これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

御朱印ください

2023年10月01日 22時07分08秒 | エッセイ
 涼しくなってきたので、武蔵野三十三観音巡りを再開することにした。
「そうだ、文化祭振替休業日の火曜日なんかいいかもね。空いていて」
 出かけるのはもっぱら土日ばかり。多くの人が働いている平日に外出することが、とびきりの贅沢という気がした。
 しかし、翌日は仕事である。遠出せず、西所沢駅から歩いて巡ることのできる4つのお寺だけにしよう。
 その一つに新光寺というお寺がある。ここの印象は強烈で忘れられない。
「おおっ、キレイな観音様だなぁ~」



 第一印象はよかった。入ってすぐの場所で、すかさずスマホを出して撮影する。写真の出来映えを確認するため画面を見たら、藪蚊が「ブウ~ン」と飛んできて、液晶にとまった。やたらと大きくて、触覚も足も真っ黒なのに、白い斑が点々としている。見た瞬間に鳥肌が立った。
「ヒッ」
 心臓がジャンプしていても、手は反射的に蚊を叩きつぶす。境内で、観音様の前なのに殺生してしまったことを反省し、仏罰が下りそうだと天を仰ぐ。
 心臓の鼓動が落ち着いたところでお線香を上げ、観音堂にお参りする。あとは御朱印をいただくだけだ。観音堂の隣にそれらしい建物があったので、インターホンを押してみたが何の反応もない。
「あれっ、誰もいないのかな」
 人の気配も感じられず、引き戸に手を掛けたら、スルスルと抵抗なく開いた。中にはお経を収める箱や小銭の入った受け皿などが重ねられており、閉店処理をしたままの状態となっている。どうやら、人はいないらしい。
 そして、人の代わりに、ここにも藪蚊が何匹も潜んでいた。まさか留守番をしているわけではないだろうが、私の脳裏には「三十六計逃げるに如かず」という言葉しか浮かんで来ず、脱兎のごとく逃げ出した。おかげで、虫刺されの被害はない。これも条件反射であろう。
 あとから知ったことだが、ネットで調べてみたら、このお寺は日曜日であれば有人となるようだ。それ以外の日は、セルフサービスで記入済みの御朱印を入手することができるようなことが書かれていた。残念ながら、私の目には蚊ばかりがクローズアップされ、御朱印を見つけることができなかったが。
「キイ~、悔しいな」
 先日、新聞にも、9月の長雨でボウフラが繁殖し、涼しくなったこの時期に蚊に刺されやすいとの記事が載っていた。御朱印欲しさに長居していたら、何カ所も刺されて難儀したに違いない。人間、諦めが肝心だ。
「新光寺には、12月の日曜日に行けばいいや」
 巡礼は、仏の心で回りましょう。

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コメント (4)
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