これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

くじ運はいかに

2020年11月08日 20時58分16秒 | エッセイ
 わが勤務校では、来年11月に大きなイベントが控えている。何度も準備委員会を開いて話し合ってきた。
「会場はどこがいいですかね」
「やっぱり、Nセンターですよ。乗り換えなしで行かれるし、駅前ですもの」
「生徒と職員だけでも1000人超えるけど、キャパは大丈夫?」
「えーと、大ホールなら1400人ぐらい収容できるみたいです。来賓を入れても余裕ですね」
「じゃあ、そこにしましょうか」
「どうやって予約するんですか」
「一年前に申し込みをするんですって。調べましょう」
 そんな経緯があって、学校としてNセンターを予約することになった。システムとしては、毎月1日に、一年後の予約を調整する「抽選会」なるものを行うので、それに参加し、使用する権利を勝ち取るしかない。
 でも、私のくじ運、よかったっけ?
 今年は11月1日が日曜だったため、翌日2日の月曜日に抽選会が行われた。万一、外れたときの責任を考えてか、委員は誰も行きたがらず、くじ運に自信のない私が行くしかなかった。「終わったらランチが待っているぞ」と自分を励まし、会場に駆けつける。



 抽選会に参加するには、10時30分から11時までの間に受付をすませ、いつ、どの時間帯で、どの施設を希望するかを申し出たあと、11時からの開始を待たなければならない。抽選会場となる小ホールに行くと、スタッフのお姉さんが声をかけてくれた。
「ただ今の予約状況をご確認ください」
 そうそう、9時から「区民抽選会」なるものがあったのだっけ。勤務校が区外にあるので、優先権のある区民抽選会には入れてもらえない。N区民が、好き勝手に予約を取った残りの枠で、一番よさそうな日程を探さなくては。
 予想通り、目当ての日はすでに区民に取られていた。赤のホワイトボードマーカーで、予約番号が書き込まれている。だが、その2個隣はポコッと空欄になっていて、3個隣からはまた、赤の番号がドヤ顔で並んでいた。
「お、ここ、狙い目じゃない?」
 すかさず、第一希望に唯一の空欄を書き込んだ。第二希望以下は、空いている日を機械的に書いていき、スタッフに提出する。あとは、受付順にくじを引き、番号の若い順から希望日を選んでいくらしい。
「お待たせいたしました。定刻となりましたので、抽選会を始めます」
 スタッフから進め方の説明があった。今回は6団体が参加しており、1番から6番のくじがあること、使用料支払いの前にキャンセルをすると、向こう13カ月間は抽選に参加できないこと、完全防音でないため大音量の企画は調整が必要なことなどなど、参加者は静かに聞いていた。
「では、くじを引いていただきます。受付番号1番の方から順にお並びください」
 つまり、早く受付をしても、くじの番号が悪ければ後回しというわけだ。列に並ぶあたりから心臓がドキドキし始め、「無事に取れますように」と念じずにはいられない。最初にくじを引いた男性は「5番」と読み上げられていた。
 私の順番は4人目である。3人目の人までくじを引いたが、まだ「1番」は出ていない。確率からいえばそろそろ。心の中で「神様、仏様、おねがーい!」と念じて箱に手を入れると、3つの札が残っていた。指先からプラスチックの感触が伝わってくる。こういうときは、最初に触れたものがよさそうだ。「これかな」と決めてむんずとつかみ、勢いよく取り出した。スタッフがくじを読み上げる。
「6番!」
 あらあ~。
 ってことは、1番どころか、ビリになってしまったのね、トホホ。
 ちなみに、1番を引いたのは私のすぐあと、5人目の人だった。つくづく、早ければよいというものではないと実感する。
 あとは、くじの順に予約ボードを埋めていく。ラッキーなことに、大ホールの希望はほとんどなかった。私が第一希望に決めた日は、5番までの人全員がスルーし、最後まで残っていた。
「6番の方、どうぞ」
 やっと順番が来た。もう心配することはない。スタッフもにこにこして受付票を眺めていた。
「第一希望、ありますね」
「はい」
 やっと、重たい仕事が終わる。さっさとランチして帰ろうっと。



 あー、美味しかった。
 それにしても、このくじ運、どうにかならないものかしら……。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (8)
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