これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ハンコ愛

2017年05月11日 23時00分52秒 | エッセイ
 今年は思いのほか、授業がスムーズだ。開始後すぐに寝てしまう生徒はいないし、おしゃべりに明け暮れたり、教科書も開けずにボンヤリしている者もいない。
 優秀な生徒が集まったわけではないから、おそらく、授業内検印制にしたことがよかったのだろう。
「これから検印票を配ります。毎時間、使いますから、問題集に貼っておきましょう」
 最初の授業でこう宣言して、検印の数が成績に入ることを伝えておいた。
 3ページから4ページまでできたら、チャイムが鳴る前に検印をペッタン。次の授業では、5ページから6ページができたらペッタンという具合に、毎回1つずつ増えていく。



 私は「野村」さんではないが、こんな感じのハンコを使っている。
 以前は、課題を提出させて、職員室で検印をしていた。でも、提出物に不備があるとハンコが押せない。返却して直させるのは、結構手間である。欠席者の課題は返せなくてたまるし、課題の山を見るのがストレスだった。
 そこで、生徒の目の前でハンコを押すスタイルに変えたら、これが彼らにとっても私にとっても、ベリグ~ッなのである。
「ここ書いてないよ。これじゃ検印が押せない」
「あっ、本当だ。待って先生、今書いたからハンコちょうだい」
「よし、ここに押しておくからね」
「わーい」
 という具合に、生徒は1時間分の努力を認められて満足する。また、ハンコの数が少ないと気後れするのか、他の子に負けないよう授業に参加する。成果の「見える化」を図るだけで、居眠りや無気力が激減するとは思わなかった。
 また私も、提出物の山を持ち帰らずにすむから、次の授業準備に時間をかけることができる。いいことだらけだ。
 もし、これがハンコではなく、〇などの記号やサインだったら、こんなに頑張らないのではないか。日本はハンコ社会である。日本人のDNAには、「ハンコをもらいたい」という根本的な要求が刻み込まれているのかもしれない。
 そういえば、小学生の夏休み、毎朝神社に集まってラジオ体操をした。参加すると、日にちのところにスタンプを押してもらったものだ。これが実にうれしくて、1回でも欠けてなるものかと早起きに励んだのだっけ。
 今日も、やんちゃな男子が検印票を持って話しかけてきた。
「先生、この前押してもらえなかったところ、終わったから見て」
「どれどれ。あっ、できてる」
「頑張った」
「じゃあ、ここに押すね。追い付いてよかったじゃない」
 彼は隣の子の検印票と見比べて、安心したような笑みを浮かべた。生徒も私も、検印が大好きなのである。
 ネットでスタンプを見ていたら、こんな印を見つけた。



 可愛いカルガモ! 欲しくなっちゃった~!


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (8)
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