これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

またまた忘れていませんか?

2018年10月11日 22時16分17秒 | エッセイ
 正倉院展。一度は行ってみたい。今年は第70回だ。



 夏休みや冬休みではなく、10月末から11月上旬という日程に加えて場所が奈良。毎年、「行きたいけどちょっとね~」と二の足を踏んでいた。社会科教員の元同僚は、「何が何でも見るわ」と都内から日帰りで駆け付けていたが、そこまでの熱意はない。
 でも、今年は状況が違う。11月2日の金曜日が、仕事の振り替えで休業日になったからだ。
「てことは、土日と合わせて3連休。正倉院展に行かれるじゃん」
 急いでJTBに行き、残り少ない部屋を確保し新幹線を予約する。何やらとんとん拍子に話が進み、2泊3日の奈良旅行ができることになった。
「ひゃっほ~!」
 喜び勇んで、手付しか払っていない旅行代金の残額を振り込みに行く。これで、11月の楽しみができたとニヤニヤした。が、それもつかの間。ニヤけ顔は一件のメールで凍り付く。
「おや、池田さん? ああ、大学の後輩か……」
「笹木さん、ご無沙汰しております。昨年は同窓会に来ていただきありがとうございました。今年も11月3日に開催いたします。18時からですので、ぜひお越しください」
「ああっ、そういえば!」
 私の出身大学は、毎年、文化の日を含めた4日間で学園祭を実施する。それに合わせて、15歳年下のサークルの後輩が同窓会を企画してくれると聞いた。去年、初参加して後輩とメアドを交換し、「来年は直接連絡しますね」と言われたのだっけ。すっかり忘れていたし、あれからもう一年経ったことにも気づかなかった。
 ダメだ、ボケてるな……。
 ひとまず、後輩に、誘ってくれたお礼と、予定があって行かれないお詫びを返信した。
 あーあ、タイミング悪すぎ。
 一応、同期に連絡をとると、「今年は行かれる」という返事の多いこと多いこと。自分で選んだこととはいえ、私だけが取り残される気がして落ち込んだ。正倉院展に目がくらんだ私がいけない。
 そして今日、またメールの着信音がした。設定は「機関車」になっている。力強い汽笛が「ブォ~」と鳴り響いた。
「あ、また池田さんだ。なになに?」
「笹木さん、返信ありがとうございます。同窓会は毎年開催しますので、都合のよい年にお気軽にご参加ください」
「おおっ!」
 そこには、私が一番かけてほしい言葉があった。何ていい後輩なんだろう。
 来年こそ、来年こそは予定を入れずに顔を出さなきゃ。
 それにしても、一年ってこんなに早かったっけ?


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (8)
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