これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ぎっくり背中になったら

2020年03月08日 21時25分33秒 | エッセイ
 珍しく、妹の奈津からラインがあった。
「昨日から、ぎっくり背中みたいな感じで、動くのもツラいのよ」
 ぎっくり背中?
 妹の造語かと思ったら、「突然、背中に激しい痛みが走る病状」なんだそうな。へーえ、
「まさかと思ってお母さんにメールしたら、一昨日、叔父さんが亡くなったんだって」
 きたきた。
 奈津は、鈍感な我が家系の中で、唯一の霊感体質である。身内が亡くなると、霊になった彼らが奈津のもとにやってくるのか、急な腰痛に見舞われたり、ぎっくり背中になったりするのだ。
「なんと! また奈津のところに」
「うえーん」
 この叔父は父の弟だ。幼いときに、よく遊んでもらったというから、叔父にとっては可愛い姪なのだろう。
「すごいわね。まだ痛いの?」
「痛いね。昨夜、ロキソニンの湿布を貼ったから、今はだいぶよくなったけど」



 しかし、可愛い姪を痛い目に遭わせていいはずがない。「私に気づいて」とのメッセージであれば、もっとお手柔らかにお願いできないだろうか。
 奈津にラインを送る。
「別の通信手段を考えてほしいわね」
「うんうん」
「急に金運がよくなるとか」
「いいねえ、それ!」
 パケット通信料を払ってもらいたい、なんてね。
 他にも、お肌がツルツルになるとか、ポッコリお腹が凹むとか、伝える方法はあると思うのでぜひご検討を。
 って、誰に言えばいいんだ?
 母に連絡をすると、新型コロナがじわじわと拡大しているこのご時世だから、来なくていいとのことだった。葬儀は今日。叔父には安らかに眠って欲しい。
 また、奈津にラインをした。
「昨日は何かあった?」
「ダイニングテーブルに置いてあったA4の紙が、エアコンの風に吹かれたように、いきなり飛んだんだよね」
「ほお」
「すごく不自然で気持ち悪かった」
「何かいたのね」
「でも、背中はだいぶよくなったわ」
「ならよかった」
 思いが通じたのか、妹は快方に向かっているようだ。近いうちに治るだろう。
 私にできるのは、写経と読経ぐらいだ。叔父の冥福を祈り、手を合わせよう。
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多事……」


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コメント (6)
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