これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2022 苦しい父の日

2022年06月19日 22時47分24秒 | エッセイ
 今日は父の日。
 忘れていたわけではないが、夫に与える食事ばかりを考えて、実の父まで気が回らなかった。結局のところ、自分が食べるかどうかで優先順位が決まるのだ。
「しまった、何も買っていないなぁ」
 しかし、焦ることはない。父の誕生日は6月下旬なので、その頃にしれっと「父の日と一緒にしたよ」などと言って、コーヒーやお菓子を送ればすむ。ひどい娘だ。
 わが家の父の日メニューは寿司と牛ヒレステーキにした。夫の誕生日も6月だから、誕生祝いも兼ねてケーキも用意する。お昼は簡単に冷やし中華にするか。
「あれ、パパはいないんだっけ」
 引きこもりの夫も、ごくまれに出かけることがあり、今日がその日だった。わかっていたはずなのに、3人前の冷やし中華を買ってしまい、失敗したことに気づく。
「まあいいか。2人で3人前食べちゃおう」
 ごまだれをかけて、錦糸卵とハムに茹でた小松菜を載せた冷やし中華をいただく。娘はキュウリが嫌いなので、小松菜がワカメやほうれん草になったりするが、結構何にでも合うからよい。
 おやつにプリンを食べて、18時に寿司が届く。遅ればせながら、この頃、ようやく胃腸の異変に気づいた。
「ねえ、ミキ、お腹空いた?」
「ううん。全然」
「なんだろね」
「寿司とステーキが待っているのに」
 私も娘も、空腹感がゼロなのだが、時間になったので夕飯にした。



「ねえ、お母さん。お寿司もステーキも美味しいけど、お腹が苦しい」
「わかるわかる。このあとケーキもあるんだよ」
「ひいい」
「食べ切れるかな」
 苦痛の表情を浮かべながら、なぜ、今日は食が進まないのか考えてみた。
「……あれか」
「冷やし中華」
 やはり2人で3人前は多かった。慣れないことはするものじゃない。
 何とか料理を食べ切り、30分休憩したあと、ケーキにとりかかった。こんがりと焼けたベイクドチーズケーキが、白い皿の上で待っている。
「ううっ、これで最後だ!」
「ヨーグルトとハーブティーはもう無理」
 日課のヨーグルトをあきらめ、何とかケーキを完食した。もう、これ以上、何も食べられない。
「はあはあ」
「ふうふう」
 冷やし中華を食べなかった夫だけが、腹八分目で涼しい顔をしていた。
 反省しきりの父の日であった。


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コメント (8)
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