これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

コロナ禍での結婚記念日

2021年04月04日 21時22分49秒 | エッセイ
 わが家の結婚記念日は3月末である。
「去年はコロナ騒ぎで何もできなかったから、今年は美味しいものを頼もうっと」
 喘息持ちで高齢の夫は、感染リスクの高い場所に出かけない。となると、デリバリーを探すのが手っ取り早い。お気に入り登録している、都内のホテルのホームページを何気なく見ていたら、目当てのものがあった。
「ええっ、京王プラザホテルでデリバリーやってるの?」
 和食膳と書かれたメニューが目に入る。食材が豪華で、記念日にはもってこいの内容だった。
 早速電話をすると、予約可能との返事をいただき、うれしくなった。ちなみに、椿山荘でもデリバリーをしているが、わが家は配達対象外だ。条件に合うホテルがいくつもあるわけでなく、期待通りの準備ができたことに感謝した。
 ごちそうをいただくのは昼に限る。夜はお腹が重くなっていけない。
 その日は、約束の正午ぴったりに、黒いスーツを着用したホテルマンが、わが家の玄関にやってきた。
「ご注文ありがとうございます」
「はい、お待ちしておりました」
 紫の風呂敷が特別感を醸し出す。



 これを開くと、二段重ねの重箱が登場する。



 縦に並べて、自分では決して作れない、美しい料理にしばし見とれた。



 まず、目が釘付けになったのは、ロブスターの黄身揚げだ。



 隣は四万十うなぎ御飯と銀鱈みそ柚庵焼きだが、酢蓮根もいい味を出していた。



 蝦夷あわび磯煮も貫禄のある姿で鎮座する。


 
 見た目は地味だが、味は逸品の黒毛和牛焼きしゃぶで締めくくる。



 おっと、忘れちゃいけない。
 お吸い物もついているのが心憎い演出だ。



「いただきまーす!」
 もちろん、見た目以上に味も素晴らしい。基本的には薄味で、食材の本来の味が楽しめる。アルコールは控え目にして、料理を味わうことに集中した。
 日記を見ると、一年前の結婚記念日は「東京都の感染者 68人」と書いてあった。朝から雪が降っていたらしく、「3月下旬の積雪は32年ぶり、桜が満開になってからの積雪は51年ぶり」のコメントも残っていた。どうやら、妙な一日だったようだ。
このときは「感染者が68人もいた」と思っていたけれど、一年後のこの日は「234人」となり、更新中の今日はさらに増えている。コロナとの戦いは終わりが見えない。
 ロブスターにすだちをかけながら、「今年が29回目だから、来年は30回目の記念日だわ」と計算した。
 30回目は真珠婚式。
 願わくば、旅先で温泉と料理を楽しめる日であってほしい。


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コメント (8)
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