これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

知ってるようで知らない「エルヴィス」

2022年07月17日 23時43分02秒 | エッセイ
 20代の娘は、しばしば親の金を利用して出かけようとする。
「ねえ、お母さん。映画を見に行かない? エルヴィスってヤツ、面白いみたいだよ」
「エルヴィス? ああ、プレスリーの。別にいいけど」
「エルヴィスのこと知ってるの? どんな人?」
「どんなって……」
 そこで口ごもった。はて、私はプレスリーの何を知っているのだろう。せいぜい、顔と曲ぐらいではないのか。聞かれたところで何も説明できないと気づいた。
「もちろんチケット代は出してくれるんでしょ。土曜の11:20からでいいかな」
「いいよ」
「じゃあ予約しとくね。d払いでよろしく」
 映画を見るのは久しぶりだ。007のノー・タイム・トゥ・ダイ以来かもしれない。



 私は音楽に疎い。ピアノは好きだけれども、クラシックだと眠くなるし、大きな音の出る曲は苦手だ。でも、フレディ・マーキュリーの「ボヘミアン・ラプソディー」は大丈夫だった。「エルヴィス」もきっとイケるだろう。
「ごめーん、チケットの日にちを1日間違えちゃった! もう一回買わないと」
「へ? キャンセルとかできないの?」
「できるわけないじゃん。じゃ、悪いけど、またd払いでよろしくね」
「……」
 かくして、やたらと高い料金を払う破目になった。これは楽しまないと!
 昭和15年前後に生まれた私の両親は、エルヴィスよりちょっと年下だったので、世代だったのだろう。彼の歌に夢中だったらしい。母は料理をしながら「好きにならずにいられない」をハミングしていたし、父もレコードを持っていた。
 父はさらに、吉幾三のこんなレコードまで買ってきて、上機嫌で笑っていたっけ。



「絶対プレスリーだってよ、あっはっは」
 まあ、これはたしかに面白かったけど。
 さて、肝心の映画の方だが、ちゃんと「プレスリーってどんな人?」の説明ができる仕組みになっていた。「世界史上最も売れたソロアーティストの第1位」であり、「白人のカントリー音楽と、黒人のリズム・アンド・ブルースのスタイルを融合させた人」なのだそうだ。
 そりゃ、偉大だわ。
 映画になるだけのことはあると感心し、晩年の不健康な生活がなければ、もっと活躍されたのではと残念に思った。娘も満足したようだ。
「歌は全部聴いたことなかったけど、いい映画だったね」
 ノリノリの曲もいいけれど、私が一番好きなのは「ラブ・ミー・テンダー」。
 結局、静かな曲に惹かれるのであった。


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