これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

この口? どの口?

2021年02月28日 22時34分19秒 | エッセイ
 先週の日曜日、2月21日は都立高の入試であった。
 今回は今までと違ってコロナの対応がある。万一、校内に陽性者が立ち入ったら、入試会場として使えない可能性があるため、何日も前から校長がピリピリしていた。
「前日の20日は土曜日ですから、生徒だけでなく、先生方も誰一人として校内に入らないでください。必ず守ってください」
 そう言われると、逆に入りたくなる人間もいるだろうが、出入口には防犯カメラがある。追跡される危険を冒してまで、冒険する輩はいなさそうだ。
 20日が立入禁止となると、19日が入試前最後の準備となる。この日に、携帯や水筒などを職場に忘れたら大変だ。取りに戻れないのだからと、私も気を引き締めた。
 18時頃、校長は退勤する前に声を掛けてきた。
「明日に備えて、戸締りをしっかりしてください」
「はい」
 体育館は体育科に任せるが、校舎の戸締りは基本的に私の仕事だ。4階に上がり、窓、教室等を見回り3階、2階に下がっていく。確実に施錠をしながら1階に着くと、生徒昇降口の扉を確認した。マンション等に入る空き巣は2階が多いと聞くが、やはり1階の戸締りは重要だ。窓に鍵がかかっていなければ、簡単に入ってこられる。
 1階で唯一確認しない場所は、職員用の男子トイレだ。



 ここは主に、事務方の30代男性と校長が使っている。万一、30代男性が小用を足しているときに、「失礼しま~す」なんて言って、ずかずかと入り込んだら、セクハラを受けたと訴えられるかもしれない。たぶん、校長は誰が入ってきても気にしないだろうが、私が見たくない。
 そんなこんなで、今までスルーしてきた場所だけれども、この日は入試前々日という特別な日である。それで大丈夫だろうか。いやいや、職員用なのだから、施錠していないはずがない。でも、一応確認しなくてはと、私の心は揺れた。
 入口から、トイレの様子をチェックした。電気は消えているようだ。事務の男性がいなければ、入っても大丈夫だろう。ドアをそ~っと開け、ついたての奥にある個室に向かった。抜き足、差し足、忍び足っていうのは、まさにこういう歩き方に違いない。左の2つの窓は閉まっていた。だが、一番右の窓は……。
「開いているじゃないか」
 なんと、開放された窓があった。唖然として、しばし動きが止まる。どうして校長は帰る前に閉めないのか。
「あれだけ、職員に立ち入るなと言っておいて、窓が開けっ放し? おかしくない?」
 どの口が言ってるんだと腹が立ってきた。まったく、どうしようもない。
 プンスカしながら足早に男子トイレを出る。事務の部屋も消えていた。モヤモヤは残るが、これで戸締りは完璧。いつまでもイラついてないで、私も家に帰ろうっと。
 努力のかいあって? 入試は無事に終わり、合格発表を待つだけとなった。
 男性職員のみなさん、窓を閉めてから退勤していますか。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (6)
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