これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2020 父の日

2020年06月21日 22時40分17秒 | エッセイ
 今年も父の日がやってきた。
「うーん、何にしようかなぁ。父の日って難しいよ」
 毎年、父の日の贈り物には頭を使う。一時は、父の好きな冷凍たい焼きなどを用意したが、甘いものばかりでもよくない。どちらかというと、実用性を重視したものが喜ばれるのではないか。
「よし、素麺。これで間違いない」
 父は素麺が好きだ。母も「支度が楽でいいや」と歓迎している。もっとも、どの素麺でもいいわけではなく、「揖保乃糸」でないと喜ばれない。平日はスーパーに行く時間がないから、頼りになるのはヨドバシドットコム。
「いくつにしようかな」
 数量を入力する画面で手が止まった。高齢者に「4」という数はタブーである。母がよく「縁起の悪い数はダメだよ。3個か5個にしないと」と言っていたことを思い出し、5個注文した。ついでに、クッキーとカセットコーヒーも入れて、メッセージカードもつけた。7月にはお中元のウナギが届くはず。
「素麺が着きました。いつもありがとう」
 母からメールがあると、一年に一度のイベントが終わったことを実感し、肩の荷が下りる。
 これから毎年、素麺を贈ればええんでないかい? と安易な発想が浮かんできた。
 そして、わが家にも「父の日」に該当する男がいる。夫だ。先週、誕生日を迎えたこともあり、父の日と誕生祝いをまとめてすることになっている。
「お肉が食べたい」
 夫のリクエストに応えて、人形町今半でケータリングを頼んだ。
 天ぷらや刺身だけでなく



 ローストビーフ



 すき焼きがありがたい。



 しかし、朝食抜きで一年間過ごしたせいか、胃が小さくなったようだ。焼き魚や鴨は食べ切れなかった。



 もしくは、加齢のために食欲が落ちたのかもしれないが。
「おいしい、おいしい」
 私よりも年上のはずの夫は食欲が落ちない。完食しただけでなく、私が残した料理まで平らげていた。
 ケーキも用意しておいた。わざわざ暑いときに駅まで歩き、ゲットしてきたのだが、私のお腹がきゅうくつなので夕方まで待った。そろそろイケると思い、夫に声を掛ける。
「ケーキ食べようか」
「いらない」
「……」
 たぶん、このやりとりを聞いたら、普通の人はビックリするだろう。しかし、私の夫はそういう性質なのだ。おそらく、私の見ていないところで勝手におやつを食べ、お腹が膨れているのだろう。自分が食べたくなかったら、それが自分のために用意されていようがいまいが、きっぱり「いらない」と言い切るところがある。長年一緒に暮らしているから、さすがに慣れたけれど。
「じゃあ、私だけ。残りは明日にでも食べちゃってね」
「うん」
 デコレーションケーキだったら、こうはいかない。
 来年はいやがらせも含めて、わがままが言えないように予約しておこうかな。
 父の日も誕生日も、お祝いされる人が元気でいてこそのイベントだ。
 健康でいられることへのありがたみも感じる一日となった。


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コメント (6)
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