これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」4DX

2017年08月06日 20時34分08秒 | エッセイ
 以前から、古代エジプトの神秘的に憧れを持っていた。先月、新聞に掲載されていた新着映画情報を読み、惹かれる作品を見つけた。
「わっ、トム・クルーズ主演の『ザ・マミー』だって。エジプトのミイラの映画みたいだよ」
 高校時代は世界史を専攻し、同じくエジプト好きの娘に声をかけてみた。
「おもしろそう。行こう行こう」
「行こう行こう」
 ネットでのレビューはイマイチだったが、他のキャストにラッセル・クロウの名を見つけ、ピピッと来た。これは私のストライクゾーンである。直感は大事だ。チャチャッと映画館の上映スケジュールを検索し、都合のつく時間帯を調べてみる。
「IMAX 3Dと4DXもある。どれにしようか」
 スマホを手放さない娘に話しかけ、相談した。
「4DXだよ、絶対。3Dメガネかけるのダルい」
「そうねえ、耳も痛くなるし」
 見たかった映画でも、疲れていると上映中に寝てしまうことがある。しかし、座席が揺れる4Dなら大丈夫だろう。だが、娘に大事なことを言い忘れたまま、チケット予約をしてしまった。



 当日、ポップコーンを買って座席に着いた。揺れてもこぼれないように、トレイではなくビニール袋に入れてくれる。いざ、4DXにGO!
 映画が始まると、中東風のターバンを巻いたトム・クルーズが登場した。ビックリするくらい似合わず、苦笑しながら見る。会話が始まると、何かがおかしいことに気づく。
「お母さん、トムが日本語しゃべってるよ」
「あ、思い出した。4DXは日本語吹き替え版だったんだ……」
「ええー!」
 私たちが行く映画館は、IMAX 3Dだと字幕、4DXだと吹き替えだよ……その確認をするつもりだったのに、ヤバッ! 「トムは日本語を話せるようになったらしい」ととぼけたところで、すぐバレる嘘には意味がない。完全に手遅れだ。焦ったところで銃撃戦が始まり、座席がガタガタ揺れ出した。
「トム・クルーズの声が聞けない……」
 ガッタンガッタン。
 娘は残念そうだ。
「ラッセル・クロウも、レミゼで歌が上手かったのに」
「たまにはいいんじゃない? 漢字が読めなくて困るってこともないから」
「……」
 グラグラグラッ。
 私だって字幕の方がよかったが、もはや開き直るしかない。「字を読まなくてすむわ~」と考え方を変え、吹き替え版を満喫するのだ。娘は不満そうに鼻にシワを寄せていたが、「この人には何を言っても無駄だ」と諦めたようだった。
 レビューに「ホラー」と書いてあった通り、私にとっては怖いストーリーだった。追いかけられるのは苦手だ。しかも、ミイラが多数になったり、蜘蛛やネズミが大量にわき出てきたりして、かなり気味悪い。
 ラッセル・クロウのキチガイじみた演技もすさまじかった。本当に、頭おかしいのかもと納得するくらいである。ジキルとハイドの役だから、遠慮していてはいかんのだ。トム・クルーズ演じるニックは、ミイラだけでなく二重人格の狂人とも戦わなければならない。
 展開にケチをつけるのは簡単である。ちょっと無理があるんじゃない? という場面もないわけではなかったが、アトラクション並みに動くシートに揺られ、劇場に煙が上がり、ときおり水しぶきが飛んでくれば、細かいことはどうでもよくなる。あとは、ポップコーンが濡れないように水滴からガード。あっという間の110分であった。
 エンドロールの最後に、吹き替え版の声優が紹介された。ミイラである悪役・アマネットは、ベッキーが吹き替えたらしい。他の声優さんたちも、みんな上手だった。最初は字幕でないことを後悔したが、吹き替え版も悪くない。好演に感謝する。
「……疲れたね」
「疲れた」
「だいぶ揺れたけど、ポップコーン、鼻に入らなかった?」
「入るわけないでしょ」
 俳優たちと一緒に走り、泳ぎ、戦ったかのような疲労感が楽しい。
 4DXは、映画の世界に入り込めた気がしていいわぁ~。


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コメント (10)
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