これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

新人は仕事できなくてもOK

2020年04月05日 20時58分48秒 | エッセイ
 コロナ対策に追われ、何が何だかわからないうちに新年度を迎えていた。
「今日からお世話になる○○です。よろしくお願いします」
 4月1日から12名の職員が入れ替わる。そのうち、3名は新規採用者だ。
「笹木です。よろしくお願いします」
 新人3名のうち、2名は他校での経験があるのだが、1名はフレッシュな新卒だった。だが、この新卒者は少々困ったチャンである。
「△△です、モゴモゴ……」
 こんな調子だから、直属の上司も困惑気味にブツブツ言っている。
「普通の子なんだけど、挨拶ができないのよね。話しかけてくれる先生がいても、下を向いちゃうし」
 おそらく、新卒者は、「こういう場面ではこの言葉」という方程式を知らないのだろう。
 思い返せば、一年前の私も新人みたいなものだった。これまでの経験が通用しない異色の学校で、誰一人として知り合いのいない中、初めてとなる仕事をしたのだから。
 最初から一人前の成果が出るはずもない。まずは、職場に溶け込むことを最優先にと決めた。
 出勤したら、自分から大きな声で「おはようございます」。
 職員に話しかけるときは、用件に入る前に「ただいま、よろしいでしょうか」。
 何かをしてもらったら、笑顔で「ありがとうございました」。
 帰る人、休暇を取る人には、「お疲れさまでした」。
 面倒くさいことをお願いするときは、「お忙しい中、恐れ入ります」。
 銀行などに出かける人がいたら、「お気をつけて」。
 自分のミスで職員に迷惑をかけたときは、「申し訳ありません」。
 あとは、健康管理に気をつけて、常に元気でいること、7時前には出勤することも心がけた。
 仕事ができなくても、挨拶と受け答えができれば何とかなる。ついでに、他の職員が来る前に、お湯を沸かしておけば完璧だ。ミスっても誰かが助けてくれるし、気づかないことを教えてもらって効率化を図れることもある。仕事よりもさきに、円滑な人間関係を作っておけば安心できる。
 先日は、会議資料が間に合わないというピンチに見舞われた。印刷機が不調で、思ったよりも時間がかかったのだ。あわてて仕分けをしていたら、2人の職員がさりげなく「手伝いましょうか」と申し出てきた。3人でやると作業が早い。無事、開始時刻に間に合って、涼しい顔で連絡事項を伝えることができた。
 こういうときには、感謝の気持ちを伝えるものがあると便利だ。うれしい出来事に備えて、お菓子をストックしておくのが私流である。
 今、机の中に入っているのは六花亭のこれ。



 資料配布を手伝ってくれた2人には、チョコマロンがいいかもしれない。
「さっきは助かりました。よかったらどうぞ」
「いやいや別に。ごちそうさまです」
 という展開にもなるのだけれど、新人はそこまで気をつかうこともない。むしろ、ご褒美のように年長者からお菓子をもらう人であってほしい。
 一日が終わり、クタクタになっている新卒者ちゃんにも、チョコマロンを持っていく。
「今日も疲れたねぇ。甘いもの食べて元気出して」
「は、はい。モゴモゴ……」
 今は大きな声で返事ができない子だけれど、伸びしろが大きいと見ることもできる。
 長い目で育てれば、一年後はハキハキとした職員に成長するかもしれない。
 さあ、頑張って~!


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コメント (8)
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