これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

放蕩息子の帰還

2020年04月12日 21時26分54秒 | エッセイ
 わが家は二世帯住宅だが、一階に住んでいた義母が9カ月前から施設に入り、無人になっている。
「家は使わないとダメになるからな。ときどき行ってみよう」
 夫は、埃のたまった義父の仏壇を掃除したり、義母の食器棚を整理したりと頑張っている。
「でも、台所が使えない。換気扇のフィルターがなくなっちゃって」
「フィルター?」
 夫に頼まれ台所を見てみると、おやおや。



「……ないね」
「どこ行っちゃったんだろう」
 義母に、認知症らしき行動が見られるようになったのは5年前。それまでは、普通に台所を使って、自分のために料理を作っていた。そのときから、換気扇のフィルターは、ダスキンのレンタルに頼っていたようだ。入所とともにダスキンを解約したときに、回収されてこの有様だという。
「なんか、ネットで買えそうな気がする。検索してみるわ」
「よろしく」
 私が買おうとしているものは、「グリスフィルター」というパーツらしい。うちの換気扇と同じだから、サイズや形状はわかっている。二層になっているもの、縦長のものなど何種類もあったが、「これじゃないんだよな」と文句を言いながらスクロールした。
 そもそも25年前の製品だから、同じ型番のものはとっくの昔になくなっている。でも、酷似したフィルターが売られているとは思わなかった。
「あれっ、これ、そっくりだ」
 違うメーカーなのに、仕様がジャストフィットの、この不思議。早速購入した。
「へっへっへ、着いた着いた」
 これですよ、これ。



 空洞にはめ込むと、予想通り、すとんと入る。



 行方不明になっていた息子が突然帰ってきて、両親や兄弟から温かく迎えられる図をイメージした。
 でも、私はフィルターを外した。換気扇があまりにも汚かったからだ。せっかく新品でピカピカのフィルターなのに、換気扇本体は油汚れに綿ぼこりがこびりついたまま干からびている。こんな場所に押し込めるのは、あまりにも申し訳ないのではないか。
 昨日、ようやく換気扇を洗った。



 これでバッチリ。本体にフィルターをセットして、いつでも使えるようにしておく。
 換気扇の掃除は、年末にしているが、今年から2つになるというわけか。
 トホホ……。


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コメント (10)
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