これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

上高地でこんにちは

2017年06月15日 21時22分26秒 | エッセイ
 週末を利用して、はとバスのツアーに娘と参加した。



 初日は、新宿から中央高速を経由して上高地へ。安曇野で一泊し、2日めは立山黒部アルペンルートから雪の大谷ウォークを楽しむコースである。
「バスなんだから、ソフトクリームはダメだよ。飲み物もちょっとにしておきなさい」
 釘を刺したのは私ではない。大学生の娘である。たたみかけるように、とどめの言葉が突き刺さる。
「いつも勝手に飲んで、勝手にトイレに行きたくなるんだから」
 しょんぼり……。否定はしないが、飲食を制限されると、ちとツライ。
 早めに申し込んだおかげか、バスの座席は最前列だった。だが、この日は、東名高速を走行中の観光バスを目がけて、乗用車が飛んでくるといった信じられない事故が起きている。景色よりも安全性を優先するなら、中ほどの席が一番いいのかもしれない。
 バスが走り始めて1時間半。早速、談合坂SAで休憩をした。時間はたっぷりあるし、そろそろ口さみしくなってきた。
「コーヒー飲みたいな」
「飲めばいいじゃない」
「でも、トイレが心配」
「じゃあ、やめれば」
「半分こしない?」
「いいよ」
「でも、お店に行列ができてる」
「あっちの機械は空いてるよ」
「機械じゃイヤ~」
「ケッ」
 結局、何も買わずにバスに戻った。あとから、これが正解だとわかった。可愛いバスガイドさんが、温かいお茶を振舞ってくれたからだ。



「おいし~」
 上高地はの気温は、27度のときもあれば、14度のときもあるらしい。どこかのサイトで、「この時期の平均気温は21度」と書いてあったような気がして、私は長袖2枚を着込んでいた。東京では少々暑かったが、上高地ではちょうどいいはずだったのだが……。
「皆さま、上高地は雨の模様です」
 松本インターを下りてしばらく走ると、フロントガラスに水滴が叩きつけられる天気に変わった。自由散策の時間が2時間半あるというのに、なんという不運。しかも、だんだん雨脚が強まっている。
「お母さん、どうするの? こんな雨の中、歩きたくないよ」
「同じく。上高地帝国ホテルでまったりしよう」
 元気なグループは合羽を着て傘を差し、大正池からハイキングに出発したようだが、すっかりやる気を失った私たちは、帝国ホテルでのんびりランチを楽しむことにした。



 天気が悪いせいか、ランチタイムでも満席ではなく、待ち時間なしで食事にありつけラッキー!



 食後にホテルを出たら、先ほどまでの攻撃的な雨が、小雨に変わっている。
「よし、河童橋まで歩こう」
「うん」
 残念ながら、穂高連邦は見えない。



 それでも、並んだ白樺がリゾート感を漂わせ



 都内の日常生活では味わえない爽快さが感じられた。
 雨だけど、来てよかった。
 それにしても寒い。寒すぎる。ほんの10分歩いただけで、指先が固まってしまったし、体が縮こまって背筋を伸ばせない。21度などという情報を信じた私がアホだった。
「河童橋ってアレじゃね?」



 バスターミナルは橋の手前にある。とても橋まで行く気にはなれず、離れた場所から写真だけ撮って、そそくさとバスに乗り込んだ。
「あったか~い」
「お帰りなさいませ」
 添乗員さんとバスガイドさんが笑顔で迎え入れてくれた。
「さきほど、現地の方と話をしていたら、今日の気温は9度とおっしゃっていました」
 ガイドさんの言葉に耳を疑った。
「きゅうどぉ?!」
 そりゃ、寒いわけだ。
 立山黒部アルペンルートの室堂では、6月でも最高気温が10度に届かないというから、中綿入りのコートをキャリーに入れてある。まさか、上高地でも必要になるとは思わなかった。
 さんざん飲み食いしたので、念のため、バスが出発する前にトイレに寄ることにした。
 ここはチップ制となっている。環境保全を願い、100円玉を料金箱に入れた。ついでに、「次の機会があったら晴れますように」と念じてみる。
 賽銭箱じゃないっつーの。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (4)
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