これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

カレーマフィンセラピー

2020年10月11日 20時24分41秒 | エッセイ
 新聞の料理記事をよく見ている。
「あ、これ、いいじゃん。今度作ってみよう」
 気に入った記事は切り抜き、休みの日にトライするのが楽しい。今回は「カレーマフィン」にした。
「えーと、バターを室温に戻し、よく練って砂糖を加えるってか」
 泡立て器が頭に浮かんだ。カチャカチャと動かし、クリーム状になったら、砂糖とカレー粉を入れてさらに混ぜる。
「これに溶き卵を少しずつ加えるのね」
 ところが、これが難儀であった。バターと卵が混ざらず、分離してしまう。お互い素知らぬ顔をして、無言ですれ違う都会人のようだ。水と油なんだから仕方ないよと思いつつ、「何かが間違っている」と感じた。
「ひょっとして、手でこねるのかもしれない……」
 そういえば、レシピのどこにも「泡立て器」なんて書いてないじゃないか。思い込みは怖い。
 泡立て器のかわりに手を使ったら、バターと卵は仲良しになった。
「前から話しかけようとは思っていたんですけど、なかなかね」
「いやあ、こちらこそ、勇気が出なくて失礼しました」
 と言い合っているかのように、一つにまとまってくる。よしよし。
 これに、ふるいにかけた薄力粉とベーキングパウダー、パセリを加え、生地が完成する。
 あとは、生地をマフィン型に分けて入れ、190度のオーブンで15分焼くだけ。
「ところで、型にはどのくらいの量を入れればいいんだろう?」
 膨らむことを考えると、7分目あたりでよいのかもしれないが、これは勘でやるしかない。うちは3人家族なので、6個のカップに分けてみた。



「何か少ないかも……」
 焼く前はそう思ったのだが、餅のようにプクゥ~ッと膨らんでくるのは計算外だった。
「うわあ、はみ出しちゃう」
 心配しつつ、15分後に焼き上がったのがこれである。



「いい匂い。さあさ、お皿に移して、コーヒーをいれようっと」



 焼きたてはフワフワで、いくつでも食べられそうだ。



 砂糖はほんの少しだから甘くない。湯気とともにカレーの香りが漂い、バターの塩気と多少の辛味だけで食が進む。あっという間に食べ終えた。残念ながら、コーヒーには合わない。次回は冷たいカフェオレにしてみよう。
「満足、満足。次は倍量にして、肉料理も用意して、ランチのパン代わりでもいいな」
 バターと卵が仲良くなったあとに、薄力粉などを混ぜたとき、生地の手触りが実に心地よかった。ふるった粉は絹目のようになめらかで、卵の水気を吸って、手にしっとりまとわりついてくる。二次発酵させたパン生地には負けるが、いつまでも触れていたくなるような気持ちになる。ネコが体を舐めるときも、こんな感触なのかもしれない。
 いい気分で作り、美味しく食べる。
 これぞ、カレーマフィンセラピー?


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コメント (4)
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