これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

東京震度3 そのとき私は

2021年02月14日 20時54分50秒 | エッセイ
 せっかくの土曜日なのに、仕事があり、家に着いたら18時を回っていた。
「でもまあ、いつもより早いし。ご飯を食べたら生協の注文をしようかな」
 それなりに充実した時間を過ごし、23時に風呂場へ行く。そういえば、まだ先週の日経ビジネスを読み終えてなかった。半身浴しながら終わらせなくては。
「あら、東日本大震災で被災した住友金属工業の鹿島工場だって。ひどいもんだわね」



 無残にひしゃげた施設の写真を見ていた、ちょうどそのときだった。湯船が大きく揺れた。
「えっ、地震? ウソでしょ?」
 3.11に想いを馳せた瞬間にとは、あまりにもタイムリーすぎる。しかも大きくて長い。
「まさか、もっと激しくなるのでは……」
 ひとまず、風呂場の戸を開け、避難路を確保した。夫はもう1階で寝ている。自分で何とかしなくては。
 幸い、揺れは徐々に収まり、風呂場で被災という心配はなくなった。危ない、危ない。
 風呂から出てキッチンで水を飲んだ。半身浴のあとは、水分補給をしなくては。
「おや、ミキからLINEが来ている。何だろう」
 娘からのLINEは、23:30から始まるNHKの「ここは今から倫理です」という番組を見ようと待っていたのに、地震速報に取って代わられ、なくなってしまったという嘆きであった。
「眠いの我慢して待ってたのに、なんてこと」
「まあ、被害がなくてよかったじゃない」
 こればかりは仕方ない。被害のあった方は、もっと大変な思いをしている。
 スマホを触っている間も、余震が続いている気がした。居間の引き戸がガタガタと小刻みに音を立てている。しかし、廊下からは洗濯機の脱水音が聞こえた。脱水の振動で揺れただけかもしれない。
「はー、何でこんなときに洗濯しちゃったんだろ……。まぎらわしい」
 ニュースをつけると、練馬は震度3だったらしい。姉の住む文京も3。妹のいるさいたま市は震度4で、ちょっと大きい。LINEをしたら、トイレの水が一時止まったけれど、今は元通りとのことで安心した。
 両親の住む那須塩原は震度5。母は夜更かしだから、もうすぐ日付が変わるこの時間でも、まだ起きているだろう。連絡をとってみよう。
「大丈夫よ。2階の棚からちょっとは荷物が落ちたけど、停電もしてないし、何ともない」
「ならよかった」
 親族の安否を確認し、ホッとして布団に入る。このあと、惨事のないことを祈って。
 ああ、よく眠れなかった……。
 

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コメント (10)
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