレスが立っている。
「あのう、お席の下に落ちていたのですが、お客様のでしょうか」
 彼女が差し出したものは、見慣れたデジタルカメラであった。
「あっ、私のです!! ありがとうございます!」
 礼を言って受け取ったが、こんな失敗は初めてだ。食べることとおしゃべりに夢中になって、カメラの存在を完璧に忘れていた。商売道具だというのに……。
 過剰な盛り上がりにご用心!



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ブラジャーのひも

2012年03月04日 20時58分47秒 | エッセイ
 昨日、ワコールのリボンブラという下着を買ったら、クリップをもらった。



 これは、肩ひもが落ちないように、背中でストラップを留めるものである。



 礼を言って受け取ったが、「もっと早く作ってよ~!」と思わないこともない。実は、肩ひもには苦い思い出がある。
 大学生のとき、私は手品のサークルに入っていた。年に何度か発表会があり、ドレスやスーツを着てステージに立った。
 たしか、3年生のときだ。他大学との合同発表会に出た際、私は「ジグザグ箱」と呼ばれる道具の中で、胴体を切り刻まれる役となった。まず、背の高い箱に入り、ドアを閉める。ドアにはところどころ穴が開いており、顔や手、足が見えるようになっている。
 演者が金属板を上に掲げ、ギラギラと光らせながら、私の胸のあたりに打ち込む。板がスッポリはまると、もう一枚の金属板を取り出し、今度は腰に差し込む。観客には、私の胸と腰が切り離されたように見える。
 それから演者は、板と板で区切られた箱の真ん中を、ゆっくり右に引いていく。頭と足は元の位置にあるが、胴体だけが遠くに離れていく。テレビなどでもお馴染みだが、自分で見ても気持ちが悪い。
 大きな拍手をいただいたあとは、胴体を静かに戻す。完全に戻ったらドアを開け、無事な姿で箱から出てくる。ここでも割れんばかりの拍手喝采が起こる。
 問題はそのあとだった。演者が次のマジックを披露する間、私は舞台の端で待機していた。激しい動きのあとで、下着が乱れたのだろう。ブラジャーの肩ひもが、ズルズルと落ちてくるのがわかった。
 その日の服装は、ノースリーブの裾がふんわりしたドレスである。公衆の面前で、ブラのひもが「こんにちは」をしたら大変だ。私は焦った。
 出しゃばりのストラップは、どうしても顔を出したいらしい。こちらの気持ちを無視して、じりじりと下がってきた。阻止せねばと、袖口から手を入れ、ひもを押し戻す。だが、1分もすれば、またズルズルと落ちてくる。心で「このくそっ」と罵りながらひもを押し込む。その繰り返しだった。
 5分後にすべてが終わり、他の演者と手をつないで礼をすると、緞帳が閉まった。私が心底ホッとしたことは言うまでもない……。
 後日、発表会のビデオを見た。予想通り、肩ひもと格闘している場面も、しっかり映っていた。幸か不幸か、ずり落ちたストラップを戻しているというより、かゆみに耐え切れず、腕をボリボリかいている図に見えた……。
 このクリップさえあれば、あんな恥ずかしい思いをせずにすむ。
 もう一度、ステージに上がりたくなってきた。



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怪しい二人

2012年03月01日 20時47分37秒 | エッセイ
 お昼過ぎ、勤務先の高校で、見慣れぬ男性二人がベンチに腰掛け談笑していた。池田小の悲しい事件があって以来、学校では外部からの立ち入りに神経質になっている。私も気になり、近寄って声をかけてみた。
「私どもは制服業者なんですが、荷物を運ぶ車の到着を待っているんですよ。あと10分くらいで来ると思いますので、それまで待たせてください」
「ああ、そうですか。それは失礼しました。どうぞごゆっくり」
 彼らにお詫びをして背中を向けると、二人の会話が再開した。
「不審者だよ、俺たち」
「不審者か、あはは」
 おそらく、苦笑いを浮かべたことだろう。まもなくワンボックスカーが到着し、彼らは荷物とともに去っていった。
 
 昨日は、都立高校の合格発表日であった。
 制服業者は、合格者を対象に、制服の採寸や注文を受け付ける。不合格者は制服までたどり着けず、門前払いとなってしまうのだ。雪の中、交通機関の遅延と戦いながら、発表を見に来たのに、気の毒なことである。
 今年の受検生は、願書提出日が雨、学力検査当日も雨、合格発表日は雪というように、天候に恵まれなかった。この調子でいけば、遠足も雨、修学旅行は台風となるかもしれない。
 恐ろしや……。
 我が家の受検生も、雪の中、合格発表を見に行った。私も休みを取って、一緒についていった。まったく自信がないと言うので、一人では心配だったからだ。試験場に着き、掲示板から娘の番号を探した。
「ない……」
 掲示板には、飛び飛びの番号が表示されており、その中に娘のものはなかった。残念ながら不合格だ。
 覚悟はしていたが、実際に結果を突きつけられると、大きな衝撃がある。しかし、それが現実なのだから、受け入れるしかない。かくなる上は、私立の入学手続きをしなくては。
 娘を連れて校門を出ると、駅に向かって歩き始めた。心はついていかなくて、足だけが進んでいる感じである。3分もたてば、コートは雪で白くなってしまう。不思議と寒さは感じず、頭の中で、言葉だけがグルグル渦巻くように浮かんできた。

 本格的に勉強し始めたのが12月だから、やっぱり無理だったか。
 神だのみの合格祈祷も意味なかった。
 家庭教師も無駄だったのかな……。

 娘も、過去を振り返っていたようだ。勉強せずに、年中昼寝をしていたし、パソコンで遊んでしまったことも多い。携帯やウォークマンもやめられず、怠けてばかりいた。競争相手はその間も、塾で一心不乱に学習していたというのに。
 娘は、自分でも勉強不足を自覚しているせいか、涙を見せることもなく淡々としていた。
「大学は、いいところに入りたいから、私立で頑張るよ」
「……そうだね」
「勉強が好きになったから、校内で一番になりたい」
 ……それはちょっと無理だと思うが、目標を持つのはいいことだ。苦い経験をバネにして、同じ失敗を繰り返さないでほしい。
「修学旅行は韓国と中国だよ」
「へー」
 私立らしく海外に出るのもいいだろう。ただし、天気は期待しないほうがいい。
 今月中旬には新入生説明会があり、年度当初の計画を聞いて書類の提出をする。制服の採寸や注文もあるらしい。
 まさか、今日の怪しい二人ではないと思うが……。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (20)
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