これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

袴の舞台裏

2019年03月24日 22時43分14秒 | エッセイ
 3月22日が娘の卒業式だった。
 小学生でも卒業式には袴で臨む時代である。式場に向かう大学生も、女子はほぼ全員が袴。中には男子なのに、振袖に袴を合わせた強者もいた。
 卒業式の開始は9時30分と書いてあった。思ったよりも早い。間に合わせるため、どの学生も早起きして必死に美容院に向かったに違いない。
 もっとも、うちの場合は、一週間前からドタバタ劇が始まっていた。
「あれ? お母さん、袴はどこなの?」
「ヤバッ、借りるの忘れてた」
 借りるといってもレンタルではない。袴は私が持っているので、和裁を習っていた妹から袴に合わせる色留袖を借りるのだ。9月に試着させてもらっただけなのに、手元にあるような錯覚を起こしていた。
 遅ればせながら、さいたま市に住む妹にラインをする。
「卒業式が近づいてきたから、17日に着物を借りに行っていいかしら」
 すぐに、オーケーの返事が返ってきた。夫の運転で1時間、予定通り色留袖と長襦袢を借り、あとは20日に美容院に持ち込むだけと安心していたが……。
「うそ、帯がない」
 19日の夜に、美容院セットを揃えていたら気がついた。袴には半幅帯を使うのだが、これも私が持っていると錯覚していた。ボケるにも程があると自己嫌悪に陥る。しかも、時計は21時を回っていた。
「ねえ~、帯も貸してくれるかしら」
 妹に図々しく電話で頼み、またまたオーケーの返事をもらった。さいたま市までの引き取りには、テレビの前でくつろいでいた夫にお願いする。幸い、道路が空いていたので、片道30分ですんだ。フラフラしながら戻ってきた夫に、労いの言葉をかける。
「いやあ、早かったねぇ。ラッキー、ラッキー」
 あとはひと風呂浴びて寝るだけという時間に他人をこき使い、何がラッキーなのか。口にした本人にもわからない……。
 そして、美容院に持ち込みをした20日も、すんなり終わらせてくれない。ランチ中に娘から電話がかかってきた。
「長襦袢に襟芯が入らないって言われたよ」
「マジ?」
 妹の襟芯より、私の襟芯の方が太かったのだろう。どれだけトラブルがあるのかとウンザリしたが、これは金銭で解決できた。
「追加料金を払えば、縫い直ししてくれるって」
「ああよかった。じゃあそれで」
 ビジネスチャンスを逃さない、しっかりした美容院であった。
 当日も何か起きるのではと心配になり、仕事に行く時間を遅らせた。無事に着付けが終わり、式場に到着したところで、娘を見送り職場に向かう。



 はー、よかった。
 よほど気が高ぶっていたのか、卒業式が終わっても、よく眠れなかった。
 これがスリープマイスターのグラフである。



 私って繊細だったのね!


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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