職場から帰宅し、パソコンに向かった。夕食までの待ち時間を使って、ネットサーフィンをしたかった。
ところが、インターネットエクスプローラーのアイコンをクリックしても、「ネットワークに接続されていません」のメッセージが出て、一向につながらない。無線LANのルーターは起動しているのに、どうしてだろう。
夫のPCで挑戦しても同じだった。無線がダメなら有線でと考え、ケーブルをつないでみた。それでも結果は同じだ。となると、昨日まで元気に活躍していたルーターが壊れたのかもしれない。
「しょうがないな。エッセイでも書くか……」
だいぶ前に、マッカーサー記念室に行ったときのエッセイがまだだった。写真はあるから、あとは文を書くだけ。でも、どこを切り取って、どう膨らませるかで悩んでいた。加えて、姉からのひと言が大きく影響している。
「マッカーサールーム? 私も行ったことあるな。……あそこは出るんだってよ」
一般公開されていない施設だから、普段は明かりが消えている。何かが潜んでいると言われれば、そうかもしれないと頷いてしまう雰囲気だった。
「夜に書くのは怖いな。今日はやめよう」
そんな具合で延ばし延ばしにした結果、すでに1カ月以上経過している。ネットがつながらないのなら、思い切って書くしかないだろう。
「ん? もしや……」
私にこれを書かせるために、通信障害を起こした者がいるのではないか。
その前の夜、夫がテレビで、芸能人の恐怖体験を見ていた。私もついつい見てしまい、番組が終わった後も、その話題で盛り上がったのだが……。
「あれ、キッチンからパチッパチッて音がする」
普段は聞いたことのない軽い音だ。まさか、ラップ音?
音はすぐにやんだ。すっかり忘れていたが、これが原因でネットがつながらなかったりして。
何の根拠もないけれど、マッカーサー記念室のエッセイを書いたら、インターネットが復旧するような気がした。交渉する相手がどこにいるかもわからないまま、念を飛ばしてみる。
-わかった。あなたのことを書いてほしいから、邪魔しているんでしょ。
もちろん返事はない。でも、きっと間違っていない。
-そりゃ、ずっと放置していて悪かったけどさ。書いたら直してよ。
私はワードを立ち上げ、文章を入力し始めた。
「君は、マッカーサーを知っているか」
3行くらい書いたところで手が止まる。
「うーん、何か違うかも……。君じゃなくて、おまえさんにしてみるか」
誰かに誘導されているのか、自分の文章に違和感をおぼえて書き直した。
「彼は、ってのもおかしいよね。そうだ、奴さんがピッタリかも」
普段は絶対に使わない言葉が、次々と浮かんでくる。感じるまま、ひらめくままに続けていったら、「どう書こうか」と悩んでいたのが嘘のようにまとまった。
(完成したエッセイ「マッカーサーのいた部屋」はこちらから)
再び、念を送ってみる。
-できたよ。ネットをつなげてちょうだい。
やっぱり返事はないが、ルーターのコンセントを差し込み、さっきと同じ動作を繰り返す。
「おおっ、つながった~!」
思った通り、インターネットが復旧した。ブログにアップしたあと、「気に入った?」と問いかけてみた。実のところ、結構自分好みの作品に仕上がったと思う。
それから、おあずけになっていたネットサーフィンを始めた。さっきまで「ネットワークに接続されていません。接続されていないんだってばよ!」と表示されていたとは思えない滑らかさだ。
やはり、邪魔されていたのではないか。
さらに、図々しく念を送った。
-頑張ったんだから、何かご褒美ちょうだいね。
その成果があったのか、今日は職場に卒業生が3人やってきた。全員イケメンの男子だ。
「久しぶりにみんなで会おうって話になって、ついでに先生にも会いに来た」
「わ~、ありがとう!」
警察官になり、巡査として派出所勤務をしているコウジは、給料がものすごくいいと喜び、首から下げたバッジを見せてくれた。美容師を目指して専門学校に通うアツシは、クラスで2位、学年で6位の成績をとったとか。機械技師になりたかったはずのレイヤは、全科目追試で「頑張らないとヤベー」と叫んでばかり。
「仕事が終わったら、カズヤとダイキも来るんだよ」
「先生も元気でね」
「うん。さようなら」
しばらく話して、彼らは去っていった。まさかまさかの再会で、ご褒美にふさわしいシチュエーションだった。また念を送ってみる。
-ありがとう。
今日はいい日だ。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
ところが、インターネットエクスプローラーのアイコンをクリックしても、「ネットワークに接続されていません」のメッセージが出て、一向につながらない。無線LANのルーターは起動しているのに、どうしてだろう。
夫のPCで挑戦しても同じだった。無線がダメなら有線でと考え、ケーブルをつないでみた。それでも結果は同じだ。となると、昨日まで元気に活躍していたルーターが壊れたのかもしれない。
「しょうがないな。エッセイでも書くか……」
だいぶ前に、マッカーサー記念室に行ったときのエッセイがまだだった。写真はあるから、あとは文を書くだけ。でも、どこを切り取って、どう膨らませるかで悩んでいた。加えて、姉からのひと言が大きく影響している。
「マッカーサールーム? 私も行ったことあるな。……あそこは出るんだってよ」
一般公開されていない施設だから、普段は明かりが消えている。何かが潜んでいると言われれば、そうかもしれないと頷いてしまう雰囲気だった。
「夜に書くのは怖いな。今日はやめよう」
そんな具合で延ばし延ばしにした結果、すでに1カ月以上経過している。ネットがつながらないのなら、思い切って書くしかないだろう。
「ん? もしや……」
私にこれを書かせるために、通信障害を起こした者がいるのではないか。
その前の夜、夫がテレビで、芸能人の恐怖体験を見ていた。私もついつい見てしまい、番組が終わった後も、その話題で盛り上がったのだが……。
「あれ、キッチンからパチッパチッて音がする」
普段は聞いたことのない軽い音だ。まさか、ラップ音?
音はすぐにやんだ。すっかり忘れていたが、これが原因でネットがつながらなかったりして。
何の根拠もないけれど、マッカーサー記念室のエッセイを書いたら、インターネットが復旧するような気がした。交渉する相手がどこにいるかもわからないまま、念を飛ばしてみる。
-わかった。あなたのことを書いてほしいから、邪魔しているんでしょ。
もちろん返事はない。でも、きっと間違っていない。
-そりゃ、ずっと放置していて悪かったけどさ。書いたら直してよ。
私はワードを立ち上げ、文章を入力し始めた。
「君は、マッカーサーを知っているか」
3行くらい書いたところで手が止まる。
「うーん、何か違うかも……。君じゃなくて、おまえさんにしてみるか」
誰かに誘導されているのか、自分の文章に違和感をおぼえて書き直した。
「彼は、ってのもおかしいよね。そうだ、奴さんがピッタリかも」
普段は絶対に使わない言葉が、次々と浮かんでくる。感じるまま、ひらめくままに続けていったら、「どう書こうか」と悩んでいたのが嘘のようにまとまった。
(完成したエッセイ「マッカーサーのいた部屋」はこちらから)
再び、念を送ってみる。
-できたよ。ネットをつなげてちょうだい。
やっぱり返事はないが、ルーターのコンセントを差し込み、さっきと同じ動作を繰り返す。
「おおっ、つながった~!」
思った通り、インターネットが復旧した。ブログにアップしたあと、「気に入った?」と問いかけてみた。実のところ、結構自分好みの作品に仕上がったと思う。
それから、おあずけになっていたネットサーフィンを始めた。さっきまで「ネットワークに接続されていません。接続されていないんだってばよ!」と表示されていたとは思えない滑らかさだ。
やはり、邪魔されていたのではないか。
さらに、図々しく念を送った。
-頑張ったんだから、何かご褒美ちょうだいね。
その成果があったのか、今日は職場に卒業生が3人やってきた。全員イケメンの男子だ。
「久しぶりにみんなで会おうって話になって、ついでに先生にも会いに来た」
「わ~、ありがとう!」
警察官になり、巡査として派出所勤務をしているコウジは、給料がものすごくいいと喜び、首から下げたバッジを見せてくれた。美容師を目指して専門学校に通うアツシは、クラスで2位、学年で6位の成績をとったとか。機械技師になりたかったはずのレイヤは、全科目追試で「頑張らないとヤベー」と叫んでばかり。
「仕事が終わったら、カズヤとダイキも来るんだよ」
「先生も元気でね」
「うん。さようなら」
しばらく話して、彼らは去っていった。まさかまさかの再会で、ご褒美にふさわしいシチュエーションだった。また念を送ってみる。
-ありがとう。
今日はいい日だ。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)