これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2024 バレンタインデー

2024年02月18日 08時54分57秒 | エッセイ
 かつてはバレンタインに備え、1月中にはデパートの特設コーナーに足を運び、楽しみながらユニークなチョコレートを選んだものだった。
 しかし、コロナ禍で一変し、チョコごときで買い物に出かけるなどもってのほか、と思うようになった。コロナが明けてからも売り場を歩くのが面倒で、サボリが日常化している。
「生協で頼めばいいもんね~」
 個別配達してくれるパルシステムが私の強い味方だ。カタログからチョコを選び、注文用紙に数量を書くだけで、バレンタインデーの一週間前に届く仕組みになっている。六花亭やロイズの商品もあるので、職場での義理チョコにも重宝する。
 今年、家には3000円台の大物チョコ1個とロイズのポテトチップチョコレート、六花亭のストロベリーチョコ、モロゾフのトリュフなどを注文した。
 ただし、困ったこともある。生協の荷物を受け取るのは、夫本人なのだ。まあ、専業主夫なので仕方ない。毎週火曜日に、玉子や牛乳、ヨーグルトなどが届くのだが、チョコレートも一緒に発泡スチロールの中に入っている。どんなに鈍い男性でも、Valentine's Dayの文字の入った包装紙に包まれた箱を見れば、「これは俺用なのでは」と気づくに違いない。
 そのチョコを、夫は何食わぬ顔で廊下に積み上げ、2月14日が来るまでジッと待っているのである。よく考えると変な話だ。
「いっそのこと、バレンタインを待たず、届いた日に渡してしまった方がいいのでは……」
 そんな思いもあったが、忙しい毎日ですっかり忘れていた。隠すでもなく、平然と廊下の置かれたチョコは、やがて見慣れた景色と化していた。デリカシーや気配りはどこに行ったのかと、自分でも疑問を感じつつ、ようやくバレンタインデーの夜を迎えた。
「パパ、チョコレートどうぞ」
「ありがとう」
 何と白けたやり取りだろう。サプライズなんてものは1ミリもない。
 とりあえず、廊下の荷物が少し減ったという安堵感はあった。
 一番の大物は、京都にあるフランス屋製菓のこちら。



 開けてビックリ。色的に、バレンタインデーというよりクリスマスみたいだ。赤はミルク、茶はビター、緑は抹茶で白はホワイトだった。どれも甘さ控えめで食べやすい。
 トリュフは私の好きなチョコの一つで、中のとろける甘みが病みつきになる。



 今年は姉からデメルの猫ラベルもいただき、食べきれないほどの量になった。



 そして3日後の昨日、私もおやつに食べようとして、コソコソ箱を開けたら、チョコが全然減っていないではないか。クリスマスカラーは相変わらず底が見えないし、トリュフは全部揃っている。ポテトチップにいたっては箱すら未開封だった。心配になって夫に確認をする。
「あれえ、食べないの?」
「えっ、食べてるよ。フランス屋のを毎日4個ずつ」
 そうか、数が多すぎて、食べても食べても変化が見られないだけだったのか。一瞬、「来年は買わなくていいや」と心の中で舌を出したのだが、そういうわけにもいかなさそうだ。
 自分が食べたくて買った、ポテトチップチョコに手を伸ばす。
「これ、開けるよ」
「うん」
 トリュフにも遠慮なく手を出した。我が家はまあまあ生存競争が激しい。うかうかしていると全部食べられちゃうのだから。
 さて、来年はどうしよう。
 せめて、スーパーで買い、クローゼットに押し込めるぐらいはしようかな。

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コメント (6)
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