これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

考えるポンコツ

2018年12月02日 21時47分40秒 | エッセイ
 私の職場に、電気ポットなどという文明の利器はない。
「お湯、沸かしてあるよ」
「わーい、ありがとうございます」
 毎朝、数学科の再任用の先生が、やかんで沸かしたお湯を魔法瓶に入れてくれる。彼が休みのときは、私がやっている。
 だが、私の席はガスコンロから離れているので、お湯のことをすっかり忘れてしまうときもある。30分ほど経ってから思い出し、シュンシュンと怒り続けているやかんに肝を冷やした日も少なくない。
 気の利く先生が「あとは私がやってあげよう」と魔法瓶に入れてくれたこともあるが、火事になったら大変だ。何とか、忘れない工夫をせねばならない。
「電気ポットだったら楽勝なのにねぇ」
 前の職場では電気ポットを使っていた。水を入れれば自動的に沸騰させ、98度にキープしたまま待っていてくれる。便利な反面、水を補充し忘れてカラカラになったり、最後の職員が電源を切らずに帰ってしまったりで、ヒヤリとしたときもあった。
 何を使うにせよ、火の用心を怠ってはならない。
「どうして忘れちゃうんだろう。パソコンに夢中になるからかな?」
 そこで、ノートパソコンの画面の上に、「お湯」と書いた付箋紙を貼ってみた。



「うん、これなら忘れないかも」
 たしかに、ある程度の効果はあったが、神経が文字に集中するとダメだ。
「あ、そういえば、さっき……」
 あわててコンロに飛んでいき、激しく湯気を立てているやかんに怒られる。何で、こんなポンコツに成り下がってしまったのかと落ち込んだ。
 やっと、最近になっていい方法を思いついた。お湯が沸くまで、ちょうど9分とわかったからだ。
「えーと、今、7時50分でしょ。59分になったらまた来よう」
 不思議なことに、「○時に××」というおぼえ方なら、私は忘れないらしい。腕時計をちらりと確認し、ナイスなタイミングでガスコンロに向かう。やかんもゴゴゴゴとテンションを上げており、「よし、来たな」と褒めてくれる。
 ピロリ菌退治の抗生剤もこの手で乗り切った。夕食後は、なんやかんやで飲み忘れの危険がある。だから、食べ終わったときに時間を確認し、「今8時だから、薬は8時半に飲もう」と自分に理解させる。何とか7日間、忘れずに飲み切ったことがうれしい。
 何で数字ならおぼえていられるのだろう。
 計算が苦手だから、適度な緊張感が保てるのかな……?


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コメント (12)
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