これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2017 ゴールデンウイーク

2017年05月07日 20時14分36秒 | エッセイ
 毎年、ゴールデンウイークは遠出しない。3日には娘の誕生会、5日には甥の節句を祝うため、親族が集まるからだ。
 誕生会はわが家で行うが、今年は寿司やすき焼きを注文せず、自分で作ってみたくなった。きっちりとした計画性はなく、ちょっとした思いつきである。もう一つフライパンが必要とわかり、妹にメールをする。
「ねえ、フライパンを貸してくれる?」
「フライパン? いいよ」
「来るときに持ってきてね。忘れたら料理が作れなくて大変よ」
 借りる分際にしては、少々脅迫めいた言い回しである。しかし、妹はドライバーを務める義弟のノンアルコールビールを忘れたこともあるので、「もし持ってきてくれなかったら……」と不安になったのだ。
「こんばんは。ケーキとフライパン持ってきたよ」
 不安を吹き飛ばすように、妹一家が時間通りにやってきた。これでパエリアが作れる。だが、早くから準備をした割に、料理が追いつかない。
「ねえ、奈津、この本見て、カルパッチョのソースを作ってくれる?」
「えっ、アタシが?」
 戸惑いつつ、妹は手伝ってくれた。から揚げ、キッシュ、マグロのカルパッチョができ上がる。だが、チーズとクラッカーを食べすぎたのか、ホタテのグラタンが焼きあがったときには、「もうお腹いっぱい」などという悲鳴が上がっていた。
 これはまずい。
 親族も高齢化が進み、たくさん食べられなくなっているようだ。気づいたのは、一番食べてほしかったパエリアが出来上がったときである。
「入るかなぁ」
「ひと口あれば十分」
 パエリアは、フライパンひとつで4人分できるのだが、結局、それしか売れなかった。妹のフライパンで作ったパエリアは、手つかずで丸々残っている。



「しょうがないなぁ。奈津、悪いけど、フライパンごとおみやげに持ち帰ってよ」
「ははは、じゃあいただくわ」
 妹を脅してまで、フライパンを借りた意味がわからなくなった。しかし、無謀な計画を立てる姉に、嫌な顔もせず助けてくれたことには、ひたすら感謝するばかりだ。奈津、ありがとう!
 5日は、妹の家に集まった。今度は、私が子どもの日ケーキを持っていく。
「おお~、いつ見ても立派な兜だねぇ」



 うちには男の子がいないので、兜もこいのぼりもない。実は、毎年、これを拝むのを楽しみにしている。
「ちょっと。座っていないで手伝ってちょうだい」
 この日は、姉と姉の夫が先に来ていた。サラダを分けている姉が、ダンナをこき使おうとしており、私の出番はなさそうだった。母も、割り箸を与えられて、用事を言いつけられている。早く着くと、ろくなことがないような気がする。
「これ、食べてみる? いぶりがっこっていうんだよ」
「いぶりがっこ?」
 鉄道マニアの義兄は、全国各地を旅行している。今回は秋田まで足を延ばしたようだ。



「焚き木たくあんだってさ。ここに説明が書いてあるよ」



「ほお~」
 ひとつもらって食べてみたら、まさにスモークたくあんではないか。なかなかイケた。ビールにも合う。
「おいしいじゃん」
 子どもたちにも好評である。さすが、学力テスト上位県の秋田、きっちり計算された味だ。
「岡山の『ママカリ』っていう魚もあるよ。食べる?」
 義兄のみやげは果てしない……。
 妹の用意した料理は多すぎず、少なすぎずで、ちょうどよい量だった。食後のケーキも楽々胃袋に入る。
「こどもの日おめでとう」
「おめでとう」



 ケーキを撮っているとき、義弟がふざけて写真に入り込んできたのだが、さすがにそれはアップせずにおこう。
 今年のGWは、「ごはん、わんさかいらん」だったようだ。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (10)
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