これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2017 ホワイトデー

2017年03月16日 20時49分50秒 | エッセイ
 出勤すると、プレゼントの包みが置いてあった。
「あら、誰からかしら」
「ゴッド先生です」
 近くにいたフラワー先生が、そっと耳打ちする。
 そうか、今日はホワイトデー。バレンタインデーに安物の義理チョコをバラまいたので、お返しをいただいたわけだ。箱の大きさからして、本当に倍返しで気が引けた。
「私も」
 そのフラワー先生からは、カントリーマアムのレアな「ずんだ味」を、シャネル先生からもチョコおかきなんぞをいただいた。ちょうど、通勤ラッシュをくぐり抜けてきたところだから、ティータイムにはもってこいである。
「おはようございます」
 ニューマン先生が出勤してきて、こちらからもチョコが、タッキー先生からは「僕は和菓子にしたよ」と包みを渡される。これは大漁。バレンタインの威力は絶大である。しばし、お菓子談議に花が咲いた。
 そういえば、学生時代に、バレンタインのお返しを拒否する男子がいた。「製菓会社の陰謀にはまるものか」と抵抗していたわけだが、イベントと割り切って楽しめばよかったのに。やがて、彼にチョコレートをあげる女の子はいなくなった。
「ただいまぁ」
 帰宅して、食べ切れなかった戦利品をバッグから出していると、夫がゴディバの箱を持ってきた。
「はいこれ」
「ありがとう」
 山盛りになり、食べきれるか心配になってきた。



 以前に、ゴディバのチョコが美味しかったと言ったせいか、夫はゴディバ以外のチョコを買わない。男性には保守的な傾向がある。たまには冒険してもいいんだけど。
 娘が23時にバイトから帰ってきた。大きな紙袋を持っている。
「バイト先のオジさんにチョコあげたら、今日、お返しもらった」
「へー」
「バウムクーヘンにしようと思ったら、店がつぶれていたからケーキにしたって。消費期限が今日なんだよ。どうしよう」
「げっ」



 おそらく、そのオジさんの好きなケーキなのだろう。バレンタインに、20歳の女の子からチョコをもらったのが嬉しくて嬉しくて、飛び上がって足の裏で拍手したくなるくらい嬉しくて、喜んでもらいたい一心からお返しを選んだに違いない。
 可愛いなぁ。
「図書カードも入ってた」
 中身を見たら、2000円と書いてある。そこまで念入れる?
「明日、仕事行く前に食べていってよ。3分の1ずつね」
「ひー」
 思いがけないノルマが課されたが、「図書カードを使って」というノルマはないらしい。
 チッ。
 翌朝、弁当を作り終えると、血糖値を上げないためにキャベツの千切りを食べる。このあとはケーキだ。
 消費期限は過ぎたけど、一日くらいどうってことない。
 カスタードクリームに載った甘いフルーツと、歯ごたえのある香ばしいタルト生地のコンビネーションを楽しんだ。バリバリバリ。
 娘はすました顔で「美味しかったです」と伝えたらしい。


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コメント (8)
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