これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

心臓に悪いプリン

2017年03月19日 21時15分17秒 | エッセイ
 玉子が余っている。火曜になれば、生協からさらに2パック届けられるので、何かに使わねばと考えた。
「そうだ、プリンを作ろう」
 簡単に作れて美味しいレシピを探してみた。
「これはどうだ?」
 以前、娘に買ってやったお菓子作りの本に、「とろとろプリン」なるレシピが載っていた。



 作り方は簡単だ。このときは、そう思った。
 まず、Mサイズの玉子1個と牛乳150ml、グラニュー糖大さじ2を用意する。



 グラニュー糖を牛乳に入れ、人肌に温めて溶かす。これを、ほぐした玉子に少しずつ加え、泡立て器で混ぜたらザルで濾す。



 3つの容器に注ぎ、キッチンペーパーで泡を取る。



 天板にお湯を注ぎ、160度に温めたオーブンで10~12分蒸し焼きにすれば出来上がりだ。
「うわあ、もう完成? 早ッ!」
 しかし、プリンがとろとろ過ぎる。竹串を刺してみたら、液体がドローとついてきたので、再びオーブンに戻した。
「あと5分やってみよう」
 5分はすぐ経つ。ブザーに呼ばれて中を見たが、さっきと変わっていない。
「ええい、もう10分でどうだ」
 押し込むように、オーブンの扉を閉めた。
 玉子には、熱を加えると固まる性質がある。とろとろプリンは、牛乳の比率を大きくすることで、口の中でとろける柔らかさに仕上げる反面、玉子の力は弱くなっている。
 待ち時間では、ひたすら心細い。余計なことを、あれこれ考えてしまった。
「本当に固まるんだろうか」
「もしや、牛乳の量を間違えたのでは」
「失敗したら、私が責任とって片づけるしかない」
「この無駄な時間、どうしてくれるのよ、キイイ~」
 ピッピッピと終了の音がして、ドキドキしながら扉を開ける。



 端が焦げてしまったが、今度は大丈夫そうだ。竹串を刺したときの手ごたえが違う。周りが液体だと「スカッ」という空疎な反応となるが、固体ならではの抵抗感があった。器を傾けても、プリンは流れない。あとは冷まして冷蔵庫に入れるだけだ。
 オーブンの性能の違いか、容器の素材や形状の違いか、わが家の場合は160度で25分かかるらしい。
「ふう~、今度はカラメルを……」
 小鍋にグラニュー糖50gと水小さじ1を入れて火にかける。



 砂糖は加熱によって液体と化し、ドロドログツグツ煮え立ってきた。縁から色がついてくるので、木べらでかきまぜる。やがて、茶色になってきた。
「そういえば、べっこう飴もこうやって作ったな」
 小学生のとき、理科の実験でべっこう飴を作った。熱いうちに、茶色の液体をアルミホイルにあけて冷ますと、美味しい飴に早変わり。ただし、今作っているのはカラメルだから、火を止めたらて大さじ1の湯を加えなければならない。小鍋は「ジューッ」と怒ったような音を立て、沸騰するのをやめた。こちらもでき上がり。



 プリンが冷えた。あとは、上からカラメルをかけるだけだ。
 ここでも一抹の不安がある。
「まさか、べっこう飴になっているんじゃ……」
 おそるおそる小鍋をのぞいてみたが、こちらは固まっていない。「はあ~」と胸をなで下ろした。
 やっと完成。



 お腹をすかせた夫に食べさせた。



「うん、美味しい。でも、カラメルが甘すぎるな。砂糖を減らした方がいいんじゃない」
「へいへい」
 あー、できてよかった……。


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コメント (12)
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