これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

専業シュフの魅力

2009年09月27日 20時43分47秒 | エッセイ
 子供のとき、私は「大きくなったらお嫁さんになりたい」と思うような女の子だった。
 当時はまだ、女性の社会進出が盛んでなかったし、女性は結婚したら家庭に入るのが当然とされていたせいかもしれない。
 三食昼寝付きと揶揄された専業主婦だが、ささやかな幸せの象徴にも感じられ、私は好意的にとらえていた。
 しかし、主婦の本音を知ると、現実は甘くないことに気がついた。
 学生のとき、アルバイト先のコンビニで、同じシフトを組んだ主婦たちがこんな会話をしていた。
「うちのは、最近ずっと飲み続きで帰りが遅いのよ。文句言いたいけど、給料日まで我慢しなきゃって思ってて……」
「いつ給料日なの?」
「明日よぅ」
「じゃあ、あとちょっとじゃない!」
 つまり、給料を手渡されるまで、旦那の機嫌を損ねないようにということらしい。
 そういえば、私の父も、夫婦ゲンカの度に「誰に食べさせてもらっているんだ!」と、偉そうに怒鳴っていたっけ……。
 主婦のひとりが私に向き直り、真剣な顔で話しかけてきた。
「笹木さんは、キャリアウーマンにならなきゃダメよ。収入がないと、家庭内の立場が弱いからね。言いたいことも言えなくなくなるよ」
 父親が仕事に専念できるのは、主婦が家事育児を一手に引き受けているからなのに、稼ぎがないというだけで、これほど肩身の狭い思いをするものなのか……。
 そういえば、新聞の「人生相談」では、暴力をふるう夫と離婚したいが、経済力がないから我慢しているという内容が多い気がする。
 現実問題を突きつけられて、私は愕然とした。

 その2年後、当時の彼氏が九州の企業に就職することになった。
「一緒に来てくれないか」と言われたけれども、彼についていったら専業主婦の道しかない。せっかく取った教員免許状をふいにするのは、まっぴら御免だった。
 もし、あのとき彼を選んでいたら、どんな人生が待っていたのだろうか。コンビニの主婦たちのように、夫の顔色を伺いながら、愚痴をこぼす毎日だったかもしれない。あるいは、テレビドラマにもなった鬼嫁のように、収入の有無にかかわらず家庭の実権を握り、夫を尻に敷く毎日か……。いや、それはなさそうだ。

 今では、退職した夫が専業主夫となり、家事、育児、PTA、地域行事などの役割を引き受け、仕事をする私を支えてくれる。娘の授業参観も夫が行き、娘の友達が遊びに来たときも、夫がおやつを出してもてなすから、私の出る幕はない。
 最近、ようやく理解した。

 専業主婦になりたかったわけじゃなくて、専業主夫と結婚したかったんだわ、私!!

「ミキちゃんちはお母さんがいないの? って聞かれたよ」と娘からは不評だが、退勤時間を気にせず、帰ってからも「風呂、メシ、寝る」と言うだけの生活は魅力的だ。妻には家にいてほしいという、男性の気持ちがよーくわかった。

 ウチの主夫の弱点は、洗濯物である。表と裏を区別できないらしく、タオルも下着も、裏返しでたたむことが多い。つい先日は、自分のブリーフを裏返しのまま履いていた。まだまだ発展途上である。

 働く女性に、家庭を守る男性という図も悪くない。



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イイ男に変身する方法

2009年09月24日 20時32分41秒 | エッセイ
 唐沢寿明という俳優は、まぎれもなく美男なのだが、どうも色気がなくていけない。爽やかすぎるキャラのせいか、セクシーじゃないのだ。少しは、要潤のなまめかしさや、渡辺裕之の精悍さ、滝沢秀明のあでやかさを見習ってほしい。
 しかし、先日、劇場まで足を運んで観た映画『20世紀少年 最終章』では、いつになく魅力倍増で眩しかった。私はスクリーンに釘付けになりながら、不思議に思った。

 なんで、いきなりカッコよくなったんだろう?

 唐沢さんのファンならば、元々カッコいいのだと反論するだろう。しかし、ファンどころか圏外だった者から見ると、その変貌ぶりは謎めいている。
 やがて、惹きつけられた理由に思い当たった。

 わかった、ヒゲが生えてるからだ!

 唐沢さんは、淡い色のヒゲを鼻の下とアゴに蓄え、ボサボサの髪で登場した。これがワイルドで、私の目には男っぷり急上昇と映ったらしい。
 素敵だったので、ぜひとも続けていただきたいと願う。

 実は、私は制服フェチであると同時に、ヒゲフェチでもある。
 スーパーマリオのようなふさふさのヒゲ、無精ヒゲ、ちょびヒゲ、あごヒゲなどなど、ヒゲなら何でもござれだ。
 強いて言うなら、理想は源頼朝公の整ったヒゲだろうか。
 ヒトラーのヒゲは……焼き海苔みたいであまり好きになれないが。
 メガネをかけた男性、いわゆるメガネ男子が好きという女性がいるのと同じように、私はヒゲ男子をこよなく愛する人種なのだ。

 万年倦怠期の夫ですら、ヒゲを生やしているときだけはイイ男に見える。「ああ、この人と結婚してよかった!」と思う数少ない瞬間である。
 しかし、義母はヒゲ面が大嫌いのようで、ときめくどころか、眉間にシワを寄せて冷たく言う。
「まあ、そのヒゲ、汚らしい。早く剃りなさいね」
 夫は、嫁姑の板挟みとなり、困った顔をしながら結局剃ってしまう。
「だって、痒いんだから仕方ないだろ」
 夫の言い訳は聞き飽きたが、実際のところ、ヒゲは結構厄介なものらしい。
 中学生のとき、社会科の先生が、マリオ状のヒゲを蓄えていた。そして、女子からの評判は悪かった。
「あの先生、牛乳飲んだあと、ヒゲが白くなっていて汚いのよ~!」
 豊かなヒゲには、食べ物がつくというリスクがあるようだ……。『20世紀少年』にはトヨエツもフサフサのヒゲで登場したが、やはり食事のあとは汚れたのだろうか?
 寝ているとき、ヒゲを毛布に引っ張られ、痛くて目が覚めたという知人の話を聞いたこともある。
 また、昔の彼氏は体質的に鼻の下のヒゲが薄くて、どう頑張ってもまばらにしか生えなかった。
 私の願いは、世の男性全員がヒゲを生やすことなのに、なかなか上手くいかないものだ。

 そもそも、私が初めてヒゲにセックスアピールを感じたのはいつだろう。
 おそらく、『サハラ』という映画ではなかったか。主演のブルック・シールズが、男装して登場する場面があるのだが、そのとき口ヒゲをつけていたのだ。
 私は麗人ぶりに感動し、「なんてイイ男なの!?」とうっとりしたおぼえがある。
 つまり、ルーツは「ヒゲ女子」だったというわけだ。
 女性ですら、一瞬にして美男に変えてしまうヒゲの魔力は素晴らしい。
「男性にヒゲを義務付ける」マニフェストを掲げる政党が現れるといいのに。



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墓石ウォッチング

2009年09月20日 21時06分41秒 | エッセイ
 母方の祖母が亡くなったのは、私が小学一年生のときだった。
 ちょうど遠足の前日で、「明日は行かれないね」と母に言われた。大好きだった祖母が死んでしまったことより、遠足に行かれないことが悔しくて、泣いて抗議したおぼえがある。
 しかし、アルバムを見ると、リュックをしょって水筒さげて、ちゃっかり集合写真に写っている私がいた。記憶はないが、行かせてもらえたようだ。
 その年から、春と秋のお彼岸には祖母の墓参りが恒例行事となった。
 母には妹3人と弟1人がいて、それぞれ別々の場所で暮らしている。ちょうどこの頃には、都合のいい日を前もって決めておき、姉弟全員でお墓参りをすることになっていたらしい。叔父は、当時健在だった祖父を連れてきた。
「久しぶりねぇ」
「元気だった?」
 母は、叔母や叔父と笑顔で言葉を交わすと、まず墓石の掃除に取り掛かる。特に文字の彫り込みに汚れが溜まりやすく、木の枝や雑巾の隅で一生懸命こすっていた。花瓶にも雨水が溜まっているから、叔母たちが水道まで足を運んで洗った。
 掃除が終わると花を活け、線香に火を点ける。お供え物を並べて用意が整ったところで、一人ひとりが歳の順に墓前で手を合わせるのだ。
 しかし、このあとが長い。線香が燃え尽きるのを見届けてから、お墓参りが終わるのだという。母も叔母たちも、レジャーシートを引いてくつろぎながら、おにぎりやお供え物の和菓子を食べ始めた。大人は話すことが山ほどあるが、子供は退屈で仕方ない。おはぎとフルーツを食べたあとは、時間を持て余した。
 私は姉と妹と一緒に、この巨大霊園を探検することにした。墓の数は35000、あるいはそれ以上らしい。えらく広いので、とても全部は回れなかったけれども、200個くらいは見たと思う。3姉妹はあれこれ勝手な批評をしながら、お墓ウォッチングを楽しんだ。
「この苗字、珍しいね」
 ○○家と書かれた文字が、初めて目にする苗字だったり、フォントが個性的だったりするとちょっと得した気分になる。
「この墓石には十字架がついているよ。キリスト教徒かな?」
 キリスト教徒のものと思われるお墓は、どこか洗練されていて垢抜けた感じがした。角ばった墓石が普通なのに、十字架のついているお墓は丸くカットされていたり、球体のオブジェのような墓石だったりした。
 家紋を見るのも興味深い。色々な種類があるのだとわかった。
「鶴の家紋ってカッコいいね」
「桐もなかなか」
 そのときの実家の家紋は、勾玉が2つのデンデン太鼓のようなものだった。
「……ウチのはダメね」
 決して狙ったわけではないが、笹木の家紋は「五三の桐」である。結婚してからそれを知ったとき、私は係長から部長に昇進したような気がした。
「もう線香は燃え尽きたかな? そろそろ戻ろう」
 姉に促されて母の元に帰ると、線香は灰になっているのに、大人の話は終わっていなかった。なんのことはない、線香は建前に過ぎず、年に数えるほどしか会わない姉弟が満足するまで帰れないのだ。
「しょうがないな、今度はあっちに行ってみよう」
 そして、私たち3人は、見ごたえのあるお墓を求めて、また歩かなくてはならなかった……。

 それから30年後の今、偶然通りかかった石材店で、キャラクターものの墓石を見つけた。

 これって、ディズニー墓石!?



 ミニーちゃんだけでなく、ミッキーも発見した。



 隣にはドナルドの姿もあった。



 さらに、奥にはスヌーピーもいた。

 結婚してから墓参りにはとんとご無沙汰だが、最近ではこんな墓石まであるのかと驚いた。
 早速、家に帰ってから、インターネットでキャラクター墓石を調べてみたら……。
 
 墓石じゃなくて、スタチュー(石像)だって……。

 大変失礼いたしました!!
 だって、墓石と並べて置いてあったんだもの……。
 まあ、奇抜な墓石もいいけど、線香が燃え尽きても帰ろうとしない遺族がいるほうが大事かな。



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学校行事なんていらない

2009年09月17日 21時09分13秒 | エッセイ
 大学受験にそなえて、生徒に面接練習をしたときのことだ。
「あなたの長所と短所は何ですか?」
「得意な科目と苦手な科目を教えてください」
「趣味は何ですか?」
 ありきたりな私の質問に、その男子生徒は緊張した面持ちでつっかえつっかえ答えていた。何の変哲もない問いが続くと思っていたら、そうでもなかった。
「高校の行事では、何が一番印象に残っていますか」
「ハイ、行事はすべて欠席したので、参加していません」
 一瞬わが耳を疑い、昨夜ちゃんと耳かきで掃除をしておけばよかったと後悔した。
 しかし、どうやら聞き間違いではないらしい。
「え? 行事に出ていないのですか?」
 再度の質問に、彼は恥ずかしげもなく言った。
「ハイ。一度も出ていません」
 何でも正直に答えればよいというものではない。面接官の採点を考慮しない回答に、全身の力が抜けた。が、今から考えると、私も人のことを言えない生徒だった。

 私にとって、学校行事というものは面倒以外の何者でもなく、平常授業のほうが気楽で好きだった。遠足や修学旅行は楽しかったが、荷造り・荷解きが嫌いだったし、体育祭はイヤイヤながら競技に参加し、頑張っているふりをしてお茶を濁した。
 球技大会はバレーボールに出場予定だったが、競技開始までの2時間が退屈だったので、学校を抜け出し友達の家でテレビを見ながらおやつを食べた。頃合を見て学校に戻ったら、競技の進行が予定よりも早く、私たちのクラスはもう終わっていた。
「ひどいよ! 笹木さんたちがいないから、5人でコートに出たんだよ! 勝てるわけないじゃないっ!!」
 ひょっこりと体育館に現れた私たちを見て、バレーチームのキャプテンが感情むき出しで怒り始めた。たしかに、黙っていなくなったのは悪いけれども、真剣さが違いすぎたのだ。たかが球技大会だろうと高をくくっていたから、まさか負けて泣きべそをかくクラスメイトがいるとは思わなかった。みんな、適当にやるのではなかったのか?!

 文化祭だって似たようなものだ。1年生のときは、ドーナツ屋をすることになり、仕入係の友達に付き合ってひどい目にあった。一緒に仕入先の店に行き、価格や数量の交渉に同席したのだが、七面倒なやり取りがどうにも我慢できず、「早く帰りたーい」と心の中で叫び続けていた。
 2年生のときは全然協力しなかった。3年生になると、担任から「図書館で受験勉強してていいぞ」と言われた。教員になってからわかったことだが、担任の目から見ても私は「何の役にも立たないヤツ」だったのだろう。いても邪魔なだけだから、さり気なく追い払われたような気がする。私だって、クラスの士気を下げる生徒は害になるから、あれこれ口実をつけて隔離しようとするだろう。
 しかし、熱血な友人はこれが許せなかったらしい。わざわざ図書館までやって来て、怖い顔で怒った。
「みんな、一生懸命やってるのに、勉強してちゃダメでしょ!!」
 彼女とは、4年後、一緒に教育実習をした。私よりずっと教員ぽい性格だったのに、普通のOLを経験したあと、あっさり主婦の座に収まった。
 仕事の適性とチャンスは、必ずしも連動していないという格好の見本である。

 それから約10年後、クラス担任を持つようになると、180度違う立場が待っていた。まるで、模範的な高校生活を送ってきたような顔をして、生徒に偉そうなことを言う私がいた。
「明日は体育祭だから、休んだらダメだよ! 競技にでなかったら体育の欠席になるからね!」
「あと一週間で文化祭だよ! 残って準備しなさいよ!!」
 行事から上手く逃げおおせたと思っていたが、実は、先回りして待ち伏せされていたのだ。
「面倒くさい、やだよ~」と文句を言う生徒の気持ちが、実はとってもよくわかる。
 いっそのこと、「そうだよね、サボろうか」と誘ってしまいたい。
 どこかに、文化祭や体育祭のない学校があればいいのに。



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お誕生会♪

2009年09月13日 21時06分36秒 | エッセイ
 幼なじみにラーメン屋さんの姉妹がいる。姉が私よりひとつ上、妹がひとつ下で、子供のときはよく一緒に遊んだものだ。私は特に、妹のなみちゃんと仲がよかった。
「明日は私の誕生日なんだ。なみちゃんの誕生日はいつ?」
「3月10日だよ。まだまだね」
 小学生のときの名簿は、誕生日順になっていた。私の誕生日は10月だったので、中間あたりに名前があったが、3月生まれの人は最後のほうになる。
「ゆかちゃんはいつだっけ?」
 私はなみちゃんに、お姉さんの誕生日を聞いた。
「3月10日だよ」
「え? 同じ日なの?」
「そう。みんなが、姉妹で誕生日が同じなのは珍しいって驚くよ」
 これまでに、兄弟姉妹で同じ日に生まれたというのは、なみちゃんちくらいしか聞いたことがない。レアなケースであることは間違いないだろう。
「それってスゴいじゃん! いいね~!」
「えー、全然よくないよ。だって、誕生日のごちそうもケーキも、一回ですまされちゃうもん」
 そうか、誕生日が一緒だと、そういうデメリットがあるのか。たしか、クリスマスに生まれた子も、同じことを言っていたおぼえがある。
 何やら、またひとつ賢くなった気がした。

 妹の誕生日は9月8日である。8年前、長男の浩太が9月15日に生まれた。その2年後、長女の明奈の出産予定日は9月16日であった。
「同じ日に生まれるといいんだけどね」
 妹は、誕生日が重なることを望んでいた。
「そうだね、なみちゃんとゆかちゃんみたいに」
 私もそうなればいいと思ったのだが、マイペースな明奈に妹の願いは届かなかったのか、4日遅れの19日に生まれてきた。残念……。

 今日は浩太と明奈のお誕生会だったので、妹の家にお呼ばれした。4日のズレなら、結局のところ、お誕生会はまとめてしまうのだ。
 去年のプレゼントは、DSソフトの「ポケットモンスター プラチナ」を頼まれ注文に四苦八苦したが、今年はポケモンの人形だから楽だ。
 近所のお蕎麦屋さんでコース料理をいただいたあと、ケーキを食べて、二人の成長をお祝いした。





 ところで、私の誕生日は10月18日だが、同じ屋根の下に6日違いで生まれた人がいる。義母が10月24日なのだ。
 嫁姑の場合、「一緒にお祝いをしましょう♪」ということはあり得ない。
 決して、仲が悪いわけではないのだが……。
 つまり、来月は2回もケーキが食べられるというわけだ。
 バンザーイ!!



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やせがまん

2009年09月10日 20時47分39秒 | エッセイ
 歳の差婚をした夫が、定年退職後、家事に専念するようになった。
 掃除や洗濯はともかく、料理だけは「自信がない」と渋っていたのだが、この4月から夕食作りを始め、徐々に腕を上げている。週一回ペースがやがて二回、三回に増え、なんと7月からは毎日作れるほどに上達した。
 専業主婦の母親に育てられた夫は「口は出すけど手は出さない」タイプで、これまで、作る側の苦労や努力をまったく理解していなかった。焼き魚を出せば「生臭い。いらない」と一蹴し、煮物には「柔らかすぎる」と文句をつけ、おひたしには必ず醤油を加えて味付けを直すというイヤなヤツだった。
 一転して作る側の人間となることで、栄養バランスや味つけを考え、毎日違ったメニューを提供する大変さがわかったようだ。毎日、料理番組や雑誌のレシピを見て、「今日は何にしよう……」と悩んでいる。
 最初の頃は、やたらともやし料理ばかりが食卓に上ったり、やけにおかずが少なかったりという失敗をしていた。しかし、調理に慣れてレパートリーが豊富になると、合格点をあげられる水準に到達した。
 とりわけ私の好きな料理は、市販の「トマたま炒めの素」を使ったこの一品である。



 トマト、玉子、豚肉だけでなく、茹でた枝豆を加えることにより、味も見た目もレベルアップしている。一つひとつの枝豆を取り出し炒めるので、手が込んでいて、時間と根気のない私にはとても作れそうもない。
「美味しいね、これ。どうやって作ったの?」
 私が手放しで褒めると、夫は待ってましたとばかりに解説を始めた。

 疲れて仕事から帰ってきたときに、夕食が用意されているとうれしいものだ。私が作っていた頃は、「手がかからなくて調理時間の短いもの」ばかりのメニューだったが、夫が担当になってからはおかずの種類も増え、鮮度にこだわった食材を調達するようになった。
 だが、ありがたいと思う反面、私より上手になってしまうのは面白くない。手抜き主婦の、ちっぽけなプライドなのだろう。ときには、意地悪のひとつでもしてやりたくなる。
 あるとき、茹でたオクラにかかっていた醤油が少なかった。以前、夫に受けた仕打ちを思い出し、同じことをしたいという衝動にかられた。
「このオクラ、味が薄いよ。醤油取って」
「あ、そう? ゴメン」
 醤油を受け取り、夫の目の前で味付けを直す。心なしか夫が、しょんぼりしているように見えた。
 オクラが醤油の色に染まると、美味しさがアップし食欲を刺激する。小口切りにされたいくつかを、箸でつまんで口に入れた。しかし、予想していた味ではなかった。

 しょっぱい……。

 どうやら、醤油を入れすぎたようだ。
 私は夫に気取られぬよう、何食わぬ顔をして、醤油に溺れたオクラを平らげた。



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職業病

2009年09月06日 20時52分55秒 | エッセイ
 私には、教員ならではの奇妙な習性がある。
 たとえば、ブログのアクセス数をチェックするときだ。もし、「訪問者数 120IP」だったら、1クラス30名という単位で換算する。「今日は、4クラス分」というように、クラス単位で具体的人数をイメージする癖がある。
 決して、数字の上でのアクセス数は多くない。しかし、4クラス全員が見に来てくれたと思えば、とてつもなくありがたい。感謝感激雨あられで、一人ひとりと握手したい気分になる。
 いわば、一種の職業病なのだろう。
 話が長いというのも特徴だ。一般に、教員は話好きの者が多い。以前、「15分間で勤務校の生活指導について説明してください」という場を与えられ、保護者を相手に話したことがあった。自分としては、「少しオーバーしたかもしれない」程度の認識だったが、実際には25分かかったそうだ。
 友人の結婚式でスピーチを頼まれたときも、やや長めになってしまったし、エッセイ教室でも、ついいらぬことまでしゃべってしまう。

 相手の間違いを指摘せずにはいられないという性質もある。これは、生徒のテストや課題などを採点するとき、誤字脱字をチェックし訂正させるからだろう。
 先日、amebaブログの日記「うつろひ」に、自称「社長」の男性がやってきた。プロフィール欄をのぞいてみると、「何フェチ?」という項目に「臭い」と回答していたのでギョッとした。
「臭い」というのは、くさく感じる悪いにおいのことである。まさか「悪臭フェチ」の人がいるとは思えない。ドブのにおいが好きですとか、腐った魚のにおいに惹かれますなどという話は聞いたこともない。
 これに対して「匂い」は、いいにおいを表すので、単純な誤りだろう。だが、どうにも気になってしまい、やり過ごすことができなかった。
 余計なお世話と思いつつ、私はその社長にメッセージを送った。
「失礼ですが、『臭い』フェチではなく、『匂い』フェチのお間違いではありませんか?」
 受け取った側は、さぞやビックリしただろう。日頃、交流のない人から、いきなり「字が間違っている」と言われたのだ。特に男性は、女性からミスを指摘されると、素直に受け入れられない傾向が見られる。気を悪くするかもしれないが、それはそれで仕方ない。
 意に反して、10分後、社長から返信がきた。
「メッセージありがとうございました。早速訂正しました。また遊びに来てください」
 許容範囲の広さに、本物の社長なのだろうと察した。

 やたらと誤字の多い友人もいる。日記を読み、最初のうちは「○行目の××という字が間違っているから直しなよ」と連絡していた。だが、毎回毎回どこかしらミスがあるので、いちいち指摘するのが面倒になり、今ではスルーを決め込んでいる。

 どうも、中途半端な職業病だな……。



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ペルセウス座が泣くよ

2009年09月03日 21時03分25秒 | エッセイ
 秋の気配が日に日に色濃くなってきた。
 この夏の心残りといえば、皆既日食が見られなかったことと、もうひとつある。

「今日の午前2時から5時までが、ペルセウス座流星群のピークですよ」
 日付が8月13日に変わった頃、マイミクさんからこんなメッセージをもらった。あいにく、私は携帯の電源を切って寝たあとだったので、これを読んだのは翌朝になってからだ。

 残念、手遅れだったのか……。

 しかし、ネットで検索してみると、ペルセウス座流星群はピークの前後10日くらいであれば見られるようだ。ピーク時には1時間に30~60個もの流星が現れ、天体初心者でも気軽に観測することができるという。
 俄然見たくなり、明日こそはと意気込んで夜更かしした。私が寝る時間は、大体午前0時から1時の間だから、2時まで起きているのは正直言って辛い。でも、ちょうど仕事も休みだし、この機会を逃したらいつ見られるかわからないと思って頑張った。

 1時間に30~60個ということは、1~2分の間に1個の割合で現れるってことかしら??

 単純で姑息な計算をし、少なくとも5分間空を見上げれば、ひとつふたつは見られるだろうと予測した。
 2時になり、ドキドキしながら庭に出た。雲の多い日が続いていたにもかかわらず、その日は月や星がハッキリと見え、流れ星の観測に最適と思われた。
 だが、広い空のどこを探しても、流星群は見当たらない。煌々と輝いている星は、どれもこれも貼り付けられているように動かない。
 1分経ち2分経つと、本来、短気な私は辛抱できなくなってきた。
 頭が勝手に、部屋に戻る口実を探し出す。

 そうだ、玄関が開けっ放し!

 夫がトイレに起きたとき、玄関の鍵が開いていることに気づいたら、内側から施錠されてしまう。私は鍵を持たずに出てきたので、閉め出されるかもしれない。
「大変、さあ帰ろう」と、私はドアに向かった。

 次の日、冷静になると、自分の行為が愚かに思えた。あと何分か待てば、流星群を見られたかもしれないのに、短気を起こしてチャンスを逃したことが悔しかった。

 よし、今夜は早く寝て4時に起きて見よう。

 私は朝型なので、夜更かしするより早起きしたほうがいい。今度こそペルセウス座流星群を見るのだと、気合いを入れて床に就いた。
 翌朝午前4時。予定通り起床し、誰もいないのをいいことにパジャマで外に出た。北東の方角に出現すると聞いたので、ひたすらそちらを見る。昨日より雲が多いが、ところどころに切れ間があり、星も月も見えるから大丈夫だろう。
 ピークの13日から2日が過ぎていることを考えると、5分待つだけでは不十分かもしれない。今回は、鍵も持ってきたことだし、10分くらいは頑張ってみようと思っていた。
 しかし、ジッとしていると蚊が寄ってくる。私は刺されやすい体質なので、じわじわと不安が高まる。

 もしや、蚊が流星群のように、私の周りを飛んでいるのでは?

 余計なことを思いついた途端に鳥肌が立ち、その場にいられなくなった。
 踵を返して、カーディガンのポケットから玄関の鍵を取り出す。
 また、帰る口実を見つけてしまった……。



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